デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
25節 取引所
2款 東京米商会所
■綱文

第14巻 p.6-27(DK140002k) ページ画像

明治11年下半季(1878年)

是ヨリ先明治九年十月、米商会所条例ニ準拠シテ東京商社ヲ改組セルヲ東京兜町米商会所トス。栄一ソノ改組ニ関セシヤ否ヤハ詳ラカナラザルモ、此季ニ到リテ福地源一郎・益田孝・渋沢喜作・田中平八・大倉喜八郎等ト共ニ三井次郎右衛門所有ノ同所株式ノ譲渡ヲ受ケ、株主名簿ニ名ヲ列ス。


■資料

回議録 第三類 米商会所・株式取引所 明治一二年自一月至四月(DK140002k-0001)
第14巻 p.6-7 ページ画像

回議録  第三類 米商会所・株式取引所 明治一二年自一月至四月 (東京府庁所蔵)
    株式売買人名表        東京兜町米商会所

図表を画像で表示株式売買人名表

  以下p.7 ページ画像  株数株金     株券号    売渡買受   属籍      住所               姓名 七拾株     自八拾三号    売渡   京都府平民   深川区西大工町八番地寄留     三井次郎右衛門  此金七千円  至百五拾弐号 拾株      自八拾三号    買受   東京府平民   同区福住町四番地         渋沢栄一  此金千円   至九拾弐号 同       自九拾三号    同    同       下谷区茅町二丁目拾六番地     福地源一郎         至百弐号 同       自百三号     同    同       荏原郡区北品川宿百六拾八番地   益田孝         至百拾弐号 同       自百拾三号    同    同       日本橋区南茅場町弐拾弐番地    渋沢喜作         至百弐拾弐号 同       自百弐拾三号   同    長野県士族   麹町区飯田町三丁目弐拾七番地寄留 小松彰         至百三拾弐号 同       自百三拾三号   同    神奈川県平民  横浜弁天通二丁目弐拾八番地    田中平八         至百四拾弐号 同       自百四拾三号   同    東京府平民   日本橋区築地壱丁目弐拾壱番地   大倉喜八郎         至百五拾弐号 三株      自三百三拾六号  売渡   長野県士族   日本橋区蠣殻町二丁目十五番地寄留 加藤清直  此金三百円  至三百三拾八号 弐株      自三百三拾六号  買受   熊本県士族   本所区緑町四丁目拾四番地寄留   白井頼匡  此金弐百円  至三百三拾七号 壱株      三百三拾八号   同    同       同                山本てう  此金百円 壱株      三百八拾弐号   売渡   東京府平民   日本橋区兜町五番地        高野藤吉  此金百円 壱株      三百八拾弐号   買受   大阪府平民   同区同町二番地寄留        大淵駒三郎  此金百円 



右之通御座候也
            東京兜町米商会所
  明治十二年一月六日
                副頭取 竹中邦香
    東京府知事 楠本正隆殿


回議録 第三類 米商会所・株式取引所 明治一二年自一月至四月(DK140002k-0002)
第14巻 p.7-8 ページ画像

回議録  第三類 米商会所・株式取引所 明治一二年自一月至四月  (東京府庁所蔵)
  明治十二年一月一日株主姓名表     東京兜町米商会所

図表を画像で表示明治十二年一月一日株主姓名表

 株主        属籍      住所               姓名 八拾弐株     京都府平民   深川区西大工町八番地寄留     三井八郎右衛門  此金八千弐百円 弐拾五株     石川県士族   日本橋区兜町二番地寄留      竹中邦香  此金弐千五百円 弐拾株      京都府平民   同区坂本町四番地寄留       三井養之助  此金弐千円 弐拾株      同       深川区西大工町八番地寄留     三井武之助  此金弐千円 弐拾株      東京府平民   日本橋区北新堀町十八番地     後藤庄吉郎  此金弐千円 弐拾株      千葉県平民   深川区松賀町三番地寄留      西村郡司  此金弐千円 弐拾株      東京府平民   深川区西大工町八番地       三野村利助  此金弐千円 拾五株      同       日本橋区本船町二十四番地     岩塚利兵衛  此金千五百円 拾五株      同       神田区淡路町二丁目三番地     辻純市  此金千五百円 拾株       同       日本橋区呉服町十六番地      吉村甚兵衛  此金千円 拾株       同       同区瀬戸物町廿二番地       荒尾亀次郎  此金千円 拾株       同       同区南茅場町廿六番地       長かえ  此金千円 拾株       同       深川区福住町四番地        渋沢栄一  此金千円 拾株       同       下谷区茅町二丁目十六番地     福地源一郎  此金千円 拾株       同       荏原郡北品川宿百六十八番地    益田孝  此金千円 拾株       同       日本橋区南茅場町二十二番地    渋沢喜作  此金千円  以下p.8 ページ画像  拾株       長野県士族   麹町区飯田町三丁目廿七番地寄留  小松彰  此金千円 拾株       神奈川県平民  横浜弁天通二丁目廿八番地     田中平八  此金千円 拾株       東京府平民   京橋区築地一丁目二十一番地    大倉喜八郎  此金千円 七株       長野県士族   日本橋区蠣殻町二丁目十五番地寄留 加藤清直  此金七百円 五株       東京府平民   同区兜町三番地          阪上平次郎  此金五百円 五株       同       同区亀島町一丁目十二番地     小川幸助  此金五百円 四株       同       同区兜町五番地          須藤吉右衛門  此金四百円 三株       同       同区堀留町二丁目二十番地     野村儀兵衛  此金三百円 三株       同       同区兜町三番地          鈴木作三郎  此金三百円 弐株       同       同五番地             須藤勘兵衛  此金弐百円 弐株       同       日本橋区馬喰町三丁目六番地    柴崎吟之助  此金弐百円 弐株       同       同区兜町五番地          甲田卯三郎  此金弐百円 弐株       同       同三番地             花島新七  此金弐百円 弐株       同       深川区佐賀町二丁目四番地     岩田定吉  此金弐百円 弐株       同       本所区横網町一丁目三番地     高橋又四郎  此金弐百円 弐株       同       日本橋区兜町五番地        原三郎治  此金弐百円 弐株       同       同区南茅場町十番地        松沢与七  此金弐百円 弐株       同       同区北島町一丁目五十二番地    早川多兵衛  此金弐百円 弐株       同       同区蠣殻町二丁目十五番地     秋山甚蔵  此金弐百円 弐株       同       同区兜町五番地          増淵七兵衛  此金弐百円 弐株       同       同三番地             高木喜兵衛  此金弐百円 弐株       熊本県士族   本所区緑町四丁目十四番地寄留   白井頼匡  此金弐百円 壱株       東京府平民   日本橋区兜町五番地        高野藤吉  此金百円 壱株       同       同三番地             吉野甚三郎  此金百円 壱株       同       同五番地             鹿島新兵衛  此金百円 壱株       同       同三番地             土志田武兵衛  此金百円 壱株       同       同区小網町三丁目九番地      宮本清助  此金百円 壱株       同       京橋区南新堀町二丁目二番地    水野利兵衛  此金百円 壱株       同       日本橋区久松町四十番地      田中伝吉  此金百円 壱株       同       同区通旅籠町二十二番地      平井雄介  此金百円 壱株       大阪府平民   日本橋区兜町二番地寄留      大淵駒三郎  此金百円 壱株       熊本県士族   本所区緑町四丁目十四番地寄留   山本てう  此金百円 合金四万円                             合計四十八名 



右之通相違無之候也
  明治十二年一月十一日
             頭取三井八郎右衛門代理
               副頭取 竹中邦香(印)
               肝煎  後藤庄吉郎(印)
               同   岩塚利兵衛 病気ニ付無印
               同   辻純市(印)
    東京府知事 楠本正隆殿

 - 第14巻 p.9 -ページ画像 

(増田充績) 書翰 渋沢栄一宛(明治八年)八月三〇日(DK140002k-0003)
第14巻 p.9 ページ画像

(増田充績) 書翰  渋沢栄一宛(明治八年)八月三〇日
                      (渋沢子爵家所蔵)
拝陳益御多祥奉賀上候然者昨日御談之件々ニ付従是福地君江罷越委細申述候様可仕候、其他之廉々ハ夫々処分仕候
○米商会社創立願書写壱綴則差上置申候
○養育院より別紙御評議物差上申候、いつれ明日得拝鳳万々仕可奉申上候 頓首
  八月三十日                   充績
    渋沢様


東京商社報告(DK140002k-0004)
第14巻 p.9 ページ画像

東京商社報告        (東京商科大学附属図書館所蔵)
    米穀限月約定売買相場建の起源
○上略 明治九年八月太政官第百五号を以米商会所条例御頒降に付、一方にては東京商社の社中たる右三井次郎右衛門代理竹中邦香等にて米商会所創立の官許を得、十月二日を以開業仕候は則当兜町米商会所に御座候
○下略


銀行雑誌 第三号・第二三―二四頁〔明治一一年二月二三日〕 米商会所一覧表(DK140002k-0005)
第14巻 p.9 ページ画像

銀行雑誌  第三号・第二三―二四頁〔明治一一年二月二三日〕
米商会所一覧表
 此表面ニ掲クル米商会所ハ明治九年八月一日該条例頒布以来本年本月ニ至ル迄許可ヲ得テ開業スルモノナリ、該会所及ヒ株式取引所ノ事務ハ昨年十二月中当課○大蔵省銀行課ノ主管ニ属スルヲ以テ爾后右両所ノ営業ニ関シ緊要ナル論説雑報アルトキハ時々掲載スヘシ

  会所名称  地名 資本金額     頭取     副頭取
兜町米商会所  東京 金四万円   三井次郎右衛門 竹中邦香
蠣殻町米商会所 東京 同五万円   米倉一平    石原近昌
近江同     滋賀 同三万円   河村真秀    中村伊助
堂島同     大坂 同七万五千円 磯野小右衛門
赤間関同    山口 同三万円   徳永源衛
桑名同     三重 同三万円   柳本通徳    西村徳右衛門
新潟同     新潟 同三万円   本間新作    堀治作
兵庫同     兵庫 同三万円   北風正造    神田兵右衛門


回議録 第三類 米商会所・株式取引所 明治一二年自一月至四月(DK140002k-0006)
第14巻 p.9-11 ページ画像

回議録  第三類 米商会所・株式取引所 明治一二年自一月至四月
    東京兜町米商会所創立証書追加条目
当会所ノ株主ハ其責任ヲ保証有限ト定メ、若シ会所非常ノ損害ヲ醸生シ又ハ被害ノ為メニ解社スルノ場合ニ際シテハ、其負債及ヒ右ニ関スル諸費ヲ弁償スルタメ、各自現在所持ノ株高ノ二倍マテヲ負担シ、更ニ出金スヘシ
右創立証書中追加セシ条目ヲ株主一同遵守スヘキ証拠トシテ各記名調印致シ候也
 - 第14巻 p.10 -ページ画像 
  明治十二年
    二月十日
           東京兜町米商会所
            株主
             東京日本橋区駿河町四番地寄留
                 京都府平民
                    三井八郎右衛門
                    代理 竹中邦香(印)
           東京日本橋区兜町弐番地寄留
                 石川県士族
                    竹中邦香(印)
                 京都府平民
                    三井養之助
                    洋行ニ付代理
                      三井武之助(印)
           東京日本橋区本両替町寄留
                 京都府平民
                    三井武之助(印)
           東京日本橋区北新堀町拾八番地
                 東京府平民
                    後藤庄吉郎(印)
           東京深川区松賀町三番地寄留
                 千葉県平民
                    西村郡司(印)
           東京深川区西大工町八番地
                 東京府平民
                    三野村利助(印)
           東京日本橋区本船町弐拾四番地
                 東京府平民
                    岩塚利兵衛(印)
           東京神田区淡路町弐丁目三番地
                 東京府平民
                    辻純市(印)
           東京日本橋区呉服町拾六番地
                 東京府平民
                    吉村甚兵衛(印)
           東京日本橋区瀬戸物町拾壱番地
                 東京府平民
                    荒尾亀次郎(印)
           東京日本橋区南茅場町廿三番地
                 東京府平民
                    長かえ(印)
           東京深川区福住町四番地
                 東京府平民
                    渋沢栄一(印)
 - 第14巻 p.11 -ページ画像 
           東京下谷区茅町二丁目拾六番地
                 東京府平民
                    福地源一郎(印)
           東京府下荏原郡北品川宿百六十八番地
                 東京府平民
                    益田孝(印)
           東京日本橋区南茅場町廿弐番地
                 東京府平民
                    渋沢喜作(印)
           東京麹町区飯田町三丁目弐拾七番地寄留
                 長野県士族
                    小松彰(印)
           神奈川県下横浜弁天通二丁目二十八番地
                 神奈川県平民
                    田中平八(印)
           東京京橋区築地一丁目拾四番地
                 東京府平民
                    大倉喜八郎(印)
                      ○以下三十名氏名略ス


(東京兜町米商会所)申合規則第六回改正条目(DK140002k-0007)
第14巻 p.11-12 ページ画像

(東京兜町米商会所)申合規則第六回改正条目
                   (渋沢子爵家所蔵)
(表紙)

図表を画像で表示

 明治十二年十月ヨリ施行        [img 図]東京兜町米商会所図書之部 [img 図]申合規則第六回改正条目      東京兜町米商会所 


  申合規則第六回改正条目
一申合規則第十八条但書〔例年六月ヨリ九月マテハ〕ノ十一字ヲ刪リ
 〔正午十二時〕ヲ
   〔午前十時〕
 ニ〔午後二時〕ヲ
   〔正午十二時〕
 ニ改ム
右申合規則中改正セシニ付、会所営業上何レモ確守スヘキ証トシテ一同記名調印スヘキモノナリ
  明治十二年十月四日
                  東京兜町米商会所
                   頭取
                     田中平八
 - 第14巻 p.12 -ページ画像 
                   肝煎
                     後藤庄吉郎
                   肝煎
                     大倉喜八郎
                   肝煎
                     岩塚利兵衛
                   肝煎
                     辻純市
                   肝煎兼支配人
                     竹中邦香



〔参考〕東京兜町米商会所創立証書(DK140002k-0008)
第14巻 p.12-26 ページ画像

東京兜町米商会所創立証書         (土屋喬雄氏所蔵)
  東京兜町米商会所創立証書
 明治九年八月太政官第百五号公布米商会所条例ノ旨趣ヲ遵奉シ、米商会所ヲ創立シテ其商業ヲ経営セント謀リ、此証書第五条ニ連名シタル者協議シテ左ノ条々ヲ取極候也
    第一条
当会所ノ総員ハ米商会所条例ノ旨趣ヲ遵奉シ且ツ会所定款申合規則ヲ確守ス可シ
    第二条
当会所ノ名号ハ東京兜町米商会所ト称スヘシ
    第三条
当会所営業ノ年限ハ開業ノ日ヨリ満五ケ年タル可シ
    第四条
当会所ハ東京第一大区十五小区兜町四番地ニ取建ツ可シ
    第五条
当会所ノ資本金ハ四万円ニシテ之ヲ四百株トナシ、其内発起人ニテ所持スヘキ株数並ニ其属籍住所姓名等左ノ表ノ如シ

図表を画像で表示--

 株数      属籍     住所                                             姓名 弐百株    京都府平民  京都上京第廿七区油小路通二条下二条油小路町居住当時東京第六大区三小区深川西大工町八番地寄留  三井次郎右衛門 此金弐万円 弐拾株    京都府平民  京都上京第二十区下長者町通油小路西ヘ入ル紹巴町居住当時東京第一大区十五小区坂本町四番地寄留  三井養之助 此金弐千円 弐拾株    京都府平民  京都上京第廿七区油小路通二条下ル二条油小路町居住当時東京第六大区三小区深川西大工町八番地寄留 三井武之助 此金弐千円 弐拾株    東京府平民  東京第一大区十六小区北新堀町十八番地居住                           後藤庄吉郎 此金弐千円 弐拾株    千葉県平民  下総国印旛郡八街村居住当時東京第六大区壱小区深川松賀町三番地寄留               西村郡司 此金弐千円  以下p.13 ページ画像  拾五株    東京府平民  東京第一大区五小区本船町二十四番地居住                            岩塚利兵衛 此金千五百円 拾五株    東京府平民  東京第四大区一小区神田淡路町二丁目三番地居住                         辻純市 此金千五百円 拾五株    石川県士族  加賀国第九区三小区金沢里見町二番地居住当時東京第一大区十五小区兜町二番地寄留         竹中邦香 此金千五百円 拾株     東京府平民  東京第一大区六小区呉服町十六番地居住                             吉村甚兵衛 此金千円 拾株     長野県士族  信濃国松本北深志町五番地百七十五番地居住当時東京第一大区十四小区蠣殻町二丁目十五番地寄留   加藤清直 此金千円 合計株数三百四十五株此金三万四千五百円                                          総計拾人 



    第六条
当会所ノ株主及ヒ仲買人ハ内国人ニ限ル可シ
此証書ハ株主一同ノ利益ヲ謀ル為メ取極メタル証拠トシテ各姓名ヲ自記調印致シ候、追テ加入候者ハ順次連署セシメ可申候也
  明治九年八月二十五日
    京都府
     上京区第二十七区油小路通リ二条下ル二条油小路町住
     当時東京第六大区三小区深川西大工町八番地寄留
            平民 三井次郎右衛門代理
                発起人 竹中邦香
    京都府
     上京第二十区下長者町通リ油小路西ヘ入ル紹巴町住
     当時東京第一大区十五小区阪本町四番地寄留
            平民 同      三井養之助
    京都府
     上京第二十七区油小路通リ二条下ル二条油小路町住
     当時東京第六大区三小区深川西大工町八番地寄留
            平民 同      三井武之助
    東京府
     第一大区十六小区北新堀町十八番地
            平民 同      後藤庄吉郎
    千葉県
     下総国印旛郡八街村住
     当時東京第六大区一小区深川松賀町三番地寄留
            平民 発起人    西村郡司
    東京府
     第一大区五小区本船町二十四番地
            平民 同      岩塚利兵衛
    東京府
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     第四大区一小区神田淡路町二丁目三番地
            平民 同      辻純市
    石川県
     加賀国第九区小三区金沢里見町二番邸住
     当時東京第一大区十五小区兜町二番地寄留
            士族 同      竹中邦香
    東京府
     第一大区六小区呉服町十六番地
            平民 同      吉村甚兵衛
    長野県
     信濃国松本北深志町五番町百七十五番地住
     当時東京第一大区十四小区蠣殻町二丁目十五番地寄留
            士族 同      加藤清直
  会所定款
 明治九年八月太政官第百五号公布米商会所条例ノ旨趣ヲ遵奉シ、東京府第一大区十五小区兜町四番地ニ於テ之ヲ創立センカ為メ協同結社シテ爰ニ株主一同互ニ約定スル規則ノ条々左ノ如シ
    第一条
当会所ニ加入シ株主帳ニ記名調印スル人々ハ、創立証書及此定款並申合規程ニモ之ヲ承諾セシ証拠トシテ必記名調印スヘシ
    第二条
当会所ハ米商人ノ集会シ売買取引ヲ為ス所ニシテ、其事務ハ此定款並申合規則ニ従ヒ之ヲ会所頭取及肝煎ニ委任ス可シ、又頭取肝煎等ハ其約定ヲ監護シ取引ヲ確実ナラシメ其他会所一切ノ責ニ任スヘシ
    第三条
当会所ノ役員ト称スルモノハ左ノ如シ
 頭取  壱人
 副頭取 壱人
 肝煎  三人 此内 商議掛 壱人 検査掛 壱人 出納掛 壱人
 支配人 二人
 書記方 四人
 勘定方 四人
 簿記方 拾弐人
右ノ役員ハ各其職務ニ対シ会所ニ於テ定メタル給料ヲ受収スヘシ
    第四条
当会所ノ肝煎ハ投票ヲ以テ十株以上ヲ所持シタル株主ノ中ヨリ撰挙シ其人員ハ五名ト定ムヘシ、但此内三名ハ東京府下ニ壱ケ年以上在住シタルモノニ限ルヘシ、又其撰挙ノ初集会ノ月日ハ株主一同ノ都合ニ任セ、以後ハ毎年定式ノ集会ニ於テ之ヲナスヘシ
右撰挙ニ応シタル肝煎ハ其同僚中ニ於テ投票ヲ以テ頭取一名副頭取一名ヲ撰任スヘシ
若シ頭取肝煎等ニ適当スヘキ人才アリテ衆望之レニ帰スルモ、其者ノ所持株不足ナルヲ以テ撰挙シ難キトキハ、其株数ヲ定額ニ充ツル迄ノ
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金高ニ増加セシメ、然ル后撰任スルコトアルヘシ
正副頭取ノ在職ハ一箇年間又肝煎ハ二ケ年間ヲ以テ一期ト為スヘシ、但衆望ニ由リテハ重年セシムルコトヲ得ヘシ
毎年肝煎等撰挙ノ集会ニ於テ其人員ノ半ヲ新任シ、其順次旧員ト交代セシムヘシ、故ニ初年奉職セシ人員ノ半ハ一ケ年間又ハ残員ハ二ケ年間在職タルヘシ
頭取肝煎ノ内不時ノ欠員アルトキハ他ノ頭取肝煎ニテ代人ヲ撰挙シ其欠ヲ補フ可シ、但此代人ハ先役ノ奉職期限ヲ踰ユ可カラス
支配人以下ノ役員ハ肝煎ノ衆議ニ依リ必社中ノ人員ニ限ラス又社外ヨリ之ヲ撰任スルコトアルヘシ
    第五条
頭取ハ会所一切ノ事務ヲ総括シ他ノ役員ヲ指揮シテ職任ヲ尽サシムルノ権アルヘシ、又頭取ハ肝煎ノ分掌各掛ヲ議定スルノ権アルヘシ
頭取ハ株主決議ノ旨趣ニ従ヒ株金納入ノ手続キヲ取極メ、之ヲ株主ニ通達シ或ハ之ヲ督促シ、或ハ期約ヲ違フ時ハ会所ニ於テ其本人ヘ告知ノ上株金高ヲ没収スルノ権アルヘシ
頭取ハ米商会所条例及此定款並申合規則ニ従ヒ総テ其適任ノ職務ヲ執行ヒ、不正犯則ノ所行ハ自ラ之ヲ為サヽルノミナラス、又他人ヲ監督スルノ責ニ任ス可シ
頭取ハ肝煎ノ集会ニ臨ミ常ニ議長トナリ其議事ヲ判決スルノ権アルヘシ
副頭取ハ常ニ頭取ノ事務ヲ翼成シ、時トシテハ其代理ノ任ニ当ルコトアルヘシ
肝煎ハ衆議ヲ以テ支配人以下ノ役員ヲ撰任シ、其分掌ノ課程及ヒ其権限給料年期等ヲ取極メ、又其身元引受人ヲ約定シ、或ハ保証金ヲ取置キ、又ハ之ヲ褒貶黜陟スル等ノ権アルヘシ
肝煎ハ衆議ヲ以テ社中ノ差縺ヲ判決シ、金穀ノ出納ヲ管理シ、社中処務上ノ成例ヲ廃立シ、又ハ株主ノ衆議ヲ取ランカ為メ臨時ニ之ヲ招集スルノ権アルヘシ
肝煎ハ毎月二日定式集会ヲナスヘシ、此会議ニ於テ発言ノ権利ハ一人ニ付一説ト定メ、衆説ヲ取リテ其議事ヲ決定ス、若シ可否ノ数相半ハスルトキハ議長ノ判決ニ任ス可シ
右会議ニ当リ出席ノ定員其半ハニ充タサルトキハ其議事ヲ始ム可カラス、但急遽ノ事件ハ此限ニアラサル可シ
肝煎ハ頭取又ハ其同僚中ニ於テ職任ニ不相当ノ行ヒアルカ又ハ職務ヲ怠ル者アルトキハ、時宜ニ依リ其者ヲ免黜スルコトヲ得ヘシ、但此場合ニ於テハ臨時委員ヲ命シテ其是非ヲ議シ、次回集会ノ節無名投票ノ法ヲ以テ三分二以上ノ説ニ従カヒ其可否ヲ決スヘシ
肝煎ハ株主仲買人ノ所為ヲ監督シ、又其手ニテ設ケタル私則慣法ヲ廃止スルノ権アル可シ、尤此権ヲ施スニハ先ツ集会ノ上之ヲ評議シ、次回ノ集会ニ於テ決定シ之ヲ行フヘシ
肝煎ハ社外ノ人ト社中ノ人トノ間ニ起リタル差縺レニハ一切関係スルコトナカル可シ、尤社中ノ仲買人社外ノ人ノ為メニ仲買ヲ為シ退社逃亡死去等ノコトアル場合ニ当リ、其売買本主ト相手タル社中ノ仲買人
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トノ間ニ差縺アルトキハ此限ニアラサル可シ
此場合ニ於テ社外ノ売買本主ヨリ肝煎ノ処決ヲ請求セルトキハ、其売買本主ヲ社中ノ仲買人同様ニ見做シ、之レヲシテ肝煎ノ処決ヲ守リ決シテ違背セサルヘキ旨ノ誓詞ヲ為サシメ、然ル後之レカ処決ヲナスヘシ
頭取ノ決議ニ依リ肝煎ノ内一名充ニ商議掛出納掛検査掛ヲ命スヘシ
商議掛リハ常ニ会所ノ営業事務上ノ得失利害ヲ商量討論シ、オヨヒ凡百ノ施設上ニ付キ其順序ヲ立テ或ハ其議案ヲ草シテ之レヲ頭取ニ申陳シ、又ハ社中ノ衆議ヲ取ランカ為メ臨時集会ヲ催シ、併セテ社中一般ノ疑問ニ答弁シ、及ヒ違約人処分等ノ事ニ任スヘシ
出納掛ハ会所ニ関スル金穀出納ノ事ヲ担当シ、資本金並ヒニ身元金諸証拠金米代金及ヒ廩穀等ヲ管守シ併セテ銀行引合等ノ事ニ任スヘシ
検査掛ハ会所ノ監察主役ニシテ、常ニ金穀ノ出納ヲ監シ、諸帳簿計算ノ正否等ヲ点検シ、併セテ営業ノ実況ヲ視察シ、現務ノ得失ヲ指摘シテ其顛末ヲ記録シ、之ヲ頭取肝煎及ヒ株主一同ニ報告スル等ノ事ニ任スヘシ
検査掛リタルモノ職務ヲ怠タリ又ハ偏頗犯則ノ所業之レアルトキハ、其処分ハ他ノ掛リノモノヨリ重クスヘシ
    第六条
株主定式集会ハ毎年二月八月ノ両度ト定メ、当会所ニ於テ之レヲ執行スヘシ、其期日時限ハ其際ニ臨ミ頭取肝煎ニテ之レヲ取極メ、少クトモ十五日以前ニ総株主ニ報知スヘシ、尤モ此定式集会ハ成ルヘキ丈ケ其月ノ初メニ於テ之レヲ施行スルコトヽ為スヘシ
其他総株数ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ノ請求マタハ肝煎ノ協議ニ依リテハ臨時集会ヲ開クコトアルヘシ
右臨時ノ集会ヲ開クニ当タリテハ、其場所ナラビニ期日時限オヨヒ議事ノ大意ヲ記シテ、少ナクトモ十日間以前ニ頭取肝煎ヨリ之レヲ総株主ニ報知スヘシ
総株主ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ノ協議ニ依リテ臨時ノ集会ヲ開ラカント欲スルトキハ、其議事ノ大意ヲ頭取ニ陳ヘ株主招集ノ取扱ヲ請求ス可シ、若シ頭取ニオイテ十五日間以上其ノ手続キヲ怠タルトキハ、請求人自ツカラ之レヲ招集ヲ為スコトヲ得ヘシ
株主集会ノ議長ハ頭取或ハ株主中ヨリ臨時之レヲ撰任スヘシ
株主集会ニ当リ出頭ノ総員其半ニ充タサルトキハ会議ヲ延引シ、更ニ他日ヲ剋スヘシ
集議ニ臨ミ株主五名以上ニテ投票ヲ乞フニ非サレハ別ニ発言可否ノ多少ヲ算スルニ及ハス、議長其議ヲ断決シテ之レヲ会所ノ議定録ニ記入シ、以テ他日其事ノ証拠ト為スヘシ、若シ株主五名以上ニテ投票ヲ乞フトキハ、議長ノ指揮ニ従テ投票法ヲ行フヘシ、但シ此投票ノ多数ヲ以ツテ集議ノ決定ト視做スヘシ
集議ニ当リ可否ノ発言相半ハスルトキハ、議長之ヲ判決スルノ権アル可シ
定式又ハ臨時集会ニ於テ定款並ニ申合規則ヲ加除改正スル等ハ勿論、其他会所一般ニ関係セシ条件ヲ決議シタルトキハ、之レヲ明細ニ記シ
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必ス内務省ヘ申告スヘシ
    第七条
株主ハ集議ニ臨ミ一株ニ付毎事一説ヲ発スルノ権アリトス、然レトモ各其所持スル株数十株以上百株マデハ五株毎ニ一説宛、百株以上ハ十株毎ニ一説宛ヲ増加スヘシ、但会所ノ役員ハ発言スルヲ得ヘカラス
株主ハ其株式ヲ質入抵当トナシタル時間ハ集議ニ臨ミ発言スルヲ得可カラス
株主ハ集議ニ当リ代人ヲ出シ発言セシムルヲ得可シ、但代人タル者モ自カラ其権ヲ有スル者ニ限ルヘシ
    第八条
株券破損或ハ紛失セシトキハ其株主ノ請求ニ応シ之レヲ書換ヘ付与スヘシ、但破損ナレハ其旧券ト引換ヘ、紛失ナレハ其次第ヲ明記シ、且相違ナキ旨保証人連印ノ証書ヲ差出サシムヘシ
    第九条
当会所ニ於テ株主ノ集金ヲ要スル時ハ其度毎ニ必頭取ノ名ヲ以テ少クトモ十五日以前ニ其旨ヲ通達ス可シ、株主タルモノ若集金ノ期日ニ至リ其納金ヲ怠ル時ハ更ニ頭取ヨリ報告書ヲ達シ、其集金並ニ期限後ノ利子、其怠慢ヨリ生ル雑費ヲモ納メシムヘシ、但此報告書ニハ再ヒ其期日ヲ定メ若此期ヲ誤ルトキハ其株式ヲ没収スヘキ旨ヲ記載ス可シ
右ノ報告書ヲ達スルトモ尚再期ヲ怠リ納金セサル者ハ、頭取ノ意見ヲ以テ其株式ヲ没収スルコトヲ得ヘシ
株主其所持ノ株式ヲ没収セラルヽ時、右没収以前ニ納ムヘキ集金ハ没収後ト雖モ尚其責ヲ免ル可ラス
    第十条
当会所ノ資本金高ヲ増減スルハ株主ノ集会ニ於テ之ヲ決定スヘシ、但右増減ノ許可ヲ得テ之レヲ施行スルノ方法ハ、其時ニ臨ミ各株主ノ衆議ニ任スヘシ
    第十一条
当会所株主其所持ノ株式ヲ売渡シ譲与ヘ又ハ質入或ハ借金ノ抵当ト為サント欲スルトキハ、予メ其趣ヲ肝煎ニ申出テ其承諾ヲ受ケテ後之ヲ行フヘシ
株主其所持ノ株式ヲ売買授受スルニ当リテハ、双方連印ノ証書ヲ肝煎ニ差出スヘシ、右証書ヲ差出シタル上ハ肝煎ニ於テ会所株主帳ノ姓名ヲ書改ヘシ
毎年ノ定式集会前半ケ月間株式ノ売買授受ヲ停止シ、株式帳ノ書改メヲ為サヽルヘシ
株主ノ内死去或ハ分散ニ依リ其株式ヲ譲受ク可キ人々ニハ肝煎ノ要用トスル証拠ヲ差出サシメ然ル後之ヲ株主トシテ株主帳ヲ書改ムヘシ
右ノ手続ヲ為サスシテ売買授受シタル株券ハ会所ニ於テ其効ナキ者ト看做スヘシ
    第十二条
当会所ニ於テ自ラ米売買取引ヲ為シ、又ハ他人ノ依頼ヲ受ケテ仲買トナリ之ニ従事スル者ヲ以テ総テ仲買人ト称スヘシ、但他人ノ依頼ヲ受ケテ仲買ヲナシタルトキハ、其依頼人ノ姓名住所等ヲ其時々肝煎ニ申
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告スヘシ
当会所ノ株主タルモノハ会所ノ役員タラサル時間ハ、何時ニテモ肝煎ノ承認ヲ経テ仲買人トナルコトヲ得ヘシ
総テ仲買人タルコトヲ欲スルモノハ仲買人撰任ノ期日十五日前マテニ書面ヲ以テ肝煎ニ申出スヘシ、此書面ニハ姓名住所年齢商業等ヲ記シテ之ニ調印シ、且二名以上証人ノ連印ヲ要スヘシ、尤株主タル者ハ別段証人ヲ要スルニ及ハサルヘシ
此仲買人タル者ハ営業上ニ於テ米商会所条例此定款申合規則ヲ確守ス可キ旨ノ約定ヲ確実ニシ、及ヒ違約ノ償弁ニ供用スヘキ為メ身元証拠金トシテ金百円ヲ当会所ニ差出シ置ヘシ、但此身元金ハ会所ニ於テ他ニ使用スル等ノコト無キカ故ニ利子等ヲ払渡スコトナカルヘシ
当会所肝煎ノ承認ヲ経且身元金ヲ差出シ会所ノ仲買人ト成リタル上ハ会所ニ於テハ之ヲ社中ノ人ト視做スヘシ
仲買人入社中ノ期限ハ一ケ年ト定メ毎年二月五月八月十一月一日ヲ以テ撰任ノ期トナスヘシ、但期限中自己ノ都合ニ依リ退社セント欲スルトキハ其旨ヲ書面ニテ肝煎ニ申出ヘシ、肝煎ハ右ノ書面ヲ少クトモ十日間以上取引場ニ張出シ置キ会所ニ連帯シタル計算上ノ関係ナキヲ認タル上ハ、其者ノ退社ヲ許シ身元金ヲ返付シ証人ノ責任ヲ解クヘシ
仲買人若会所又ハ社中ノ人ニ対シ不正不実ノ所業アルヲ以テ其者ヲ除名スヘキ場合ニ至テハ、肝煎ノ衆議ニ依リ其証人ヲシテ三十円以下ノ過怠金ヲ差出サシムルコトアルヘシ
    第十三条
仲買人タル者其名代トシテ手代ヲ会所ニ出サント欲スルトキハ書面ニテ其者ノ姓名住所並ニ丁年ナルコト及委任ノ権限等ヲ詳細書面ニ認メ肝煎ニ申出テ、其承認ヲ得テ後チ会所ニ出スコトヲ得ヘシ、但此書面ハ少クトモ十日間以上取引場ニ張出シ置キ異存ノモノナキコトヲ認メタル上ニアラサレハ、手代ヲ会所ニ出スコトヲ許サヽルヘシ、手代ノ姓名ハ其主人ノ姓名ト共ニ会所ニ掲示シ、其主人ヨリ別ニ報告ナキ時間ハ其手代ノ取結タル約定ハ都テ主人ノ引受タルヘシ
主人若其代人委任ノ権ヲ解クトキハ速ニ之ヲ肝煎ニ報知スヘシ、然ル上ハ肝煎ニ於テ其趣ヲ会所ニ掲示シ其手代ノ姓名ヲ取消スヘシ
手代若違約ヲ為ストモ其主人ニオイテ違約ノ償弁ヲナシタルトキハ、其手代ハ会所ニ於テ取引ヲ為スヲ禁シ、主人ハ尚仲買人タルヲ得ルト雖モ、若シ主人違約人トナリ社中ヲ除名セラルヽトキハ、其手代タルモノモ会所ノ出入ヲ禁スルハ勿論タルヘシ
    第十四条
当会所営業ノ総勘定ハ毎年二月八月両度ト定ム可シ
当会所営業ノ総勘定ヲ為シ、税金並社費ヲ引去リ純益金一ケ年一割以上ノ利子ニ当ルトキハ、其以上ノ壱分ヲ以テ準備金トナシ積置クヘシ但準備金ハ会所非常ノ災害ニテ損失ヲ受クルカ、或ハ其他ノ事故ニ依リ株主ノ集議ニ於テ適当トスルニ非レハ、之ヲ使用スヘカラス
右準備金ハ時宜ニ依リ肝煎ノ決議ヲ以テ公債証書又ハ不動産等ニ替置クコトヲ得ヘシ
利益金ノ内準備金ヲ引去タル残高ハ之ヲ株高ニ配当シテ各株主ニ割渡
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スヘシ
当会所ニ損失アリテ資本金不足スルトキハ、頭取肝煎ヨリ其事情計算ヲ株主一同ニ公告シ、其後ニ生スル処ノ利益ハ其資本高ノ不足ヲ補ヒ得ル迄ノ間配当ヲ差止ム可シ
    第十五条
当会所ノ株主及役員等社中ノ諸規則ニ悖戻シ又ハ不信ノ所業ヲナス可カラス、若シ之ニ違フ者アルトキハ株主或ハ肝煎ノ集議ヲ以テ其軽重ニ従ヒ相当ノ過怠金ヲ付ス可シ、又其事柄ニ依リテハ公裁ヲ仰クコトアルヘシ
    第十六条
此定款ノ箇条ハ株主ノ議定ニ依リテハ何時ニテモ改正加除スルヲ得可シト雖モ、必官ノ許可ヲ得テ施行ス可シ
 右ノ条々ヲ取極タル証拠トシテ各姓名ヲ記シ調印致シ候也
  明治九年八月二十五日
    京都府
     上京第二十七区油小路通二条下ル二条油小路町住
     当時東京第六大区三小区深川西大工町八番地寄留
            平民 三井次郎右衛門代理
                発起人   竹中邦香
    京都府
     上京第二十区下長者町通油小路西ヘ入ル紹巴町住
     当時東京第一大区十五小区阪本町四番地寄留
            平民
                同 三井養之助
    京都府
     上京第二十七区油小路通二条下ル二条油小路町住
     当時東京第六大区三小区深川西大工町八番地寄留
            平民
                同 三井武之助
    東京府
     第一大区十六小区北新堀町十八番地
            平民
                同 後藤庄吉郎
    千葉県
     下総国印旛郡八衢村住
     当時東京第六大区一小区深川松賀町三番地寄留
            平民
                同 西村郡司
    東京府
     第一大区五小区本船町二拾四番地
            平民
                同 岩塚利兵衛
    東京府
     第四大区一小区神田淡路町二丁目三番地
 - 第14巻 p.20 -ページ画像 
            平民
                同 辻純市
    石川県
     加賀国第九区小三区金沢里見町二番邸住
     当時東京第一大区十五小区兜町二番地寄留
            士族
                同 竹中邦香
    東京府
     第一大区六小区呉服町拾六番地
            平民
                同 吉村甚兵衛
    長野県
     信濃国松本北深志町五番町百七十五番地住
     当時東京第一大区十四小区蠣殻町二町目十五番地寄留
            士族
                同 加藤清直

  東京兜町米商会所申合規則
此米商会所ハ明治九年八月太政官第百五号公布条例ノ旨趣ヲ遵奉シ売買上尚緊要ノ条件ニ於テ総員確守スヘキ規則ヲ議定シタルモノ左ノ如シ
    第一条
当会所ノ売買ハ武州米拾石建ノ事
 但取組ハ壱石ノ直段ヲ相唱フヘシ
    第二条
約定期限ハ三個月ヲ踰ユヘカラサル事
 但取引ノ期日ハ毎月末日、十二月ハ二十日ト定ム
    第三条
前日弐番商ヨリ当日前場本場マテノ売買ハ其本日本場限リ帳入トシ又本場後弐番商ヨリ翌日ノ本場マテ帳入ト定ムヘシ、尤約定期限内甲ヨリ乙ニ売リシ米ヲ乙ヨリ甲ニ買戻シ、又甲ノ乙ヨリ買シ米ヲ甲ヨリ丙ヘ売リ渡ストキハ、其時々売買授受ノ手続キヲ経テ決算ナスヲ得ルト雖モ、到底最初ニ定メタル期日ニ至リ必ス現米金受渡シヲナスヘシ
 但定期売買ノ帳入米ハ、本日本場売買掲札ノ平均直段ヲ以テ定価トシ、又現場取引勘定ハ相対取組直段ヲ以テスヘシ
    第四条
約定証拠金ハ之レヲ四様ニ分チ時価ノ昂低ニ依リ増減スヘキモノト雖モ、本証拠金定額ハ当分ノ内左ノ通相定メ、其出納ノ時間ハ毎日午前第十時ヨリ十二時マテタルヘシ
 但諸計算出納モ本文ニ同ジ、休暇休会ハ次会ニ送ルヘシ
  第壱 本証拠金米拾石建
    壱石ノ価四円以上五円以内ハ  五円
    同   五円以上六円以内ハ  六円
    同   六円以上七円以内ハ  七円
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     余ハ之ニ準シ其時々掲示スヘシ
    是ハ本日売買高満弐百石迄ハ翌日出納定刻マテニ入金スヘキ事
  第二 半証拠金建米拾石本証拠金ノ半額タルヘシ
    是ハ本場並ニ弐番商ニテ連月売買差引キ弐百石以内ハ差入ルルニ及ハス、弐百石以外ハ弐百石ヲ除クノ外即日午後四時迄ニ之レヲ差入ルヘシ
  第三 追証拠金建米拾石本証拠金ノ半額タルヘシ
    是ハ売買米約定ノ定価ヨリ拾石ニ付本証拠金ノ半数ノ高低アルトキハ其損方ヨリ此割合ヲ以幾度ニテモ追証拠金トシテ翌日定刻マテニ差入ルヘシ、且又本証拠金五円ノトキ当日四拾銭以上ノ高下アリテ四拾銭損失ニアタル分ハ追証拠金即日午後四時マテニ差入ヘシ
     但本証拠金六円ノトキハ五拾銭、七円ノトキハ六拾銭、余ハ之ニ準ス
  第四 増証拠金建米拾石ノ本証拠金ノ同額タルヘシ
    是ハ期月二十日ニ至レハ前キニ売買取組ノ石数ニ対シ増証拠金トシテ双方ヨリ差入ルヘシ、期月二十日ヨリ後新タニ売買約定ナスモノハ本証拠金増証拠金トモ差入ルヘシ、尤十二月ハ十日ヨリ之レヲ差入ルヘシ、又定期約定中会所ニ非常或ハ止ムコトヲ得サル事故アリテ休業七日以上ニ至ルトキハ已ニ売買約定ヲ為セル石数ニ対シ増証拠金ヲ差入レ置キ定期ニ至リ米金受渡シヲ為スヘシ
     但会所売買所火災ニ罹ラハ七日以内ニ仮売買所ヲ設ケ接続売買ナスヘシ、非常其他止ムヲ得サル事故アリテ休業スルト雖モ日数七日以内ハ休暇ヲ加算ス休業前ノ取組ニ接続売買ヲナシ七日以上ニ至ルトキハ本条ノ増証拠金ヲ双方ヨリ差入レ期月米金受ケ渡シヲナスヘシ、尤接続売買ヲ始ムル日諸証拠金並ニ仕切金ヲ差入レサルモノハ違約人ト看做シ処分スヘシ
    第五条
諸証拠金預リ証ハ切手ヲ用フヘシ、此切手ハ其仲買人ノ名当ヲ以テ差出シ総シテ印税規則ニ遵ヒ印紙貼付スヘシ、尤此切手ハ売買決算仕切金出納ノ際会所ヘ返付スヘシ、若シ仲買人手元ニテ紛失セハ会所ヘ届ケ出ツヘシ、会所ニ於テハ其趣ヲ詳記シテ掲示ヲナシ置キ約定ノ期限ニ至リ尚発見セサルトキハ仮令後日発見スルトモ反古タルヘキ旨ノ証書ヲ取リタル上ニテ決算ヲ為スヘシ
 但此切手ニ記載シタル金穀ハ一切他ニ使用スルコトヲ許サヽルヘシ
    第六条
約定期限中第三条ノ手続ニ依リ其売買米ヲ買戻シ又ハ売渡シヲ要スル場合ニ当リテ若シ非常ノ乱高下又ハ不穏当ノ売買ヲ為スト看認ルトキハ肝煎ニ於テ之ヲ採用セサルコトアルヘシ、且商業半ハタルトモ自後ノ売買約定ヲ為スコトヲ差止メ前ニ約定セシ分ハ期限ニ至リ必現米金受渡シヲ為サシムヘシ
 - 第14巻 p.22 -ページ画像 
 但商業差止メ中ト雖モ別段肝煎ノ承認ヲ得テ買戻シ売渡シヲナスハ此限ニアラス
    第七条
取引期日ニ至リテハ午後第三時ヲ限リトシ、売主ハ銘柄蔵所附、買主ハ代金ノ高ニヨリ掲示スル処ノ九分金ヲ会所ニ差出スヘシ
 但本条九分金ハ本場立留リヨリ前ニ繰戻シ十日間ノ本場直段ヲ合セ是ヲ平均シテ其代価ノ計算ヲ立テ之レヲ掲示スヘシ
    第八条
受渡シ米ハ会所ノ役員売買人ヲ率テ蔵所ニ出張シ、現品撿査ノ上売買人異議ナケレハ其旨ノ証書並ニ蔵守ヨリ預リ書ヲ取リ、然ル上ニテ売人ヘ米品適当ノ金額ヲ渡シ、買人ヘハ蔵出シ積切手ヲ渡シ、其受ケ渡シヲナサシムヘシ、尤九分金受取書並ニ蔵出シ積切手トモ他ヘ抵当トナシ金銭ノ融通ヲナスコトヲ禁ス
 但受渡米非常天災ノ損害ハ九分金蔵出シ切手授受セサル前ハ売人負担スヘシ、九分金渡セシ後ハ買人負担スヘシ、尤桝廻シ石詰未決中ナレハ九分金ハ買人ノ損、壱分金ハ売人ノ損タルヘシ、蔵敷ハ授受承諾ノ書付ヲ出セシ日ヨリ買人方ニテ払フヘシ
    第九条
買方弐名以上ニシテ売渡米各種ナルトキハ其銘柄ヲ鬮引キニシテ受取品ヲ定メ、又引取方モ鬮引キヲ以テ蔵出シノ順序ヲ定メ置キ、雨天ノ外日々早朝ヨリ受渡ヲナスヘシ、且受渡ノ石数ハ其高ニ照ラシ会所ニ於テ一日若干ト定メ双方ヘ達示スヘシ
 但受渡ノ節ハ会所附属ノ小揚ケヲ立会セ桝廻シ引ケ石等総シテ市中ノ通例ニ依リテ取扱ハシムヘシ
    第十条
売買米約定ハ建米ヲ以テスト雖モ受渡ノ節ハ代米ヲ用ユルコトヲ得ヘシ、尤代米価格ハ会所ニ於テ定メタル格附ニ従フヘシ、此格附ハ毎年豊凶ニ依リ頭取肝煎評議決定シテ会所ニ掲示スヘシ、又受渡シ蔵所ハ会所附属蔵ノ外浅草官庫深川一円並ニ一石橋ヨリ吾妻橋マテノ間横川十町通リ河岸附蔵所ヲ用ヒ、納屋詰外積ヲ禁ス、且売人所有ノ米品官庫ニアルトキ検査授受ノ方法ハ市中蔵所ト同一ナリト雖モ、蔵所預リ書ヲ要スルコト能ハサルニヨリ、会所役員売買人立会封印シ売人ノ外弐名以上保証ノ書附ケヲ取置クヘシ、尤官庫御払米代金済ノ切手ヲ以テ渡スモノハ官庫ニ封印ナサスト雖モ会所ヘ対シ売人ヨリ別段保証ノ書面ヲ出サシムヘシ
 但他人名前ノ切手ヲ転売スルトキハ其名前人ノ加印ヲ要ス
    第十一条
受渡米撿査ノ場合ニ於テ若シ百石ニ付弐拾石以上ノ不足アレハ、之レヲ補ハシメタル上、米拾石ニ付金弐円宛ノ割合ヲ以テ其不足高ニ対シ過怠金ヲ差出サシメ、買方ニ相渡スヘシ、弐拾石以内ノ不足ハ之ヲ補ハシムルノミニテ過怠金ヲ要セス
 但受渡米ハ俵数ニ関セス石詰ヲ以テ計算スヘシ、受渡シ高ヘ対シ凡百分ノ一迄ノ過不足ハ現在ノ石高ヲ以テ計算取引ヲナスヘシ
    第十二条
 - 第14巻 p.23 -ページ画像 
不熟風災腐化変質方言(モス)ノ類等ノ悪米、其他渡シ方ニナラサル程ノ米症ナルトキハ、五日間ニ代米ヲ差出スヘシ、若シ之ヲ怠ルトキハ違約人トナシ、第十四条ニ依テ処分スヘシ、尤受渡米銘柄一廉限リ精米ノ内ヨリ右悪米三割則チ拾分ノ三以内ナレハ市中通引ケ石ヲ以テ受ケ渡シヲ為スヘシ、若シ三割以外アルトキハ之レヲ三割以内ニ差替ヘ渡スヘシ、若又時ノ寒暑ニ依リ小痛ミ等ハ市中通常ノ引ケ石ヲ附与シ、本俵ト看做シ受渡シヲスルコトヲ得ルト雖モ、更ニ代米差シ出スモ売人ノ便宜ニ従フヘシ、其他現品ノ格違ヒヲ主張シ、或ハ悪米三割ノ内外ヲ論シ、又ハ引ケ石ノ積リ方売買人申立ニ逕庭アルトキハ、会所附属ノ小揚ケ至当ノ見込ヲ立之レヲ肝煎ニ申立サセ、肝煎ハ之レヲ以テ至当ト認ムルトキハ双方ヘ説諭ニ及ヒ、尚ホ不承諾ノトキハ会所現米撿査掛リ蔵所ニ派出シ、悉ク調査ノ上公議ヲ尽シ断然授受ノ可否ヲ達スヘシ、双方トモ之レヲ拒ムコト能ハス
 但シ受渡米蔵出相済桝廻シノ端書売買人ヨリ差出セハ会所ニテハ之ヲ目的トナシ決算セシメ、壱分金ノ受渡シヲナシ、双方ノ仕切金相渡スヘシ
    第十三条
受ケ渡シ米撿査之節、銘柄違ヒ蔵所違ヒハ其格附ニ依テ受ケ渡ノ上、米拾石ニ付金壱円宛過怠金取リ立買方ヘ相渡スヘシ
 但蔵所番号違ヒハ此限ニアラス
    第十四条
売買主ニ於テ若シ定期ノ諸証拠金ヲ怠リ定刻ニ差入レサルトキハ、売方ノ違約ナレハ買方ニ於テ其石高ヲ会所ノ市場ニ於テ買求メ、又買方ノ違約ナレハ売方ニ於テ之レヲ市場ニ売払ヒ、其不足金並ニ夫レカ為メ蒙リタル損失ヲ合セ其者ノ諸証拠金身元金ヲ以テ之レヲ償ハシメ、尚相手方満足セサルトキハ、其者ヨリ違約人ヲ相手ニ取リ公裁ヲ仰クヘシ
 但仲買人半証拠金差入ルヽニ及ハサル石数ヲ一日ノ内幾度モ売買ナシ、自然損金ヲ生シ、之レヲ差入レサルモノハ身元金限リ相手方ヘ配賦シ、之レヲ満足セサルモノハ本条ノ如クナルヘシ、又違約人ノ兼テ差入レアル証拠金ニテ相手方ノ損害ヲ償ヒ、余金アレハ差戻スヘシ、身元金ハ会所ニ没入スヘシ
定規ノ期日ニ至リ銘柄蔵所附ケ及ヒ九分金等ヲ定刻ニ差出サスシテ違約人トナリタルトキハ、其相手方ニ於テ之レカ為メ失ヒタル利益ト蒙リタル損耗トヲ合算シ、其者ノ証拠金身元金ヲ以テ償ナハシメタル上之レヲ除名シ、且身元金残余アレハ没収スヘシ、若シ尚相手方ニ在テ満足セサルアレハ公裁ヲ仰クヘシ、又之ヲ双方ニ於テ怠ルトキハ、其約定ハ効ナキモノトスレトモ、共ニ之ヲ除名シテ、其身元金ハ没収スヘシ
 但仲買人ハ売買約定ナセシトキ依頼人ヲ会所ヘ届ケ置クヘシ、現米金授受ノ際ニ至リ違約ナセハ前以テ届ケナキ分ハ一般其仲買人ヲ違約人トナス、尤依頼主相届ケ置キタル分ハ区別シテ受渡シヲナサシムヘシ
    第十五条
 - 第14巻 p.24 -ページ画像 
仲買人相対ヲ以テ会所ノ売買帳ヘ記載セス私ニ約定ヲ結ヒ発顕シタルトキハ其者除名シ且身元金アレハ之レヲ没収スヘシ、若シ又前キニ定期約定米売買アルトキハ前条違約人ノ例ヲ以テ之レヲ処分シタル上身元金ノ残余アレハ没収スヘシ
    第十六条
会所手数料ハ売買米拾石ニ付当分左ノ通相定メ、又仲買口銭ハ其頼人ノ示談ニ任スト雖モ概ネ会所ニ収領スル手数料ニ応シ、開業ノ節之レヲ取極メ、仲買人ヨリ肝煎ニ申出承認ヲ承クヘシ
 定期取引米手数料
 壱石ノ代価      四円五拾銭以上     拾石ニ付
            五円五拾銭以内ハ    拾銭
 同          五円五拾銭以上     同
            六円五拾銭以内ハ    拾弐銭
 同          六円五拾銭以上     同
            七円五拾銭以内ハ    拾四銭
 現場取引米手数料
 壱石ノ代価      四円五拾銭以上     拾石ニ付
            五円五拾銭以内ハ    七銭
 同          五円五拾銭以上     同
            六円五拾銭以内ハ    八銭四厘
 同          六円五拾銭以上     同
            七円五拾銭以内ハ    九銭八厘
   定期現場トモ余ハ之レニ準スヘシ
    第十七条
会所営業ノ時間ハ毎日午前八時ヨリ午後五時迄ト定メ左ノ如ク区分ス
  午前第八時ヨリ同第十時マテ 前場売買
  午後第一時         本場売買立会
   但相場標掲示ス
  本場後ヨリ同第五時マテ   弐番商
右売買刻限ハ金方出納ノ為メ又ハ日ノ長短ニヨリ延縮スルコトモアルヘシ
 但仲買人等已テニ売買ノ約定ヲ為シ畢ラハ、其石数及ヒ直段ノ相違等之レナキ様注意スヘキハ勿論ニ付、必ス銘々ノ手帳ト会所ノ帳記ト引合セタル上退場スヘシ、若シ之レヲ怠リ後ニ苦情ヲ申出ルモ一切採リ上ケサルヘシ
    第十八条
御国祭其他毎月日曜日休業タルヘシ、毎月末ノ日ハ約定期日ニ付売買ヲ休業ス、臨時休業ハ其時々掲示スヘシ
    第十九条
此申合規則ニ於テ実際上若シ不都合之レアル歟、又此規則中遺漏ノ件アルトキハ、肝煎ノ衆議ヲ以テ之ヲ補除改正シ、其都度官ノ許可ヲ得テ施行スヘシ
 - 第14巻 p.25 -ページ画像 
右取極メタル申合規則ハ会所営業上何レモ確守ス可キ証拠トシテ株主並ニ仲買一同記名調印スヘキモノナリ
  明治九年八月廿五日
    京都府
     上京第二十七区油小路通二条下ル二条
     油小路町住当時東京第六大区三小区
     深川西大工町八番地寄留
            平民 三井次郎右衛門代理
                発起人 竹中邦香
    京都府
     上京区第二十区下長者町通油小路
     西ヘ入ル紹巴町住当時東京第壱大区
     十五小区坂本町四番地寄留
            平民
                同 三井養之助
    京都府
     上京第二十七区油小路通二条下ル二条
     油小路町住当時東京第六大区三小区
     深川西大工町八番地寄留
            平民
                同 三井武之助
    東京府
     第一大区十六小区北新堀町十八番地
            平民
                同 後藤庄吉郎
    千葉県
     下総国印旛郡八衢村住当時
     東京第六大区壱小区深川松賀町
     三番地寄留
            平民
                同 西村郡司
    東京府
     第一大区五小区本船町二十四番地
            平民
                同 岩塚利兵衛
    東京府
     第四大区一小区神田淡路町二丁目
     三番地
            平民
                同 辻純市
    石川県
     加賀国第九区小三区金沢里見町
     二番邸住当時東京第一大区十五小区
     兜町二番地寄留
 - 第14巻 p.26 -ページ画像 
            士族
                同 竹中邦香
    東京府
     第一大区六小区呉服町十六番地
            平民
                同 吉村甚兵衛
    長野県
     信濃国松本北深志町五番町百七十五
     番地住当時東京第一大区十四小区
     蠣殻町二丁目十五番寄留
            士族
                同 加藤清直


〔参考〕東京日日新聞 第一九五六号〔明治一一年六月一二日〕 公告(DK140002k-0009)
第14巻 p.26 ページ画像

東京日日新聞  第一九五六号〔明治一一年六月一二日〕
    公告
当会社売買立会時限之儀当六月五日より当分左之通相改候条此旨公告候事
 一前場売買  午前七時より九時まて
 一本場売買  午前十時立会
 一二番商   午後一時より五時まて
  但金方出納ハ本場立会時限迄とす
  明治十一年六月三日        東京兜町米商会所


〔参考〕東京米穀商品取引所史稿本(DK140002k-0010)
第14巻 p.26-27 ページ画像

東京米穀商品取引所史稿本        (渋沢子爵家所蔵)
 ○第三編 明治時代、商況米価並同調節策
    第二期 常平局時代
明治十一年ヨリ同十四年、其間僅カ四ケ年、然カモ本邦ニ於テ売買取引上当局ノ干渉ノ最モ峻烈ナリシ時代トモ称スベク、其米価商況等ニ於テモ従テ一段其趣キヲ異ニシ、其成敗利害ハ旁々以テ興味浅カラザルモノアルヲ以テ、短年月ナルニ拘ラス玆ニ一時代ヲ劃セシ所以ナリトス
凡ソ常平倉ノ設置ハ米穀ノ相場ヲ常平ニシテ豊凶ヲ等一ニシ、世ノ貧民農夫ヲ救済セントノ目的ナリシコト論ヲ俟タス、古来国ノ内外ヲ問ハス其土宜民情ニヨリ其趣コソ異ナレ其施設少カラザリシナリ、彼ノ支那ニ於テハ漢ノ時代既ニ常平倉アリ、隋・唐ノ時ノ義倉、宋・南宋ニ於ケル恵民倉・広済倉、及社倉其他民ノ預備倉皆軌ヲ一ニシ、吾国ニ於テハ王朝時代ノ屯倉、奈良朝ノ義倉、平安朝ノ常平司ヲ初メ、徳川時代ニ入リ常平・社・義及其他ノ諸倉又尠シトセス
蓋シ米穀ハ民命ノ因テ繋ル所、此レガ価額ノ急変ハ一国治世上最モ不安ヲ感ズル所ナリ、各人一ケ年ノ糧米一時ニ要セザルニ米穀一時ニ市場ニ糶出サレンカ其相場下落スルト同ジク、米穀消尽枯渇スルノ時糧米各自競ヒ買進マンカ法外ニ騰貴スルニ至ル此レ理ノ当然ニシテ、恁クテハ庶民不安窮苦ニ陥ルベク、此レガ救急ニハ須ラク干渉ノ政ヲ以テスルニ若カズト、是レ常平法ノ根本要領ナリトス
 - 第14巻 p.27 -ページ画像 
然シテ今此数ケ年ノ常平局時代ニ於テ米価ヤ需給ニ対スル関係如何ヲ辿リ見ルノ時、怒濤高キ大海ニ注グ一河川ノ働キノ如ク殆ンド其効果ヲ見出スニ苦シム、明治十二年ノ米収穫ハ三十年来ノ大豊収ナリト謳ハレシニ拘ハラズ翌十三年ニハ反対ニ拾二円五十銭ノ之レ亦前後三十年間未曾有ノ最高値ヲ示シ、当時常平局ハ買占払下等専ラ其調節ニ努メタリシモ以テ其暴騰ヲ防止スルヲ得ス、専ラ西南戦役ニ於ケル不換紙幣ノ濫発其他ノ禍根ニ左右サレ、翌十四年常平局廃止ニ至ル迄遂ニ其価値ヲ見出ス能ハズシテ終レリ


〔参考〕竜門雑誌 第五九〇号・第九二頁〔昭和一二年一一月二五日〕 ○青淵先生伝記資料編纂所通信(DK140002k-0011)
第14巻 p.27 ページ画像

竜門雑誌  第五九〇号・第九二頁〔昭和一二年一一月二五日〕
 ○青淵先生伝記資料編纂所通信
    兜町米商会所と先生
 維新後に於ける東京の定期米取引に就いては、明治二年貿易商社の事業の一部として、鉄砲洲で限月取引が開始されたのが最初であらうと言はれて居る。これは四年には兜町へ移転して東京商社と改められた。この外に、七年には蠣殻町に中外高行会社《(商)》が設立せられ、同じく限月取引を始めてゐる。
 明治九年米商会所条例が発布された結果、取引所は株式組織となり東京商社は兜町米商会所となり、中外高行会社《(商)》は蠣殻町米商会所となつた。引続き東京には二ケの米穀取引所が対立して居たわけで、前者は三井次郎右衛門氏、事実上は竹中邦香氏により、後者は米倉一平氏によつて代表されてゐたのである。
 後年この両米商会所は合併されて東京米商会所となり、蠣殻町で営業が続けられた。現今の米穀商品取引所の前身である。
 青淵先生は単なる投機の対象としての米や証券の取引を好まれなかつたのは周知の事である。先生と米商会所乃至株式取引所との関係が比較的浅いのは斯うした事も一つの理由であると思はれる。それは兎も角として、先生が一時、上に述べた兜町米商会所の株主であつた事実が府庁の書類から知られてゐる。
 明治十二年一月六日、兜町米商会所副頭取竹中邦香氏より府知事に宛てられた届に依ると、当時、三井次郎右衛門氏が株式七拾株(七千円)を売渡したとあり、其の時此の株を十株宛買ひ受けて株主となつた七人の人々は、先生・福地源一郎・益田孝・渋沢喜作・小松彰・田中平八・大倉喜八郎の諸氏である。何れも後年明治史に重要な地位を占める人々であり、此の株式譲渡によつて兜町米商会所の株主名簿が俄に雄大な趣を加へたのは強ち偶然ではない様にも思はれる。この間には両米商会所の間に何かこみ入つた関係とか、前年に出来た株式取引所との間にも何か聯関がありさうに思はれるが、併しこれは出過ぎた憶測かも知れない。
 此等の古い米商会所の具体的な模様を私共はまるで知らない。どなたかからお聴きする事が出来れば有難いと思つてゐる。(太田)