デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治24年5月21日（1891年）

是ヨリ先、露国皇太子殿下大津御遭難ニ付テハ当集会所ヲ代表シ御見舞申上ゲタル旨ヲ述ブ。又明二十二日、天皇陛下御還幸アラセラルルニ付テハ、各行員一同御通輦ヲ奉迎スベキ旨ヲ決議ス。

集会録事　　自明治二十四年一月至明治二十五年十二月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百十二回定式集会録事
　　　　　　　　　　　　　　　　栄一印　(印)
明治二十四年五月二十一日、第百十二回同盟銀行定式会議ヲ開キ、委員長渋沢栄一、委員西邑虎四郎ノ両氏ヲ首メ来会スルモノ二十六名ナリ、是日客員トシテ日本銀行ヨリ山本筆頭書記臨席セラレタリ
委員長渋沢栄一氏ハ会長席ニ着キ本月定式会議ノ延引シタル理由ヲ陳ヘ且ツ議事ニ先タチ報シテ曰、去十一日露国皇太子殿下大津御遭難ニ付小子ハ其十三日同盟銀行ヲ代表シテ露国公使館ヘ訪問シ、尋テ在京都接伴掛川上陸軍中将ヘ電報ヲ発シ翌十四日更ニ御慰問状ヲ裁シテ在神戸露国公使ニ向ケ執奏ヲ請ヘリ、右ハ協議ノ上可取計筈ナリシカ事急激ニ出テ其遑アラサリシヲ以テ委員評議ノ上取計ラヒシ旨ヲ報道シ次ニ明二十二日　天皇陛下御還幸ニ付、叡慮万分ノ一ヲ慰メ奉ツランカ為メ、御通輦途中、即幸橋桝形ノ内ニ奉迎所ヲ設ケ同盟銀行一同奉迎セント欲スルノ事ヲ協議ニ付セシニ、一同大賛成ニテ速ニ可決シ、尚本日欠席ノ銀行ヘハ直ニ通知スベキ事ト為セリ