デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第18巻 p.267-270(DK180024k) ページ画像

明治18年2月27日(1885年)

栄一、是日ノ定式会ニ於テ当会ノ経費ニ余剰ヲ生ズル時ハ之ヲ維持元資金トシテ積立テンコトヲ建案シ、可決セラル。


■資料

東京商工会議事要件録 第九号・第四五―五六頁 明治一八年三月一四日刊(DK180024k-0001)
第18巻 p.267-269 ページ画像

東京商工会議事要件録  第九号・第四五―五六頁 明治一八年三月一四日刊
  第五定式会  (明治十八年二月廿七日午後四時三十分開会)
    会員出席スル者 ○七十一名
○上略 次ニ会長(渋沢栄一)ハ玆ニ理事員ノ資格ヲ以テ一議案ヲ提出シタキ旨ヲ告ゲ書記ヲシテ之ヲ朗読セシム、即チ左ノ如シ
    元資金積立ノ議
一本会ノ経費決算ノ上若シ余剰ヲ生ズル時ハ之ヲ維持元資金トシテ積立ツベキ事
一右元資金ハ本会共有ノ財産トシテ永ク之ヲ保存シ、数年ノ後ニ至リテハ終ニ毎年各員ノ出金ヲ要セズシテ専ラ其利子ヲ以テ経費ヲ支弁セン事ヲ期スベキ事
一右元資金ノ保管法及其利子ノ支消法等ニ関スル細目ハ更ニ衆議ヲ以テ之ヲ定ムベキ事
      説明
  抑モ本会ノ商工業ノ進歩ヲ図ルニ必要ナル事ハ今更ニ喋々ヲ要セズ、既ニ之ヲ必要ナリト知ラバ今ヨリ適当ノ方案ヲ予定シテ以テ之ヲ永遠ニ維持スルノ道ヲ求メザルベカラズ、今熟々其方案ヲ考フルニ自今本会ニ於テ年々幾分ノ元資金ヲ積立テ、終ニ其利子ノミヲ以テ経費ヲ支弁スルノ方法ヲ経画スルニ若カザルナリ、蓋シ本会ニ於テ現今ノ規模ヲ将来ニ持続スルニハ一ケ年凡金三千円ノ経費ヲ要スルガ故ニ、他日全ク利子ノミヲ以テ其経費ヲ支弁セントスルニハ少クモ元資金三万円ヲ積立テザルヲ得ズ、而シテ今毎年其積立ツベキ金額ヲ定メテ別途ニ之ヲ徴収スル時ハ数年ニシテ全額ヲ得ルハ敢テ難キニ非ザルベシト雖トモ、若シ此ノ如クスル時ハ之ガ為メ或ハ各員ニ於テ負担ノ重キヲ感ゼラルヽノ恐ナシトセズ、故ニ今日ニ於テハ仮令元資金積立ノ方案ヲ定ムルモ別段ニ積立金ヲ徴収セズシテ只年々議定スル予算高ニシテ決筭ノ上若シ幸ニ余剰ヲ得ル事アラバ多少ヲ問ハズ之ヲ元資金中ニ繰込ムベシ然ル時ハ固ヨリ一朝ニシテ完全ノ結果ヲ見ル可ラズト雖トモ亦能ク各員ヲシテ負担ノ重キヲ感ゼシムル事ナク遂ニ冥々ノ中自ラ元資ヲ作ル事ヲ得ベシト信ズ、現ニ昨年二月ノ定式会ニ於テ議定シタル予筭高ハ金三千六百三十円ナリシガ、同年中偶々本会ノ事務繁忙ナラザリシト外ニ臨時ノ収入若干円アリシガ為メ、本年二月ニ於テハ凡金一千四百円ノ余剰ヲ生ズルヲ得タリ(収支決筭ノ次第ハ本会規程第六章第三十条ニ拠リ本年五月ノ定式会ニ報告スベシ)抑モ前記予筭高金三千六百余円ハ固ヨリ各員ガ事務ノ都合ニヨリ全額ノ支消ヲ予期セラレタルモノナレバ、今此残金一千四百円ヲ元資トシテ積立ツルモ之ガ為メ各員ニ於テ
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ハ格別負担ノ重キヲ感ゼラルヽ事ナカルベシ、而シテ本年ノ予筭ハ可成節約ヲ旨トシ現ニ昨年ヨリ五分ノ一余ヲ減ジテ金三千円ト見積リタレトモ、猶会計処理ノ間更ニ一層ノ節約ヲ勉ムル時ハ或ハ決筭ノ際若干ノ金額ヲ余スヲ得ル事ナシトセズ、由是観之今ヨリ四五年ヲ経ルノ後ニハ仮令利子ヲ以テ経費ノ全額ヲ支弁スル事能ハザルモ、亦能ク其幾分ヲ補フニ余アルニ至ラン、果シテ然ラバ本会ノ基礎一層堅固トナリ、遂ニハ全ク各員ノ出金ヲ要セズシテ之ヲ維持セン事敢テ期シ難キニ非ザルナリ、是レ玆ニ本年ノ予筭ヲ議定スルニ当リ一案ヲ提出シテ各員ノ注意ヲ煩ハス所以ナリ
会長(渋沢栄一)曰ク、昨年二月ヨリ本年一月迄一周年間本会々計収支ノ決筭ハ規程第六章第三十条ニ拠リ本年五月ノ定式会ニ報告スベキ筈ナルガ、現ニ議案ノ説明書ニモ略記スルガ如ク本年二月一日ニ於テ差引凡一千四百円ノ残金ヲ余セリ、今ヤ既ニ本年ノ予筭ヲ議定シタル上ハ差向先ヅ此金額ヲ予筭ニ繰入ルベキヤ否ヲ決セザル可ラズ、是レ今日玆ニ本案ヲ発スルノ必要ヲ感ジタル所以ナリ、蓋シ本会ノ経費ハ年々賦課金ヲ徴収シテ之ヲ支弁スルモ将タ予メ元資金ヲ積立テヽ之ヲ支弁スルモ各員ノ負担スル実額ニ於テハ固ヨリ軽重アルノ理ナシト雖トモ、若シ元資金ヲ積立ツル時ハ他年本会ノ面目ニ関シ臨時不得已ノ支出ヲ要スル場合ノ如キ、衆議ノ上別段出金ヲ要セズシテ直チニ此元資金ノ中ヨリ支弁シ得ル等ノ便アリ、殊ニ其元資金漸ク増加スルニ於テハ遂ニ利子ノミヲ以テ経費ノ全額ヲ支フル事ヲ得ルノ利アリ、是レ実ニ元資金積立ノ一事ヲ以テ最モ必要ナリト信ズル所以ナリ、尤本案ノ要旨ニ拠レバ経費決筭ノ上余剰ヲ生ズル時ハ之ヲ元資金ニ繰込ムノ考案ナレトモ、若シ万一不足ヲ生ズル時ハ直チニ此元資金ノ中ヲ以テ補充スルノ考案ニアラザレバ各員予メ此意ヲ諒セラレン事ヲ望ム
二十九番(西村庫次郎)曰ク、今仮令此残金ヲ各組合ニ割戻ストスルモ其金額些少ニシテ別段各組合ノ便利ヲ図ルニ足ラズ、然レトモ若シ之ヲ本会ノ維持元資トシテ積立ツル時ハ之ガ為メ自ラ理事者ヲシテ経費ヲ節スルノ精神ヲ発セシムルヲ得ベシ、故ニ余ハ大ニ本案ヲ賛成ス
十四番(松南宏雅)二十四番(松木平吉)三十八番(中村利兵衛)共ニ之ヲ賛成ス
十七番(松林義規)曰ク、若シ本会ノ加盟者ニシテ終始交代スル事ナキニ於テハ本案積立金ノ方法最モ適当ナルベシト雖トモ、本会創立以来未ダ全ク二ケ年ヲ経ザルニ既ニ除盟ヲ求ムル者アル程ナレバ、若シ今ヨリ元資金ヲ積立テ数年ノ後全ク利子ノミヲ以テ経費ノ全額ヲ支弁シ得ルノ日ニ至ル迄ニハ現今ノ加盟者中或ハ過半ノ交代アルヤモ知ル可ラズ、然ルニ今本案ノ方法ニ拠ル時ハ斯ル場合ニ当リ加盟ノ前後ニヨリテ大ニ其損益ヲ異ニスルノ不公平アリ故ニ余ハ別段元資金ヲ積立ツルヲ要セズ、其経費ハ毎年現在ノ加盟者ヨリ徴収シテ之ヲ支弁スルヲ可トス
六十六番(柴原武雄)曰ク、余ハ大ニ本案ヲ賛成スルモノナリ、只今十七番ハ各会員加盟ノ前後ニヨリテ大ニ不公平アリトノ説ヲ述ベ
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タリト雖トモ、余ハ之ニ同意スルヲ得ズ、何トナレバ本案ノ所謂元資金ハ商工会ナル一体ノ為メニ積立ツルモノニシテ、敢テ加盟者各個ノ為メニ積立ツルモノニ非ザレバナリ
六十三番(柿沼谷蔵)曰ク、余モ亦大ニ本案ヲ賛成ス、而シテ余ハ猶此意ヲ拡充シテ更ニ寄附金ヲ募集セン事ヲ望ム、果シテ然ル時ハ数年ヲ出デズシテ能ク巨額ノ元資金ヲ作ルヲ得ベシ
会長(渋沢栄一)曰ク、只今十七番ノ述ベタル所ハ実ニ一理アルノ説ニシテ本案ノ方法ニ拠ル時ハ寄托者ニ於テ或ハ他人ノ為メニ婚衣ヲ裁スルガ如キ感想ヲ抱ク事ナキニ非ザルベシト雖トモ、今熟々実際ヲ想察スルニ寄托者ニ於テ一旦本会ノ維持元資トシテ金員ヲ積立ツル上ハ、仮令加盟者ノ時ニ交代スル事アルモ本会ニ於テハ之ヲ永遠ニ保存シ決シテ寄托ノ趣旨ニ背カザル可ケレバ、現今ノ寄托者ニシテ他日偶々本会ヲ除盟スル事アルモ、其予期スル所ノ目的ヲ達シ得ル以上ハ其間敢テ遺憾ナカルベシ、而シテ若シ他年本会ニ於テ偶々此元資金ヲ割渡サントスル場合アルニ至ラバ之ガ処分法ニ困却スル事アルベシト雖トモ、凡ソ此ノ如キ事ハ其事ナキノ今日ニ於テ之ヲ考フルヨリハ其事アルノ実際ニ臨ンデ之ヲ考フル時ハ容易ニ適当ノ良法ヲ案出スルヲ得ベシト信ズルナリ
二十九番(西村庫次郎)曰ク、過刻十七番ハ加盟者ノ交代アルガ為メ不都合ナリト云フト雖トモ、余ノ見ル所ニテハ本案ノ所謂積立金ナルモノハ恰モ今日府下問屋組合ノ共有スル積立金ト同一ニシテ固ヨリ一体ノ為メニ積立ツベキモノナレバ、仮令各個ノ交代アルモ毫モ不都合ナカルベシト信ズルナリ
十七番(松林義規)曰ク、余ノ所謂加盟者トハ一人一個ヲ指スニ非ズシテ固ヨリ各組合並ニ会社ヲ意味スルモノナレバ、諸君ノ誤解セン事ヲ恐レテ敢テ玆ニ弁明ス
是ニ於テ会長(渋沢栄一)ハ議論稍ヤ尽キタルヲ以テ先ヅ原案賛成者ニ起立ヲ命ジタルニ殆ド総起立ニ付、本案ハ即チ原案ノ如クニ可決ス
○下略


東京商工会議事要件録 第一一号・第一〇頁 明治一八年六月二二日刊(DK180024k-0002)
第18巻 p.269 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一一号・第一〇頁 明治一八年六月二二日刊
  第六定式会
        (明治十八年五月廿六日午後六時開会)
  第十臨時会
    会員出席スル者 ○五十一名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ差向キ玆ニ各員ノ議決ヲ請ヒ度一要件アリトテ本会元資金ノ保管法及利子支消法如何ニ就キ各員ノ意見ヲ問ヒタルニ、遂ニ衆議ノ末本会元資金ハ公債証書ニ換ヘ之ヲ日本銀行ヘ保護預ケトシ其利子ハ総テ元金ノ中ニ繰入ルベキニ決ス
時ニ八十二番(山中隣之助)ハ会長ノ許可ヲ得、本会規程第六章第三十条ニ本会々計収支ノ決筭ハ毎年五月定式会議ニ於テ之ヲ報告ストアレトモ、斯クスル時ハ予筭ヲ議定スルニ当リ不都合ナキニ非ザレバ、本条中五月ヲ二月ト改メタシトノ旨ヲ建議セシガ衆員異議ナク直チニ之ヲ可決ス
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東京商工会議事要件録 第一五号・第四一―六八頁 明治一八月九月五日刊(DK180024k-0003)
第18巻 p.270 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一五号・第四一―六八頁 明治一八月九月五日刊
  第十四臨時会
          (明治十八年八月十四日午後六時四十五分開会)
  第七定式会
    会員出席スル者 ○三十三名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ定式会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ、本年一月ヨリ六月迄半季間事務ノ成跡ヲ報告ス、即チ左ノ如シ
  自明治十八年一月至同六月 半季間事務ノ報告
○中略
    雑事    六件
○元資金積立ノ議
  本件ハ理事本員ノ考案ニ起リ、其要旨ハ本会ノ経費決算ノ上若シ余剰ヲ生ズル時ハ之ヲ維持元資トシテ積立ツベシト云フニ在リ、即チ二月廿七日第五定式会ニ於テ之ヲ審議シテ之ヲ可決シタルニ付、其後五月廿六日第六定式会ニ於テ更ニ此元資金ノ保管法及其利子ノ支消法ヲ議シタルニ遂ニ本会ノ元資金ハ公債証書ニ換ヘ、之ヲ日本銀行ヘ保護預ケトシ其利子ハ総テ元資ノ中ニ繰入ルベキニ決シタリ ○下略