デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治20年1月6日（1887年）

是ヨリ先、同会ヨリ日本銀行ニ対シ、近来壱円兌換券ノ流通頗ル増加シ取扱上不便尠ナカラザルニ因リ、同券ノ発行ハ暫ク措カレタキ旨ヲ懇請ス。是日栄一、兌換券ノ流通ハ早晩平均ヲ得ベキモノト推考サルルニヨリ、暫ク其不便ヲ忍バレンコトヲ望ムトノ回答アリタル旨ヲ報告ス。

集会録事　従明治十五年第一月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第六十九回定式集会録事　○明治一九年一二月一五日
第一国立銀行支配人佐々木勇之（助）氏ハ近来壱円兌換券ノ流通頗フル増加シ、取扱上不便尠ナカラサルニ因リ従来ノ発行高及今後発行スヘキ高ニ至ルマテ之ヲ日本銀行ニ問合セ、尚壱円券ノ発行スヘキナレハ之ヲ暫ク閣キ、而シテ五円・十円等ノ券ヲ発行スルヲ当集会所ヨリ懇請スルモノハ如何トノ説ヲ提出シ、衆皆同感ナルヲ以テ之ヲ同行ニ照会スヘキ事ニ決定セリ○中略
　　　　　　当日出席員
　委員　　第三十三国立銀行頭取　　川村伝衛　○外一名氏名略
　会員　　第一国立銀行支配人　　　佐々木勇之助　○外二〇名氏名略
　　○明治二〇年一月ヨリ同二一年一二月マデノ集会録事ハ見当ラズ。

銀行通信録　第一四号・第一四―一五頁〔明治二〇年一月二〇日〕
　　　　○第七十回定式集会録事
明治二十年一月六日、同盟第七十回ノ定式集会ヲ兼ネ新年賀宴ヲ当集会所ニ開キ、来会スルモノ五十有一名、委員第一国立銀行頭取渋沢栄一氏ハ起テ新年ノ辞礼ヲ叙シ、畢テ左ノ報告ヲ為セリ
一前会ノ評議ニ係ル近来壱円兌換券ノ流通大ニ増加シ、取扱上不便云云ノ事ヲ以テ日本銀行ヘ稟問セシニ、現在同券発行総高ハ凡三千万
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円ニシテ此内壱円券ハ四分ノ一弱ニ当レリト雖トモ、取扱上ノ便利ヨリ多クハ五円・十円券ヲ使用シ、其残存スルモノハ大抵壱円券ニシテ現今之ヲ使用スルカ故ニ一時豊溢ナル所以ナリ、而シテ其取扱上不便ヲ感スルハ恐ク京浜及近県ニ止リ、他ノ地方ニ在リテハ或ハ其欠乏ヲ告クルノ情況ナシトモ云ヒ難シ、且ツ其製造ノコトタル印刷局ノ都合ニ出ツルヲ以テ、該行意ノ如クナラサルノミナラス其不便ヲ感スルノ情ハ他銀行ノ比ニアラス、然レトモ今ヨリ三四十日ヲ経レハ必ス其平均ヲ得ヘシト推考スルニ因リ、暫ラク其不便ヲ忍ハレンコトヲ欲スルトノ回説アリシ旨ヲ報道セリ