デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.122-126(DK060030k) ページ画像

明治19年2月15日(1886年)

是ヨリ先、東京廻米問屋組合ニ仲間申合規則ヲ碓定スベキヲ勧告シタルニ該規則草按ヲ送致シ来リソノ取捨ヲ求ム。是日右ニ付キ協議ス。衆異議ナキヲ以テ其旨回答スベキコトヲ決議ス。


■資料

集会録事 従明治十五年第一月(DK060030k-0001)
第6巻 p.122 ページ画像

集会録事 従明治十五年第一月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第六十二回定式集会録事○明治一五二月一五日
同氏○渋沢栄一又曰ク、前日我委員ハ東京廻米問屋組合中重立タル数氏ニ向ヒ、其米穀委托販売取扱ノ事タル従来規則一定セサルヨリ既ニ昨春深川預米一件ノ如キ紛議ヲ生シ、其取引ニ対シ大ニ懸念ヲ抱キ為ニ一般融通上ノ障碍タルヲ以テ、宜シク仲間申合規則ヲ確定スヘキコトヲ勧告セシカ、頃日該規則草按成ルヲ以之ヲ我委員ニ送致シ適宜ニ取捨センコトヲ請求セリト、乃チ其草案ヲ一読セシメテ各位ノ意見ヲ問ヒシカ、衆皆異議ナキニ因リ則字句上二三ノ修正ヲ加ヘ、此修正稿ニ拠リ速ニ実施アランコトヲ要求スルノ旨ヲ回答スヘキコトニ決議セリ



〔参考〕東京廻米問屋組合深川正米市場五十年史 第五―一四頁 〔明治一二年[昭和一二年]一二月〕(DK060030k-0002)
第6巻 p.122-126 ページ画像

東京廻米問屋組合深川正米市場五十年史 第五―一四頁 〔明治一二年[昭和一二年]一二月〕
    東京廻米問屋組合規約
 東京廻米問屋仲間は明治十八年一月三十一日、東京府甲第二号布達同業組合準則の趣旨を遵奉し、従来の規約を廃し、更に同業組合を設け本業の事情を交通し、各自其便益を謀り益々進歩せんとす、因て左に連署するものに限り遵守せんが為め、一同協議の上取極たる規約左の如し。
     第一章 組合を組織する業名及組合の名称
 - 第6巻 p.123 -ページ画像 
第一条 当組合員は本籍寄留を問はず東京に在住し現に諸国より廻漕米の売買を営業となす者を以て組織す
第二条 当組合の名称は東京廻米問屋組合と称すべし
     第二章 組合の地区及事務所の位置
第三条 当組合の地区は府下十五区六郡にして其事務所は当分の内日本橋区兜町三番地に仮設す
     第三章 目的及ひ方法
第四条 当組合は現米の取扱及売買其他本業上に関する諸般の事項に於ける弊害を矯正改良し其利益を図るを以て目的とす
第五条 当組合は本業上の利害に関する諸般の事項に於ける弊害を矯正又は改良せんと欲する時は組合一同協議の上之を実施するものとす
第六条 前条の場合に於て若し其事項の他業に影響を及ぼす等の件は之を東京商工会へ稟議する事あるべし
    第四章 役員の選挙法及権限
第七条 当組合の役員は年行事一人月行事二人会計委員二人を置くべし
  但し役員は無給料たるべし
第八条 年行事及会計委員は毎年十二月の定式会に於て組合員投票の多数を以て選定す而して其任期は満一ケ年とし満期に至り再選する事を得べし
  但任期中不得已事故を生じ辞職するか又は組合員協議の上任を解かんとする場合に於ては本文の手続を以て代員を選挙す而して代員は前任者の任期を超ゆべからず
第九条 月行事は組合員輪番を以て勤むるものとす
第十条 会議の録事及商況調査等の為め書記一名を雇入るべし
  但し書記は役員の協議を以て選定するものとす
第十一条 年行事は毎月定式会を始め其他本業上に関する一切の事務を総括し又同盟者一般の行為を監督し若し違約者ある時は一同協議を歴て之を処分するものとす
第十二条 月行事は常々年行事の事務を翼賛し若し年行事事故ある時は其代任たる事あるべし又本業上に関する必要なる商況及輸出入米の調査等をなし之を定式会に於て報道すべし
第十三条 会計委員は積立金を始め組合一切の金銭出納を担任し其精算は毎月定式会に於て詳細なる計算表を以て之を報告すべし若し臨時の費用を要する時は年月両行事へ協議の上之を取扱ふものとす
    第五章 会議に関する規程
第十四条 当組合集会は当分の内毎月一回として初七日を以て定式会日と定む
  但会長は年行事を以て之に充つ
第十五条 年行事月行事の考案に因るか又は同盟者三分の一以上の請求によりては臨事集会を開く事を得べし
第十六条 組合員に於て事故あり定式及臨時会に出席し難き時は手代を以て代理せしむるも妨げなしと雖も平素本業に従事せる者に非ざ
 - 第6巻 p.124 -ページ画像 
れば代理せしむるを得ず
  但代理人の姓名は予め年行事に届出其承諾を得たる者に限るべし
第十七条 定式集会に於ては各自営業上の便改良方法等を協議し又は各地方商況の通信等を談話し依て無隔意同業親睦するの趣旨なれば敢て会議の規則を設けずと雖も席上其言論の讒謗罵詈に渉らざる様注意すべし
第十八条 組合員に於て本業に関係し衆議に附する事項は其草案を作り総て年行事に申出で毎月定式会或は臨時会に於て之を提出すべし
第十九条 定式及臨時会に於て多数を以て議定したる事項は之を組合申合締約として互に確守すべし若し違背するものある時は第三十二条に依て之を処分すべし
第二十条 組合外の者より本業上の義に付当組合の意見考案を諮問又は照会等ある時は其事により衆議の上其理由を応答する事あるべし
     第六章 加入者及退去者に関する規程
第廿一条 他に同業者ありて当組合に加入を申込む時は年月両行事に於て本人の営業上第一条に適否如何を探索し組合の衆議に附したる上加入の諾否を定め其承諾を受たる者は此規約書に署名捺印し而して年行事は其氏名を組合員に通報すべし
  但本人住所姓名及履歴の大要兼業の有無等書面に記載して本人或は紹介人より出さしむへし
第廿二条 組合員に於て転業又は廃業若くは組合地区外へ移転せんと欲する時は書面を以て年行事に申出づべし年行事は事実調査の上退去を承諾し其氏名を組合員に報告すべし
  但本条の場合に於ては身元金を返戻すべし
第廿三条 組合員に於て事業の規模及趣向を異にする事情を生じ組合を退去せんとする時は年行事の加印ある書面を以て府庁の認定を乞ふべし
第廿四条 組合地区内に於て同業を営み組合に加入せざる者ある時は年行事に於て加入を促すべし若し応せざる者は其氏名を府庁に申報すべし
     第七章 積立金の方法
第廿五条 当組合員は其基礎を確定し之を永遠に維持せんが為の積立金として一人に付金三百円宛出金すべし
第廿六条 此積立金三百円の出金法は明治十八年七月より毎月五円宛出金すべし
第廿七条 新加盟者は其加入の当月に於て最初より積立金高の半額を一時に出金し残余は翌月より毎月金五円宛払込み三百円に充つるを要す可し
第廿八条 此積立金払込の時日は毎月定式会に於てす可し若し当日出席せざるものは代人を以て之を差出すべし
第廿九条 毎月集合したる積立金は会計委員に於て之を預金局又は国立銀行へ利付預け金と為し其預り証書を保存すべし
  但本条の利金は積立金三百円に満る迄は之を其積立金へ繰込むべし
 - 第6巻 p.125 -ページ画像 
     第八章 組合の諸入費徴収及賦課法
第卅条 当組合に係る諸入費は積立金の利子を以て之に充つるものとす
  但積立金三百円に満る迄は各員毎月金弐円宛出金すべし
第卅一条 積立金の利足を以て組合の経費を支弁し能はざる時は其不足額を人頭に割合出金すべし
     第九章 違約者処分の方法
第卅二条 組合員に於て協議確定せる本規約を違背したる者は其情状により金弐拾円より少からず百円より多からざる違約金を差出さしむべし
  但本条違約金は組合の諸入費に充つべし
     第十章 報告の事
第卅三条 年行事に於て総て其事蹟及び費用の決算表並に組合員増減表を製し翌年一月中府庁に上申すべし
第卅四条 事務所の移転並に年行事の進退は其時々府庁に上申すべし
     第十一章 規約更正
第卅五条 此規約は同盟者の協議により改正加除するを得べしと雖も東京府庁の認可を経るにあらざれば実施せざるものとす
 右第三十五箇条の規約は同盟者一同議定したる証拠として玆に記名調印し追て加盟の者は順次連署せしむべき者也
  明治十八年八月
        深川区堀川町         奥三郎兵衛
                 久住五左衛門出店主
        深川区佐賀町         羽多野孫助
        深川区材木町         中村清蔵
        深川区万年町         渋沢喜作
        深川区万年町         橋本清右衛門
                 新潟物産会社支店
        日本橋区南茅場町       鈴木周四郎
                 共立商社副社長
        日本橋区兜町         国米精一
                 三井物産会社社長
        日本橋区兜町         益田孝
        日本橋本船町         江口真造
                 藤井能三支店名代人
        日本橋区西川岸町       四柳兵二
        日本橋区上槙町        蜂須賀久太郎
        浅草区下平右衛門町      西尾万吉
        深川区東元町         藤平重資
        京橋区霊岸島南新堀      村越伊平
        京橋区霊岸島銀町一丁目    滝田栄三郎
        日本橋区小網町三丁目     万代徳蔵
        日本橋区亀島町一丁目     白金亀吉
        深川区亀住町         山本平七
        浅草区駒形川岸        平岡準蔵
        京橋区南新堀二丁目      今木東兵衛
        日本橋区亀島町一丁目     勝島万助
        日本橋区霊岸島浜町      磯貝和助
                 臼井儀兵衛支店
        京橋区東湊町一丁目十四番地  西村彦太郎
                 米穀委託商社監督
        日本橋区兜町四番地      堀秀和
        日本橋区南茅場町       川崎芳之助
                 梅原修平支店
        京橋区東湊町一丁目      梅原省三
                 立山商店主
 - 第6巻 p.126 -ページ画像 
        日本橋区兜町四番地      谷道英橘
        日本橋区亀島町一丁目廿一番地 太田利兵衛
        日本橋区浜町一丁目四番地   渡辺常太郎
        日本橋区兜町三番地      木村徳兵衛
        深川区材木町十四番地     鈴木由三郎
        深川区佐賀町一丁目廿三番地  加瀬忠次郎
                 太田又四郎支店
        京橋区南新堀町一丁目拾一番地 太田栄蔵
        深川区東大工町六番地     岩出惣兵衛