デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
2節 手形
2款 東京手形交換所
■綱文

第7巻 p.331-334(DK070044k) ページ画像

明治27年1月29日(1894年)

諸商業手形ハ従来仕払期日ニ至リ仕払人ニ呈示シテ之ヲ取付クルヲ例トセシガ、是日、交換所組合銀行臨時総会ニ於テ、手形ニ仕払銀行ヲ附記セシメ期日ニ至レバ交換所ニ持出シ決済シ得ル便法ヲ設クルニ決シ、其ノ文例ヲ定ム。栄一之ニ与ル。


■資料

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070044k-0001)
第7巻 p.331-332 ページ画像

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所臨時総会録事
明治廿七年一月廿九日午後五時ヨリ、東京手形交換所組合銀行臨時総会ヲ開キ、渋沢委員長首メ来会スル者十一名ナリ、当日ノ議事ハ、去ル廿三日日本銀行ヨリ其取引先各銀行ヘ通知アリタル約束手形・為替手形支払手続ノ件ニ付其便否ヲ協議シタルナリ、而シテ同行通知ノ要領ハ左ノ如クニシテ、其第一項ニハ振出ノ時又ハ引受ノ節其支払銀行ヲ指定スルモノナレトモ、第二項及第三項ニ依ルトキハ支払保証アル小切手若クハ現金ヲ以テ支払フヘキ事ナリシカ、手形取引ノ発達セシ今日ニ当リ現金ノ授受ヲ為ス如キハ最モ不便ノ極ニシテ、又其小切手ニ支払保証ヲ要スルモ時宜ニヨリ大ニ利便ヲ欠クノ恐レアルヘケレハ成リヘク其第一項ニ依リ各自ノ取引銀行ニ於テ支払フヘキ旨ヲ記載セシムヘキ事ト為スヘシ、然ルトキハ交換所組合銀行中ニ於テ取扱フヘキ是等ノ手形ハ悉ク交換所ニ於テ決算セラルヘキヲ以テ、自他双方ノ手数ヲ省クノミナラス金融上一層ノ便利ヲ加フルモノナレハ、此交換
 - 第7巻 p.332 -ページ画像 
所組合銀行ハ皆其取扱ヲ均一ニシ、各其得意先ヘ左ノ通々知スヘキ事ニ議決シ、同八時下退会セリ
      当日出席員
             第一国立銀行    渋沢栄一
             同         佐々木勇之助
             第三        長谷川千蔵
             第二十       佐々木慎思郎
             第廿七       安藤三男
             第百        池田謙三
             第百十九      三村君平
             三井        岩下清周
             同         上柳清助
             第十三       蘆田順三郎
             第三十二      河村民之輔
      但第十五・安田ノ両行ハ事故アリ不参

拝啓、然ハ今般日本銀行ヨリ為替手形・約束手形仕払之手続ニ付左之各項通知有之候間、自今約束手形御振出被成候歟又ハ為替手形御引受相成候節、当銀行ヘ支払方御依頼之分ハ左之通リ手形面ヘ御記載可被下候、左候ハヽ右手形期日ニ至リ貴殿当坐勘定之内ヨリ払渡シ可申候此段御通知申上候也
  明治二十七年二月 日
                殿
  一約束手形ニ記載スヘキ文例 但シ文言ノ次ヘ記載スヘシ
    但シ本文之金額ハ何々銀行ニ於テ拙者当坐勘定ヨリ支払可申候也(印)
  一為替手形ノ引受ニ記載スヘキ文例
    本文之金額引受候ニ付、期日ニ至リ何々銀行ニ於テ拙者当坐勘定ヨリ支払可申候也(印)

     日本銀行ヨリ通知ノ要項
   一為換手形ハ引受人約束手形ハ振出人取引アル銀行(当銀行ト取引アル銀行ヲ云フ)ニ於テ期日支払スヘキ旨手形ヘ記載スルカ
   一小切手ニテ支払ヲナストキハ必ス宛名銀行ノ支払保証アルモノヲ以テスルカ(当銀行ト取引ナキ銀行宛ノ小切手ハ受取ラス)
   一右両様ノ内孰レカ一方ノ手続ヲ履マサルモノハ総テ現金ノ支払ヲ為スコト


銀行通信録 第一二一号・第二一―二三頁〔明治二八年一二月一〇日〕 雑録 東京同盟銀行定式会録事(DK070044k-0002)
第7巻 p.332-333 ページ画像

銀行通信録 第一二一号・第二一―二三頁〔明治二八年一二月一〇日〕
    ○雑録
○東京同盟銀行定式会録事 十一月十五日午後四時ヨリ、東京同盟銀行第百五十五回定式会議ヲ開キ、来会スルモノ総テ二十八名ナリ
○中略
次ニ商業手形支払場所附記ノ件ニ付三井銀行ヨリ提議アリ、且其近来大ニ不便ノ感アルヲ以テ従前ノ便宜ヲ回復スルヲ要シ、之ヲ協議セシ
 - 第7巻 p.333 -ページ画像 
ニ、客員日本銀行山本達雄氏ハ本件ハ昨年一月同行ヨリ各銀行ヘ照会シタル事柄ニシテ、其要旨ハ
一為換手形ハ引受人約束手形ハ振出人取引アル銀行(当銀行ト取引アル銀行ヲ云フ)ニ於テ期日支払スヘキ旨手形ニ記載スルカ
二小切手ニテ支払ヲナストキハ必ス宛名銀行ノ支払保証アルモノヲ以テスルカ(当銀行ト取引ナキ銀行ノ小切手ハ受取ラス)
三右両様ノ内孰レカ一方ノ手続ヲ履マサルモノハ総テ現金ノ支払ヲナスコト
以上三項ノ如ク希望セシニ、東京交換所組合銀行ノ協議ヲ以テ、其第一項ニ拠リテ「何々銀行ニ於テ拙者当坐勘定ヨリ支払可申候也」ト記載スヘキコトニ定メテ之ヲ施行セリ、当時小子ハ未タ其定メタル記載式ヲ知ラサリシカ其後第百銀行ニ係ル訴件ニ因リテ始メテ其当坐勘定ノ文字アルコトヲ知リタルニ依リ、之ガ参考トシテ博ク欧米各国ノ慣例ヲ査考スルニ、各国皆支払場所ヲ単記スルノミニシテ何勘定ニ於テ支払フヘシト記入スルノ例ナク、又本邦商法ニ拠ルモ手形ニハ其支払地ヲ指定スルノ明文アレハ、彼是酌量スルニ到底当坐勘定ノ文字ヲ刪除スルノ妥当ナルヲ信スレハ、各行ノ賛同ヲ得テ当初ノ如キ便法ニ復サンコトヲ要ス、昨年以来旧ニ復シテ其手形振出人ノ自宅ニ就キ現金ヲ受領スルカ為メ手数煩雑ノミナラス、手形取引漸ク旺盛ナラントスルノ今日、悉ク現金ヲ授クルカ如キハ実ニ堪ユヘカラサルノ不便ナルカ故ニ、最前同行ヨリ照会セシ如ク附記セシメラレンコトヲ希望スルトノ説ヲ為シ、是ニ於テ討議ヲ尽クシタルニ、畢竟組合銀行カ当坐勘定ノ文字ヲ記入セシメタルハ其当坐預ケ主ヲシテ他日ニ異議ナカラシメンコトヲ慮リタルノ注意ニ出シモノナレハ、今日本銀行ノ請求ノ如クスルニハ、其預ケ主ヨリ依頼書ヲ収ムル時ハ其結果同一ニシテ他日ニ危虞ナカルヘキヲ以テ、其依頼書ヲ収ムヘキ事ト為シ、其文案ハ渡辺千代三郎氏ニ委托シテ之ヲ設ケ、更ニ以テ協議スヘキコトニ決定シ晩餐ノ後八時散会セリ
   ○此日栄一欠席ス。


会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070044k-0003)
第7巻 p.333 ページ画像

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所臨時協議会録事
明治二十九年三月二十四日午後五時ヨリ、交換所組合銀行臨時協議会ヲ開キ、商業手形附記ノ件ニ付種々討議スル処アリシカ、結局此手形期日ニ至リ何々銀行ニ於テ支払フヘキ旨ヲ附記セシメ、而シテ其得意先ヨリ銀行ヘハ予テ約定書ヲ取置クヘキ事ト為シ、其約定書起草ハ池田謙三君ニ委托シ、出来ノ上ハ便利ノ為メ組合銀行入用ノ枚数ヲ問ヒ集会所ニ於テ印刷シ之ヲ配付シ、其費用ハ更ニ之ヲ徴集スル事
又右手形期日ニ至リ本人預金無之節ハ其趣ヲ付箋シテ之ヲ返却シ、銀行ニ於テ拒証書ノ作製ヲ為サシメサル事ニ決セリ
   ○此日栄一欠席ス。


会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070044k-0004)
第7巻 p.333-334 ページ画像

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所定式会録事
 - 第7巻 p.334 -ページ画像 
明治二十九年五月十一日午後五時ヨリ、交換所組合銀行定式会ヲ開キ委員佐々木慎思郎氏会長席ニ就キ、本年三月二十四日決議シタル商業手形附記ノ件ニ付、其文例ヲ提示シテ協議スル処アリシカ、結局組合銀行タルモノハ必ス其華主ニ勧誘シテ此ノ如ク附記セシムヘシト一定スルハ自他彼是ノ事情アルヘケレハ、其辺ハ各行随意トナシ置クモ、苟クモ便宜上附記ヲ要スル場合ニハ必ス別紙書式ニ拠ルヘキコトト為シ、而シテ此決議ノ要領ハ特ニ日本銀行ニ通知スルニ及ハス、山本君ヘ面晤ノ節便宜談話スヘキ事ト為シ○中略
拝啓、然ハ御取引上便宜ノ為メ為換手形・約束手形ヘ支払銀行御記載相成候分ハ、左ノ通御記載相成候様仕度候、就テハ前以別紙ヘ御調印ノ上御廻シ置被下度、此段御通知申上候 匆々
  年 月 日                 何銀行
  一約束手形ニ記載スヘキ文例 但文言ノ次ニ記載スヘシ
   但シ本文之金額ハ何々銀行ニ於テ支払可申候也(印)
  一為換手形ノ引受ニ記載スヘキ文例
   本文ノ金額引受候ニ付期日ニ至リ何々銀行ニ於テ支払可申候也
                          姓名(印)
    証
拙者ノ支払フヘキ為換手形・約束手形取引ノ便宜上貴行ニ於テ支払フヘキ旨記載致シ候手形ニテ其期日ニ至リ支払請求候節ハ、拙者当坐勘定ヲ以テ御支払被下度候、其手形ニ関シ後日如何ナル事故出来候共、貴行ヘハ御損害相掛ケ申間敷候也
  年 月 日                   何ノ誰
    何銀行御中
   ○此日栄一欠席ス。


銀行通信録 第一四〇号・第一一五―一一六頁〔明治三〇年七月〕 東京同盟銀行定式会録事(DK070044k-0005)
第7巻 p.334 ページ画像

銀行通信録 第一四〇号・第一一五―一一六頁〔明治三〇年七月〕
    ○東京同盟銀行定式会録事
六月十五日午後四時三十分より同盟銀行第百七十三回定式集会を開き来会したる者三十三名、是日客員として日本銀行営業局長鶴原定吉氏来会せり
○中略
次に商業手形支払場所附記の件は二十八年十一月中の協議に於て「当坐勘定」の文字を除くへきことに決議したるも、爾来殆んと中止の姿となり、一々其振出人に就き取付け居りしかとも、追々手形取引拡張を来すへき今日、如此煩労を墨守するは自他双方の不便なるを以て、曩に決議の如く之れを厲行せば如何、との議ありしか、皆同意を表し来七月十五日より之を厲行すへき事に決したり