デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.500-506(DK060142k) ページ画像

明治33年6月15日(1900年)

二十銀行、手形面ヘ仕払銀行記入方改正及支店銀行ニ人格ナシトノ判決ニ付キ建議ス。即チ委員ヲ選ビテ之ガ調査ニ当ラシム。後正副会長ニ於テ法律家ヲ選ビ、之ニ托シテ現行法ノ規定ニ則リ完全ナル手形及小切手ノ方式ヲ作成セシムルコトニ決セリ。


■資料

銀行通信録 第三〇巻第一七六号・第九七―九九頁〔明治三三年七月一五日〕 東京銀行集会所第二百四回定式集会(DK060142k-0001)
第6巻 p.500-503 ページ画像

銀行通信録 第三〇巻第一七六号・第九七―九九頁〔明治三三年七月一五日〕
    ○東京銀行集会所第二百四回定式集会
東京銀行集会所組合銀行第二百四回定式集会は明治三十三年六月十五日午後五時より東京銀行集会所に開会、出席銀行四十七、会員数六十六名にして、会長渋沢栄一氏会長席に着き、会議に先ち左の諸件を報告せり
 一第一銀行より副支配人西脇長太郎氏自今会員として出席の旨届出ありし事
 一三井銀行より営業部次長高山長幸氏三池支店長に転任し池田成彬氏営業部次長に就任の旨届出ありし事
 一三菱合資会社銀行部より植松京氏自今会員として出席の旨届出ありし事
 一鴻池銀行東京支店より支店長平井直三郎氏本店へ転勤し、松村両平氏東京支店長に就任、同支店長不定の節は久田益太郎氏代理する事、並久田氏は自今会員として出席の旨届出ありし事
 一住友銀行東京支店より支店長心得吉田真一、支店長代理者戒田清澄両氏自今会員として出席の旨届出ありし事
 一十九銀行東京支店より同行は資本金七十万円の処本年一月十四日株主定時総会に於て八十万円を増加し資本総額百五十万円とし、内現在払込額九十三万七千五百円なる旨通知ありし事
右終て議事に移り
 一第十四銀行東京支店加入申込の件
は無名投票を以て採決の結果之を許諾することに決し、次に二十銀行の提出に係る左の建議を議事に附せり

  第一 手形面へ仕払銀行記入方改正に付建議
 従前より手形期限に至れば手形面に記載ある銀行に於て仕払を為すか為め、本文金額何々銀行に於て仕払可申旨手形面へ記入致し来候処、不幸にして其手形不渡となる時は、約束手形為替手形なるに関らず手形を呈示したる証拠として、商法第四百四十二条に依り手形
 - 第6巻 p.501 -ページ画像 
支払人の営業所又は住所又は居所に於て拒絶証書を作成せさるを約することゝなりたり、然るに今日の慣行にては仕払指定銀行に於て拒絶証書を作ることとなり居るもの多し、此の如き拒絶証書は商法第五百十五条の法式に違ふものに付拒絶証書たるの効なく、従て手形上の権利を失ふものと判定せらるゝも救助の道なかるべし、特に足利、所沢等他所の人にして東京の銀行と取引を開き其銀行を仕払銀行とせる手形に至ては、不渡の場合に於ては手形上の権利を保全する為め、商法第四百九十条に依り手形仕払人の営業所又は住所へ出張の上拒絶証書を作ることを要す、然らされば手形上の権利を失ふことゝなるへし、依て他所の人にして東京の銀行を仕払銀行と指定せる手形へ記入する文言を改正せざるべからず、然れども仕払銀行指定の文言は今日の処一般に行はるゝを以て、右改正と同時に当地の人にして当地の銀行を仕払銀行とせる手形に記入すべき文言をも改正し、彼是混同することなからしむるに於ては改正実施上反て便利と思考す、今愚案に依れば、左の通り改正するを以て最適当と信ず
  支払人他所の人にして当地の銀行を仕払銀行とするときは手形文言の次へ左の通り記入調印を要す
   支払地    東京
   支払担当者何区何町何番地何々銀行
  支払人当地の人にして当地の銀行を仕払銀行とするときは
   支払場所 何区何町何番地何々銀行
  第二 支店銀行に人格なしとの判決に付建議
 過日株式会社支店には法人たるの人格なしとの判決ありし以来、議論囂々たるも決定する処なし、右は法律の解釈としてて《(衍)》は道理あることなるも実際上大に不便なるのみならず、立法の精神に反するものと考ふるに付、仮定事件を作り相当弁護士を以て出訴し、大審院の判決を仰ぎ、以て判決例を確定したし、万一大審院に於ても株式会社支店に人格なしとの判決を下す場合には不得止法律の改正を仰きたし
    参照
約束手形金請求事件判決正本 (東京地方裁判所民事第四部明治三十三年一月十七日)
  右当事者間の明治三十二年(ワ)第八四三号約束手形金請求事件に付き、当地方裁判所は判決すること左の如し
   主文
  原告の請求を棄却す
  訴訟費用は原告の負担とす
   事実
  原告訴訟代理人は、被告両名は連帯して金一千円に内金五百円に対しては明治三十二年六月二十六日より、尚金五百円に対しては同年七月六日より本件判決執行済迄、孰れも年六分の利息を附し且金四円五十六銭を併せ弁済すべし、訴訟費用は被告等の負担とすとの判決有之度、尚相当の保証を立つるに付き仮執行の宣言相
 - 第6巻 p.502 -ページ画像 
成度と申立てたり、而して其の事実上陳述の要旨は、第一、被告高幡亥之助は明治三十二年五月三十一日金額五百円満期日は同年六月二十日の約束手形を被告久我政吉に宛て振出し、同年五月三十一日久我政吉は之を原告に裏書を以て譲渡し、同年六月十三日原告は之を株式会社百三十銀行若松支店に裏書を以て譲渡したるに付き、株式会社百三十銀行若松支店は満期日に至り振出人たる被告高幡亥之助に手形を呈示して支払を求めたるも其義務を履行せさるに因り、明治三十二年六月二十二日支払拒証書を作り即日原告及ひ被告両名に償還請求の通知を為し、同日原告も亦被告両名に対し償還請求の通知を為したるに、株式会社百三十銀行若松支店は原告に対し償還請求を為したるに付き同年七月五日原告は其義務を履行したり、第二、被告高幡亥之助は明治三十二年五月三十日金額五百円満期日は同年六月三十日の約束手形を被告久我政吉に宛て振出し、同年五月三十一日久我政吉は之を原告に裏書を以て譲渡したるに付、株式会社百三十銀行若松支店は満期日に至り振出人たる被告高幡亥之助に手形を呈示して支払を求めたるも其義務を履行せざるに因り、明治三十二年七月一日支払拒証書を作り即日原告及ひ両名に償還請求を通知し、同日原告も亦被告両名に対し償還請求の通知を為したるに、株式会社百三十銀行若松支店は原告に対し償還請求を為したるに付き同年七月二十五日原告は其義務を履行したり、以上の次第なるを以て原告は玆に本訴を提起し被告両名に対し償還請求を為すに至りたりと云ふに在りて、其証拠方法として甲第一号証乃至第六号証を提出したり
  被告高幡亥之助の訴訟代理人は、原告の請求を棄却す、訴訟費用は原告の負担とすとの判決受度と申立てたり、而して其答弁の要領は、被告か本訴の約束手形二通を振出し、原告が其裏書譲受人となりたる事実は之を認むるも、被告は原告又は株式会社百三十銀行若松支店より償還請求の通知を受けたることなく、又原告か株式会社百三十銀行若松支店より償還請求の通知を受けたることを認めずと言ふに在りて、甲号証中第一号証の一、二、第二号証の一、二、第四号証の一、二を認め、第三号証の一、二を否認し第五号証の一、二、三、四、第六号証の一、二に付きては不知の陳述を為したり
  被告久我政吉の訴訟代理人は、原告の請求を棄却す、訴訟費用は原告の負担とすとの判決受度と申立てたり、而して其答弁の要領は、被告か本訴の約束手形二通の第一裏書譲渡人にして原告か其裏書譲受人たる事実は認むるも、被告は原告又は株式会社百三十銀行若松支店より償還請求の通知を受けたることなく、又原告が株式会社百三十銀行若松支店より償還請求の通知を受けたることを認めずと云ふに在りて、甲号証中第一号証の一、二、第二号証の一二、第四号証の一、二、第五号証の三、四、第六号証の一、二を認め、第三号証の一、二、第五号証の一、二を否認したり
   理由
  本訴請求の原因は、被告高幡亥之助か本訴の約束手形二通を被告
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久我政吉に宛て振出し、久我政吉は之を原告に裏書を以て譲渡し原告は之を株式会社百三十銀行若松支店に裏書を以て譲渡したるに、満期日に至り被告高幡亥之助か手形金額の支払を為さざるに因り、原告は株式会社百三十銀行若松支店より償還請求を受け、其義務を履行したりと云ふに在るも、元来株式会社百三十銀行若松支店は会社の支店たるに過きさるを以て法律上人格なく、従て之に対して為したる裏書譲渡は無効なるものと云はさるを得す、故に原告は手形法上株式会社百三十銀行若松支店の償還請求に応ずるの義務なく、仮令之に応したりとするも之に基き其前者に対し償還請求を為すことを得ざるものとす、仍りて原告の本訴請求は其理由なきものとし主文の如く判決す
右両案は併せて議事に附せられ、会長の指名を以て五名の委員を選定して両案を附托することに決し、次に会長は
 第百十二銀行解散合資会社田中銀行へ継続に付自今第百十二銀行退会、合資会社田中銀行加入の請求
を報告し、先例に依り之を承認することゝなり、次に○中略
 一統計講習会長より統計講習会開設に付き統計練習生派遣勧誘の件は当所職員中事務差繰の上にて取極むることゝなり、午後七時散開したり
手形面へ仕払銀行記入方改正に付建議及支店銀行に人格なしとの判決に付建議審査特別委員○中略は左の如く六月十六日を以て渋沢会長より指名ありたり
   手形面へ仕払銀行記入方改正に付建議及支店銀行に人格なしとの判決に付建議審査特別委員
  山口荘吉、池田成彬、伴野乙弥、桐島像一、松尾謹次
   ○第二百四回定式会議録事ハ「集会録事(明治二十六年一月)」中ニモアレド銀行通信録ニ掲載ノモノ詳細ナルヲ以テ之ヲ採リタリ。


銀行通信録 第一八一号・第八七三―八七五頁〔明治三三年一二月一五日〕 手形面へ支払銀行記入方改正外一件特別委員会(DK060142k-0002)
第6巻 p.503-506 ページ画像

銀行通信録 第一八一号・第八七三―八七五頁〔明治三三年一二月一五日〕
    ○手形面へ支払銀行記入方改正外一件特別委員会
手形面へ支払銀行記入方改正外一件特別委員会は其後十一月一日及同月八日の両度開会し左の如く決議し、同月十四日之を会長に報告せり
    報告
 株式会社二十銀行建議『手形面へ支払銀行記入方改正並に支店銀行に人格なしとの判決に関する件』審査の為め拙者共特別委員に選定せられ、数回委員会開会審査を遂げ候結果、別紙之通に有之候間、此段及御報告候也
                  特別委員  山口荘吉
                        伴野乙弥
  明治三十三年                桐島像一
    十一月十四日              池田成彬
                        松尾謹次
 東京銀行集会所会長
     男爵渋沢栄一殿
  (甲)手形面へ支払銀行記入方改正之件
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    第一、建議案の趣旨
 建議案の趣旨は手形面に『本文の金額は何々銀行に於て支払可申候也』とある文句を改正し
   当所払手形には
     支払場所
   他所払手形には
     支払担当者
 とせんとするに在りて其理由は『本文の金額云々』の文句は其意義二様に解せられ、或は銀行なる場所に於て支払ふものゝ如く或は銀行なる法人か支払ふものゝ如くにして甚た漠然たるのみならす、殊に支払拒絶証書の作成は何れの場所に於てす可きや頗る疑問に属し裁判所の判例又其軌を一にせす、就中他所払手形に対し支払拒絶証書を作成するには最も困難を感すへきを以て当所払手形には支払場所を、他所払手形には支払担当者を明に記載す可しと云ふに在り
    第二、最初の委員会
 委員会に於ては討議の末『本文の金額云々』なる文句を支払場所とするは法律の規定にも適ひ、又実際に於ても便利なる可しと雖、拒絶証書を作成するには必す利害関係人の営業所若くは住所又は居所に於てすることを要し(商法第四四二条)且つ裁判所に於ても支払場所に於て作成せる拒絶証書を無効とせる判例あるを以て支払場所に於て拒絶証書を作成するは危険なり、さりとて一々本人の営業所又は住所に至りて之を作成せしむるは其不都合云ふ可からす、岡野梅の両博士の如きは支払場所に於て作成せる拒絶証書は有効なりと断定せられたりと雖、寧ろ完全にして議論の余地なき方法を取り
   支払場所並に支払拒絶証書作成の場所
 なる文句を手形に記載するの勝れるに若かす、信用証券たる手形に支払拒絶を予想せる支払拒絶証書作成の場所を記載するは手形の信用を害するの嫌ありと雖、姑く之れを忍びて実際の便宜に適はしめ且振出地は約束手形の要件なるを以て必す之れを記載し、又建議案の如く当所払手形と他所払手形とを区別し、他所払手形に特に支払担当者を記載するは実際煩雑に失す可きを以て、寧ろ当所と他所との別なく
   振出地(但し為替手形には支払地)何々
       支払場所並に支払拒絶証書作成の場所何々
 とす可しとのことに議決し、一先其結果を会長に報告せり
   第三、総会の決議
 右委員会の報告七月十六日を以て総会の議に上るや、支払拒絶証書作成の場所を手形面に記載するは、第一、商法第四三九条に依りて無効たり、第二、拒絶証書作成の場所を法定以外の場所に於てするは本人の承諾を要し、而して其承諾は作成の当時に於けるものなるか故に予諾は無効なり、第三、手形は信用証券なり手形面の金額は期日に於て必ず支払はる可きことの信用ある証券なり、然るに支払拒絶を予想し予め支払拒絶証書作成の場所を手形に記載するは手形の信用を害するものなりとの説あり、此に於て総会は再び委員に附
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託し、一面大家の説を質し、一面は日本銀行と交渉し、如何なる方法を以て最も可なりとする乎を研究せしむることゝなれり
    第四、最後の委員会
 再附託の結果委員は重ねて岡野、梅両博士の意見を質したるに、岡野博士は曰く『支払拒絶証書作成の場所を手形に記載するは手形として其体裁固より不可なることは論す可き限りにあらず、殊に支払場所を指定したる以上は支払場所に於て拒絶証書を作成するも妨なきなり、何となれば支払場所の指定は同時に、支払場所に於て支払拒絶ありたる時は其場所に於て支払拒絶証書を作成することを黙諾したるものなればなり、唯支払拒絶証書作成の場所は予め手形に記載することを法律上効力ありや否やと云はゝ、手形上より論すれば有効なり』と、又梅博士も同様有効なりとの意見なりき、依て委員は日本銀行に交渉したるに、其結果下に記する如く強て異議を唱へざるに似たり
 是に於て委員は更に委員会を開きて審議を尽せり、其結果左の如し
  建議案の如く支払場所を記載するは法律の規定にも適ひ、又実際に於ても便利なりと雖、支払場所に於て作成したる拒絶証書の効力如何に至ては頗る疑ある所にして、岡野、梅両博士の如きは之を有効なりと解釈せられたるも、猶最初委員会の決議の如く支払拒絶証書作成の場所を明記するを以て安全なりとすべく、各種の意見に徴するも亦其記載が有効なるべきことは疑なきものゝ如し然れども之を記載するは手形の信用を害するものなりとするの説亦一理なきにあらず、此点より論すれば建議案の如く拒絶証書作成の場所を記載せざるの外なきなり、建議案と最初委員会の決議とに就き其結果如何を審査するに右の如し、故に委員会は建議案に従ふべきか、最初委員会の決議に従ふべきかの問題に就ては各自の採択に任ずるの外なしと認む
    第五、日本銀行と交渉の結果
 委員は日本銀行に交渉せる結果、日本銀行に於ては、委員多数の意見の如く手形面に支払拒絶証書作成の場所を記載するも、特に之を記載したるが為め今後実際に於て其手形を斥くるが如き意嚮を有せさることは之を確め得たり、唯同行中の某氏は
  約束手形当所払    為替手形当所払
   振出地        支払地
   支払場所       支払場所
  約束手形他所払    為替手形他所払
   振出地        支払地
   支払地        支払担当者
   支払担当者
 とするの意見を有し、支払拒絶証書作成の場所を手形に記載することに就ては不同意を表し、支払場所に於て拒絶証書を作成するも無効にあらず、支払場所を指定する以上は其場所に於て支払拒絶証書を作成することを黙諾したるものとも見らる可く、一歩を進めて論ずれば法定場所とも云ふを得べければ特に拒絶証書作成の場所を記
 - 第6巻 p.506 -ページ画像 
載するの要なし、殊に其要なきのみならず手形として不体裁之より甚しきはなしと云ふに在り
 (乙)支店銀行に人格なしとの件
 建議案に依れば、銀行支店に為したる裏書は無効なりとの判決に対し仮定事件を作り訴訟を起して判決例を定め、若し其判決例にして無効なりと確定せは已むを得す法律の改正を建議、若くは請願せんとするにあり
 委員は右に関し審査の末、目下同一事件に付現に訴訟中の者あるを以て其事件の終局を待つ可しとのことに決せり
 ○第三〇巻第一八一号・第八七二―八七三頁〔明治三三年一二月一五日〕
    ○東京銀行集会所組合銀行臨時総会
明治三十三年十一月十六日(金曜日)午後五時より組合銀行臨時総会を開く、当日来会せる銀行数四十八行、会員五十三名なり
当日は正副会長欠席に付先つ議長を選挙せしに佐々木勇之助君を当日の議長に推すことに決せり
佐々木勇之助君議長席に着き、議事に先ち別紙の如く諸報告を為し、終て議事に入り
  第一号議案 手形面へ支払銀行記入方改正並に支店銀行に人格なしとの判決に関する件
                   株式会社二十銀行建議
特別委員報告を議に附し、先つ特別委員の一人桐島像一氏の説明あり夫より特別委員に対する一二の問答ありしが、本件は目下訴訟中の事件に付き近々判決例の定まるべきものあるのみならず、且つ桐島像一氏より、手形及小切手の方式に関する疑義は独り本件に止まらざるを以て、此際正副会長に於て法律家を選定し、之に托して現行法の規定に則り完全なる手形及小切手の方式を作成す可しとの発議あり、桐島氏の発議は賛成者ありて成立し、採決せしに多数を以て可決したり、此際特別委員の一人山口荘吉氏は支店銀行人格有無の問題確定する迄は手形裏書の場合には単に「何々銀行」とし、又は「何々銀行何支店支配人何某」とせは安全なる可しとの意見を述べられたり、次に
  第二号議案 株式会社土浦五十銀行東京支店当集会所へ加入許諾之件に移り、無記名投票の結果、成規の多数を得て許諾す可きものと決し午後七時閉会せり