デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.471-474(DK060138k) ページ画像

明治32年12月5日(1899年)

是ヨリ先、銀行集会所内ニ銀行倶楽部設置サレ十
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一月一日ヲ以テ開館サル。是日栄一委員トナル。


■資料

銀行通信録 ○第一六八号・第一五二一―一五二四頁〔明治三二年一一月〕 銀行倶楽部の開館(DK060138k-0001)
第6巻 p.472-474 ページ画像

銀行通信録
 ○第一六八号・第一五二一―一五二四頁〔明治三二年一一月〕
    ○銀行倶楽部の開館
東京銀行集会所の増築工事は明治三十一年十二月十六日起工本年七月に至り略竣工せしに付き、同月十五日開会せる第百九十四回定式集会に於て倶楽部設置の方案を研究する為め委員を設定することゝなり
 池田謙三、市原盛宏、波多野承五郎、原田虎太郎、戸次兵吉、伴野乙弥、松尾謹次、安藤浩、桐島像一
九氏を委員に選定せしに委員は審議の上銀行倶楽部規則案を作り、九月十五日開会の第百九十五回定式集会に報告して其議決を経、玆に倶楽部創立の準備を為すことゝなり同月十九日正副会長は
  池田謙三、市原盛宏、波多野承五郎、桐島像一
四氏に設備協議を嘱托し、其後正副会長及右四氏は着々設備に従事したるに其後会員の申込も続々之ありしを以て、十月二十日午後五時より倶楽部会員総会を東京銀行集会所に開会し、豊川良平氏会長席に着き従来の経過を報告し、終て委員撰挙は暫く之を延期し、前記四氏に委員撰定までの事を委托することに決し、十月二十三日を以て委員会を開きて開館準備の協議を為し、超て同月三十日委員会を開き愈々十一月一日より開館することに決し、予定の如く十一月一日を以て開館せり
今銀行倶楽部規則及加入会員氏名を左に掲ぐ
    銀行倶楽部規則
   第一章 総則
 第一条 本倶楽部は東京組合銀行職員中有志の者随時集会して見聞を共通し、智識を交換し交誼を深厚にするを以て目的とす
 第二条 本倶楽部を名けて銀行倶楽部と称し東京市日本橋区坂本町四十番地に置く
   第二章 会員
 第三条 東京組合銀行職員たるものは本倶楽部に申込み会員たることを得、前項の申込を為したる加入者より第九条に定めたる会費の納入を終りたるときは、加入者の氏名を本倶部会員名簿に記入す
 第四条 本倶楽部に加入すものは第三条第二項に依り、本倶楽部会員名簿に其氏名を記入したる日を以て本倶楽部会員たるの資格を生す
 第五条 本倶楽部会員にして退会せんとするときは予め之を本倶楽部に通知して退会することを得
 本倶楽部会員にして東京組合銀行職員たる資格を失ひたる時は当然退会と見做す
 第六条 本倶楽部会員にして本倶楽部の規則に背戻し、又本倶楽部の体面を汚損するの行為あるときは、委員会は委員総数三分一以上の多数に依り無名投票を以て其会員を退会せしめ、若くば除名
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の決議を為すことを得
 第七条 本倶楽部会員は本倶楽部の開館時間内何時たりとも本倶楽部に来り、本倶楽部委員の定むる所に従ひ本倶楽部を使用し、又同時に三名以内を限り会員外の知人を同伴し来ることを得、但知人を同伴したるときは其氏名を本倶楽部に申出づることを要す
  委員会は必要と認むるときは会員の知人を同伴し来ることを制限し、禁止し、若くは被同伴者の入館を拒絶することを得
 第八条 本倶楽部会員は其氏名住所に変更を生じたるときは必す本倶楽部に通知すべし
   第三章 会費
 第九条 本倶楽部会員は毎月金壱円五拾銭を会費として本倶楽部に納入すべし
  前項の会費は左の如く一ケ年を四期に分ちて之を前納せしむ
   第一期 一月より三月まで  三ケ月分 一月十五日限
   第二期 四月より六月まで  三ケ月分 四月十五日限
   第三期 七月より九月まで  三ケ月分 七月十五日限
   第四期 十月より十二月まで 三ケ月分 十月十五日限
  新に入会したるものは入会の月より起算し前項期末の月まての会費を前納すべし
 第十条 前条第二項に定めたる期限後十四日間を過き猶会費を納めざる会員に対しては、委員会は多数の決議を以て第七条に定めたる利益を享くることを停止し、猶之を納めざるときは第六条に定めたる手続に従ひ除名をなすことを得
 第十一条 第九条に依り既に納めたる会費は各期の中途に於て第五条、第六条及第十条に依り退会、又は除名、又は停止となりたる場合にも之を返却せず
   第四章 委員及事務員
 第十二条 本倶楽部に委員二十名を置き総会に於て会員中より之を選定す
  委員の任期は一ケ年とす
 第十三条 委員中に欠員を生じたるときは委員は会員中より補欠員を選定することを得
 第十四条 委員は委員中より委員長一名、常務委員二名を選定す
  委員長及常務委員に欠員を生じたるときは委員会に於て直に補欠員を選定す
 第十五条 委員会は本倶楽部一切の事項を処理す
  此規則に規定なき事項は総て委員会の決する処に依る
 第十六条 委員会は毎月十五日に之を開く、但し臨時急要の事件あるときは委員長は何時にても委員会を召集することを得
 第十七条 委員会の議決は委員の過半数出席し出席者の過半数に依て之を行ふ
 第十八条 委員会の議長は委員長とす委員長事故ある時は出席委員中より議長を選定す
 第十九条 本倶楽部に事務員若干名を置き委員の指揮に従ひ本倶楽
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部の常務を取扱はしむ
   第五章 総会
 第二十条 会員の定時総会は毎年一回之を開く
  委員会は定時総会に前一ケ年間の事務扱ひ会計の報告を為し其承認を求むべし
  定時総会に於ては委員総数の改選を行ふ
 第二十一条 委員会は必要と認むるときは会議の目的を示し何時にても臨時総会を召集することを得、会員総数の五分の一に当る会員より会議の目的を示して委員会に臨時総会の召集を請求するときは委員会は総会を召集すへし
 第二十二条 総会の議定は出席者の過半数に依りて之を行ふ
 第二十三条 本倶楽部の規則変更又は本倶楽部解散の決議は総会に於て会員総数の二分の一以上出席し、出席者の過半数に依るにあらされば之を行ふことを得ず
 第二十四条 総会の議長は委員長とす、委員長事故あるときは他の委員之に代りて議長の職務を行ふ
又銀行倶楽部の設備大略左の如し
 談話室 会員三々五々随意に談話する処とす
 読書室 内外の新聞紙雑誌類を備へ置き会員の縦覧に供する所とす
  会員は右の外東京銀行集会所内経済文庫に入り、掛員に申込み同文庫開館時間内中同文庫内の図書を閲覧することを得べし
 球戯室 会員の球戯を為す所にして球戯に関する十分の設備あり、球戯の外別に碁、将棊、其他玩具を備置き会員の使用に供すへし
 酒場 酒類及他の飲料並煙草等を備へ置き何時たりとも会員の需に応すへし
 食堂 会員の食事は会員の好に従ひ其需に応じて何時にても之を弁すへし
   会員姓名(次第不同)○略ス


銀行通信録 ○第一六九号・第一六八五頁〔明治三二年一二月〕 銀行倶楽部の委員定まる(DK060138k-0002)
第6巻 p.474 ページ画像

 ○第一六九号・第一六八五頁〔明治三二年一二月〕
    ○銀行倶楽部の委員定まる
銀行倶楽部は従来東京銀行集会所正副会長及委員池田謙三、市原盛宏、波多野承五郎、桐島像一四氏に於て委員の選定あるまで仮に庶務を統理し来りし処今回愈々委員の選挙を行ふこととなり、十二月五日を以て倶楽部員の総会を開き、豊川良平氏会長席に着きて規則第十二条に依り委員二十名の選挙を行ふ旨を告げしに、当日多数の希望に依り委員中に渋沢栄一、豊川良平両氏を加へ都合二十名を会長指名を以て選定することゝなり、会長は左の二十氏を指名せり
 渋沢栄一、豊川良平、小川為次郎、園田孝吉、山口荘吉、池田謙三、波多野承五郎、三崎亀之助、川島忠之助、安藤浩、長尾三十郎、大野清敬、松尾謹次、橋本正彰、吉田幸作、安藤三男、今村清之助、木村清四郎、伊藤祐之、森謙吾
  ○大正五年七月二十五日銀行倶楽部ヲ東京銀行倶楽部ト改称セリ。
  ○大正十三年八月二十二日及ビ明治十八年十一月二十九日ノ項参照。