デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治13年4月12日（1880年）

是ヨリ先、栄一同盟上書連印ノタメ頗ル時日ヲ費スヲ以テ其文例ヲ改正スルノ議ヲ発ス。数次ノ議ヲ経テ衆皆之ニ同ズ。ヨツテ是日上申文案ヲ決議シ後日上申セリ。

東京経済雑誌
　○第一七号・第五八六―五八七頁〔明治一二年一二月二五日〕
 - 第5巻 p.661 -ページ画像 
　　　　○択善会第廿八回録事
○上略
一　同盟上申書連印ノ為メ頗ル時日ヲ費スヲ以テ其文例ヲ改正スルノ議ヲ発ス、議案ニ曰ク、従前連署上申書ハ各行順達シテ以テ調印シ其日数長キモノハ二十日内外ニ渉リ不便少ナカラス、但タ既ニ連署上申スル事件ニ因テ再申スル如キハ其総代トシテ第一国立銀行ノ一名ヲ以テスル者アリ、今ヤ会務モ逐年繁盛ニシテ其上申スル所ノ事件甚タ少ナカラス、然ルニ猶従前ノ如ク毎申連署ヲ以テスレハ大ニ事務ノ快利ヲ妨ケストセス、是ヲ以テ自今以後凡ソ上申書文案ノ決議ヲ得テ之ヲ上申スルハ幹事三行ノ連署ヲ以テシ、或ハ一行ヲ以テ総代トスルヲ要ス諸君先ツ代理ノ便宜ヲ議決シ然ル後左ノ上申文案ヲ決定スヘシト、本案ニ同シ幹事銀行ヲ以テ総代ニ充ツルヲ議スル者一名アリ、原案ニ反論スル者三名アリ、反論ノ大略ニ云、議案ノ如キ簡ハ則簡ナリ、然レトモ之ヲ行フハ輪議法ノ厳格ナラサルヲ得スト、或ハ云、連署ト総代トノ如キハ今ヨリ一定スヘカラス、毎議其軽重緩急ニ因テ処分スルヲ要スト、或云、預メ議事ノ種類ヲ分チ連署総代ノ例ヲ定ムルヲ要スト会頭ハ之ニ対シ原案ノ旨ヲ弁解ス、其略ニ云、輪議方法ハ業已ニ規程アリ、之ニ従テ異同ヲ決定スル所ナリ、既ニ規程ニ従テ決定セハ其決議ノ旨ヲ上申スルニ於テ連署ト総代トノ為メニ得失セス、要之ニ此会同ハ今ヤ既ニ確乎抜クヘカラサル形勢ヲナシテ官府モ允聴スル所ノ者ナレハ、今其上申ノ如キ同盟連署スルモ総代ナルモ是カ為メ会同ノ効用ニ関スルニアラス、況ヤ会務漸次ニ繁庶ナルニ当リ、煩冗ヲ去テ便捷ニ就クハ豈事務ヲ克クスル者ト謂ハサルヘケンヤト、然トモ衆議尚一決セサルヲ以テ後会ニ譲リ熟議スヘキコトニ決定セリ

　○第二〇号・第一〇〇頁〔明治一三年二月一四日〕
　　　　○択善会第二十九回録事
○中略
第六次、○中略又第六十六銀行ヨリ照議セシ全国諸銀行考課状編纂ノ議案、及同盟上申書文例ノ議等ハ時已ニ深更ニ際スルヲ以テ後会ニ譲ルヘキヲ告ケタリ

　○第二二号・第一七八頁〔明治一三年三月一五日〕
　　　　○択善会第三十次会録事
○中略
第六次、会頭ハ既ニ前会ノ発案ニ係ル同盟上申連名ヲ廃シ、幹事ノ署名ヲ以テスヘキ議ヲ再論シテ曰ク、数行連印ノ為メ頗ル日数ヲ費スヲ以テ自今重大ノ事件ヲ除クノ外ハ総テ幹事署名ニテ上申スルニ擬シ、而シテ預メ之ヲ稟具スルヲ要ス、是前会発案ノ旨ナリ、宜シク之ヲ決定スヘシ、宮部君曰ク、連名ハ旧ニ依テ改メス其調印ハ只幹事三行ヲ以テスルヲ要ス、原田君曰ク、予メ軽重ヲ分ツヘカラス、会議或ハ輪札ノ際毎ニ判別シテ或ハ連署トナシ、或ハ総代ニ任スルトスルヲ要ス市原君・鈴木君等曰ク、凡ソ上申スヘキ事件ハ既ニ其協議決定ヲ経タル者ナルヲ以テ其上申ニ至テハ敢テ連名ヲ須ヒス幹事三名ヲ以テスル妨ケナシト、会頭ハ其同説ノ多キヲ取リ、更ニ議シテ曰ク、凡ソ新ニ上申スル者ハ其大小ニ従テ連名或ハ幹事署名ヲ分チ、復申回答其他平
 - 第5巻 p.662 -ページ画像 
常軽易ノ事務ハ総テ幹事代印ト為スノ分界ヲ定メ、而シテ其議場ニテ決定スル者ハ当下其文例ヲ定メ、輪議ニ決議スル者ハ発札ノ際其軽重ヲ度ツテ之ヲ示ス者ハ如何ト、諸員之ニ同セリ、会頭曰ク、既ニ諸君ノ同意ヲ得レハ更ニ此決議ヲ記シテ一ノ規則ト為シ、又預メ之ヲ大蔵省ニ上申スヘキヲ以テ、其文案ヲ設ケ再ヒ輸札ヲ以テ諸君ノ正閲ニ供スヘシ、諸員之ヲ領ス

　○第二五号・第二九六―二九七頁〔明治一三年四月二一日〕
　　　　○択善会第三十一次会録事
○中略
第一次、会頭渋沢栄一君ハ前会ノ後、幹事銀行ニテ処理セシ事務ヲ報道スル左ノ如シ
○中略
　一第十三号輪札ヲ以テ第三十次会ニ於テ決議シタル諸牒記名例ヲ再議○中略
第二次、会頭第十三号輪札ヲ以テ諸喋記名例ヲ改正シタルカ為メ之ヲ上申スルノ文案ヲ発シテ朗読シ、畢テ諸位ノ可否ヲ問フ、杉山勧君・原田銀造君・村瀬十駕君・肥田昭作君等共ニ修正説ヲナシ、他皆之ニ同シテ原案ヲ添削改正セリ

第一国立銀行半季実際考課状　第十四回　第一一―一二頁〔明治一三年七月一九日〕
一四月廿五日、又同会○択善会連署ヲ以テ同省○大蔵省ニ申牒シ、自今同会ノ申牒ハ時宜ニ依リ同盟連署又ハ幹事連署ヲ以テ上申スヘキ旨ヲ晋陳セリ