デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
1節 海運
3款 日本郵船株式会社
■綱文

第8巻 p.126-151(DK080005k) ページ画像

明治18年10月1日(1885年)

共同運輸会社・郵便汽船三菱会社合併シ、新ニ日本郵船会社ヲ設立スルコトトナリ、是年九月二十五日創立委員森岡昌純等ヨリ創立願書ヲ農商務卿西郷従道ニ提出ス。軈テ許可ト同時ニ命令書下附セラレ、是日営業ヲ開始ス。栄一株主タリ。


■資料

日本郵船会社創立願書創立規約命令書定款(DK080005k-0001)
第8巻 p.126-137 ページ画像

日本郵船会社創立願書創立規約命令書定款
                 (日本郵船株式会社所蔵)
    創立願書
今般共同三菱両会社ノ資産ヲ以テ新ニ日本郵船会社創立候儀ニ付、私共創立委員ノ命ヲ拝シ、別紙創立規約ヲ議定致シ候ニ付、同会社設立御許可被為下度、此段奉願上候也
                日本郵船会社創立委員
  明治十八年九月二十五日       堀基
                    荘田平五郎
                    小室信夫
                    岡本健三郎
                同 委員長
                    森岡昌純
    農商務卿 伯爵 西郷従道殿
(朱書)
出願之趣聞届、日本郵船会社創立ヲ特許シ、創立規約ヲ認可シ、別冊命令書下附候条、定款取調可伺出事
  明治十八年九月二十九日
            農商務卿 伯爵 西郷従道

    日本郵船会社創立規約
共同運輸会社ハ株主ノ決議ニ依リ其社長ヨリ、又三菱会社ハ其社主ヨリ、両会社ノ資産ヲ以テ新ニ日本郵船会社ヲ創立候儀ニ付、日本郵船会社創立委員ノ間ニ協議決定スル創立規約左ノ如シ
第一条 両会社ヨリ日本郵船会社ヘ引継クヘキ海陸資産ノ代価総額左ノ如シ
  一金五百五拾四万参千四百拾八円     三菱会社
  一金六百五拾弐万六千参百四拾円     共同運輸会社
第二条 前条金額ノ内左ノ額ハ日本郵船会社ノ株金トナス
  一金五百万円              三菱会社
   此株数拾万株 但一株金五拾円
  一金六百万円              共同運輸会社
 - 第8巻 p.127 -ページ画像 
   此株数拾弐万株 但一株金五拾円
   内五万弐千株 官有
    六万八千株 民有
第三条 第一条金額ノ内左ノ額ハ日本郵船会社ノ負債トナスヘシ
  一金五拾四万参千四百拾八円 三菱会社
  一金五拾弐万六千参百四拾円 共同運輸会社
第四条 資産授受ニ当リ第三条記載スル金額ニ増減ヲ生シタルトキハ其増減ノ額ハ現金ヲ以テ授受スルモノトス
第五条 日本郵船会社ノ負債ハ年七歩ノ利息ヲ付シテ之ヲ五ケ年ヨリ十ケ年間ニ償還スルモノトス、但負債証書ノ体裁其雛形ヲ具シ更ニ特許ヲ乞フヘキモノトス
第六条 日本郵船会社ハ総収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費ヲ仕払、成規ノ積立金等ヲ為シタル上、自余ノ純益金ヲ以テ年々負債元利償還ノ額ヲ仕払、然ル後利益金ヲ株主ニ配当スルモノトス
第七条 日本郵船会社ニ於テハ、三菱会社若クハ共同運輸会社ト其他ノ者ノ間ニ取結ヒタル諸契約ハ総テ之ヲ履行スルノ責任ナキモノトス、但資産授受手続中ニ明条アルモノハ此限ニアラス
第八条 日本郵船会社ヘ引受クへキ三菱・共同両会社ノ船舶・地所・建物其他ノ物件授受ノ方法ハ、三会社協議ノ上別段ノ契約書ヲ以テ之ヲ定ムルモノトス
右創立規約ノ条款議定立約シタル証拠トシテ各記名調印スルモノ也
                日本郵船会社創立委員
  明治十八年九月二十五日       堀基
                    荘田平五郎
                    小室信夫
                    岡本健三郎
               同 委員長
                    森岡昌純
    農商務卿 伯爵 西郷従道殿

    命令書
                     日本郵船会社
第一条 其会社ノ責任ヲ有限トシ、負債弁償ノ為メ負担スヘキ義務ハ株金ニ止マルヘシ
第二条 其会社ノ資本金ヲ壱千壱百万円トシ、之ヲ弐拾弐万株ニ分ツ其弐百六拾万円即五万弐千株ハ政府ニ属シ、其八百四拾万円即拾六万八千株ハ人民ノ所有トス、但其会社ノ請願又ハ政府ノ詮議ニヨリ資本額ヲ増減スルコトアルヘシ
  (改正) 其会社ノ資本金ヲ壱千壱百万円トシ、之ヲ弐拾弐万株ニ分ツ、但其会社ノ請願又ハ政府ノ詮議ニヨリ資本額ヲ増減スルコトアルヘシ
第三条 株式ニ属スル権利義務ハ官有民有ニ拘ハラス総テ其株券ニ附従スルモノトス
  (改正)株式ニ属スル権利義務ハ総テ其株券ニ附従スルモノトス
第四条 其会社ノ営業年限ハ開業ノ日ヨリ満三十ケ年トス、但其会社
 - 第8巻 p.128 -ページ画像 
ノ請願又ハ政府ノ詮議ニ依リ之ヲ継続スルコトアルヘシ
第五条 其会社ハ中外ノ海運ヲ以テ専業トナシ、他ノ事業ニ関渉スヘカラス、但船舶修繕ノ為メ鉄工場ヲ保持スルコトヲ得
第六条 其会社ハ本社ヲ東京ニ置キ、中外ノ要港ニ支店・出張所又ハ代理店ヲ設置スヘシ、但農商務卿ニ於テ必要ナリトスル場合ニハ其会社ニ命シテ支店・出張所又ハ代理店ヲ設置セシムルコトアルヘシ
第七条 政府ハ其会社ノ株金全額ニ対シ、開業ノ日ヨリ十五ケ年間其利益年八歩ニ達セサル時ハ之ヲ補給スヘシ
  (改正)命令書第七条補給金ハ其社資本ノ増減収入ノ多少ニ拘ハラス同条ニ記載セル年限中毎年金八拾八万円宛下附スヘシ
    ○明治二〇年一一月三〇日附命令
第八条 前条ノ利益ヲ補給スル間ハ別段助成金ヲ下附セスシテ左ニ掲クル中外ノ航路ヲ開カシムヘシ
  横浜神戸下ノ関長崎上海間     毎週一回
   米国郵船ト接続ノ為メ出帆日ヲ伸縮スル事アリ
  長崎釜山元山津浦塩斯徳間      毎年一月ヲ除キ 毎月一回
   冬季浦塩斯徳結氷中ハ航海ヲ元山津ニ止ム
  長崎五島対馬釜山仁川間       毎月一回
  横浜神戸間             毎月十回
  横浜荻ノ浜函館間          一週間二回
  横浜四日市間            毎日一回
  神戸高知間             一週間一回ノ見込
  函館根室間             航海度数未定
  函館小樽間             航海度数未定
  函館青森間             毎日一回
  森室蘭間              毎日一回
  小樽伯州境間            航海度数未定
   函館土崎酒田新潟直江津伏木敦賀ニ寄港、但荷物ノ都合ニヨリ此他ノ港ニ寄港シ、又冬季風浪不穏ノ時節ハ新潟酒田等ノ寄港ヲ廃シ、碇泊ニ差支ヘサル場所ノミニ寄港セシム
  小樽増毛礼文利尻宗谷間
   小樽増毛間ハ四月ヨリ十月マテ一月五回十一月ヨリ翌年三月迄一月四回礼文外二郡ハ四月ヨリ十月マテ一月二回十一月ヨリ翌年三月迄一月一回
  (改正)小樽増毛間ハ三月中旬ヨリ十一月中旬迄一ケ月五回礼文利尻宗谷ノ三郡並ニ苫前郡ノ内焼尻ハ四月ヨリ十月マテ一ケ月二回○明治一九年二月二六日附
  国後諸島択捉北見地方
   毎月凡四回但右四回ノ内毎年五月九月一回宛得撫島へ航海
第九条 農商務卿ノ許可ナクシテ前条ノ航路及ヒ航海ノ度数増減変更スル事ヲ許サス
第十条 農商務卿ノ命ニ依リ新ニ航路ヲ開カシムルトキハ、更ニ相当ノ助成金ヲ下附スル事アルヘシ
第十一条 政府ハ平常非常ヲ論セス、其会社ノ都合ヲ問ハス、何時モ其船舶ヲ使用スル事アルヘシ、但シ非常ノ時ハ其会社所有ノ船舶
 - 第8巻 p.129 -ページ画像 
ハ海軍附属ト心得ヘシ
第十二条 政府ニ於テ其会社ノ船舶ヲ使用シタルトキハ、徴発令施行ノ時ヲ除キ、左項ノ割合ヲ以テ其実費ヲ給スヘシ、但使用ノ日数ヲ計算スルニハ、最初出発ノ港ニ於テ航海ノ準備ヲ始ムル日ヨリ帰港ノ上其航海ノ事務ヲ終了シタル日ヲ以テ限リトナスヘシ
     第一項
   総噸数千五百噸以上ハ        一ケ月一噸ニ付 銀貨四円五拾銭
   同  八百噸以上千五百噸未満ハ   一ケ月一噸ニ付 銀貨五円拾銭
   同  八百噸未満ハ         一ケ月一噸ニ付 銀貨五円八拾銭
     第二項
   前項ノ賃銀ハ他ノ通貨ニテ払フ事アルヘシ、然レトモ其時ノ相場ヲ以テ仕払フモノトス、但使用ノ日数三十日未満ノ時ハ一割ヲ増加シ十五日未満ノトキハ二割ヲ増加シタル船賃ヲ払フヘシ
     第三項
   第一及第二項ニ掲クル船賃ノ外、石炭及船客ノ食物ハ現品又ハ代価ヲ以テ支給シ、其他特ニ命シテ別段ノ装置ヲナシ又ハ艀舟及人夫ヲ使用シタルトキハ其費用ヲ払フヘシ
第十三条 戦時非常等ニ際シ政府ニ於テ其会社ノ汽船ヲ使用シ、為メニ敵兵ノ襲撃又ハ測量未済ノ場所ヘ航海セシメタル等ニ依リ損害ヲ生シタルトキハ、其事由ヲ査明シ相当ノ償金ヲ給スヘシ、然レトモ其会社又ハ乗組船員ノ過失ニ依テ生シタル損害ハ此限リニ非ス
第十四条 其会社ノ船舶、政府ノ命令ニ依テ船内ノ結構ヲ変更シタルトキハ相当ノ費用ヲ給スヘシ
第十五条 政府ハ海軍兵学校及商船学校等ノ卒業生ヲシテ、実地練習ノ為メ、其会社ノ船舶ニ乗組ミ、其業ヲ執ラシムルコトアルヘシ但此場合ニ於テハ海軍兵学校長商船学校長ト特別ノ約定ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第十六条 政府ハ第七条ノ利益金ヲ補給スル間ハ、郵便物及郵便事務上必要ナル器具ハ無賃逓送ヲ命スヘシ、但郵便物逓送ノ規定ハ駅逓総官ヨリ別段ノ命令書ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
第十七条 其会社ノ汽船ハ登簿噸数三万五千噸ヲ以テ最下トシ、何タル場合ニ於テモ、農商務卿ノ許可ヲ得ルニアラサレハ之ヲ減却スルコトヲ許サス
第十八条 其会社ノ船舶、不足ヲ生スルカ若クハ汽船最下ノ噸数ヲ減スルカ、又ハ用ニ適セサル船舶アリト認ムルトキハ、農商務卿ハ其会社ニ命シテ、新ニ船舶ヲ製造シ又ハ買入ヲ為サシムヘシ、但其図面及ヒ仕様書又ハ明細書等ヲ添ヘ予メ農商務卿ノ認可ヲ受クへシ
第十九条 其会社ニ於テ新ニ船舶ヲ製造シ又ハ既製ノ船舶ヲ購入セントスルトキ、亦前条ノ例ニ依ル、但既製ノ船舶ハ二ケ年以上経過シタルモノヲ購入スル事ヲ許サス
第二十条 其会社ハ農商務卿ノ許可ヲ得ルニアラサレハ其船舶ヲ売却スルコトヲ得ス
 - 第8巻 p.130 -ページ画像 
第二十一条 其会社ノ運賃並ニ各問屋ノ手数料ヲ一定シ、農商務卿ノ認可ヲ受ケ、之ヲ新聞紙ニ広告スヘシ、但認可シタル運賃ト雖モ商況ノ模様ニ依リテハ命シテ之ヲ低減セシムルコトアルヘシ
第二十二条 凶歳又ハ時変ニ際シ、農商務卿ノ命令スル時日ノ間ハ、指名スル所ノ穀類ニ限リ其運賃ヲ低減セシムルコトアルヘシ
第二十三条 其会社ハ社長一人副社長一人理事(定員ナシ)ヲ以テ社務ヲ統理スルモノトス
第二十四条 正副社長及ヒ理事ハ保証期限十五ケ年間ハ農商務卿之ヲ特命シ、保証満期ノ後ハ株主総会ニ於テ之ヲ撰挙シ、農商務卿ノ認可ヲ受クヘシ
第二十五条 正副社長理事ノ給料ハ農商務卿之ヲ定メ、其会社ヨリ支出スヘシ
第二十六条 正副社長理事ハ在任中他ノ業務ヲ兼ヌルヲ得ス
第二十七条 其会社ニ使用スル海員ハ勿論、船長・運転手・機関手トモ成ルヘク日本人ヲ採用スヘシト雖モ、当分船長以下外国人ヲ雇使スルモ妨ケナシトス
第二十八条 其会社ハ収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費並ニ左記ノ金額及ヒ毎年負債元利償還ノ額ヲ引去リ、自余ノ純益金ヲ以テ各株主ニ配当スヘシ、但負債元利ヲ償還シ了ル迄配当金ハ八歩ヲ以テ限リトナスヘシ
     第一 保険積立金
  船舶保険準備トシテ、一ケ年ニ付、各船総代価ノ百分ノ七ヲ積立ヘシ
     第二 大修繕積立金
  当分ノ内船舶大修繕及ヒ新船購入ノ準備トシテ、一ケ年ニ付、各船総代価ノ百分ノ十ヲ積立ヘシ
    第三 減価引除金
  船価年ヲ逐テ逓減スルカ故ニ、一ケ年ニ付、各船総代価ノ百分ノ五ヲ引除ヘシ
  (改正)其会社ハ収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費役員ノ賞与並ニ左記ノ金額及ヒ毎年負債元利償還ノ額ヲ引去リ、自余ノ純益金ニ政府補給金額ヲ併セ株主ニ配当スヘシ、但株主配当金ハ負債元利ヲ償還シ了ル迄年八歩ヲ以テ限リトシ、役員賞与ハ毎年収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費ヲ引去リタル残額、即チ営業益金弐拾分ノ壱以上拾分ノ壱以下ヲ以テ定限ト為スヘシ
     第一 保険積立金
   船舶保険準備トシテ、一ケ年ニ付、各船総代価ノ百分ノ五ヲ積立ヘシ
     第二 大修繕積立金
   当分ノ内船舶大修繕及ヒ新船増加ノ準備トシテ、一ケ年ニ付各船総代価ノ百分ノ三ヲ積立ヘシ
     第三 減価引除金
   船価年ヲ逐テ逓減スルカ故ニ、一ケ年ニ付各船総代価ノ百分ノ五ヲ引除ヘシ
 - 第8巻 p.131 -ページ画像 
   船価ノ減少ニ依リ第一項乃至第三項ノ金員ヲ通計シテ年額九拾万円ニ達セサル時ハ、臨時第二項ノ歩合ヲ増加シテ此年額ニ充タシムヘシ
   収入金少ナキカ為メ以上ノ割合ニ従ヒ積立金ヲ為シ得サル場合ニ於テハ、通常海陸ノ経費、役員賞与・負債利子等其年度ニ於テ必要欠クヘカラサル支出及ヒ第三項減価引除金ヲ引去リ、其残額ヲ以テ第一項・第二項ニ割合積立置キ、其欠額ハ翌年度以後ニ於テ之ヲ補塡スヘシ
第二十九条 其会社ノ損益計算及ヒ業務ノ実況ハ、毎年十二月株主総会ニ於テ之ヲ報告シ、且利益金ノ配当ヲ為スヘシ
  (改正)其会社ノ損益計算及ヒ業務ノ実況ハ、毎年十二月株主総会ニ於テ之ヲ報告スヘシ
   利益金配当ハ毎年六月・十二月ノ両度ニ於テスヘシ、但六月ハ年八歩ノ割合ヲ以テスヘシ
第三十条 其会社ハ営業上百般ノ実況ヲ調査シ、之ヲ月報年報ノ二種ニ分チ、農商務卿ニ具状スヘシ
第三十一条 其会社本支店ノ挙措其他会社ノ事務執行方法ヲ定ムルハ社長ノ権ニ在リト雖モ、其執行ノ整否ニ依リ政府ノ損失ヲ生スヘキ事件ニ付テハ、農商務卿ヨリ命シテ更正セシムヘシ
第三十二条 其会社総会ニ於テ決定シタル事件ト雖モ、農商務卿ノ認許ヲ得ルニアラサレハ之ヲ執行スルコトヲ許サス
第三十三条 何等事故アルモ政府ノ認可ヲ得スシテ新ニ負債ヲ起スコトヲ得ス
第三十四条 政府ハ会計監査官ヲ命シ、会社一切ノ会計ヲ監査セシメ不整ノ件ハ命シテ之ヲ矯正セシムヘシ
第三十五条 政府ハ船舶成規検査ノ外、修繕又ハ入渠其他必要ト認ムル場合ニ於テハ検査員ヲ派出シ、其社ノ各船ヲ点検セシムヘシ
第三十六条 政府ハ其会社ノ業務ヲ監督シ、此命令書ノ明条ニ違背シ又ハ公益ヲ害シ若クハ其会社ノ不利ト認ムル事件ハ之ヲ制止シ、又ハ其営業ヲ禁止スルコトアルヘシ
第三十七条 政府ニ於テ必要ト認ムルトキハ此命令書ヲ加除更正スル事アルヘシ、但此場合ニ於テハ予メ其事由ヲ明示スヘシ
右命令ノ条款竪ク遵守スヘキ事
  明治十八年九月二十九日
           農商務卿 伯爵 西郷従道
  ○其後明治二十年十二月ニ至ル間ニ主務大臣ノ命ニ依リ改正シタルモノハ、夫々当該条項ノ後ニ「改正」トシテ附記シタリ。
    日本郵船会社定款
日本政府ノ特許ヲ得テ日本郵船会社ヲ創立シ農商務卿ノ命令書ニ遵ヒ創立委員ニ於テ協議決定スル所ノ定款左ノ如シ
   節一章 総則
第一条 当会社ノ名称ハ日本郵船会社ト称スヘシ
第二条 当会社ハ政府ノ特許ニ拠テ創立スルモノナルニ付、玆ニ添付セル農商務卿ノ命令書並ニ将来時々ノ命令ヲ遵奉スヘシ
 - 第8巻 p.132 -ページ画像 
第三条 当会社ハ有限責任トシ、当会社ノ負債弁償ノ為メ株主ノ負担スヘキ義務ハ株金全額ニ止マルモノトス
第四条 当会社ハ中外ノ海運ヲ以テ専業トシ、他ノ業務ニ干渉スルコトヲ得ス、然レトモ当会社船舶修繕ノ為メ必要ナル鉄工場ヲ保持スルハ此限ニアラス
第五条 当会社ハ本社ヲ東京ニ置キ、各要地ヘ支店ヲ設ケ、支店ヲ設ケサル場所ハ出張所又ハ代理店ヲ置クコトヲ得
第六条 当会社ノ営業期限ハ満三十箇年トス、但満期ニ至リ株主総会ノ決議ニ依リ営業ヲ継続セントスルトキハ、更ニ政府ニ請願シテ許可ヲ受クヘシ
第七条 当会社ノ実際報告ニ於テ資本金半額以上ヲ損失セシ旨ヲ証明スルトキハ、鎖店スルモノトス
  前項ノ場合ヲ除クノ外、期限内ニ鎖店セントスルトキハ、株主総会ノ出席人員四分ノ三以上ニシテ総株半数以上ヲ所有スルモノノ決議ヲ経テ、政府ノ許可ヲ受クヘシ
第八条 当会社ハ期内ト満期トヲ問ハス、前条ノ場合ニ在テ鎖店スルトキハ、株主総会ニ於テ鎖店処分人ヲ撰定シ、其権限職制ヲ定メテ政府ノ許可ヲ受クヘシ
第九条 当会社ノ営業ハ政府ノ監督ヲ受ケ、此定款ニ拠テ之ヲ正副社長・理事ニ委任スヘシ
   第二章 資本金
第十条 当会社資本ノ総額ハ金壱千壱百万円トシ、之ヲ弐拾弐万株ニ分チ、壱株ヲ金五拾円ト定ムヘシ、但資本総額ノ内金弐百六拾万円即チ五万弐千株ハ官有、八百四拾万円即チ拾六万八千株ハ民有ニ属スルモノトス
  株主総会ノ決議又ハ政府ノ詮議ニ依リ之ヲ増減スルコトヲ得
  (改正)当会社資本ノ総額ハ金壱千壱百万円トシ、之ヲ弐拾弐万株ニ分チ、壱株ヲ金五拾円ト定ムヘシ
   株主総会ノ決議又ハ政府ノ詮議ニ依リ之ヲ増減スルコトヲ得
   第三章 船舶
第十一条 船舶ノ新造又ハ購入其他船舶ノ形容及ヒ噸数等ハ第二十八条ノ手続ヲ経テ農商務卿ノ許可ヲ受クヘシ
第十二条 当会社所有汽船ノ登簿噸数ハ三万五千噸ヨリ下ラサルヲ制限トス、若シ古船ヲ売却シテ新船ヲ製造セントシ、或ハ破船等ノ為メニ一時噸数ヲ減スルトキハ、三十日以内ニ其補充方法ヲ農商務卿ニ上申シテ許可ヲ受クヘシ
第十三条 当会社所有ノ船舶中船体及ヒ機械等ニ故障ヲ生シ、営業上不利益ト認ムルモノアルトキハ、第二十八条ノ手続ヲ経農商務卿ノ許可ヲ得テ之ヲ売却スルコトヲ得
第十四条 船舶ヲ新造シ及ヒ購入シ又ハ売却スルコトアルトキハ、総会ニ於テ株主ヘ報告スヘシ
   第四章 営業
第十五条 営業上ノ規則ハ農商務卿ノ命令書及ヒ定款ニ準拠シ、正副社長ニ於テ之ヲ定ムヘシ
 - 第8巻 p.133 -ページ画像 
第十六条 旅客貨物ノ運賃定額ヲ設ケ又ハ之ヲ変更セントスルトキハ第二十八条ノ手続ヲ経テ農商務卿ノ許可ヲ受クヘシ
第十七条 旅客貨物ノ運賃並ニ各問屋ノ手数料ハ確定スル毎ニ新聞紙ヲ以テ広告スヘシ
   第五章 役員及責任
第十八条 当会社ノ役員ト称スルモノハ左ノ如シ
  社長      一名
  副社長     一名
  理事      定員ナシ
  監督      支配人
  副支配人
  手代
第十九条 正副社長及ヒ理事ハ保証期限十五ケ年間農商務卿ニ於テ特命スルモノトス
第二十条 保証年限満期ニ際シ役員撰挙ノ方法ハ株主総会ニ於テ更ニ之ヲ定ムヘシ
第二十一条 正副社長理事ノ給料ハ保証年限十五ケ年間ハ農商務卿ノ達ニ従ヒ、会社ヨリ支出スルモノトス
第二十二条 社長ハ会社全体ノ責ニ任シ、百般ノ事務ヲ統轄シ、支配人以下ノ役員ヲ撰任シ、及ヒ給料ヲ定メ、又ハ之ヲ進退スヘシ
第二十三条 副社長ハ社長ヲ補佐シ、社長不在ノトキ其代理ヲ為スヘシ
第二十四条 理事ハ正副社長ノ命ヲ受ケ、会社諸般ノ事務ヲ整理シ、又一部ヲ管理シテ其責ニ任スヘシ
第二十五条 監督ハ船体及ヒ機械等ヲ検査シ、海員ノ勤惰ヲ監督スルモノトス
第二十六条 支配人副支配人本店ニ於テハ事務ノ一部ヲ分担シ、支店ニ於テハ其全部ヲ担当スルモノトス
第二十七条 手代ハ上役ノ指図ニ従ヒ、社務ニ従事スルモノトス
第二十八条 左ノ件々ハ正副社長理事ノ衆議ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
  一支店・出張所・代理店ヲ開設又ハ廃止スル事
  一運賃ノ定額ヲ設ケ又ハ之ヲ変更スル事
  一航路ヲ定メ又ハ変更廃止スル事
  一船舶ヲ新造購入又ハ之ヲ解撤売却スル事
  一地所ヲ買入又ハ売却シ、家屋・倉庫ヲ新築シ又ハ買入或ハ取毀チ又ハ之ヲ売却スル事
  一営業上ノ貸船ヲ為スノ外金銭物品ノ貸借ニ関スル事
  一船舶ヲ臨時海外ニ出ス事
  (改正)左ノ件々ハ正副社長理事ノ衆議ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
   一支店・出張所・代理店ヲ開設又ハ廃止スル事
   一運賃ノ定額ヲ設ケ又ハ之ヲ変更スル事
   一航路ヲ定メ又ハ変更廃止スル事
   一船舶ヲ新造購入又ハ之ヲ解撤売却スル事
 - 第8巻 p.134 -ページ画像 
   一地所ヲ買入又ハ売却シ、家屋・倉庫ヲ新築シ又ハ買入或ハ取毀チ又ハ之ヲ売却スル事
   一営業上ノ貸船ヲ為スノ外金銭物品ノ貸借ニ関スル事
   一船舶ヲ臨時海外ニ出ス事
   一第四十九条ノ範囲内ニ於テ役員賞与ノ歩合ヲ定ムル事
   第六章 株主権利及責任
第二十九条 何人タリトモ(我国法ヲ遵奉セサル人民ヲ除クノ外)会社ノ規則ヲ承認シテ株券ヲ所有スル者ハ株主タルコトヲ得
第三十条 組合又ハ会社又ハ数人共有ノ名義ヲ以テ当会社ノ株式ヲ所有スル者ハ、其中重立タル者一名ノ名前ヲ定メ、株式ニ対スル権利及ヒ責任ヲ担当セシムへシ
第三十一条 当会社ハ株帳ヲ製シ、株主ノ姓名・属籍・宿所、株式ノ員数番号及ヒ其売買譲渡ノ年月日ヲ登録シ置クヘシ、但此株帳ハ営業中差支ナキ時間ニ於テハ株主ノ検閲ニ供スヘシ
第三十二条 株式ノ売買譲渡ヲ為ストキハ、之ヲ会社ニ申出株帳ニ登録ヲ求ムヘシ、若シ其手続ヲ為ササル間ハ会社ヨリ配当スヘキ利益金ハ株券ノ名前人ニ渡スヘシ
第三十三条 株主其姓名ヲ変スルカ或ハ属籍・宿所等ヲ転スルトキハ書面ヲ以テ其趣ヲ会社ニ申出ヘシ
第三十四条 株主ハ常ニ代理人ヲ定メ、株式ニ対スル権利及ヒ責任ヲ担当セシムルヲ得、此場合ニ於テハ委任状写ヲ添ヘ、本人及ヒ代理人連署ヲ以テ会社ニ申出ヘシ
第三十五条 株券ヲ磨耗シ又ハ紛失スル等ノ故ヲ以テ、其書換及ヒ更ニ受取方ヲ望ムモノハ、二人以上ノ保証人ヲ立、其事実ヲ詳明スルトキハ之ヲ渡スヘシ
第三十六条 株主ハ正副社長・理事ノ行為ニ於テ不適当ノ事アリト認ムルトキハ、株主総人員十分ノ二以上、総株数十分ノ三以上ノ同意ニ依リ、農商務卿ノ許可ヲ得テ、臨時総会ヲ催シ、出席人員三分ノ二以上総株高半数以上同意ノ決議ヲ以テ、之カ解任ヲ上請スルコトヲ得
   第七章 総会
第三十七条 総会ハ株主総体ノ権利ヲ表明スル為メ十株以上ヲ所有スル株主ノ集会ニシテ、之ヲ例式臨時ノ二種ニ分ツ
第三十八条 毎年十二月会社ノ業務ヲ報告シ且利益金ヲ配当スル為メニ開クモノヲ例式総会ト称スヘシ
  (改正)毎年十二月会社ノ業務ヲ報告スル為メニ開クモノヲ例式総会ト称スヘシ
第三十九条 営業期限中鎖店スル場合ヲ生シ、或ハ満期ニ至リ事業ヲ継続セントスルトキ、又ハ正副社長・理事ノ行為ヲ不適当ナリトシ其解任ヲ農商務卿ニ請願スルトキ、又ハ其他定款ニ遵ヒ株主ノ総会ヲ必要トスル場合ニ於テ開クモノヲ臨時総会ト称スヘシ
第四十条 臨時総会ハ十株以上ヲ所有スル株主二百名以上、総株数十分ノ五以上出席スルニ非レハ、其会議ヲ開クヲ得ス、但第四十二条ニ依リ他ノ株主ニ代理ヲ托シタル者ハ、其所有株ヲ出席株数ニ
 - 第8巻 p.135 -ページ画像 
算入シテ其人ヲ出席人員ニ算入セサルモノトス、其投票ヲ為ス場合ハ此限ニ非ス
第四十一条 総会ヲ開カントスルトキハ、少クトモ三十日前ニ、其場所日時ヲ十株以上ヲ所有スル株主ニ通知スヘシ
第四十二条 各株主事故アリテ出席シ能ハサルトキハ、左ノ書式ニ従ヒ委任状ヲ附シ、他ノ十株以上ヲ所有スル株主ヲ以テ代理セシムルコトヲ得、若シ通知ヲ得テ不参シ或ハ正当ノ代理人ヲモ差出サスシテ他日異議ヲ述フルモ、総テ無効タルヘシ
      委任状書式

図表を画像で表示委任状書式

      委任状ノ事  拙者儀事故有之何某ヲ以テ部理代人ト定  メ拙者ノ名義ニテ左ノ権限ノ事ヲ代理為  致候事  一本年 月 日日本郵船会社例式臨時総会ニ   付拙者所有ノ株式ニ属スル一切ノ権利   ヲ代表スル事  右委任状仍テ如件          住所属籍    日本郵船会社株主 氏名[img 図]印 



第四十三条 総会ノ会長ハ、第三十六条ノ場合ヲ除キ社長之ニ当ルヘシ、若シ社長事故アルトキハ副社長又ハ理事ニテ之ヲ勤ムヘシ、但第三十六条ノ場合ニ於テハ出席員ノ内ヨリ会長ヲ互撰スルコトヲ得
第四十四条 株主総会ニ於テ投票ヲ為スニ当リ、其所有株数十株ニ付一個ノ投票権ヲ有ス、十一株以上二十株迄ハ毎十株ニ一個、二十一株以上百株迄ハ毎二十株ニ一個、百一株以上千株迄ハ毎五十株ニ一個、千一株以上五千株迄ハ毎百株ニ一個、五千一株以上総テ毎二百株ニ一個ヲ増加シ、一人ニシテ百個ヲ極度トシ、其余ハ投票ノ権ナキモノトス、但代理ヲ受タル株数ハ其人所有ノ株数ニ通算シテ本文ノ例ニ拠ルヘシ
第四十五条 総会ニ於テ事ヲ決スルニハ、其投票ヲ数ヘ過半数ノ同意ヲ以テス、若シ可否同数ナルトキハ会長之ヲ裁決スヘシ
第四十六条 議事ノ要領ハ簿冊ニ録シ、会長之ニ署名シテ他日ノ徴証ニ供スヘシ
   第八章 計算
第四十七条 当会社ハ総テ複記ノ法ヲ以テ明細正確ナル帳簿ヲ製シ置キ、政府ノ監査官又ハ株主ノ検閲ニ供スヘシ
第四十八条 当会社ノ会計年度ハ毎年十月一日ヨリ翌年九月三十日ニ至ルヲ以テ一ケ年ト定メ、其計算ハ十二月本社ノ例式総会ニ於テ報告シ利益金ノ配当ヲ為スモノトス
  (改正)当会社ノ会計年度ハ毎年十月一日ヨリ翌年九月三十日ニ至ルヲ以テ一ケ年ト定メ、其計算ハ十二月本社ノ例式総会ニ於テ報告スルモノトス
 - 第8巻 p.136 -ページ画像 
   利益金ハ毎年六月・十二月ノ両度ニ於テ配当スルモノトス、但六月ニ於テハ年八歩ノ割合ヲ以テスヘシ
第四十九条 当会社ハ毎年九月三十日限リ其損益ヲ計算シ、総収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費並ニ左記ノ金額及ヒ毎年負債元利償還ノ額ヲ引去リ、自余ノ純益金ヲ以テ各株主ニ配当スヘシ、但負債元利ヲ償還シ了ル迄配当金ハ八歩ヲ以テ限リトナスヘシ
     第一 保険積立金
  汽船帆船トモ船体保険準備トシテ、一箇年ニ付、各船代価《(総脱)》ノ百分ノ七ヲ積立ヘシ
     第二 大修繕積立金
  当分船舶大修繕及ヒ新船購入ノ準備トシテ、一箇年ニ付、各船総代価ノ百分ノ十ヲ積立ヘシ
     第三 減価引除金
  船価年ヲ逐テ逓減スルカ故ニ、各船総代価ノ百分ノ五ヲ引除ヘシ
  (改正)当会社ハ毎年九月三十日限リ其損益ヲ計算シ、収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費、役員賞与並ニ左記ノ金額及ヒ毎年負債元利償還ノ額ヲ引去リ、自余ノ純益金ニ政府補給金額ヲ併セ各株主ニ配当スヘシ、但株主配当金ハ負債元利ヲ償還シ了ル迄年八歩ヲ以テ限リトシ、役員賞与ハ毎年収入金ノ内ヨリ通常海陸ノ経費ヲ引去リタル残額即チ営業益金二十分ノ一以上十分ノ一以下ヲ以テ定限ト為スヘシ
      第一 保険積立金
    汽船帆船トモ船体保険準備トシテ、一箇年ニ付、各船総代価ノ百分ノ五ヲ積立ヘシ
      第二 大修繕積立金
    当分船舶大修繕及ヒ新船増加ノ準備トシテ、一箇年ニ付、各船総代価ノ百分ノ三ヲ積立ヘシ
      第三 減価引除金
    船価年ヲ逐テ逓減スルカ故ニ、一箇年ニ付、各船総代価ノ百分ノ五ヲ引除ヘシ
   船価ノ減少ニ依リ第一項乃至第三項ノ金員ヲ通計シテ年額九拾万円ニ達セサル時ハ臨時第二項ノ歩合ヲ増加シテ此年額ニ充タシムヘシ
   収入金少ナキカ為メ以上ノ割合ニ従ヒ積立金ヲ為シ得サル場合ニ於テハ、通常海陸ノ経費、役員賞与、負債利子等其年度ニ於テ必要欠クヘカラサル支出及ヒ第三項減価引除金ヲ引去リ、其残額ヲ以テ第一項・第二項ニ割合積立置キ、其欠額ハ翌年度以後ニ於テ之ヲ補塡スヘシ
   第九章 改正増補
第五十条 此定款ハ株主一同ノ協議ニ依リ農商務卿ノ認許ヲ得テ之ヲ増減更正スルコトヲ得
右ハ明治十八年九月二十九日御下附ノ命令書ニ遵ヒ此定款ヲ協議決定致候間、御認許被為下度、此段連署ヲ以テ相伺候也
                日本郵船会社創立委員
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  明治十八年九月二十九日       堀基
                    荘田平五郎
                    小室信夫
                    岡本健三郎
                同委員長
                    森岡昌純
   農商務卿 伯爵 西郷従道殿
 (朱書)
 伺之趣認可候事
  明治十八年十一月七日
          農商務卿 伯爵 西郷従道(印)
  ○其後二十年十二月十五日臨時株主総会ノ決議ヲ経、逓信大臣ノ認可ヲ得タル改正条項ニ関シテハ、夫々当該条項ノ後ニ「改正」トシテ附記セリ。


日本郵船株式会社五十年史 第五七―五八頁〔昭和一〇年一二月〕(DK080005k-0002)
第8巻 p.137-138 ページ画像

日本郵船株式会社五十年史  第五七―五八頁〔昭和一〇年一二月〕
 資産調査 「三菱」・「共同」両社合併の事定まるや、政府は両社に対し資産調書を提出せしめたり。当時両社の資産評価額左の如し。
 一金六百五拾弐万壱千六百六拾八円也……郵便汽船三菱会社資産
 一金六百五拾弐万六千参百四拾円也………共同運輸会社資産
 資産調書を得て西郷農商務卿は、三菱会社より川田小一郎・荘田平五郎の両氏を、共同運輸会社より小室信夫・堀基の両氏を私邸に招き合併条件として両社に附与する特典即ち両社の資産額に対する政府の利益保証を内示したるに、四氏は異議なく之を承認して各受諾書を差出したり。
 資産引継及び株式割当 当時取極めたる引継資産並に其対価は前記両社提出に係る調書所載の資産額中、三菱会社の分は岩崎社長の請願により政府に献納することとなれる九拾七万八千弐百五拾円(前記同社資産額の一割五歩に当る)を控除したる額五百五拾四万参千四百拾八円と定め、共同運輸会社の分は六百五拾弐万六千参百四拾円と定め、合計壱千弐百六万九千七百五拾八円を引継ぐこととなれり。
 而して三菱会社の分五百万円・共同運輸会社の分六百万円・合計壱千壱百万円を新会社の資本金と定め、之に対し政府は向ふ十五ケ年間年八分の利益補給を保証することとし、更に三菱会社資産の中五百万円以下の端数五拾四万参千四百拾八円及び共同運輸会社資産の中六百万円以下の端数五拾弐万六千参百四拾円は、新会社に於て旧両社に対する負債として引受け、年七分の利子を附して五ケ年乃至十ケ年間に弁済することと為したり。
 斯くて新会社の資本金は壱千壱百万円、之に対して額面五拾円全額払込済の株券弐拾弐万株を発行、三菱会社に対し拾万株、共同運輸会社株主に対し拾弐万株を夫々交附することと為したり。依て政府は新会社を日本郵船会社と名づけ、三菱会社より荘田平五郎・岡本健三郎の両氏を、共同運輸会社より堀基・小室信夫の両氏を日本郵船会社創立委員に命じ、森岡昌純氏(共同運輸会社社長)を同委員長に任命したり。
  ○創立委員長及ビ委員ハ其儘社長及ビ理事ニ就任シタリ。初代社長森岡昌純
 - 第8巻 p.138 -ページ画像 
以下理事左ノ如シ。
   理事 本務部長 荘田平五郎(三) 支務課支配人 内田耕作(三)
   同  庶務課長 小室信夫(共)  庶務課支配人 加藤正義(共)
   同  会計課長 堀基(共)    会計課支配人 浅田正文(三)
   同  調度課長 岡本健三郎(三) 調度課支配人 前田清熙(共)


日本郵船会社第壱回報告 〔明治二〇年一二月〕(DK080005k-0003)
第8巻 p.138-148 ページ画像

日本郵船会社第壱回報告  〔明治二〇年一二月〕
   第一項 創立顛末
当会社ハ明治十八年九月、共同運輸会社ト郵便滊船三菱会社ト両会社ノ資産ヲ以テ創立スルニ当リ、農商務省ニ於テ森岡昌純ヲ創立委員長ニ、岡本健三郎・小室信夫・荘田平五郎・堀基ヲ創立委員ニ特命セラレ、同省中ニ設置セラレタル創立委員事務所ニ会シ、創立願書及ヒ創立規約ヲ議定シ、明治十八年九月廿五日ヲ以農商務卿ニ提出シ、同月廿九日農商務卿ニ於テ日本郵船会社ノ創立ヲ特許シ、創立規約ヲ認可シ命令書ヲ下附セラレ、定款取調可伺出旨ノ指令ヲ得テ、創立委員ハ即日定款ヲ議定シ、農商務卿ニ伺出タリ、此日社長・理事ノ特命アリ同年十月一日ヲ以開業シ、同年十一月七日定款ノ認可ヲ得テ本社創立ノ手続ヲ完了セリ、之レヲ当日本郵船会社創立ノ顛末ト為ス
   第二項 業務概況
当社創立ノ際、旧三菱共同両会社ヨリ譲受ケタル航海船舶ノ数ハ、滊船五拾八艘総噸数六万八千七百二拾四噸、帆船拾壱艘総噸数四千七百二拾五噸ニシテ、其中老朽構造不適当前途使用ノ目的ナキヲ以テ売却ニ附シタル滊船五艘、又海難ニ罹リタルモノ滊船二艘、都合七艘総噸数六千七百三十四噸ヲ減シ、当期末日即チ本年九月三十日現在、滊船五拾壱艘、帆船拾一艘ニシテ、其総噸数滊船六万千九百九拾噸、帆船四千七百弐十五噸ナリ、而シテ当期一周年間航海ノ度数ハ、滊船弐千三百六拾三回、帆船七十七回、其哩数滊船百三拾弐万九千九百弐拾九哩、帆船七万八千八百四哩、滊船帆船ヲ合シ其運漕貨物八拾六万七千五百三拾弐噸、船客二拾二万三千八百五拾六人ニシテ、運賃金三百四拾九万五百七円拾七銭壱厘、其他貸船料及諸収入金拾七万六千百四拾七円九拾五銭八厘、合計金三百六拾六万六千六百五拾五円拾弐銭九厘ヲ収入シ、経費金弐百九拾五万零百零九円七拾三銭四厘ヲ支出シ、差引益金七拾壱万六千五百四拾五円三拾九銭五厘ナリ、之ニ当期政府補給金八拾八万円ヲ加ヘ、総計益金百五拾九万六千五百四拾五円三拾九銭五厘トス、蓋シ本年度ハ社務ノ整備未タ完全ニ至ラサル創業ノ初期ヲ以、世上不景気ノ極度ニ遭遇シ、加フルニ悪疫流行ノ災厄アリ、商貨随テ動カス乗客亦寡シ、斯ル不幸ノ年柄ニシテ仍ホ前記ノ収入ヲ得タルハ、敢テ不良ノ結果ト云フヘカラサルカ如シ、尚詳細ハ載テ諸表ニ在リ、是ヲ当期営業ノ概況ト為ス
   第三項 航路          明治十九年九月三十日現在
横浜上海線
 滊船三艘ヲ以毎一週間壱艘横浜上海発船、往復神戸下ノ関長崎ニ寄港ス
 此線路ハ横浜ニ於テ米国太平洋滊船会社・東西洋滊船会社ノ太平洋郵船ト聯続シテ欧米各国ト船客貨物ヲ互換シ、又我神戸函館間郵船
 - 第8巻 p.139 -ページ画像 
ト聯続シ、長崎ニ於テハ清国天津郵船朝鮮国仁川郵船並ニ露領浦塩斯徳郵船ト聯続シテ船客貨物ヲ互換ス
長崎浦塩斯徳線
 滊船壱艘ヲ以毎三週間一回両港ヲ発船シ、往復釜山浦元山津ニ寄港ス、又時トシテハ「ホーセツト」港ニ寄港スルコトアリ
 厳冬浦塩斯徳結氷中ハ元山津迄通航ス、本線ハ長崎ニ於テ上海郵船並ニ天津郵船ニ聯続シ、船客貨物ヲ互換ス
神戸仁川線
 滊船壱艘ヲ以毎三週間壱回神戸仁川ヲ発船シ、往復下ノ関長崎五島対馬釜山ニ寄港ス
 此線路ハ長崎ニ於テ上海郵船ニ聯続シ、船客貨物ヲ互換ス
神戸函館線
 滊船四艘ヲ以毎一週間弐艘神戸函館ヲ発船シ、往復横浜荻ノ浜ニ寄港ス
横浜神戸線
 滊船二艘ヲ以毎一週間二艘横浜神戸ヲ発船ス
 此線路ハ横浜上海間及神戸函館間郵船ノ間日ニ出帆セシメ、横浜神戸間交通ノ便ヲ計ル
横浜四日市線
 滊船四艘ヲ以横浜四日市双方毎日発船ス
 此船路ハ横浜ニ於テ上海郵船及横浜神戸函館間三郵船ト聯続シ、又四日市ニ於テハ熱田渡航船快鷹丸及滊船ノ曳船有テ名護屋及三州勢州ノ各地ニ往復ス
神戸高知線
 滊船壱艘ヲ以不断神戸高知間ニ往復セシメ、神戸ニ於テ上海郵船其他ノ諸船ニ聯続ス
函館根室線
 滊船壱艘ヲ以不断両港間ヲ往復シ時トシテハ浜中厚岸釧路ニ寄港ス厳冬根室港結氷中ハ花咲ニ止ム
函館小樽線
 滊船壱艘ヲ以テ毎四日両港ヲ発船ス
函館青森線
 滊船二艘ヲ以テ毎日両港ヲ発船ス
森室蘭線
 滊船壱艘ヲ以テ毎日両港ヲ発船ス
神戸小樽線
 滊船四艘ヲ以テ凡ソ一週間壱回神戸小樽双方ヲ発船シ、往復下ノ関伯州境敦賀伏木直江津新潟酒田土崎函館ニ寄港ス、又時トシテ寿都江差及金石ニ寄港ス
 冬季航海危険ノ直江津新潟酒田土崎ノ寄港ヲ停メ、佐渡及舟川ニ寄港ス
小樽宗谷線
 滊船壱艘ヲ以不断両地間ヲ往復シ、増毛礼文利尻ノ各地ヘ寄港ス、但シ冬季航海危険ノ節ハ停航ス
 - 第8巻 p.140 -ページ画像 
根室各離島線
 滊船壱艘ヲ以国後択捉諸島北見地方其他各離島ヘ不断通航セシム、但シ厳冬結氷中ハ停航ス
神戸琉球線
 滊船壱艘ヲ以毎三週間壱回両港ヲ発船シ往復共鹿児島大島ニ寄港ス
大坂高知線
 滊船壱艘ヲ以テ不断両港間ニ通航セシメ、往復神戸ニ寄港ス
横浜半田線
 滊船弐艘ヲ以横浜半田双方隔日ニ発船ス
長崎天津線
 滊船壱艘ヲ以毎三週間壱回両港ヲ発船シ、往復仁川芝罘ニ寄港ス
 此線路ハ長崎ニ於テ上海郵船並ニ浦塩斯徳郵船ニ聯続シ船客貨物ヲ互換ス
右ノ外三陸地方伏木直江津新潟酒田本荘土崎能代及北海道諸港函館上海間朝鮮沿海其他臨時ノ需ニ依リ回船ス
  ○第四項郵便御用物略ス。
    第五項 会計
当期諸勘定左表ノ如シ

     明治十九年九月三十日日本郵船会社損益勘定表
    支出之部         金額
   店費
    本社         二一六、七一二・九八八
    各支店        二二五、〇一六・二九二    四四一、七二九・二八〇
   営業費
    荷物費        五〇四、二七四・八七八
    船客費         三九、二四七・一六六    五四三、五二二・〇四四
   船費
    給料及水先料     六四九、四四一・八五二
    石炭         五三八、九五九・九七〇
    需用品        一八八、四三三・五〇二
    税金          二九、〇七八・一五七
    雑費          五三、六七一・九〇三
    船客及船員賄料    二四五、七二九・〇七〇
    修繕費        一八四、五三二・二九〇  一、八八九、八四六・七四四
   交換差金                           一三五・九一九
   負債利子                        七四、八七五・七四七
   差引益金
    減価引除金      四〇〇、四六〇・三六二
    保険積立金      一九七、五五三・一四六
    大修繕積立金     一一八、五三一・八八七
    配当金(年八朱ノ割) 八八〇、〇〇〇・〇〇〇  一、五九六、五四五・三九五
   合計                       四、五四六、六五五・一二九
 - 第8巻 p.141 -ページ画像 
    収入之部         金額
   運賃
    荷物       二、七〇三、〇七五・九八七
    船客         七八七、四三一・一八四  三、四九〇、五〇七・一七一
   貸船料                         七三、九〇四・〇九五
   艀下船利益                       一一、九八一・九八八
   利息収支差引残                     一四、七八三・九九八
   雑収入                         七五、四七七・八七七
   政府補給金                      八八〇、〇〇〇・〇〇〇
   合計                       四、五四六、六五五・一二九

     明治十九年九月三十日日本郵船会社資産負債勘定表
    資産ノ部         金額
   船舶代価

図表を画像で表示--

     差引残当期末日現在六十二艘総噸数六六、七一五、三八     当期売却船五艘及破船二艘代     三菱会社ヨリ引継高ノ内農商務卿ノ御達ニヨリ減額     引継滊船及帆船々価六十九艘代  七、五〇〇、七〇八・九八六    二二五、五一三・九九二    九七八、二五〇・〇〇〇  八、七〇四、四七二・九七八 




    当期減価引除金    三七五、〇三五・四四九  七、一二五、六七三・五三七
   小蒸滊倉庫船及艀下船代価
    引継代価三百拾七艘代  五一五、九三六・一四一
    当期艀下舟新造二艘代      六四六・三七一
    合計          五一六、五八二・五一二
    当期売却船四十二艘代    八、〇八四・二五〇
    差引残二百七十七艘代  五〇八、四九八・二六二
    当期減価引除金      二五、四二四・九一三   四八三、〇七三・三四九
   地所家屋代価                   一、四〇五、一五八・八七五
   鉄工所資本金                     一四〇、〇〇〇・〇〇〇
   公債証書                        三五、九八〇・八〇〇
   貸金勘定                       八五八、二一八・五三八
   貯蓄品勘定                      二八四、四〇九・〇八四
   各支店勘定                       六五、七二一・二三九
   他店勘定                        五五、七二〇・七一七
   旧共同運輸会社引継勘定                九〇七、一六五・一七五
   決算未済勘定                     一一一、六六〇・五五一
   金銀有高                       七八一、五三四・四五八
   向払運賃                        三三、七六三・〇八一
   政府補給金                      八八〇、〇〇〇・〇〇〇
    合計                     一三、一六八、〇七九・四〇四
    負債ノ部         金額
   株式勘定                    一一、〇〇〇、〇〇〇・〇〇〇
   負債勘定
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    負債元金      一、〇六九、〇〇〇・〇〇〇
    同利子仕払未済分     七四、八三〇・〇〇〇 一、一四三、八三〇・〇〇〇
    保険積立金                      八四、五一九・二四四
   大修繕積立金                       四、六八八・一八〇
   身元預金                        五三、九五〇・〇〇〇
   他店勘定                         一、〇九一・九八〇
   当期配当金                      八八〇、〇〇〇・〇〇〇
    合計                     一三、一六八、〇七九・四〇四
    第六項 船舶
明治十九年九月三十日現在船舶左表ノ如シ
    滊船
         噸         数
 船名     総噸数      登簿噸数      公称馬力
山城丸   二、五二七・五一  一、五六七・〇六  三五〇・〇〇
近江丸   二、四七三・〇八  一、五三三・三一  二六一・〇〇
横浜丸   二、三〇五・〇四  一、四二九・一三  三〇〇・〇〇
高千穂丸  二、三六二・五一  一、四六四・七六  二一三・〇〇
東京丸   二、一九三・六八  一、三六〇・〇九  二一一・〇〇
和歌浦丸  二、一九六・六八  一、六三四・三五  二三七・〇〇
高砂丸   二、一二一・八一  一、二二九・三一  二五〇・〇〇
新潟丸   一、九〇九・七八  一、一八四・〇八  二三六・〇〇
玄海丸   二、四九二・五三  一、七四〇・一三  三〇〇・〇〇
名護屋丸  二、五七三・五七  一、六七〇・三〇  二二七・〇〇
熊本丸   一、九一三・一四  一、二四〇・〇〇  二〇〇・〇〇
広島丸   二、四五二・五四  一、三九七・九六  三二〇・〇〇
相摸丸   一、八八五・四二  一、一六八・九七  一八三・〇〇
薩摩丸   一、八六六・三七  一、一五七・一六  二五〇・〇〇
長門丸   一、八五三・八五  一、一四九・三九  一九七・〇〇
遠江丸   二、四七三・〇八  一、五三三・三一  三五〇・〇〇
兵庫丸   一、五一六・六四    九四〇・三三  二〇・〇〇〇
紀伊丸   一、三五四・五四    八三八・五二  一五〇・〇〇
肥後丸   一、三五四・二五    八三八・三二  一五〇・〇〇
品川丸   一、三三七・八五  一、〇〇一・〇〇  一二〇・〇〇
住ノ江丸  一、三二〇・〇二    八五二・三八  一五〇・〇〇
東海丸   一、一一六・六二    六九二・三二  一三五・〇〇
豊島丸   一、一〇四・四八    六八四・七九  一六二・〇〇
伊勢丸   一、二四四・三四    七七一・五〇  一二〇・〇〇
尾張丸   一、〇五八・四三    六五六・二四  一二三・〇〇
越後丸   一、一四八・四九    七一二・〇八  一一一・〇〇
敦賀丸   一、〇〇六・一三    七四二・六〇  一一〇・〇〇
美濃丸     八九六・九五    五五六・一二   九五・〇〇
陸奥丸     九一一・一六    五六四・九三   九〇・〇〇
越中丸     九五四・一六    五九一・五九  一一一・〇〇
瓊浦丸     九二〇・八二    五七〇・九二  一一六・〇〇
社寮丸     八〇〇・〇〇    四七三・〇〇  一一〇・〇〇
 - 第8巻 p.143 -ページ画像 
出雲丸     七二〇・〇一    四四六・四七   七三・〇〇
駿河丸     七二一・一五    四四七・一三   七三・〇〇
播磨丸     七二一・一七    四四七・二六   七二・〇〇
田子浦丸    七四五・九二    五四一・三八  一〇〇・〇〇
玄武丸     六九九・七五    四三三・八五   七八・〇〇
松前丸     六〇三・九三    三七四・四五  一〇五・五〇
青竜丸     六一九・五九    四五三・五〇  一〇八・〇〇
浦門丸     五一六・九二    三二〇・五〇   七二・〇〇
千年丸     四五六・四〇    三二五・五五   七〇・〇〇
矯竜丸     三七四・〇〇    一三六・〇〇  一〇〇・〇〇
函館丸     四五二・八三    二八〇・七七   五八・五〇
芳野丸     三八〇・〇八    二三五・六六   七五・〇〇
貫効丸     二九八・三九    一八五・〇〇   七〇・〇〇
浪花丸     二五〇・〇〇    二〇八・〇〇   九〇・〇〇
凌風丸     二九一・一三    一八〇・五一   五〇・〇〇
根室丸     一九四・五〇    一二〇・五九   五五・〇〇
青森丸     一四七・三八     八七・六〇   二五・〇〇
室蘭丸      八六・八二     四六・九〇   一八・五五
快鷹丸      六五・〇〇     六三・二五   二六・〇〇
    小滊船
 船名      登簿噸数      公称馬力
金ケ崎丸    八三・六四     三〇・〇〇
岩内丸     二三・〇〇     四〇・〇〇
石ノ巻丸    五八・八四     三〇・〇〇
芝丸      一六・〇〇     二二・〇〇
玉川丸    一一四・九九     三〇・〇〇
深川丸     一五・〇〇     二二・〇〇
横須賀丸    四六・〇〇     四〇・〇〇
第一箱崎丸   一一・五八      八・〇〇
第三箱崎丸   三二・三五     一〇・〇〇
第四箱崎丸   一八・三五      八・〇〇
第五箱崎丸    四・五〇      五・〇〇
第六箱崎丸    四・五〇      五・〇〇
第七箱崎丸    三・五〇      四・〇〇
繁栄丸     五〇・〇〇     三五・〇〇
弥彦丸     四二・〇〇     二〇・〇〇
隼丸       九・〇〇     三〇・〇〇
雲雀丸      六・〇〇      九・〇〇
小鷹丸      八・〇〇      八・〇〇
杜丸       四・〇〇      六・〇〇
鴎丸       四・〇〇      六・〇〇
千鳥丸      六・〇〇     一二・〇〇
熱田丸     一〇・〇〇      九・〇〇
高輪丸     一四・〇〇     一九・五〇
 - 第8巻 p.144 -ページ画像 
燕丸       四・〇〇      六・〇〇
鵲丸        ・三三      六・五〇
    帆船
 船名    総噸数        登簿噸数
金川丸  一、二六〇・七九  一、一八五・一五
頼信丸    五一三・二一    四八二・四二
経基丸    四四九・五七    四二二・六〇
満仲丸    四三四・一九    四〇八・一四
為朝丸    三一八・七〇    二九九・五八
義家丸    三六五・九三    三四三・五八
正成丸    三五八・四四    三三六・九四
秀郷丸    三五三・五二    三三二・三一
湊川丸    一五七・〇四    一四七・六二
西別丸    一七七・八七    一六七・二〇
謙信丸    三三五・六八    三〇四・〇六
    倉庫船
 船名    総噸数       総簿噸数
愛宕丸  一、六四〇・〇〇   一、六四〇・〇〇
万里丸  一、四六一・〇〇   一、四六一・〇〇
生田丸    四〇〇・〇〇     四〇〇・〇〇
神崎丸    四〇〇・〇〇     四〇〇・〇〇
回平丸    六〇〇・〇〇     六〇〇・〇〇
義経丸    三五六・〇五     三二二・八五
加越丸     九二・三五      九〇・〇〇
長風丸    一三五・八八     一二七・七三
北洋丸    一四四・〇〇     一三五・三六
   艀舟
  西洋形艀下船 達摩船 五大力船 小舟 水舟 土舟 ボート  合計
    二     九一   五五 八三  二  六   五 二四四
   第七項 船舶地所家屋増減
     船舶
一明治十九年四月八日滊船九州丸ヲ売却ス
一同四月十三日滊船壱岐丸ヲ売却ス
一同四月廿七日神戸ニ於テ倉庫船長保丸ヲ売却ス
一同四月同日四日市ニ於テ艀下舟十艘ヲ売却ス
一同四月廿九日滊船栄丸ヲ破船ノ儘売却ス
一同五月四日釜山ニ於テ仁川備付ノ艀下舟二艘ヲ新造ス
一同五月十五日函館ニ於テ艀下舟二十二艘及青森備付ノ同四艘ヲ売却ス
一同五月十七日滊船旧東京丸ヲ売却ス
一同六月廿九日滊船宿禰丸ヲ破船ノ儘競売ス
一同七月十日四日市ニ於テ艀下舟一艘ヲ売却ス
一同七月十三日滊船小菅丸ヲ売却ス
一同七月十六日滊船志摩丸ヲ売却ス
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一同八月廿五日函館ニ於テ倉庫船信玄丸ヲ売却ス
一同八月卅日横浜ニ於テ小滊船石ノ巻丸ヲ新造ス
一同八月卅日神戸ニ於テ倉庫船桜島丸ヲ競売ス
一同八月卅一日釜山ニ於テ艀下舟一艘ヲ売却ス
一同九月十四日函館ニ於テ寿都備付ノ艀下舟一艘ヲ売却ス
  ○地所家屋略ス。
   第八項 命令書中改正
一明治十九年二月一日小樽、増毛、礼文、利尻、宗谷間ノ航海度数命令書第八条ノ指定スル所ハ小樽、増毛間ハ四月ヨリ十月マテ一月五回十一月ヨリ翌年三月マテ一月四回、礼文外二郡ハ四月ヨリ十月マテ一月二回十月ヨリ翌年三月マテ一月一回ナリ、然ルニ該地方ハ冬季航海頗ル危険、既ニ増毛郡中歌村海岸ニ於テ滊船栄丸ヲ失ヒ、是ヨリ先キ三菱・共同両会社ノ船舶ニ於テモ十月下旬以後回船シテ無難ニ航海ヲ終レルモノ殆ント絶無ノ姿ニ付、更ニ冬季中航海度数減少ノ義ヲ逓信大臣ニ上願セシニ、同月廿六円同大臣ヨリ第二八号ヲ以、命令書第八条中小樽、増毛、礼文宗谷間ノ項小樽、増毛間ハ三月中旬ヨリ十一月中旬迄一月五回、礼文、利尻、宗谷ノ三郡並ニ苫前郡ノ内焼尻ハ四月ヨリ十月マテ一月二回ニ更正スル旨達セラレタリ
一同五月四日、本社ハ命令書第六条ニ依リ、本店ヲ東京ニ設置アリト雖トモ、社業上ノ便利ハ横浜ヲ以東京ニ勝レリトスル見込ナル旨逓信大臣ヘ稟申セシニ、同月十三日命令書第六条中東京ヲ横浜ト改正スル旨御指令アリタリ
  ○第九項船舶遭難略ス。
   第十項 各店位置
明治十九年九月三十日現在本支店・出張所・代理店等ノ位置ハ左ノ如シ
本社          東京府武蔵国日本橋区南茅場町十六番地
本社江戸橋荷扱所    同府同国同区本材木町壱丁目四日市河岸
本社深川荷扱所     同府同国深川区堀川町三番地
横浜支店        神奈川県武蔵国横浜区海岸通四丁目拾八番地
大坂支店        大坂府下摂津国曾根崎村三百八拾番地
神戸支店        兵庫県下摂津国神戸区海岸通六丁目二番地
四日市支店       三重県下伊勢国四日市稲葉町六番地
下ノ関支店       山口県下長門国赤間関区外浜町二百五拾九番地
長崎支店        長崎県下肥前国長崎区梅ケ崎町三番地
高知支店        高知県下土佐国土佐郡農人町四拾八番地
石ノ巻支店       宮城県下陸前国牡鹿郡石巻村字本町囲卅三番地
函館支店        北海道庁管下渡島国函館区船場町拾九番地
小樽支店        同後志国高島郡手宮町拾番地
根室支店        同根室国根室郡本町三丁目壱番地
新潟支店        新潟県下越後国蒲原郡新潟区礎町三丁目廿壱番地
伏木支店        富山県下越中国射水郡新湊伏木村五拾壱番地
上海支店        清国上海
仁川支店        朝鮮国仁川第七号地
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元山津支店       同国元山津第二区一番地
四日市支店名古屋出張所 愛知県下尾張国名古屋木挽町五丁目九番地
石ノ巻支店荻ノ浜出張所 宮城県下陸前国牡鹿郡荻ノ浜字東囲二番地
元山津支店釜山出張所  朝鮮国釜山浦第壱区本町一丁目拾四番地
酒田出張        山形県下羽後国酒田
土崎出張        秋田県下羽後国土崎
大阪支店敦賀出張    福井県下越前国敦賀
神戸支店鹿児島出張   鹿児島県下薩摩国鹿児島
同大島出張       同県下大隈国大島
同琉球出張       沖縄県下琉球国那覇
四日市支店半田出張   愛知県下尾張国半田
石ノ巻支店塩釜出張   宮城県下陸前国塩釜
同八ノ戸出張      青森県下陸奥国八ノ戸
函館支店青森出張    同県同国青森
新潟支店直江津出張   新潟県下越後国直江津
浦塩斯徳代理店     露領浦塩斯徳クンツ、ヱンド、アルバム商会
天津代理店       清国天津フホルビス、ヱンド、グラーム商会
芝罘代理店       同国芝罘コルナベ商会
   第十一項 役員
一本社命令書第廿四条及定款第十九条ニ依リ、明治十八年九月廿九日農商務省ニ於テ森岡昌純ヲ社長ニ、岡本健三郎・小室信夫・荘田平五郎・堀基ノ四名ヲ理事ニ特命セラレタリ
一明治十八年十月三日農商務省ニ於テ「ヱー、アール、ブラウン」ヲ本社理事格ニ特命セラレタリ
一同十二月三日理事小室信夫・荘田平五郎・堀基ノ三名辞職セリ
一同十二月廿六日理事岡本健三郎病死セリ
一明治十九年九月三十日現在海陸役員左表ノ如シ
    明治十九年九月三十日現在役員表
   陸員                海員
  役名   内国人 外国人 小計   役名   内国人  外国人  小計
 社長     一       一  監督船長        一    一
 理事格        一   一  監督機関手       二    二
 航海監督       一   一  船長    三七   二六   六三
 機関監督       一   一  運転手  一四一   五五  一九六
 支配人   二〇   四  二四  機関手  一〇四   七八  一八二
 副支配人  一〇      一〇  事務長   一九    四   二三
 手代   二八七     二八七  事務員  一二八    五  一三三
 雇倉庫主任      一   一  倉船守衛   六    三    九
 雇工所主任      一   一 
 雇書記       二四  二四
 雇技手        四   四
 雇製図方       一   一
 合計   三一八  三八 三五六   合計  四三五  一七四  六〇九
 - 第8巻 p.147 -ページ画像 
 総計   九百六拾五人(内国人 七百五十三人 外国人 二百十二人)
右本社第壱回報告前書之通相違無之候也
                  日本郵船会社々長
  明治二十年十二月
                      森岡昌純
  ○右掲載第壱回報告報告年次ハ明治十九年ナラサルベカラズ。ココニハ原記ニ従ツテ明治二十年十二月トセリ。
  ○同会社ハ三菱、共同運輸両社激争ノ余ヲ承ケ、諸般ノ整備改革ヲナスノ必要ニ迫ラレタリ。創業ノ際、右両社ヨリ継承シタル船舶ノ数ハ、汽船五十八艘六万四千六百十噸、帆船十一艘四千七百二十五噸ナリシガ、老朽又ハ構造適当ナラザルモノ頗ル多ク、而モ其船価ハ一噸ニ付凡ソ百二十余円ノ割ニ上リ、甚ダ高価ニ過グル譏ヲ免レズ、依テ就中最モ不経済ナル汽船八艘六千六百七十八噸、帆船二艘一千七百十噸ヲ二ケ年間ニ売却シ、更ニ良好ナル新造汽船ヲ購入シテ之ヲ補フト共ニ、従来ノ船舶ニ充分ナル修繕ヲ加ヘテ船質ヲ改善シタルノミナラズ、其船価ヲモ一噸ニ付百円ヲ超エザル程度ニ切下ゲタリ。
   又船価ノ切下ゲト共ニ老朽船或ハ構造不適当ノタメ売却シタルモノハ、明治十九年以降同二十五年四月迄ニ九州丸以下十六艘ナリキ。即チ明治十八年十月一日ノ開業当初ノ汽船中、船齢十年未満ノモノハ二十八艘三万一千九十一噸ニシテ、総噸数ノ約四割八分ヲ占メ、船齢十年以上ノモノハ三十艘三万三千五百十九噸ニシテ総噸数ノ約五割二分ト云フ如キ全所有船舶中ノ老齢船数ハ過半ニ上リタルガ、新造若クハ改治及ビ売却ノ結果、明治二十五年四月末ニ於テハ汽船四十七艘六万六千五百四噸中船齢十年未満ノモノハ、二十八艘四万七千三百五十六噸トナリ、総計噸数ノ七割一分強ニ当リ、開業当初ニ比スレバ著シク質的向上ヲ遂ゲタリ。玆ニ明治二十五年四月現在ノ汽船ヲ船齢十年未満ト以上トニ分別シテ列挙スレバ左ノ如シ


図表を画像で表示--

          東京丸     山城丸(第一) 近江丸(第一) 横浜丸(第一) 薩摩丸          長門丸(第一) 相模丸(第一) 肥後丸     陸奥丸     駿河丸 十年未満の汽船  美濃丸     播摩丸     出雲丸     遠江丸     伊勢丸          尾張丸     越後丸     三池丸     西京丸     神戸丸          酒田丸     伏木丸     仙台丸     広島丸(第二) 石ノ巻丸          北海丸     玄海丸     三河丸           熊本丸     兵庫丸      豊島丸     品川丸     玄武丸 十年以上の汽船  矯竜丸     住ノ江丸     東海丸     田子浦丸    貫効丸          千年丸     松前丸      青竜丸     敦賀丸(第一) 高砂丸(第一)          新潟丸(第一) 和歌浦丸(第一) 室蘭丸(第一) 弥彦丸 



   斯クノ如ク船舶ニ於ケル整理改良ヲ加フルト共ニ、創業当初当会社ノ旧三菱会社ニ対スル金五十四万三千余円、旧共同運輸会社ニ対スル金五十二万六千余円、合計金一百六万九千余円ノ負債ハ、命令書第五条ニ依リ、年七分ノ利子ヲ附シテ五ケ年乃至十ケ年間ニ償還スベキ義務ヲ負ヒタルモ、此七分ノ利子ハ当時ノ金利ニ比スルニ頗ル割高ナレバ、早ク之ヲ償還センコトヲ計リ、政府ノ認可ヲ得、十九年十二月・二十年十二月・二十一年度ノ三年間ニ悉皆償還シ終レリ。
   他方資産ノ実価ヲ精査シ、収支予算ヲ審ニシ、以テ前途ノ計画ヲ確立スルヲ急務トシ、明治十九年三月二十四日資本ノ減額及ビ積立金ノ整理減額等ニ関シ、松方大蔵大臣並ニ榎本逓信大臣ニ稟請シテ許可ヲ得、明治二十年十二月十五日臨時株主総会ヲ開キ、資本金一千一百万円ヲ漸次八百八十万円ニマデ償却減額スルコトヲ決議シ、之ガ実行ヲ経テ、同二十五年十二月二十七日ノ総会ニ於テ定款変更ヲ決議シタル後、翌年一月十七日之ガ認可ヲ得テ資本金八百八十万円トシ、之ヲ十七万六千株ニ分テリ。又命令ニ依ル積立金ハ過大ニシテ社業ノ活動ヲ妨ゲ営業ノ実情ニ副ハザルヲ以テ、改
 - 第8巻 p.148 -ページ画像 
正ノ案ヲ立テ、二十年十二月十五日臨時株主総会ノ決議ヲ以テ命令書変更ヲ逓信大臣ニ請願シ、其認可ヲ得、更改命令書ノ交附ヲ受ケタリ。此外経費ノ節約ヲ計リ、支店・出張所ヲ減廃シ、人員ノ淘汰整理ヲ行ヒ、幹部ノ減俸ヲ断行シテ人件費ノ省減ニ努ムル等、幾多ノ改革ヲ施シ、業務ノ整理改善ヲナシタリ。(日本郵船会社五十年史ニヨル)


日本郵船会社株主一覧表 明治二〇年一二月(DK080005k-0004)
第8巻 p.148-149 ページ画像

日本郵船会社株主一覧表 明治二〇年一二月
        株数     府県 姓名
       三六、四一七  東京          岩崎久弥
       三一、三一〇  同   内蔵頭     杉孫七郎
       二〇、〇〇〇  同          岩崎弥之助
       一三、八〇〇  同  大蔵省預金局長 大野直輔
        三、一四六  同          平光茂兵衛
        三、〇五二  同          森岡昌純
        二、三一九  京都         土岐竜次郎

        二、〇〇〇  東京         川田小一郎
        一、五六九  大坂         亀田介次郎
        一、五六三  東京         渡辺治右衛門
        一、三五〇  同          黒田清隆
        一、三四〇  同          末延道成
        一、〇六二  同          大矢富次郎
        一、〇一七  同          内藤為三郎
        一、〇〇〇  同          今村清之助
          九六九  同 三井物産会社副長 木村正幹
          九五〇  神奈川        平沼専蔵
          九五〇  東京         小泉作太郎
          八四二  同          吉川泰二郎
          八三六  神奈川        朝田又七
          八一一  東京         岡本浅吉
          七五〇  同          鷹司煕通
          七四〇  同          一条実輝
          七四〇  同          柴崎幸一郎
          七〇〇  神奈川        近藤廉平
          六五〇  東京         二条基弘
          六五〇  同          吉永治道
          六二一  同          岡本善七
          六二一  富山         馬場道久
          六一八  東京         長谷川次郎兵衛
          六〇〇  同          吉武誠一郎
          六〇〇  兵庫         小西新右衛門
          六〇〇  東京         朝吹英二
          五九〇  同          加藤正義
          五八〇  同          山内駒五郎
          五六二  神奈川        渡辺福三郎
          五四〇  東京         浅田正文
 - 第8巻 p.149 -ページ画像 
          五三〇  同          加藤亮
          五〇五  同          武井守正
          五〇〇  新潟         浜松弘
          五〇〇  大坂         内田耕作
          五〇〇  三重         船本竜之助
          五〇〇  東京         森田晋三
          ○中略
          二〇〇  東京         渋沢栄一
          ○下略
            人員   武千八百九拾人
        総合計 株数   弐拾弐万株
            額面金額 壱千百万円
                (明治二十年十月三十一日現在)


日本郵船会社報告 第二回〔明治二〇年一一月〕(DK080005k-0005)
第8巻 p.149 ページ画像

日本郵船会社報告  第二回〔明治二〇年一一月〕
    負債券
 負債券所有人名及ヒ其金額左表ノ如シ
   負債券所有人一覧表 明治廿年十月三十一日現在
  府県  姓名   券数    負債元金       第一回償還金済       差引残
  東京 岩崎久弥 五四三  五四三、〇〇〇・〇〇〇  五四、三〇〇・〇〇〇 四八八、七〇〇・〇〇〇
  同 池田茂政  一六五  一六五、〇〇〇・〇〇〇  一六、五〇〇・〇〇〇 一四八、五〇〇・〇〇〇
  同 渋沢栄一   九五   九五、〇〇〇・〇〇〇   九、五〇〇・〇〇〇  八五、五〇〇・〇〇〇
  同 西村虎四郎  四〇   四〇、〇〇〇・〇〇〇   四、〇〇〇・〇〇〇  三六、〇〇〇・〇〇〇
  同 清田直    三〇   三〇、〇〇〇・〇〇〇   三、〇〇〇・〇〇〇  二七、〇〇〇・〇〇〇
  同 益田孝    三〇   三〇、〇〇〇・〇〇〇   三、〇〇〇・〇〇〇  二七、〇〇〇・〇〇〇
  同 太田原則孝  二七   二七、〇〇〇・〇〇〇   二、七〇〇・〇〇〇  二四、三〇〇・〇〇〇
  同 山中隣之助  二二   二二、〇〇〇・〇〇〇   二、二〇〇・〇〇〇  一九、八〇〇・〇〇〇
  同 三井武之助  二〇   二〇、〇〇〇・〇〇〇   二、〇〇〇・〇〇〇  一八、〇〇〇・〇〇〇
  ○中略
  合計   一、〇六九 一、〇六九、〇〇〇・〇〇〇 一〇六、九〇〇・〇〇〇 九六二、一〇〇・〇〇〇


中外物価新報 第一七一三号〔明治二〇年一二月一六日〕 日本郵船会社臨時定式総会(DK080005k-0006)
第8巻 p.149-151 ページ画像

中外物価新報  第一七一三号〔明治二〇年一二月一六日〕
    日本郵船会社臨時定式総会
予て記したる如く日本郵船会社は昨日午後二時過頃より先つ株主臨時会を開き、当日出席したる株主は都合四百二十一名(此の株数十七万七千九百五十株)にて、森岡社長には先つ議長の席に就きて開会の主意を述べ、夫より書記をして其議案を朗読せしめ、又理事吉川泰治郎氏立て細々と同会社過去現在の事情を述べ、次で今回臨時会を開き五ケ条の議案を発する事由及び社運の将来に望みある所以等を説き、了て其の議案を衆議に附せしが、多少の質疑等ありて悉く原案に可決したり、今其摸様を記さんに、其議事に取掛るや、渋沢氏は直に立ちて第一号より第五号に至る議案に付ては一々順次に可否の決を取るべき旨を議長に勧告し、第一号議案即ち命令書第七条補給金は其社資本の増減収入の多少に拘らず同条に記載せる年限中毎年金八十八万円宛下附すべしとの達に付き、受書を捧呈するの件は満場一致を以て可決したり、次に第二号議案各種積立金等の議に付き請願の件に関しては、役員賞与金の点に於て安田善次郎氏より役員と云ふの分界に付き質疑
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あり、又岡山兼吉氏が保険積立金逓減の説明に経験云々の文字あるゆへ此の経験とは如何なる経験なるかとの質問ありしが吉川理事には右に答へて、役員とは水夫を除き海陸役員九百四十七人(内国人七百二十人外国人二百廿七人)を云ひ、経験とは彼の彼阿会社其他の経験報告に拠るとの説明にて是又満場一致にて可決したり(此際梅浦氏は役員賞与を行ふには宜しく其方法を撰び例へは金を与ふる代りに株券を以てするが如きも宜しかるべしと主任者に忠告したり)其議決は左に
 第二十八条 其会社は収入金の内より通常海陸の経費役員賞与並に左記の金額及び毎年負債元利償還の額を引去り、自余の純益金に政府補給金額を併せ株主に配当すべし、但し株主配当金は負債元利を償還し了る迄年八歩を以て限りとし、役員賞与は毎年収入金の内より通常海陸の経費を引去りたる残額、即ち営業益金二十分の一以上十分の一以下を以て定限と為すべし
  第一、保険積立金 船舶保険準備として、一箇年に付、各船総代価百分の五を積立べし
  第二、大修繕積立金 当分の内船舶大修繕及び新船増加の準備として、一箇年に付、各船総代価の百分の三を積立べし
  第三、減価引除金 船価年を逐て逓減す《(る脱)》が故に、一箇年に付、各船総代価の百分の五を引除べし
 船価の減少により第一項乃至第三項の金員を通計して年額九十万円に達せざる時は臨時第二項の歩合を増加して此金額に充たしむべし収入金少きが為め以上の割合に従ひ積立金を為し得さる場合に於ては、通常海陸の経費、役員賞与・負債利子等其年度に於て必要欠くべからざる支出及び第三項減価引除金を引去り、其残額を以て第一項・第二項に割合積立置き、其欠額は翌年度以後に於て補塡すべし
又第三号議案即ち利益配当期限の義に付ては、今村清之助氏の質疑あり、且つ其割合を前以て確定されたしとの発言ありしも、渋沢氏の一言にて直ちに左の通り可決したり
 第二十九条 其会社の損益計算及び業務の実況は毎年十二月株主総会に於て之を報告すべし
 利益益金配当は毎年六月十二月の両度に於て□□《(すへ)》し
  但六月は年八歩の割合を以てすへし
又第四号議案即ち資本金償却の件に就ては、其償却方法如何との事に付き再三質疑を為したるものありしも、是又原案通り直に可決したり本社株金一千百万円の処、今後会計の都合を計り政府の認許を得て漸次八百八十万円まで償却せんことを予め本会の議決せんことを請ふ
右の如く第一より第四に至る迄悉く原案通り可決したるを以て、其手順としては随て命令書の改正及び定款の改正をも為さゞる可らず、即ち五号議案の依て生じたる所以なれば此れも直ちに可決したり、但し五号議案は右議決の件々より命令書並に定款等に改正を加へたる者にて別に変りし事なきゆへ玆に略しぬ
第一より第五に至る五ケの議案が斯くも速に可決したるを以て、議長は暫時休憩を命じ、議決の模様を主務大臣に上申し、直ちに認可を得たり、依て森岡社長は直様此旨を報じ、又吉川理事には今度資本金償
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却の計画に付き兼て其筋へ出願し置きたる帝室御所有株三万一千三百十株、即ち百五十六万五千五百円の株券を元価にて払下げ、尚其代金は六ケ年賦上納の事に聞済みの達ありたる旨を報じて、更に株主定式会を開き、一昨十八年十一月一日以降本年九月三十日に至る二周年間の会計業務の報告書を与へ、渋沢氏は衆株主に代て社長・理事其他役員に向て一片の謝辞を述べ、森岡社長之が答弁を為して臨時定式両会とも至極満足に議了したるは、同会社の為め株主の為め寔に賀すべき事共なり、夫より株主役員等には同館の楼上に於て立食の饗宴を開きたり、当日は岩崎・荘田の両氏は出席なかりしも、青木外務次官・林元老院議官・渋沢・益田・安田・西村等の諸氏、並に逓信官吏等をも見受けたり、尚業務の概況、会計の模様等は紙面の都合に依り次号に記載すべし



〔参考〕財界太平記 (白柳秀湖著) 第一〇〇頁 〔昭和四年一月〕(DK080005k-0007)
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財界太平記 (白柳秀湖著) 第一〇〇頁 〔昭和四年一月〕
 かやうに日本郵船会社は三菱と共同運輸との合同によつて成立したとはいふものの、其勝味は十分に三菱の側にあつた。政府は此時、三菱会社の新社長岩崎弥之助に、日本郵船会社の社長たらんことを慫慂したけれども、弥之助は固辞して承けなかつたので、最初の社長には共同運輸の新社長森岡昌純が就任した。森岡が日本郵船会社最初の社長に就任したことは、合同に際して共同運輸が花を持たされたやうであるが、実をいふとそれは岩崎弥之助が就任したと同じ筋合であつた。若し共同運輸が十分の強味を持つて三菱と合同したならば、日本郵船初代の社長には品川弥次郎が官を辞して就任するか、然らざれば渋沢栄一・益田孝両氏の中孰れかゞ社長に就任しなければならぬ筋合のものであつた。
 尚ほ合同の際三菱側を代表して同社の役員に就任したのは、荘田平五郎・吉川泰次郎・内田耕作・近藤廉平・浅田正文の五名で、それはすべて共同運輸との争覇戦に殊勲のあつたものとして弥之助に選まれた人々であつた。