デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治29年3月16日（1896年）

東京銀行集会所規定ヲ改正シ栄一会長ト為ル。爾来明治三十三年十二月迄重任セリ。

集会録事　自明治二十六年一月　　（東京銀行集会所所蔵）
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　　　　○第百五十七回定式集会録事
明治二十九年一月十一日午後四時ヨリ同盟銀行第百五十七回定式会ヲ兼ネ新年会ヲ開キ、来会スルモノ総テ三十六名ナリ
渋沢委員長ハ会長席ニ着キ、横浜正金銀行役員戸次兵吉氏ハ今般同行検査人ト為リ副支配人心得解任ノ旨通知アリシコト並昨二十八年下半季当銀行集会所経費決算ヲ報道セリ
次ニ本年上半季当銀行集会所経費予算ヲ協議シ、異議ナク原案ニ可決セリ
次ニ第二国立銀行外十七行ノ建議ニ係ル当銀行集会所規程第九条及第三十六条改正ノ件ヲ提示シテ曰ク、抑本案ハ旧臘二十三日井上好雄、内藤尚二氏ノ持参スル処ニシテ、其理由ハ書中記載ノ如ク現行規程第九条ニ依リ委員五名ヲ置クト雖トモ遂ニ一名モ出席セサルコトアリテ会議モ成立セサルニヨリ増員シテ九名ト為シタシト云ニアリ、依テ委員相談ノ末本日ノ議案ト定メ予報シ置キタル所以ナレハ審議アリタシ又渋沢氏ハ一個ノ資格ヲ以述テ曰ク
従来本会議ノ振合ハ厳格ナル議事法ヲ用ユルコトヲ為サスシテ、平易ニ談話会商スルヲ主トセシニ依リ、委員会ノ如キモ必ス定期ニ開クコトヲ為サスシテ便宜協議ニ決スルコト多シ、然ルニ今此改正案ニ拠リ委員九名ヲ置クトスルモ、若シ是迄ノ如キ不参者多キトキハ、其決議数ノ割合ハ却テ従前ヨリ強キニ失シ、為メニ事ヲ決スルコト能ハサルニ至ルヘケレハ、先ツ七名位ニシテハ如何
池田謙三氏ハ一ノ修正説ヲ提シテ曰ク、此建議ノ理由ハ已ニ了承セリト雖トモ、小子ハ現今ノ委員五名ヲ減少シテ三名トナシ、而シテ随時必要ニ応シ調査委員ヲ選ヒ以テ之ヲ研究セハ、反テ事ノ進歩ヲ観ルニ至ルヘケレハ切ニ之ヲ希望ス
豊川良平氏曰ク、寧ロ会長一人ト定メ、而シテ会長ハ単ニ議事ヲ整理スルニ止メ、其他臨時調査ヲ要スル事項ハ池田君ノ説ノ如ク特ニ委員ヲ選出セハ、是迄ノ如ク都テ委員ニ委托スルノ弊モ生セサルヘケレハ会長一名若クハ副会長ヲ置キ二名トシテハ如何
爰ニ於テ種々討議スル処アリシカ、結局当銀行集会所規程モ二十三年改正シタル儘ニシテ今日ニ於テ修正ヲ要スヘキノ点ナキニアラサルヘケレハ、委員増加ノ利害ト併セ規程改正ノ調査ヲ為スヘキコトニ決シ投票ヲ以テ左ノ諸氏ヲ委員ニ選挙シ、之カ調査ヲ嘱托スヘキコトニ議決シ、晩餐ノ後八時下散会セリ
　調査委員
　　池田謙三君　　　　　佐々木慎思郎君
　　佐々木勇之助君　　　三村君平君
　　中沢彦吉君　　　　　渡辺千代三郎君
　　松尾謹次君
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　第一銀行　渋沢栄一君○外三四名氏名略
　　　　○第百五十八回定式集会録事○明治二九年二月一五日　栄一印
渋沢委員長ハ会長席ニ着キ、前会調査委員ヘ付托シタル当集会所委員増減並ニ規程修正ノ件ハ、調査委員会ニ於テ審査ヲ結了シタル旨ヲ告
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ケ、乃チ調査委員池田謙三氏ヨリ左ノ如ク報告セリ
　一委員ハ従前ノヲ廃シ、更ニ会長副会長各一名ヲ置キ並之レニ一切ノ会務ヲ委托スヘキ事
　一入社金割合ヲ左ノ如ク改正スル事
　　資本金百万円未満　　　　　　　　　金百円
　　同百万円以上参百万円未満　　　　　金二百円
　　同参百万円以上　　　　　　　　　　金三百円
　一経費並集会費ハ従前ノ徴収法ヲ以テ総テ会員ノ数ニ割合ヒ毎半ケ年前収シ、其剰余金ハ之ヲ積立ト為シ臨時費ニ充ツルコト
之ニ対シテ一二質問アリシモ大体異議ナクシテ決定シ、尚規程修正ヲモ同委員ヘ委托シ、成案ヲ俟チ更ニ協議スヘキコトニ議決セリ
　　　　○第百五十九回定式集会録事　　　栄一印
明治二十九年三月十六日午後五時ヨリ同盟銀行第百五十九回定式集会ヲ開キ来会スルモノ三十名ナリ
渋沢委員長ハ会長席ニ着キ、会議ニ先タチ三井銀行田宮善次郎氏今回本店副支配人ニ就任シ、自今会員トシテ出席スヘキ旨報道セリ
次ニ調査委員ノ起草ニ係ル当集会所規程改正案ヲ提出シ逐条審議ニ移リ、第十条中「若クハ徳義ヲ失シ」云々ノ文字ハ、其意義広漠ニシテ明確ナラサルノ嫌ヒアレハ、削除スヘシトノ説アリテ種々討議セシカ少数ニテ原案ニ決シ、第二十八条入社金ハ従前ニ比シ甚タ少額ニシテ当集会所現在資産ニ対シ権衡ヲ得サレハ、寧ロ復旧スヘシトノ説アリシカ、其額ヲ減シテ務メテ加入者ノ便利ヲ得セシムヘシトノ説多数ナルヲ以テ是亦原案ニ決シ、而シテ当集会所ヘ加入ノ後更ニ資本ヲ増加スルトキハ入社金モ亦其額ニ準シ追徴スヘキヤ、又ハ其資本ハ払込ニ拠ルヤ、将タ呼高ニ準スヘキヤトノ説アリシカ、従前資本金増加ノ場合ニ於テモ曾テ追徴セシ例ナキヲ以テ、将来モ亦其例ニ依ルヘキ者ト為シ、其資本金ハ払込高ニ係ハラス呼高ニ準スヘキコトニ決シ、第十七条、第十八条、第十九条及第二十二条ヲ左ノ如ク修正シ、其他ハ悉ク原案ニ可決シ、且此決議ノ当日ヨリ実施スヘキコトニ議決セリ
　第十七条末文「当日ノ会長ヲ選挙シ之ヲ整理セシム」トアルヲ「当日ノ会長ヲ選挙スヘシ」ト修正ス
　第十八条末文ヘ「若シ可否同数ナルトキハ会長之ヲ決ス」ノ十六字ヲ加フ
　第十九条「集会ノ要領ハ」云々トアル集会ノ二字ヲ「会議」ト改ム
　第二十二条「副会長」ノ三字ヲ削除ス
次ニ改正規程第二十条ニ因リ会長、副会長ノ選挙ヲ行ヒ、多数ヲ以テ渋沢栄一氏（二十四点）ヲ会長ニ、豊川良平氏（二十一点）ヲ副会長ニ選挙セリ
次ニ渡辺千代三郎氏ハ当集会所規程モ玆ニ確定セシヲ以テ、旧委員諸氏多年ノ労ヲ謝センカ為メ委員慰労会ヲ開クヘキコトヲ発議シ、全会一致之ヲ賛成セリ

銀行通信録　　第一二五号・第三四頁〔明治二九年四月一〇日〕
○東京銀行集会所旧委員慰労会　三月二十八日午後五時ヨリ芝紅葉館
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ニ於テ東京銀行集会所旧委員慰労会ヲ開キ、来会スルモノ賓主四十三名ニシテ、横浜第七十四国立銀行頭取大谷嘉兵衛氏ハ同盟銀行一同ニ代リ旧委員諸氏多年ノ労ヲ謝シ、渋沢栄一氏之カ答詞ヲ述ヘ、夫ヨリ酒宴ニ移リ各自歓ヲ罄シテ退散シタルハ九時ナリキ

集会録事　自明治二十六年一月　　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百六十八回定式集会録事
明治三十年一月九日午後四時ヨリ同盟銀行新年会ヲ兼ネ第百六十八回定式集会ヲ開キ、来会スルモノ三十七名ナリ
渋沢会長ハ協議ニ先タチ新潟第四国立銀行ハ昨二十九年十二月十八日営業満期ニ付、株式会社新潟銀行ト改称シテ其営業ヲ継続シタルコト又同行東京支店主任本間金弥氏ハ是迄支配人心得ノ処今般支配人ニ上任シタルコト、又山梨第十国立銀行ハ満期前処分法ニ依リ、本年一月一日ヨリ株式会社第十銀行ト改称シテ其営業ヲ継続シタルコト、又徳島第八十九国立銀行ハ満期前処分法ニ依リ、本年一月一日ヨリ株式会社八十九銀行ト改称シテ其営業ヲ継続シタルコト、又鹿児島第百四十七国立銀行ハ満期処分法ニヨリ、本年一月一日ヨリ株式会社第百四十七銀行ト改称シテ其営業ヲ継続シタルコト、又館林第四十国立銀行ハ東京支店支配人坂本恒次郎氏今般同行上田支店ヘ転任ニ付、其後任支配人根岸盛太郎氏就任自今会員トシテ出席ノコト、又昨二十九年下半季当銀行集会所経費決算ヲ報告シ
次ニ規程第二十一条ニ拠リ当銀行集会所正副会長ノ改選ヲ告ケシニ、多数ノ希望ヲ以テ従前ノ通リ、渋沢栄一氏会長ニ、豊川良平氏副会長ニ重任セリ
　　　　○第百七十九回定式集会録事
明治三十一年一月十四日午後五時ヨリ東京銀行集会所組合銀行第百七十九回定式集会ヲ開キ、来会スル者五十二名ナリ
副会長豊川良平氏会長席ニ着キ、今般三井銀行支配人波多野承五郎氏同行理事ニ任シ、上柳清助氏其後任ト為リ、又横浜正金銀行副支配人心得戸次兵吉氏副支配人ニ、商栄銀行支配人心得高羽惣次郎氏取締役兼支配人ニ、川崎銀行員杉浦甲子良氏ハ副支配人ニ、孰レモ上任ノ旨各通知アリタルコト、又第三十二国立銀行営業満期ニ付、一月十六日ヨリ株式会社浪速銀行ト改称シ、且ツ資本金ヲ百八十万円ニ増加ノ旨通知アリタル事、及昨年下半季当集会所経費決算ヲ報告シテ其承認ヲ得
次ニ本年上半季当集会所経費予算ヲ協議ニ付セシニ、経済文庫勘定ヲ除キ其他総テ原案ニ決シ
次ニ当集会所正副会長並ニ銀行通信録評議員ノ改選ヲ告ケシニ、全会ノ希望ニヨリ総テ従前ノ通重任ニ決シ
次ニ奥羽北海同盟銀行幹事ノ照会ニ係ル銀行各種積立金ニ対シ営業税賦課ノ件ハ、次会ニ於テ協議スヘキコトニ決シ
右ニテ閉会、晩餐ノ後八時散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　　第一銀行　佐々木勇之助　○外四九名氏名略
 - 第6巻 p.390 -ページ画像 
　　　　○第百八十八回定式集会録事
明治三十二年一月九日午後五時ヨリ東京銀行集会所組合銀行第百八十八回定式集会ヲ兼ネ新年祝賀会ヲ開キ、来会者総テ六十五名ナリ
会長渋沢栄一氏旅行中ニ付副会長豊川良平氏会長席ニ着キ、協議ニ先チ新潟銀行東京支店支配人心得高山信爾氏今般同支配人ニ上任ノ事、明治商業銀行支配人阿久沢義処氏去月二十六日病死ノ事、及昨三十一年下半季間当銀行集会所経費決算ヲ報告シテ承諾ヲ得
次デ本年上半季当銀行集会所経費予算ヲ協議シ異議ナク原案ニ決シ
次ニ当銀行集会所正副会長任期満了ニ付、規程第十四条ニ拠リ改選ノ事ヲ告ゲシニ、衆望ヲ以テ従前ノ通会長ニ渋沢栄一氏、副会長ニ豊川良平氏重任スベキ事ニ決シ
次ニ篠原甚五郎、鈴木敬親、八尾新助ノ三名取引停止解除請求ノ件ニ付投票ヲ行ヒ、多数ヲ以テ各解除スル事ニ決シ
夫ヨリ晩餐ノ後同七時過散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　　第一銀行　佐々木勇之助　○外六三名氏名略
　　　　○定式集会録事　○明治三三年一月一一日
次ニ当集会所規程第二十一条ニ拠リ正副会長改選ノ事ヲ告ケシニ全会一致重任ヲ希望シ、遂ニ従前ノ通会長ニハ渋沢栄一、副会長ニハ豊川良平氏ニ重任ヲ依頼スヘキコトニ決シ、了テ晩餐ノ後同八時散会セリ
　　　　　　当日出席者
　　　　　　　　　　　第一銀行　佐々木勇之助　○外六二名氏名略