デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治29年2月15日（1896年）

是ヨリ先、第三種郵便物認可規則改正セラレタルニ依リ銀行通信録ヲ再ビ非売品ト為スベキコトヲ決議ス。此日通信録ノ体裁ヲ変更スベキコトヲ決議シ、而シテ委員ヲ選ビ之ガ調査ニ当ラシムルコトヲ決議ス。後委員ノ提言ニヨリ集会所内ニ経済
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文庫ヲ設置セリ。

集会録事　自明治二十四年一月至二十五年十二月　　　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百二十二回定式集会録事　○明治二五年五月一四日
次ニ銀行通信録ノ郵税ハ従来第三種郵便物トシテ逓送ノ認可ヲ得タル者ナリシカ、本年二月五日逓信省令第四号ヲ以テ第三種郵便物認可規則ヲ改正セラレシニヨリ、更ニ出願セシニ此通信録ノ如キハ該規則第ニ条第四項ノ要件ヲ完備セザルヲ以テ認可セストノ指令アリ、因テ不得止四月発行ノ分ヨリ第四種郵便税ヲ以テ逓送セシカ、此郵税ニテハ通信録支出勘定ニ於テ一ケ年大約五十円増額スルヲ以テ、寧ロ従前ニ復シ非売品ト為スヘキ事ヲ協議シ衆皆同意ヲ表シテ之ニ決セリ

集会録事　　自明治二十六年一月　　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百五十八回定式集会録事
明治ニ十九年二月十五日午後四時ヨリ同盟銀行第百五十八回定式会議ヲ開キ、出席スルモノ総テ三十四名ナリ
○中略
次ニ池田謙三氏建議シテ曰、世運ノ進歩ニ従ヒ当集会所ノ事業モ漸次拡張セサルヘカラス、就中銀行ニ関スル欧米ノ事情ヲ充分考査スルヲ要ス、幸ヒニ銀行通信録ヲ毎月発行スルヲ以テ自今大蔵省及日本銀行ニ協議シ其材料ノ寄送ヲ求メ、而シテ其考査シタル事項ヲ銀行通信録ニ掲載シ、以テ一般ノ参考ニ資セハ彼我ノ便益尠ナカラス、願クハ諸君ノ賛成ヲ得テ其方法ヲ撰定セラレンコトヲ望ト、衆皆同意ヲ表シ、而シテ其方法ヲ撰定シ其費用ヲ計算スル等ノ為メニ委員ヲ撰フヘキコトニ議決シ、乃チ会長ノ指名ヲ以テ豊川良平、高橋是清、池田謙三、佐々木勇之助、汲多野承五郎ノ五氏ヲ撰挙シ、晩餐ノ後八時散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　第一　渋沢栄一君　○外三〇名氏名略
　　　　○第百六十一回定式集会録事
明治二十九年五月十五日同盟銀行第百六十一回定式集会ヲ開キ来会スルモノ総テニ十七名ナリ
渋沢会長ハ協議ニ先タチ横浜正金銀行頭取園田孝吉氏今回英国ヘ出張ニ付、本月一日ヨリ取締役相馬永胤氏頭取代理ノ事、又第十五国立銀行副支配人福住英勇氏支配人ニ上任ノ事、又安田銀行頭取安田忠兵衛氏病死ニ付安田善之助氏頭取就任ノ事、又前会加入シタル中井銀行ヨリ本日支配人管沼慶蔵氏出席ノ事、又前会協議ニ係ル日本銀行移転祝トシテ物品寄贈ノ件ハ去月二十七日ヲ以テ時計一個贈呈シタル事、又前会協議シタル第二国立銀行前橋支店取締役登記ノ件ハ今回前橋地方裁判所ニ於テ登記違反ニアラスト決定シタル旨同行ヨリ通知ノ事○中略等ヲ報道シ、衆皆之ヲ承認セリ
○中略
次ニ池田謙三氏ハ銀行通信録改良委員ヲ代表シテ曰ク、前会ノ協議ニ係ル銀行通信録改良ノ件ハ、爾来調査委員ニ於テ種々協議スル所アリシカ、要スルニ適当ナル担任者ヲ得ルニアラサレハ其着手方法及費用
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等充分ノ見込立タサルヲ以テ、先ツ其人ヲ得ンコトニ注意シタルニ幸ヒ爰ニ大学卒業ノ人ニテ稍適当ト思量セシ人アリ、其俸給ノ如キハ五十円以上百円以下ニテ然ルヘキナレハ、此人ヲ雇聘シ而シテ後漸次其方法ヲ調査シテハ如何ト述ヘ種々協議スル所アリシカ、結局先ツ其人ヲ雇聘シ且該委員モ亦其人ト共ニ通信録体裁順序及費用等ヲ精査セラレタル上更ニ又協議スヘキコトニ議決シ、晩餐ノ後八時下散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　第一銀行　渋沢栄一君　○外二七名氏名略
　　　　○第百六十五回定式集会録事　○明治二九年一〇月一五日
次ニ銀行通信録改正委員タル豊川良平、池田謙三氏ハ銀行通信録改良ニ付内外書籍購入ノ件ハ前会既ニ協議シタル所ナリト雖トモ、其完備ヲ期センニハ当集会所内ニ一ノ経済文庫ナルモノヲ設ケ、或ハ買入又ハ広ク有志者ヨリ書籍雑誌等ノ寄贈ヲ求メ、以テ同盟銀行若クハ右書籍又ハ金円等ヲ寄贈シタル篤志者ノ観覧ニ供セハ、独リ銀行ノ利益ノミナラス一般経済社界ヲ裨益スル所尠少ニアラサルヘキヲ以テ、之ヲ創設スルモノハ如何ト協議シタルニ、皆同意ヲ表シ、尚其規則等ハ委員ニ於テ取調ノ上追テ評議スヘキコトニ決セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　第一　渋沢栄一君　○外三〇名氏名略
　　　　○第百六十六回定式集会録事
明治二十九年十一月十六日午後四時ヨリ同盟銀行第百六十六回定式集会ヲ開キ来会スルモノ総テ二十三名ナリ
渋沢会長ハ会長席ニ着キ、同盟第五銀行ハ本月一日本店ヲ大坂ニ移シ従来ノ本店ヲ東京支店ト為シ、而シテ其支店長ニ取締役小森政隆氏就任シ、且同行頭取有村国彦氏病気ニ付辞職シタル事、又掛川銀行東京支店ハ此程中臨時支配人ヲ以テ事務取扱ノ処、今般田辺庄九郎氏同支店支配人ニ就任シタル旨通知アリシ事ヲ報道セリ
次ニ前会ニ於テ銀行通信録改良委員ニ付托シタル経済文庫規則草案ハ委員ニ於テ取調、別紙ノ通成案セシ旨ヲ皆ケ、之ヲ朗読シテ協議ニ付セシニ、異議ナク原案ノ如ク可決シ、晩餐ノ後七時下散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　第一　渋沢栄一君　○外二二名氏名略
　　○別紙「経済文庫規則」ハ東京経済雑誌所載ノモノヲ次ニ掲グ。

東京経済雑誌　第三四巻　第八五二号・第九一一頁〔明治二九年一一月二一日〕
　　　　○京浜同盟銀行の経済文庫
京浜同盟銀行の例会は去十六日午後四時より銀行集会所に於て開き、委員長渋沢栄一氏議長席に就き、予て調査中なりし経済文庫設置の件に付き協議し、左の同文庫規則を決議して散会したり
　　　　経済文庫規則
　第一条　経済文庫は東京銀行集会所に属し広く経済に関する内外の図書を収蔵する所とす
　第二条　閲覧特許票を有する者は本文庫の図書を閲覧することを得
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　第三条　文庫掛の外図書を出納するを許さず
　第四条　閲覧室は大祭日及日曜日を除くの外毎日午前九時より午後五時迄之を開く
　第五条　図書を閲覧せんとする者は定式の証書用紙に書名、番号姓名、月日を詳記して閲覧特許票を添へ差出し、閲覧終れば直に返納すべし
　第六条　閲覧室に於て閲覧する図書は総て其日限り返納すべきものにして室外に帯出するを許さず
　第七条　書籍、筆墨、紙の外閲覧室内へ携帯するを許さず
　第八条　閲覧室内に在ては音読、談論、雑話等総て他の閲覧者の障礙となる挙動を禁ず
　第九条　図書を毀損又は汚染したるものは其損害の多少に準じ同一図書を以て償はしめ若くは之を修補せしむ、但時宜に依り代金を以て償はしむることあるべし
　第十条　閲覧特許票は銀行集会所会員及金高二十円以上の図書又は金員を寄贈したるものに交付す
　第十一条　総て寄贈の図書又は寄贈の金員を以て買入れたる図書には寄贈者の姓名寄贈の年月日を記入し永く紀念と為すべし

銀行通信録　第一三四号〔明治三〇年一月〕
　○第六六頁
○経済文庫設立　昨年十一月十六日ノ東京銀行集会所定式会ニ於テ議決シタル経済文庫ハ愈々当銀行集会所内ニ設立スル事トナリ、既ニ欧米新刊書数十部ノ注文ヲナセシガ、如此事業ハ多数者ノ賛同ヲ得ルニ非レバ到底完全スル能ハザルモノナレバ、先月来京浜同盟銀行ニ向ヒ書籍又ハ金円ノ寄贈ヲ請ヒシニ、日本銀行、正金銀行ヲ始メ三井、三菱、第一、第十五銀行等既ニ金円ヲ寄贈セラレシ者尠カラズ、海外注文ノ書籍ハ未ダ到着セズ、従来所有ノ図書亦少数ナレトモ、帝国商業銀行ヨリハ同所所有ノ書籍百数十部ノ保管ヲ托セラレタルヲ以テ、近近開庫スルコトニ決定セリ

　○広告第一頁
経済文庫設立ノ挙ヲ賛セラレ図書又ハ金円ヲ寄贈サレタル諸君ハ左ノ如シ
　　　　　　　　　　一金五百円也　　　　　　　日本銀行
　　　　　　　　　　一金参百円也　　　　　　　第十五国立銀行
　　　　　　　　　　一金弐百円也　　　　　　　横浜正金銀行
　　　　　　　　　　一金百五拾円也　　　　　　三井銀行
　　　　　　　　　　一金百五拾円也　　　　　　三菱銀行部
　　　　　　　　　　一金百五拾円也　　　　　　第一銀行
　　　　〆金千四百五拾円也
　　　　　　　　　　一洋書百三十四部（保管）　帝国商業銀行
　　　　　　　　　　　　　　東京銀行集会所
　明治三十年一月　　　　　　　　　　　　　　　経済文庫
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集会録事　自明治二十六年一月　　　　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百六十七回定式集会録事
明治二十九年十二月十五日午後四時ヨリ同盟銀行第百六十七回定式集会ヲ開キ来会スルモノ二十七名ナリ
渋沢会長ハ協議ニ先タチ○中略　前会協議シタル経済文庫ハ来三十年一月二十日ヨリ開館スヘキコトヲ報道シ
○中略　晩餐ノ後七時下散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　第一　　　渋沢栄一君○外二六名氏名略
　　　　○第百七十四回定式集会録事
明治三十年七月十五日午後四時ヨリ同盟銀行第百七十四回定式集会ヲ開キ来会スルモノ二十八名ナリ
○中略
次ニ豊川良平氏ハ昨二十九年二月定式集会ニ於テ銀行通信録改良ノ議アリ、高橋是清、池田謙三、佐々木勇之助、波多野承五郎及小子ノ五名右改良委員ヲ嘱托セラレ、爾来不完全ナカラ幾分改良ノ実ヲ表シタレバ右委員ノ卸任ヲ請求シ、全会之ヲ承認シタルニ付、渋沢会長ハ一同ニ代リテ該委員ノ労ヲ謝シ、然ル後一同協議ノ末更ニ銀行通信録評議員ヲ設クヘキ事トナリ、其評議員ハ従前ノ改良委員諸氏ニ嘱托スヘキ事ニ決セリ（但該評議員ハ正副会長改選時期ト同シク毎年一月ノ集会ニ於テ改選ノ事）
右会事了リ晩餐ノ後八時三十分散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　第一　　　渋沢栄一○外二七名氏名略