デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治15年4月28日（1882年）

是ヨリ先、銀行集会所ノ組織ヲ改良シ集会所規程ヲ制定センコトヲ発議ス。栄一委員ノ一人トシテ之レガ草定ニ参画シ、又定式集会ニ於テ屡々討議ス。是日、右規程草按ヲ大蔵卿ニ上申シ允許ヲ受ク。又規程草按ト共ニ刊行雑誌買上ノコトヲ稟請セシモ、許サレザルヲ以テ本会ヨリ毎月発兌ノコトニ決ス。

集会録事　従明治十五年第一月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　　○第十七回例会録事
明治十五年一月六日午後四時ヨリ月番第九十三支店及第九十五銀行ハ同盟第十七回ノ例会ヲ兼ネ新年祝賀会ヲ築地寿美屋ニ開キ、九時下退会セリ、当日出席者並其要件左ノ如シ
　　　　　会員　第一銀行　渋沢栄一○外五三名氏名略
月番第九十三銀行壁谷可六ハ各地銀行毎月実際報告蒐集ノ良法ナキヲ以テ其此統計存廃ノコトヲ協議セリ
渋沢栄一君曰ク、本会開設以来互ニ親睦ヲ結ヒ交情ノ厚キヲ得タルハ則チ本会ノ効ナリト雖、業務進歩ノ点ニ至リテハ未タ緒ニ就カス、故ニ先ツ同盟中ヨリ委員若干ヲ撰ミ以テ其利害得失ヲ調査スルモノハ如何ト述ヘシニ、皆同意ヲ表シ、委員五名ヲ撰ムヘキコトニ決シ、而シテ其人名ハ来ル九日マテノ内集会所ニ投票ヲ持参スヘキコトヲ約シテ退会セリ
　　　　　○同盟第十八回定式会録事
明治十五年三月二十三日、月番第廿七国立銀行・第十国立銀行支店ノ二行盟主トナリ同盟第十八回ノ会同ヲ万町柏木ニ於テ開設シ、午後四時ヨリ盟員来集、同六時各席ニ就キ、規程草按ノ逐条審議ヲ開、同十二時其大旨ヲ議了シ、更ニ来ル廿七日ヲ以テ二次会ヲ開クヘキコトヲ期シテ退会ス、本会ニ於テ委員第一国立銀行頭取渋沢栄一ハ此規程ヲ草定セシ要旨及原按中一二修正ヲ加ヘタルコトヲ演述シテ之ヲ衆議ニ付セリ、詳録左ノ如シ
　但第三十国立銀行・第六同支店・川崎銀行ノ三行ハ当日差支アルヲ以テ参会セス
　第廿四国立銀行支店ハ不参
　　　　　会員　第一国立銀行　渋沢栄一○外三一名氏名略
渋沢栄一ハ此規定ヲ草定セシ要旨ヲ演述シテ曰ク、今玆一月六日ノ会同ニ於テ将来諸君ト倶ニ大ニ本業ノ便利ヲ拡張シ、集会所ノ組織ヲ改良センコトヲ企図シ、其委員五名ヲ撰挙スルノ議ニ決シ、而シテ生等会々其撰ニ当リ爾来同僚数回ノ討議ヲ尽シテ之ヲ起草シ、且ツ本月三日同僚ノ集合ニ於テ加藤銀行局長閣下ノ臨席ヲ請ヒ此草按ヲ内見ニ呈シ頗ル称賛ヲ得タリ、蓋シ諸君ノ委員ニ委嘱スルノ意ヲ忖度スルモ亦
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甚タ大差ナカルヘシトスル処ナリ、然リト雖モ其細則ニ至リテハ欠遺モ亦少カラサルヘシ、故ニ会期ニ先タチ印本ヲ呈シテ考按ニ供シ玆ニ討議ヲ求ムル所ナリ、請フ之ヲ諒セヨ
　第六十三　原按ニ異議ナキヲ答フ
　第九十五　第六十三ニ同意
　第八十九　大体ニ於テ更ニ異議ナシ逐条ニ就テ聊カ所見ヲ陳ヘント欲ス
　第四　　　第八十九ニ同意
　第四十四　大体ニ於テハ異議ナシト雖モ出金ノ件ニ至リテハ株主ノ協議ヲ経サレハ決答為シ難キ旨ヲ述フ
　第十四　　本店ヘ照会中ニ付回示ヲ得テ決答スヘキ旨ヲ述フ
　渋沢栄一曰ク、大体ニ於テハ異議ナキモ第四十四銀行ノ如ク株主ヘ協議ノ上ナラテハ決シ難キ等ノ説アレハ遂条ハ之ヲ閣キ、先ツ惣体ニ就テノ可否ヲ決シテハ如何
　衆皆大体ニ異議ナキヲ表ス
　第三十二　大体已ニ異議ナシ逐条ニ渉リ審議ノ方法ヲ撰ムヘシ
　第八十九　可否ヲ定ムル須ラク多数決ノ法ニ従フヘシ
　丸家銀行　第八十九ニ同意
　第百七　　多数ヲ以テ事ヲ決スルトキハ少数不同意者モ枉ケテ之ニ従ハサルヲ得ス、弊支店ノ如キハ本店ヘ照会中ニ付強チ之ニ従フコト能ハス
　安田許次郎曰ク、本店又ハ株主等ヘ照議ノ為メ決答相成難キ向ハ後日ニ至リ若シ其意見ヲ異ニスルアラハ此ノ同盟ヲ退カルヽモ妨ケナカルヘシ、今玆ニ喋々ヲ要セサルナリ
　渋沢栄一曰ク、多数決ニ同意者ノ多キヲ以テ此決議法ヲ左ニ予定セント欲ス、多数ハ即過半数ニシテ可否両立又ハ異説アリテ鼎立スルトキハ原按及会議共総テ消滅ニ属スルモノトス
　杉山勧、委員ハ決議ノ数ニ加フヘキヤ否ヲ問フ
　第六十　　委員自カラ此草按ヲ起セシモノナルカ故ニ之ヲ除クヲ可トスヘシ
　丸屋　　　第六十ニ同意
　第三十二　委員ハ同盟諸行ノ推撰スル処、即チ盟員ノ一人ニシテ決議ノ数ニ漏ルヘキモノニ非ス、故ニ其数ニ算入スルヲ可トス
　第六十銀行ノ説ニ同意者ヲ問フニ三名ノ少数ナルニ付、委員モ亦決議ノ数ニ算入スルコトニ決ス
　渋沢米一又曰ク、前議已ニ斯ノ如シ、是ヨリ逐条ニ渉リテ審議ヲ為スヘシ、就テハ公撰ヲ以テ議長ヲ定メンコトヲ述フ、皆氏ノ議長タランコトヲ望ム、乃チ之ヲ諾セリ
　議長逐条審議ヲ開クコトヲ告ケテ之ヲ朗読ス
　　　第一章
　第一条　　　異議ナシ
　第二条　　　丸屋銀行曰ク、本条ニ修正按アリ、第三条ト併セテ之ヲ陳ヘン
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　第三条　　　同行、本条中私立銀行ト雖トモ第八条ノ手続ヲ経ルニアラサレハ加盟スル能ハス、故ニ本条ヲ刪除シテ第二条ニ左ノ修正ヲ加ヘンコトヲ望ム
　　　　　　第二条
　　　　　　　東京・横浜ニ本支店アル国立・私立ノ銀行ハ皆此会ニ加入スルヲ得ヘシ云々、尤其加盟ノトキ左ノ各項ノ書類ヲ差出サシムヘシ
　　　　　　　　第一　株高及株主ノ姓名
　　　　　　　　第二　定款及申合規則ノ類
　　　　　　　　第三　考課状ノ類
　議長書記ヲシテ右修正按ヲ朗読セシメテ衆議ニ付ス、皆其説ヲ賛成シテ之ニ決ス
　第四条　　　異議ナシ
　第五条　　　同
　第六条　　　同
　第七条　　　同
　第八条　　　安田善次郎ノ説ニヨリ本条ヘ左ノ但書ヲ増補スヘキコトニ議決ス○但書ナシ
　第九条　　　異議ナシ
　第十条　　　同
　第十一条　　同
　第十二条　　第百十九問フ、本条中支配人トアルハ副支配人迄モ及スヘキノ意歟
　　　　　　　立按者答、正支配人ニ止メテ副役ニ及サヾルノ意ナリ
　　　　　　　第百十九又曰ク、正役ニ止ムルノ精心ナレハ更ニ副マテモ及サンコトヲ企望ス
　　　　　　　第四十四モ亦第百十九ノ説ヲ賛成シテ之ヲ主張ス、議長之ヲ衆議ニ附ス、多数ニヨリテ原按ニ決ス
　　　　　　　第六十三支店曰ク、本条中支店ナレハ主任者云々トアリ、而シテ偶々主任者事故アルトキハ、其銀行ハ此会同ニ参与スルヲ得ス、故ニ出席ノ区域稍々広カランコトヲ欲ス、第十九支店外両三行モ亦同意ヲ表ス
　　　　　　　立按者弁明シテ曰ク、主任者ノ文字豈ニ狭少トナサン、譬ヘハ主任者某事故アルトキハ代ツテ其業務ヲ負担セシムル者アルヘシ、是レ則チ当日ノ主任者ニシテ何ソ参会スルニ妨アラン、乃原按ニ決ス
　第十三条　　異議ナシ
　第十四条　　論議紛々大ニ意見ヲ異ニスルアルヲ以テ、後会迄ニ再考スヘキコトニ決シタリ
　第十五条　　前条ニ同シ
　第十六条　　異議ナシ
　第十七条　　同
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　第十八条　　同
　第十九条　　同
　　　第二章
　第廿条　　　同
　第廿一条　　同
　第廿二条　　同
　第廿三条　　同
　第廿四条　　同
　番廿五条　　同
　第廿六条　　同
　第廿七条　　同
　第廿八条　　同
　　　第三章
　第廿九条　　同
　第三十条　　同
　第卅一条　　同
　第卅二条　　同
　　　第四章
　第卅三条　　渡辺治右衛門問フ、現時同盟ヨリ醵集スヘキ入社金ノ総額凡幾何ナルヤ
　　　　　　　立按者曰ク、凡八千円也
　　　　　　　渡辺治右衛門曰ク、目今ノ集会所ニシテ事足レリ、今此入社金ヲ要シ之ヲ新築スルハ甚タ無用ニ似タリ
　　　　　　　立接者云、敢テ無用ニ属セス、当時会所ニ於テ月次ノ会同其他臨時集会ヲ為サント欲スルモ以テ之ヲ容ルヽニ足ラス、又従前ノ如ク割烹店ニ開クハ雑沓ノ恐アリ、故ニ之ヲ新築シテ一ノ共有物トナスノ優レルニ如カザルヘシ、然ラハ則チ唯リ本会ノ便ノミナラス同盟諸行二季惣会其他業務ニ就テノ会集等皆之ヲ使用スル事ヲ得セシメ、相共ニ之ニ拠ラン事ヲ欲シテ起草スル処ナリ、現ニ大坂同業者ノ如キハ曩キニ銀行苦楽部ノ設アリ、亦以テ業務ノ旺盛ヲ来ス所以ナリ
　　　　　　　渡辺治右衛門曰、聞得テ誠ニ然リ
　　　　　　　第百七支店曰ク、本条入社金ハ一時ヲ要セス、漸次醵集シ然ル後チ新築シテハ如何
　　　　　　　立按者曰ク、漸次之ヲ出金シ数年ヲ待テ新築スルノ意歟
　　　　　　　曰ク、然リ
　　　　　　　立按者云、前陳已ニ其事情ヲ尽セリ、数年ヲ待ツハ不可ナリ
　　　　　　　第六十三支店曰ク、本務事業ノ拡充ヲ図ルハ固ヨリ希望スル処ナレハ原按ヲ賛成ス
　　　　　　　第三十二支店、第六十三支店ニ同意
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　　　　　　　第六十三支店又曰ク、今此割合ヲ以テ更ニ第四条ヲ推考セハ、支店ト雖トモ本店資本ニ拠リ出金シテハ如何
　　　　　　　各支店皆其原按ノ通ニテ至当ナルヘキ事ヲ主張ス
　　　　　　　丸屋銀行ハ国立・私立ヲ区別シ、而シテ私立ハ即チ国立支店ノ例ニ効ハン事ヲ陳ヘラル
　　　　　　　議長曰ク、右ノ議説ヲ判スルニ到底左ノ三旨ニ在リ
　　　　　　　　一出金ヲ漸次ニ為ス事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第百七支店
　　　　　　　　一出金ヲ為ス本支店ノ差等ヲ立テサル事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第六十三支店
　　　　　　　　一国立・私立ノ差等ヲ立ツル事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丸家銀行
　　　　　　　議長多数ニヨリテ議決セン事ヲ望ミ、逐一其同意者ヲシテ手ヲ挙ケシム
　　　　　　　　第百七支店ニ同意スル者一人、但第九十五
　　　　　　　　第六十三支店　同意者ナシ
　　　　　　　　丸屋銀行　同意者ナシ
　　　　　　　右ニ付原按同意者ヲ問フ
　　　　　　　手ヲ挙ケテ同意ヲ表スル者過半数ニヨリテ原按ニ決ス、第四十四ハ本条出金ノ件ニ付テハ株主ヘ協議ノ上決答スヘキ旨ヲ陳ヘタリ
　第卅四条　　異議ナシ
　第卅五条　　本条但書ノ前ニ左ノ一項ヲ追加ス
　　　　　　　一三百万円已上　毎行都テ金三十円
　第卅六条　　第四十四銀行曰ク、月費金ヲ出ス宜シク決定ノ月ヨリ之ヲ領収スヘシ
　　　　　　　立按者曰ク、其説誠ニ然リ、然リト雖モ今出金ノ遅速ハ将来残高ノ多少ニ因リテ其存廃ヲ為スモノナレハ到底一ニ帰スルヲ以テ斯ノ如ク起草シタリト云本条中、残高ヲ積金ト為シ、ノ下ニ左ノ三十五字ヲ増補挿入スヘキ事ニ決ス
　　　　　　　「月番銀行ニ於テ之ヲ預リ、年一割二分ノ割合ヲ以テ其利足ヲ加ヘ、順次之ヲ管保シ」云々
　第卅七条　　本条中、之ヲ醵集シ而シテ、ノ以下ヲ刪除シ、更ニ左ノ修正ニ決ス
　　　　　　　「其醵集ノ方法ハ先ツ加盟シタル前月迄ノ積金（月費金ノ残高）ノ有高ニ割合之ニ相当スルノ出金ヲナサシムヘシ」
　第卅八条　　異議ナシ
　第卅九条　　本条中左ノ各項修正ニ決ス
　　　　　　　第一定式及臨時会ノ弁当代
　　　　　　　第二集会所借地料
　　　　　　　第六電信料ノ三字ヲ加入ス
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　　　第五章
　第四十条　　異議ナシ
　第四十一条　々
　第四十二条　本条中ノ字句穏当ナラサルヲ以テ次会マテ再考スヘキ事ニ決ス
　第四十三条　本条第二項、御指令以下左ノ修正ニ決ス
　　　　　　　「又ハ判決文又ハ法律ノ質問」
　第四十四条　異議ナシ
　第四十五条　本条中（ヲ望ム）ノ三字ヲ刪除ス
　　　第六章
　第四十六条　異議ナシ
　第四十七条　々
　第四十八条　第四十二条ニ同シ
　第四十九条　刪除スヘキ事ニ決ス
　　　第七章
　第五十条　　異議ナシ
　第五十一条　本条利倍勘定ノ下ヘ「月費金ノ収支勘定」ノ八字ヲ増補挿入スヘキ事ニ決ス
　第五十二条　異議ナシ
　第五十三条　々
　　　第八章
　第五十四条　異議ナシ
右了リテ渋沢栄一ハ大蔵省ヘ稟申スヘキ願請ノ廉書草按ヲ出シ、謂テ曰ク、今タ已ニ深更ニ及ヘリ、故ニ規程第十四条・第十五条及緒言ト共ニ来ル廿七日午後第四時ヲ以テ爰ニ再会シテ審議ヲ為シ、之ヲ確定セン事ヲ約シテ午後十二時退会ス
　但今タ会議ノ件ニ付本店ヘ照議シ、又ハ株主ヘ謀ル等ノ都合アル諸行ハ、追テ其意見ヲ申報アルモ不苦旨ヲ告ケタリ
　　　　追録
　第四十四銀行三十五条入社金支出ノ件ニ付株主ヘ議協ノ上決答スヘキノ事ナリシ処、最早株主ヘ協議ノ義ハ之ヲ止メ、重役中ニテ規則ノ通出金スヘキ事ニ決シタル旨杉山勧君ヘ通知ノ趣同氏ヨリ通告、
　三月三十日

集会録事　従明治十五年第一月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　同盟臨時会録事
明治十五年三月二十七日午後四時、第廿七銀行第十同支店盟主トナリ同盟臨時集会ヲ万町柏木ニ於テ開設シ、規程草按第二次回ノ集議ヲ了ス、詳録左ノ如シ
　　　　会員　第一国立銀行　渋沢栄一　○外二七名氏名略
　　当日不参
　　第八十九国立銀行・第三十三同・第四十四同・第六十三同・第三十同・第九十五同
議長前約ニヨリ第十四条・第十五条ノ審議ヲ為サン事ヲ告ケ、且右両
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条ニ付第十支店建議ノ要旨ヲ演述セリ　全文下ニ載ス
　建議ノ略ニ曰ク、第十四条「密告者五行以上ニ及ブトキハ」トアルヲ密告者アルトキハ協議ノ上云々、但委員ニ於テ右ノ如キ銀行アルヲ聞知セハ其密告者ヲ俟タサルモ之レカ手続ヲ尽スヘキハ勿論タルヘシトナシ、第十五条「特ニ臨時会ヲ開キ同盟ノ協議ヲ以テ之ヲ処置スヘシ」トアルヲ、同盟ノ臨時会ヲ開キ其方法ヲ議定スヘシ」ト修正云々
塩谷良翰君曰ク、第十四条営業ノ実際ヲ調査スルカ如キハ同業者中ノ為スヘカラサルモノナルヲ以テ之ヲ忠告ニ止メ、尚聴カサルニ於テハ公然之ヲ銀行局長ニ告ケテ可ナリ
安田善次郎君ハ塩谷君ノ説ヲ駁シテ曰ク、委員立按ノ旨趣ハ左ニアラス、已ニ銀行局長ノ検査ヲ蒙ルニ至リテハ法律ノアル在リ、何ソ寛仮センヤ、今特ニ此条項ヲ設クル所以ノモノハ我同盟ノ組織ヲ鞏固ニシ不正ヲ墻上ノ中ニ予防セン事ヲ欲シテナリ、故ニ若シ無実ナルモノ此ノ誣告ヲ受ルニ於テハ却テ調査ヲ望ミ、其無実ナル事ヲ証明セン事ヲ欲スルニ至ルヘシト思想スルナリ
塩谷良翰君曰ク、風聞ニヨリ妄リニ密告ヲ受クルトキハ被告銀行ノ迷惑言フヘカラサルヲ以テ、本条中被告銀行已下刪除シテ更ニ左ノ修正説ヲ増補アラン事ヲ望メリ
　此密告者五行以上ニ及フトキハ「該銀行ニ就キ其聞ク所ヲ陳ヘテ之ニ忠告シ、其後尚改メサルヲ告知スルモノアレハ委員ハ其聞ク処ヲ銀行局長ヘ告クル事アルヘシ」
渋沢君之レヲ折衷シテ更ニ左ノ修正説ヲ示ス
第十四条　凡同盟中云々妨害タルヘキ事ヲ聞知「セハ其事柄ヲ委員ニ告知スヘシ（此注原按ノ儘）委員ハ此告知ヲ信実ナリト認ムレハ該銀行ニ忠告シ之レガ矯正ヲ勉メ」且ツ時宜ニヨリテハ云々
衆皆異議ナキヲ表シテ此ノ修正ニ決ス
第十五条中処置ノ文字不穏当ナルノ説紛出セシヲ以テ措置ト修正、此議ニ決ス
第廿三条　本会雑誌刊行以下刪除シテ左ノ修正ニ決ス
　　　　　「委員ハ本会一切ノ事務ヲ斡旋シ且本会ノ要務ニ就キ臨時集会ヲ開ク事ヲ得ヘシ」
第廿四条　刪除
第四十二条　同
第四十四条　同
第四十八条中「ト雖トモ以下ノ廿五字ヲ刪除ス」右ニテ議了ス
次ニ渋沢君ハ大蔵省ヘノ稟願書草按ヲ出シ、書記ヲシテ之ヲ朗読セシメ、衆員ノ意見ヲ問フ、皆異議ナキヲ答フ
右ニ付委員ハ此規程草按逐条ノ確定ヲ議了シタルヲ以テ玆ニ其任ヲ解キ、更ニ一年間ノ委員ヲ撰挙セン事ヲ告ク
衆皆大蔵省ヘ稟願ノ允許ヲ俟テ之ヲ行フヘキ事ヲ望ミ之ニ決ス
　　　　○
前会ニ於テ議決シタル入社及月費金ノ出金方期日ヲ定ムル事左ノ如シ
　一入社金ハ来ル四月三十日マテニ約束手形ヲ以テ月番銀行ヘ振込ム
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ヘキ事
　　但実際使用ノ節マテハ約束ノ利子ヲ加フヘキ筈
　一月費金ハ来ル四月十五日マテニ月番銀行ヘ送付スヘキ事
　　　　第十国立銀行支店ノ建議
今ヤ銀行集会所規模ヲ改正セラルヽニ当テヤ委員諸君ハ之レガ規程草案ヲ制定セラレタリ、而シテ之カ件々条々実ニ重且大ニシテ軽々ニ附スベカラザルノ事ナレハ、去ル廿三日定式会ノ如キ同盟諸君ハ逐条ニ於テ頗ル鄭重熟議セラレタリ、就中第十四第十五両条ノ如キニ至ツテハ実ニ諸君ノ明説卓論百出シテ毫モ間然スヘキナシ、是レ此両条ハ此草案中一大眼目トスル所ナレハナリ、故ニ当行ハ謹ンデ之ガ意見ヲ開陳セントスルニ当リ先ヅ其原按効力ノ足ラサルヲ訂正シ、次ニ異議者ニ説明セント欲ス
夫レ原案第十四条第六行目「此密告者五行以上ニ及ブトキハ」云々トアルハ実ニ無効力ノ誤リヲ招クナキニ非ラズ、何トナレハ今夫レ委員ガ密告者アルニ当リテヤ必ズシモ五行以上ノ集合ヲ待ツヘキ者トセハ其時機ノ緩急ヲ誤ルアラン、若シ又一行ノミ之ヲ密告スルニ当リ其事実ナルモ委員ハ依然トシテ五行ノ集合ヲ待ツベキカ、我集会所同盟ニシテ彼弊害アル銀行アラバ一日モ早ク之カ方法ヲ議シ、之ガ処置ヲ行ヒ、世上ノ信ヲ受クル実ニ夫レ緊要ナリ、何ゾ区々五行以上密告者ノ集合ヲ要スヘケンヤ、是レ到底委員ガ我同盟ニ対シテ其密告ノ忽カセニスベカラザルト又其密告ニシテ果シテ冤ナルトキハ被告銀行ノ名誉ニ関スルトノ二点ヲ慮リ其之ガ鄭重ヲ示シ、五行以上ト掲ゲシ者ナルベシト雖トモ却テ之ヲ忽諸ニ失スルヲ免カレザル也、又其密告ヲシテ実ニ偏私ヲ抱キ之ヲ嫌悪スルノ余リ之ヲ讒毀スル者アルトスルモ、被告銀行ニシテ実際不都合ノナキアラバ、委員ノ調査ヲ受クルトモ明ニ之ヲ弁シ公ニ之ヲ陳ゼバ、其行ノ冤ハ自然滅亡ニ帰スルニ至ラン、況ンヤ第十五条ニ於テ密告ノ無実ナル事詳明ナレハ、速ニ之ヲ同盟中ニ報道スルトノ明文アルニ於テヲヤ、去レバ却テ其之ヲ誣告セシ銀行ハ大ニ他ニ対シテ恥ヂザルヲ得ズ、故ニ此等誣告ハ毫末モ杞憂スヘキ所ナキナリ、之ニ因テ之ヲ観レハ密告者五行以上ニ及フトキ云々ノ原案ハ実ニ効力ノ足ラサル者ト思考セサルヲ得サル也
又此条ニ就テハ或ハ之ヲ全廃ニ帰スヘシト云ヒ、或ハ此等大権ヲ委員ニ托スル能ハズト云フノ両説アルガ如クニ聞キタルトモ、皆其当ヲ得ザル者ト考フルナリ、何トナレバ今之ヲ全廃ニ帰センカ我同盟銀行カ信ヲ世評ニ受クルハ実ニ此条ニ外ナラズ、然ルニ之ヲ廃止セバ何ヲ以テカ我同盟ハ信ヲ世評ニ採ルヘキヤ、是レ此条ヲ廃スヘカラサルノ所以ナリ、又此等大権ヲ委員ニ托スル能ハズトセンカ、我委員ハ我等同盟ノ充分信用ヲ受ケタルノ委員ナリ、且ツヤ敏捷濶眼ノ士ナレハ世事ヲ見ル因《（固カ）》ヨリ明ナルヘシ、去レハ此権ヲ附スルモ敢テ厭フヘキニアラス、又我委員ハ永世更ラザルノ委員ニアラス、年々投票ノ多数ヲ以テ改撰スルノ規程アルアリ、故ニ委員ニシテ事ヲ失セバ宜シク之ヲ改撰スルモ豈夫レ憚ル所アランヤ、去レハ今此等ノ権ハ皆委員ニ托スルモ敢テ不可トスル所ニアラザル也
今ヤ已ニ原按ノ無効力ヲ質シ、又異議者ノ疑ヲ説明シタレハ、玆ニ其
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意見ヲ陳セントス
彼第十四条「密告者五行以上ニ及ブトキハ」云々トアルハ宜シク修正シテ密告者アルトキハ協議ノ上」ト変更シ、又第十五条、特ニ臨時会ヲ開キ同盟ノ協議ヲ以テ之ヲ処置スヘシ」トアルハ其文勢不穏当ト云フヘキナレハ、之ヲ変更シテ、同盟ノ臨時会ヲ開キ其方法ヲ議定スベシ」ト修正セハ実ニ夫レ其当ヲ得タリト謂ツヘキ歟、将又当行ハ其第十四条ヲ鞏固ナラシメンガ為メ左ノ如キ但書ヲ増加スルヲ要ス、然ラザレバ或ハ「密告者ナクンバ委員ハ之カ事実ヲ聞知スルモ嘿々ニ附シテ然ルベキカ」トノ疑問ナキニ非ラサル也
第十四条但書
　　但委員ニ於テ右ノ如キ銀行アルヲ聞知セハ其密告者ヲ俟タザルモ之レガ手続ヲ尽スヘキ勿論タルヘシ
当行ノ意見右ノ如シ、同盟諸君宜シク讜議セラレン事ヲ偏ニ希フ所也
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第十銀行東京支店

集会録事　従明治十五年第一月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第十九回定式会録事
明治十五年四月十五日、月番第三十二銀行支店・川崎銀行ノ二行ハ第十九回ノ定式集会ヲ木挽町商法会議所ニ於テ開設シ、午後五時下各席ニ就キ会話ヲ為シ、晩飧ヲ了シテ九時下退会ス、詳録左ノ如シ
　　　　　会員　第一国立銀行　渋沢栄一　○外二五名氏名略
　　　　　　当日事故アルヲ以テ不参断リノ分ハ
　　　　　　　第十銀行支店　　　第四十五銀行
　　　　　　　第六十銀行　　　　第八十九支店
　　　　　　　　已上四行
　　　　　　当日無届不参ハ
　　　　　　　第廿八支店　　　　第六十三支店
　　　　　　　第九十五銀行　　　第百十二銀行
　　　　　　　第廿四支店　　　　安田銀行
　　　　　　　　已上六行
　　　　　　　但第三十銀行ハ事故有之趣ヲ以テ除盟申入アリタリ
渋沢栄一君ハ前会ニ於テ議定シタル規程ニヨリ、玆ニ其第一回ノ会同ヲ開キタル旨ヲ陳ヘ、且ツ本月一日該規程及願請廉書ノ謄本ヲ銀行局長ノ内見ニ呈シ置キタル旨ヲ告ケタリ
又近頃同君大蔵卿閣下ニ謁見ノ際談会アリ、本会改良ノ事ニ渉リ頗ル同卿ノ称賛ヲ蒙ラレタル由ヲ陳ヘラル
又先般手形条例取調可相成ニ付実際ノ利害得失ヲ垂問成サレ度旨ヲ以テ、小生及第二銀行原善三郎・第三安田善次郎・第三十三種田誠一・第百原六郎・三井銀行三野村利助・正金銀行中村道太ノ七名会議ニ与リ各意見ヲ上陳シタリ、是等ノ件本会規程ノ認可ヲ得ルノ後ハ此会同ヘ向ケ御垂示可相成筈ニ付、為念之ヲ披露セシモノナリ
○下略
　　　　○臨時会録事草案
明治十五年四月廿二日、月番第三十二銀行支店・川崎銀行ノ二行ハ、
 - 第6巻 p.27 -ページ画像 
委員ノ照議ニヨリ、同盟臨時集会ヲ万町柏木ニ於テ開設シ、午後四時下各席ニ着キ、議竣テ後チ晩飧ヲ了シ、八時下退会セリ、詳録左ノ如シ
　　　　　　　会員　第一銀行　渋沢栄一　○外三二名氏名略
　　　　　　但第三十銀行・第廿四支店・丸家銀行ノ三行ハ事故アリテ参会セス
原六郎君ハ昨廿一日銀行局長ヨリ規程内伺ノ相済タル旨ヲ告ケ、且ツ其第十三条云々該銀行ニ忠告シ以下ヲ刪除シテ、更ニ「該銀行ニ忠告シテ之ヲ矯正セシムヘシ、若シ其忠告ヲ容レス尚矯正セサルニ於テハ同盟中ノ協議ヲ以テ同盟ヲ謝絶シ、或ハ時宜ニヨリ其筋ヘ上申スル事アルヘシ」ト為シ、而シテ其第十四条ハ之ヲ刪除スヘシト指示セラレタル旨ヲ示シテ之ヲ衆議ニ付ス
皆其修正ニ異議ナキヲ表ス
次ニ渋沢栄一君ハ規定草按ト共ニ上程シタル願請廉書々中雑誌御買上ノ件ニ於テ加藤銀行局長ニ面語ノ要旨ヲ演述シ、且又此雑誌発行ノ事タル時宜ニヨリ大蔵省ノ主管ニ帰セラルノ御都合ニ相成ルヘクヤノ由ヲ加藤君ヨリ談話セラレタリトシテ其細目ヲ挙ケ、謂テ曰ク、果シテ然ルトキハ之ヲ大蔵省ヘ謀ルヘキ歟、抑々当初議決セシ本意ノ在ル処ヲ徹底スルヲ望ムヘキ歟、是レ未タ公ナルモノニアラスト雖トモ玆ニ内評ノ予決アラン事ヲ欲シテ念申ス
衆皆之ヲ大蔵省ノ管理ト為シ、其利便ニ拠ルノ優レルニ如カストス
右ノ如ク評決セシヲ以テ、第十三条ヲ修正シ第十四条ヲ刪除シテ、更ニ大蔵卿ヘ稟申スヘキ事ニ決シタリ
○中略
一前会ニ於テ議定シタル入社金ハ本月三十日ヲ期トシ、金高百円以上ハ振出手形、百円未満ハ現金ヲ以テ月番銀行ヘ払込ミ、而シテ該金ハ本年五月一日ヨリ規定第何条ニ定メタル利子ヲ加フベキ事ニ決シタリ
○下略

諸達願並指令綴込　第一号・自明治十一年―明治三十三年
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東京銀行集会所所蔵）
当集会所ノ儀ハ別冊規定緒言ニ記載仕候通リ明治十年以来接続致来候処、今般同盟中ノ協儀ヲ以テ更ニ其規模ヲ宏張シ、勉テ会務ノ進歩ヲ謀リ、旁ラ世間同業者ノ裨補タルヘキ為メ毎月銀行雑誌ヲモ刊行可仕奉存候、就テハ右規程之儀ハ御省ノ御承認ヲ得テ以テ当集会所ノ基本ト仕度候間、御准允被下度候、将又向後銀行営業上ニ付キ御下問ヲ被為要候事柄ハ何卒当集会所ヘ御垂示被下度候、依テ別冊規定及願請廉書共相添、此段奉願候也
　明治十五年四月廿八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　第九十三国立銀行支店　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第六十二国立銀行支店　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第百八国立銀行支店　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第百七国立銀街支店　　印
 - 第6巻 p.28 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　　第百十三国立銀行支店　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第八十九国立銀行支店　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第六十三国立銀行支店　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第廿八国立銀行支店　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第十九国立銀行支店　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第十四国立銀行支店　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第三十二国立銀行支店　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第十国立銀行支店　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第八国立銀行支店　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第六国立銀行支店　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第四国立銀行支店　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第十三国立銀行支店　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　丸家銀行　　　　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　安田銀行　　　　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　川崎銀行　　　　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第百十九国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第百十二国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第百国立銀行　　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第九十五国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第六十国立銀行　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第四十五国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第四十四国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第三十三国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第二十七国立銀行　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第二十国立銀行　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第五国立銀行　　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第三国立銀行　　　　　印
　　　　　　　　　　　　　　　　　第一国立銀行　　　　　印
　　大蔵卿　松方正義殿
第二百七十八号
願之趣聞届候事
　但発兌ノ雑誌買上ノ上当省各局及府県ヘ頒布ノ義ハ難聞届候事
　　明治十五年五月八日
　　　　　　　　大蔵卿　松方正義　印
（別紙）
　　　　願請廉書
一銀行営業上全般ニ関スル法則ヲ制定セラレ、又ハ従前ノ法則ヲ増損セラルヽニ付キ御下問ヲ要スルトキハ、必ス当集会所ヘ御垂示被下度候事
一前同断ノ事柄ニ付集会所ニ於テ公益ト相認メ候トキハ之ヲ上申シ得ヘキ事
一前同断ニ付御省ヨリ御布達及御指令等ニテ同業者ノ心得ト相成ヘキ事ハ、其時々御垂示被下度候事
一全国各銀行ヨリ奉呈スル毎月実際報告中ニ於テ統計ニ要用ナルモノ
 - 第6巻 p.29 -ページ画像 
ハ銀行局中ニテ之ヲ謄写スルヲ御允許被下度候事
一刊行ノ雑誌ハ相当ノ代価ヲ以テ御買上被下、御本省各局及各府県ヘ御頒布被下度候事
○別冊ナシ

集会録事　従明治十五年第一月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第二十回定式会録事
明治十五年五月十五日、月番安田銀行・第六十三銀行支店ハ同盟第二十回ノ定式会ヲ万町柏木ニ於テ開設シ、議竣テ晩飧ヲ了シ、八時下退会セリ、詳録左ノ如シ
　　　　　会員　第一国立銀行　渋沢栄一　○外二五名氏名略
　　　　　　　但第六十・第九十五・第六支店・第八支店・第八十九支店・第百八支店・川崎銀行ノ七行ハ事故アリテ参会セス
渋沢栄一君ハ去月廿八日大蔵卿閣下ヘ上願セシ規程ノ御指令相済タル旨ヲ告ケ、且其但書ノ意味ヲ説明シテ曰ク、雑誌買上云々難聞届トアルハ願請廉書第五項ニ対スル説明ニシテ、該雑誌ノ不用ナルヲ指示セラレタルモノニアラサルナリ
又此雑誌発行ノ義ハ過日加藤君ノ考按ヲ以テ之ヲ大蔵省ノ管理ニ帰セラルヤノ由ヲ談話セラレタルニ付、前会諸君ニ告ケテ内議ヲ為シタリト雖モ、右ハ取消サレ、矢張本会ニ於テ発行スヘキ様示サレタリ、請フ之ヲ諒セヨ
右ニ付該雑誌発行官准ノ手続ヲ為スヘキニヨリ、山中譲三ヲ以テ編輯兼印刷ノ責任ヲ負ハシムル事ト為ス
次ニ草按委員ハ既ニ御指令モ相済タル事ナレハ玆ニ委任ノ任ヲ解キ、而シテ更ニ常置委員ノ撰挙ヲ為スヘキハ前会ノ予約ナレトモ、目今第十五銀行ヲ首メ加盟照会中ノ向数《＊》行之レアルニ付、其撰挙会ヲ次会ニ延期セン事ヲ望ミ之ヲ衆議ニ付ス
池田銺次郎氏曰ク、撰挙会ヲ延期スルハ異議ナシト雖モ玆ニ草按委員ノ任ヲ解了シテ委員ノ名義ノ存セサルハ不可ナリ、故ニ次会マテ此儘継続セン事ヲ欲スルナリ、則チ此議ニ決ス
次ニ委員ハ第三十国立銀行・第二十四国立銀行支店ノ二行ハ事故アルヲ以テ本会除盟相成リタル事ヲ報道セリ
　　＊欄外記事
　　第十五国立銀行・三井銀行・横浜第二・第七十四、等ノ如キハ委員ヨリ勧誘シテ加盟ヲ促ス筈ナリ
　　　　○第廿一回定式会録事
明治十五年六月十五日、月番第四十五国立銀行・第百七同支店ハ同盟第廿一回ノ定式集会ヲ万町柏木ニ開設シ、議竣テ晩飧ヲ了シ、同八時退会セリ
　　　　　会員　第一国立銀行　佐々木勇之助　○外二五名氏名略
　　　　　　但第十支店・第十三支店・第十四支店・第四十四・第六十二支店・第六十・第百八支店・川崎銀行ノ八行ハ事故アリテ参会セス
是日月番銀行ハ委員ニ稟議シテ委員ヨリ左ノ条件ヲ協議報道セリ
 - 第6巻 p.30 -ページ画像 
前会ニ約スル常委員撰挙会ヲ為スヘキモノナレドモ欠員数名アリ、猶以テ開クヘキヤ将タ後会ニ延期スヘキヤヲ問ヒ、遂ニ次会マテ延期スヘキ事ニ決セリ
程ケ谷第百三十二支店本会ヘ加盟申込ノ事ヲ告ケ、其可否ヲ議ス、乃チ加入ヲ善ス事ニ決ス
○中略
第廿七銀行増株ノ報道ヲナシ、皆之ヲ了承セリ
　　　　第廿二回定式会録事
明治十五年七月十五日、月番第廿銀行・第百十三銀行支店盟主トナリ同盟第廿二回ノ定式集会ヲ万町柏木ニ開設シ、議竣テ晩飧ヲ了シ、八時下退会セリ、詳録左ノ如シ
　　　　　　会員　第廿七銀行　安藤利助　○外二一名氏名略
　　　　　　但第一・第三・第五・第三十三・第四十四・第四十五・第百十二・第八支店・第十四支店・第九十三支店・第百七支店・第百八支店・川崎ノ十三行ハ事故アリテ参会セス
月番第廿銀行杉山勧君ハ本年上半季銀行集会所考課状ノ草按成ルヲ告ケ、而シテ其半季間ニ属スル金銀ノ出納ヲ報道セリ
次ニ常置委員撰挙会ノ事ヲ協議シテ曰ク、此撰挙会タル前会ヨリ引延スル処ナリトイヘトモ、頃日横浜第二・第七十四ノ二行同盟加入ノ談話中ニ属セシヨリ右等決約ノ上撰挙セントスルカ、抑今会ニ於テ之ヲ為スヘキ歟ヲ問フニ、皆其談話完結ヲ待テ之ヲ撰挙セン事ヲ望ミタルニヨリ此議ニ決シ、尚横浜両銀行ヘハ原六郎君ヨリ其決定ノ摸様ヲ照会セラルヽ筈ナリ
又雑誌発行出願スヘキニ付、社主名前ノ協議ヲ為ス、到底常委員撰挙ノ上、委員中ヨリ雑誌担当者ヲ定メ、之ヲ以テ其主ト為スヘキ事ニ決セリ
○中略
○山中隣之助君ノ発議ニヨリ国立銀行毎月報告及半季報告等ノ諸料紙ヲ銀行集会所ヘ払下ヲ請ヒ、其売捌ノ義ヲ大蔵省ヘ出願スヘキ事ヲ謀リタリ、皆其至便ヲ賛成セリ、之ニ依テ諸報告用紙売捌願方ノ手続ヲ為スヘキ事ニ決議シタリ
○本会ニ於テ書記並小使慰労金ノ協議アリテ左ノ如ク定メラル
　　　　書記　金三十円　小使　金五円