デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

7章 経済団体及ビ民間諸会
1節 商業会議所
2款 東京商工会
■綱文

第18巻 p.323-359(DK180033k) ページ画像

明治18年8月7日(1885年)

是日栄一当会会頭トシテ、先ニ農商務卿西郷従道ヨリ諮問セラレタル倉庫条例ノ儀ニ付キ復申案ヲ進達シ、併テ建案ニヨル貸倉営業ノコトヲ建議ス。


■資料

渋沢栄一書翰 萩原源太郎宛 (明治一七年)九月一七日(DK180033k-0001)
第18巻 p.323 ページ画像

渋沢栄一書翰  萩原源太郎宛 (明治一七年)九月一七日  (萩原英一氏所蔵)
倉庫会社条例之義ニ付浄書類御遣し被下落手仕候、御手数万謝之至ニ候、右原稿ハ手許ニ控置度候間御写取之上御返し可被下候、且日附ハ今月今日、名宛ハ品川農商務大輔ヘ内呈せし義ニ候為念申上候
○中略
  九月十七日               渋沢栄一
    萩原源太郎様


東京商工会議事要件録 第八号・第一三―三五頁 明治一八年一月二七日刊(DK180033k-0002)
第18巻 p.323-328 ページ画像

東京商工会議事要件録  第八号・第一三―三五頁 明治一八年一月二七日刊



 第四定式会
 第八臨時会
 (明治十七年十二月二十五日午後五時三十分開)





    会員出席スル者 ○四十五名
○上略
会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ此度新ニ農商務卿閣下ヨリ下附セラレタル倉庫条例諮問案ヲ討議スベキ旨ヲ告ゲ、先ヅ書記ヲシテ議案ヲ朗読セシメ、且ツ不審ノ廉アラバ説明委員ニ質議スベキ旨ヲ告グ
                    東京商工会
別紙問目書ノ件々其会ヘ及諮問候条、遂審議報告可致此旨相達候事
  明治十七年十一月十三日
                 農商務卿西郷従道
(別紙)
 - 第18巻 p.324 -ページ画像 
    諮問案
 貨物ノ集散頻繁ナル地方ニ於テハ商品保管倉庫ノ商業上ニ必要ナルハ固ヨリ論スルヲ待タス、故ニ東京大坂ヲ始メ其他取引稍頻繁ナル地方ニ於テハ漸ク之ヲ創設スル者アルニ至レリ、然ルニ現今設立セル者ハ組織未ダ完全ナラザルガ故ニ其便益亦未ダ商業上ニ顕著タラザルハ寔ニ遺憾ト云フベシ、依テ今之レニ関スル条例ヲ制定シテ以テ之レヲ保護セントスルニ付緊要ノ件々ヲ諮問スル事左ノ如シ
第一 商品保管倉庫ノ営業ハ一個人ニ許シテ可ナル者カ、又ハ資本ヲ以テ成立ツ会社ニノミ許スベキモノカ、若シ会社ニノミ許スベキモノトセバ其資本高ハ創業者ノ自定ニ任スベキヤ
第二 該営業ヲ一個人ニ許ストキハ其営業保証ハ倉庫ニ属スル地所建物等ニテ然ルヘキヤ、又ハ相当ノ保証金ヲ地方庁ニ預ケシムヘキカ
  該営業ヲ会社ニノミ許ストセハ其営業保証ノ方法如何
第三 営業用倉庫ハ石造・煉化造・土造等ニ限ルト否ラサルトノ利害如何
第四 預リ貨物ノ種類ハ営業者ノ自定ニ任スベキヤ、将タ条例ヲ以テ之ヲ規正スルヲ利アリトスルヤ
第五 預リ証券ハ売買・抵当ノ二種ニ分チ発行セシムルヲ可トスルカ又ハ一枚ノ証券ヲ以テ此二種ニ通用セシムルヲ可トスルカ
第六 倉敷其他ノ手数料等ノ割合ハ総テ営業者ノ自定ニ任スルヲ以テ便ナリトスルヤ
第七 預リ貨物ノ抵当流レ若クハ期限後庫出シヲ為サヾルトキハ、営業者ニ於テ公売ノ処分ヲ施シ、而シテ倉敷及ビ手数料其他公売ニ関スル諸入費等ハ、他ノ債主ニ先チ之レヲ領収スルノ特権ヲ与フルノ利害如何
第八 預リ貨物ノ品質ニ依リ予メ欠減ノ程度ヲ定ムルノ得失如何
第九 預リ貨物ノ価格ハ営業者ノ評定ニ任スルヲ以テ便ナリトスルヤ
第十 預リ証券ノ授受ノ際成ルヘク現品ヲ点検セシムルヲ至当トナスヤ
第十一 営業者ニ於テ空証券又ハ事実ヲ詐リタル証券ヲ発行シ、其他之レニ類似ノ行為アルニ於テハ其之ヲ処分スルノ方法如何
第十二 主務ノ官庁ヨリ臨時保管貨物ノ撿査ヲ為スノ得失及其方法如何
 前項ノ外重要ト認ムル件アラバ成ルベク精密ニ討議スヘシ
五十九番(益田孝)曰ク、本案第五項中預証券ハ売買抵当ノ二種ニ分チ云々トアリ、斯ル証券ハ従来本邦ニ於テ使用シタル慣例アラザルニ付、願ハクバ其用方等ニ就テ詳述セラレタシ
番外一番(鶴田貫次郎)曰ク、抑モ預証券ハ倉庫営業者ガ保管貨物ニ向テ発スル所ニシテ、若シ預托者ノ都合ニヨリ其儘之ヲ他ヘ売ラントスルトキハ現品ヲ授受スルノ手数ヲ要セズシテ直チニ此証券ヲ以テ之ガ所有権ヲ転移スルヲ得ルハ勿論ナリト雖トモ、時宜ニヨリテハ預托者ニ於テ其儘之ヲ抵当ニ供セント欲スル事アリ、是レ預証券ヲシテ売買・抵当二種ノ利用ヲ達セシムルヲ以テ最モ便
 - 第18巻 p.325 -ページ画像 
利トスル所以ナリ、而シテ今此第五項ニ於テ問フ所ノ要旨ハ二枚ヲ発シテ各一種ノ利用ヲ帯バシムルヲ可トスルカ将タ一枚ヲ発シテ二種ノ利用ヲ兼ネシムルヲ可トスルカト云フニ在リ
十六番(益田克徳)曰ク、本案第一項ニ商品保管倉庫ノ営業ハ一個人ニ許シテ可ナルモノカ、又ハ資本ヲ以テ成立ツ会社ニノミ許スベキモノカトアリ、余ノ見ル所ニテハ一個人ト云ヒ会社ト云ヒ別段其間ニ区別ヲ要セザルモノヽ如シ、蓋シ本項ノ精神ヲ案ズルニ或ハ一個人ニ許ストキハ弊害アリトノ趣意ヲ含ムモノナランカ、若シ欧米諸国ニ於テ如此実例アラバ願ハクバ之ヲ教示セラレタシ
番外一番(鶴田貫次郎)曰ク、一個人ト云ヒ会社ト云ヒ其他人ニ対スル責任ノ如キハ彼此固ヨリ軽重ナシト雖トモ其営業ノ規模ニ至リテハ其間自ラ大小ノ差アリ、抑モ倉庫営業ノ如キハ多分ノ資本ヲ要スルヲ以テ一個人ノ之ヲ経営スル事能ハザルノ事情ナシトセズ現ニ仏国法制官ノ中ニテハ斯ノ如キ営業ハ会社ニ非ザレバ之ヲ営ムベカラズトノ説ヲ持スル者アリト聞ケリ、蓋シ商品ノ種類ヲ限リテ保管スルモノヽ如キハ、一個人ニテ之ヲ営ミ得ベシト雖トモ夫ノ開港場ニ在リテ総テ輸入品ヲ一手ニ保管スルモノヽ如キハ、到底合本会社ニ非ザレバ之ヲ営ム能ハザルナリ、故ニ本項諮問ノ趣意ハ斯ノ如キ営業ハ条例ヲ以テ会社ニ限リ之ヲ許シ一個人ニ許サヌ様ニシテハ如何ント云フノ精神ニ過ギザルナリ、尤本項ハ第四項ト密切ノ関係ヲ有スルガ故ニ各員予メ玆ニ注意セラレタシ
九十九番(浅野彦兵衛)曰ク、本案第七項ニ預リ貨物ノ抵当流レ若クハ期限後庫出シヲ為サヾル時ハ云々トアリ、此等ハ如何ナル場合ヲ云フカ
番外一番(鶴田貫次郎)曰ク、預托者ガ倉庫営業者ヨリ発スル所ノ証券ヲ抵当トシテ他ヨリ金員ヲ借入レ、期限ニ至リ之ヲ返償セザル時ニハ法律ニヨリテ之ヲ抵当流トスルカ、或ハ相当ノ約束又ハ会社ノ規則ニヨリテ之ヲ抵当流トスルノ場合アリ、又預托者ガ其商品ヲ倉庫ヘ預托シテ庫出シ期限ヲ過グルモ之ヲ庫出シセザルノ場合アリ、要スルニ本項ハ此等ノ場合ニ施スベキ処分法ヲ問フモノナリ
十一番(犬塚駒吉)曰ク第九項中価格トハ如何ン
番外一番(鶴田貫次郎)曰ク、価格ナル語ハ通常相場若クハ直打ト解スル事アレトモ、此ニ所謂価格トハ例ヘバ原価或ハ製産入費ト云フガ如ク、要スルニ営業者ガ保管商品ヲ失ヒ之ヲ弁償スルガ如キ場合ニ於テ能ク其損失ノ程度ヲ定ムルニ足ルベキ標準ヲ云フナリ
五十九番(益田孝)曰ク、本案第一・第二ノ両項ハ共ニ営業資本ニ関スルモノナリ、抑モ本案ノ精神ハ営業者ノ責任ヲ有限トスルノ意ナルカ、将タ無限トスルノ意ナルカ、是ハ文面外ニ渉ルト雖トモ敢テ説明ヲ乞フ
番外一番(鶴田貫次郎)曰ク、責任ニ就テハ目下政府ニ於テ会社法編纂中ニ付、立案者ニ於テハ未ダ何レトモ之ヲ指定シタル事アラズ但シ本案第二項中ニ在ル営業保証ノ事タル暗ニ有限ノ意ヲ包含スルヲ見レバ暫ク其責任ハ有限ト見做スモ不可ナカラン
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九十八番(吉田幸作)曰ク、営業者保管商品ヲ失ヒ之ヲ弁償スル場合ニ於テ、若シ甚シキ相場ノ高低アラバ何ヲ以テ其標準ト為スヤ
会長(渋沢栄一)曰ク、此問ハ敢テ説明者ノ答弁ヲ煩ハス迄モナシ、抑モ営業者ガ保管ノ商品ヲ失ヒ之ヲ弁償スル場合ノ如キハ、恰モ海上保険会社ガ難破ノ商品ヲ弁償スルニ当リ予定ノ価格ニ因ルト一般ニシテ、毫モ時価ノ高低ニ関スルモノニ非ザルナリ
九十八番(吉田幸作)曰ク、第七項中ニ在ル保管商品ノ抵当流トナリタル場合ノ如キ、若シ時価低落ノ為メ元利ヲ償フ事能ハザル事アラバ其損失ハ如何スルヤ
会長(渋沢栄一)曰ク、時価高低ヨリ生ズル損益ハ其物品ヲ抵当ニ取リタル債主、又ハ商品所有者ニ関係スベキモノニシテ倉庫営業者ニ於テハ毫モ之ガ痛痒ヲ感ゼザルナリ
於是会長(渋沢栄一)ハ質議ヤヽ尽キタルヲ以テ各員ニ向ヒ、是ヨリ各々意見ヲ述ブベキ旨ヲ告ゲシニ四十三番(梅浦精一)ヨリ本案ハ商業社会ニ至大ノ関係ヲ有スルガ故ニ直チニ之ヲ決スルヲ好マズ依テ先ヅ会長ヨリ委員数名ヲ指名シテ逐条審議セシメ、然ル後猶充分各員ノ熟慮ヲ経テ之ヲ議決スベシトノ議ヲ発シ五十九番(益田孝)九十七番(笠井庄兵衛)四十番(隅山尚徳)九十九番(浅野彦兵衛)等ノ賛成アリシガ委員ノ人員ヲ議スルニ当リ、四十三番(梅浦精一)六十三番(柿沼谷蔵)八番(大塚藤平)ハ七名ニテ可ナリト云ヒ、四十番(隅山尚徳)ハ少クモ十二名ヲ撰挙スベシト云ヒ、共ニ多少ノ賛成アリシニ付、会長(渋沢栄一)ハ先ヅ之ヲ起立ニ問ヒシニ七名ヲ可トスル者十九人、十二名ヲ可トスル者二十四人、即チ多数ニヨリ委員ハ十二名ヲ撰挙スル事ト定メ追テ会長ヨリ之ヲ指名スルニ決ス
  (会長ハ其後委員トシテ左ノ十二名ヲ指名シタリ依テ参考ノ為メ玆ニ附記ス)
               五番       前川忠七
              十六番       益田克徳
              四十番       隅山尚徳
             四十三番       梅津精一
             四十五番       渡辺治右衛門
             五十八番《(マヽ)》  渋沢喜作
             五十九番《(マヽ)》  川原英次郎
             六十三番       柿沼谷蔵
             七十四番       鳥海清左衛門
              八十番       小室信夫
             八十二番       山中隣之助
             八十四番       荘田平五郎
会長(渋沢栄一)ハ本案倉庫営業ノ義ニ関シ別ニ意見ヲ有スル旨ヲ以テ副会頭(益田孝)ニ其席ヲ譲リ、更ニ会員席(八十一番)ニ就キ其意見ヲ陳述ス、即チ左ノ如シ
八十一番(渋沢栄一)曰ク、抑モ倉庫営業ハ欧米諸国ノ海関ニハ各々之ニ附属スル倉庫会社有テ恰モ海関上ノ一制規ニ属スル者ノ如シ而シテ此会社ハ一般商賈ノ依頼ニ応ジテ輸入品ヲ保管シ、海関ニ
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於テハ此倉庫ヘ預托スル所ノ輸入品ニシテ内地ノ消費ニ供スルモノニハ之ニ輸入税ヲ課スルト雖トモ、若シ其儘之ヲ再輸出スル者ニハ此会社ノ保管ヲ信用シテ別段輸入税ヲ徴収セザル者トス、又預托者ニ於テ其商品ヲ預托ノ儘売買セントスル時ハ只預証券ニ裏書シテ容易ニ其所有権ヲ移転スルヲ得ルハ勿論都合ニ因テハ之ヲ抵当トシテ金融ヲ達スルモ亦預托者ノ自由ナル所トス、又此倉庫ニ附着シテ公売所ナル者アリ、場内ニハ見本品ヲ陳列シ一々現品ヲ点撿スルノ労ヲ要セズシテ直チニ其預托商品ヲ売買スルヲ得、且ツ其預托商品ニシテ偶々抵当流トナルガ如キ場合ニハ夫々定規有テ公売所ニ於テ直チニ之ヲ糶売スルヲ得ル等、其融通ヲ助ケ取引ヲ便スル事実ニ不尠、是欧米諸国ニ於テ今日倉庫営業ノ甚ダ盛ナル所以ナリ、然ルニ従来我国ノ倉庫ニハ関税未済ノ商品ヲ保管スルガ如キ特例ナキハ勿論、其倉庫ヘ預托スル商品ノ如キモ概ネ荒荷ト称シ品位雑駁ナルガ上ニ荷造極テ粗末ナルモノ多キガ故ニ公売所ヲ設ケ見本ヲ以テ売買スル等ノ事容易ニ為シ能ハサルヘシ且ツ其倉庫ハ荒荷ヲ貯蔵スルガ故ニ之ガ構造モ区々ニシテ随テ撿束法モ充分ナラズ、殊ニ我国ニ於テハ貸借上抵当品ノ如キハ仮令返済ノ期日ヲ失スルモ、改メテ所有者ノ承諾ヲ得ザレバ之ヲ処分シ難キ等種々ノ不便アルガ為メ倉庫営業ノ発育実ニ甚ダ微弱ヲ極メ現ニ東京・大阪等ニ於テハ近頃倉庫会社ヲ設立シタルモノアレトモ在来ノ慣習ニ制セラレテ其真正ノ効用ヲ発顕スル事能ハズ、山形県下酒田港ノ如キ一旦其筋ヨリ倉庫会社設立ノ許可ヲ得シモ営業上確実ノ目途ナキノ故ニヤ未タ開業ノ運ニ至ラザルモノアリト聞ケリ、之ヲ要スルニ我国ノ商売ハ概シテ現金取引ニシテ手形ノ必要甚ダ少ク、随テ倉庫会社ヘ預托スル商品ノ如キ保管ノ儘之ヲ数人ノ間ニ転売シタルノ例ハ未ダ嘗テ聞カザル所ニシテ、只今日迄幸ニ倉庫会社ノ成立ヲ保維シタルモノハ纔ニ其預証券ヲ仕払保証トシテ銀行ヨリ金融ヲ得ルノ一途アルニ因ルノミ、然ルニ元来当局者ニ於テハ預托商品ニ対シテ約束手形ヲ発スル習慣ノ如キハ全ク真正ナル手形ノ発育ヲ助長スルノ効ナシトテ寧ロ此習慣ヲ制止セラレントスルノ情況アルニ付、従来倉庫会社ガ纔ニ頼テ以テ其命脈ヲ保チタル一条ノ活路モ今ヤ漸ク将ニ杜絶セラレントスルノ運ニ際セリ、是実ニ我国倉庫営業ノ今日迄萎靡振ハザル所以ニシテ之ヲ彼ノ欧米諸国ノ倉庫営業ニ比スルニ其効用ノ大小豈ニ霄壌ノミナランヤ、然ラバ今日我国ニ於テハ全ク倉庫営業ヲ要セザルヤト云フニ余ハ断乎トシテ其然ラザルヲ信ズルナリ、夫レ倉庫営業ノ融通ヲ助ケ取引ヲ便スルノ一機関タルハ欧米諸国ノ現状ニ照シテモ明カナル所ニシテ、若シ我国ノ取引ヲシテ永ク現金売買ナラシメバ其効用格別顕著ナラザルニ似タリト雖トモ、若シ一朝商業進歩シテ約束売買ノ慣習発生スルニ至ラバ商業社会ニ於テ益々其必要ヲ感ズルハ必然ノ勢ニシテ、予メ之ガ需用ニ応ズルノ準備ヲ為スハ亦今日ノ急務ナリトス、豈今日ニ於テ其発育ヲ忽ニスベケンヤ、蓋シ政府ニ於テ一旦条例ヲ制定シテ倉庫営業ヲ保護セラルヽニ至ラバ幾分カ之ガ発育ノ効ナキニアラザルベシト雖ト
 - 第18巻 p.328 -ページ画像 
モ、抑モ我国倉庫営業ノ衰況ニ陥リタルノ実勢前陳ノ如クナルヲ見レバ、此際仮令尋常ノ条例ヲ以テ之ヲ保護セラルヽモ余ハ到底完全ノ結果ヲ前途ニ期シ難キヲ恐ルヽナリ、故ニ余ハ今本会ニ於テ此諮問案ニ答申スルニ当リ更ニ一歩ヲ進メ適当ノ方法ヲ以テ特ニ之ヲ保護セラレタキ旨ヲ併テ建議セン事ヲ望ム、而シテ其方法ノ細目ニ至リテハ未ダ熟案セズト雖トモ先ヅ仮ニ東京・大坂ヲ以テ商業世界ノ大二区ト定メ、両大区ニ属スル地方ニ就テ倉庫営業必要ノ地ヲ挙グレバ其東京ニ属スルモノハ四日市・横浜・石巻・箱館・秋田・酒田・新潟ノ数所ニシテ、大坂ニ属スルモノハ西京神戸・大津・敦賀・伏木・赤馬関・長崎等ノ数所トス、故ニ右等ノ各地ヲ以テ暫ク将来倉庫営業ヲ発生セシムベキ必要ノ場所ト定メ其中仮リニ東京・大坂ニ於テ各々倉庫会社ノ本店ヲ置クモノトシ他ノ要地ヘハ便宜支店ヲ置テ之ヲ総括セシメ而シテ其会社ノ資本金ハ両地各凡金百万円ト定メ先ヅ其半額丈ヲ募集スルモノトシ其募集金ノ十分四ヲ以テ倉庫・家屋等ノ営業資本ニ供シ、残十分ノ六ハ公債証書ニ換ヘ営業保証トシテ政府ヘ上納セシメ、政府ニ於テハ日本鉄道会社ヲ保護セラルヽノ例ニ傚ヒ当分ノ中該会社ノ営業純益ニ対シ年八分位迄ヲ保証セラレン事ヲ要ス、此保護法ニ拠レバ若シ会社ノ純益ヲ仮ニ六分トスル時ハ仮令全株金百万円ヲ募集シタル場合ニ於テモ政府実際ノ保証額ハ一会社ニ付テ僅ニ二万円ニ過ギズ、又其純益ヲ五分ト仮定スルモ猶其保証額ハ三万円ヲ出デズシテ而モ甲地ニ便ニシテ乙地ニ便ナラザルガ如キ不偏ニ失スル事ナク彼此共ニ同一ノ利益ヲ享受シ得ベキナリ、若シ此建議ニシテ幸ニ採択セラルヽヲ得バ政府ハ年々僅小ノ支出ヲ以テ充分倉庫営業ノ発育ヲ助クルヲ得、遂ニ五七年ヲ出デズシテ我国ニ完全ナル倉庫営業ノ成立ヲ必期シ得ベキヲ信ズルナリ、願ハクバ各員熟考ノ上本議ニ賛成アラン事ヲ
於是会長(益田孝)ハ各員ニ向ヒ本議ノ可否ニ就キ充分意見ヲ述ブベキ旨ヲ告ゲタルニ、各員ノ中本議ノ要旨ニ就キ二三ノ問答アリタル後終ニ総員其大体ヲ賛成セシガ、猶衆議ノ上其方案ノ細目ハ発議者ニ於テ之ヲ調成シ一応委員ノ意見ヲモ問フタル上、更ニ次会ヲ期シテ之ヲ審議スベキニ決シタリ


東京商工会議事要件録 第九号・第一九―二八頁 明治一八年三月一四日刊(DK180033k-0003)
第18巻 p.328-329 ページ画像

東京商工会議事要件録  第九号・第一九―二八頁 明治一八年三月一四日刊
  第五定式会  (明治十八年二月廿七日午後四時三十分開会)
    会員出席スル者 ○七十一名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ明治十七年下半季定式事務ノ成跡ヲ報告ス、即チ左ノ如シ
   自明治十七年七月至同十二月 半季間事務ノ報告
○中略
    政府ヨリ下問   三件
○中略
 - 第18巻 p.329 -ページ画像 
○倉庫営業ノ義ニ付農商務省ヨリ下問
  本件ハ明治十七年十一月十三日附ヲ以テ西郷農商務卿閣下ヨリノ御諮問ニ係リ、其要旨ハ今般其筋ニ於テ新ニ新例ヲ制定シテ倉庫営業ヲ保護セラルヽニ付参考ノ為メ緊要ノ件々ヲ審議シテ報答スベシト云フニ在リ、即チ十二月二十五日第八臨時会ニ於テ之ヲ審議シタルニ先ヅ委員ヲ撰ンデ之ヲ審案セシムベシト云フニ決シタルニ付、其後会長ハ十二名ノ委員ヲ指名セシガ年内既ニ余日ナキニ付、是ハ追テ明治十八年ニ至リ更ニ委員会ヲ開キテ審案セシムベキ見込ナリ ○中略
  又八十一番(渋沢栄一)ハ本案ヲ議スルニ当リ目下我国倉庫営業ノ振ハザル仮令条例ヲ以テ之ヲ保護スルモ猶充分其発育ヲ期シ難キノ事情アルニ付、本会ニ於テハ更ニ一歩ヲ進メ此諮問ニ答申スルニ当リ併テ政府ニ向ヒ適当ノ方法ヲ以テ特ニ之ガ発育ヲ保護セラレタキ旨ヲ建議スベシトノ説ヲ発セシガ、遂ニ満場ノ賛成ヲ得タルニ付其細目ノ方案ハ発議者ヲシテ之ヲ調査セシメ、追テ明治十八年ニ至リ更ニ次会ヲ期シテ之ヲ審議スベキ見込ナリ


渋沢栄一書翰 萩原源太郎宛 (明治一八年)四月二五日(DK180033k-0004)
第18巻 p.329 ページ画像

渋沢栄一書翰  萩原源太郎宛 (明治一八年)四月二五日   (萩原英一氏所蔵)
○上略
倉庫条例復申書案ハ一覧之上更ニ可申上候、右ニ付御下問案も御廻し被下正ニ落手仕候
○中略
  四月廿五日               渋沢栄一
    萩原様


東京商工会議事要件録 第一四号・第六七―八六頁 明治一八年八月二二日刊(DK180033k-0005)
第18巻 p.329-333 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一四号・第六七―八六頁 明治一八年八月二二日刊
 ○参考部
    ○(倉庫条例ノ義ニ付復申書)
  昨十七年十一月十三日附ヲ以テ御諮問有之候倉庫条例ニ関スル件ニ就テハ其後数回ノ会議ヲ開キ篤ト其得失ヲ審議致候処、遂ニ別紙答案ノ通リ議決仕候、依テ別紙相添此段復申仕候也
                    東京商工会会頭
  明治十八年八月七日           渋沢栄一
    農商務卿 西郷従道殿
(別紙)
      問
第一 商品保管倉庫ノ営業ハ一個人ニ許シテ可ナルモノカ又ハ資本ヲ以テ成立ツ会社ニノミ許スベキモノカ、若シ会社ニノミ許スベキモノトセバ其資本高ハ創業者ノ自定ニ任スベキヤ
      答
商品保管倉庫ノ営業ハ資本ヲ以テ成立ツ会社ニノミ許シ、而シテ其資本高ハ創業者ノ自定ニ任セズ相当ニ御制限相成度奉存候
 商品保管倉庫ノ営業ハ預リ証券ヲ発行シテ貨物ヲ保管スルモノニシテ、其営業ノ取締向等真成合本ノ組織ヲ以テ成立ツ会社ニノミ許シ
 - 第18巻 p.330 -ページ画像 
候方至当ト奉存候、而シテ其営業ノ摸様ハ各地商売ノ繁閑ニヨリ伸縮ヲ要スル事勿論ナレバ、其資本ハ各地画一ノ御制限ニ無之少クトモ何万円ヲ限ルト申位ニ御定相成候方実際ノ便利可有之奉存候、蓋シ商品保管倉庫ノ営業ハ独リ倉庫建築等ノ為メノミナラズ其営業上信用ヲ博スル為メ特ニ相当ノ資本ヲ必須トスルモノニ付、若シ之ヲ創業者ノ自定ニ任シ候時ハ、或ハ僅小ノ資金ヲ以テ漫リニ不相応ノ事業ヲ発企シ、結局本業一般ノ信用ヲ毀損候様ノ事無之トモ難申、依テ其資本高ハ、此弊害ヲ防グニ足ルヲ度トシテ御制限相成度希望仕候
      問
第二 該営業ヲ一個人ニ許ストキハ其営業保証ハ倉庫ニ属スル地所建物ニテ然ルベキヤ、又ハ相当ノ保証金ヲ地方庁ニ預ケシムベキヤ、該営業ヲ会社ニノミ許ストセバ其営業保証ノ方法如何
      荅
既ニ商品保管倉庫ノ営業ヲ合本会社ニノミ許スト定ムル上ハ其営業保証ノ方法ハ凡ソ其会社株金高十分ノ四五迄ヲ払込ミ、倉庫建築等ノ費用ヲ除クノ外之レヲ公債証書ニ換ヘ地方庁ニ預托セシメ度、尤土地ノ情況ニヨリテハ特例ヲ以テ地券其他確実ナル不動産ヲ以テ公債証書ニ換フルヲ得セシメ度奉存候
 政府カ商品保管倉庫営業ノ信用ヲ保護セラルヽニハ営業保証ノ方法ヲ制定セラレン事最モ必要ナル所ニ御座候得共、従来各地ノ慣習ニヨリ其営業ノ情況ヲ同フセサルニ付其資本払込ノ割合ヲ凡十分ノ四五迄トシ、其中ニテ倉庫新築等ノ費用ヲ弁シ、他ハ悉ク営業ノ保証トシテ公債証書ニ換ヘ之ヲ地方庁ニ預托セシメ度、而シテ土地ノ模様ニヨリ公債証書ヲ買入レ難キ場合ニ於テハ特例ヲ以テ地券其他ノ不動産ニシテ、果シテ確実ナル市価ヲ保持シ得ベキモノハ之ヲ以テ公債証書ニ換フルヲ得セシムルノ便法御施設相成度希望仕候
      問
第三 営業用ノ倉庫ハ石造・煉瓦造・土造等ニ限ルト否ラザルトノ利害如何
      答
営業用ノ倉庫ニハ別段厳重ナル制限ヲ置カレズシテ只煉瓦造・石造又ハ土造等要スルニ火災盗難ヲ防ギ、商品ヲ保護スルニ足ルヘキモノハ総テ御許可相成度奉存候
 東京・大坂其他各開港場ノ如キ苟クモ商品出入ノ頻繁ナル土地ニ於テハ従来貸庫ナルモノ有之、此等ノ倉庫ハ所有者ガ各商賈ノ需要ニ応ジテ建設シタルモノニシテ、其構造或ハ米穀ノ貯蔵ニ適スルアリ或ハ生糸ノ貯蔵ニ適スルアリ、故ニ今条例ヲ遵奉シテ新ニ本業ヲ営マント欲スル者ハ此等ノ倉庫ヲ使用スル事必然ニ付、今遽ニ厳重ノ制限ヲ置カルヽ時ハ実際ノ不便不少ト想察仕候、依テ其建築ハ煉瓦造・石造又ハ土造ノ中営業者ノ撰ム所ニ任シ、要スルニ火災盗難ヲ防ギ商品ヲ保護スルニ足ルベキモノハ総テ御許可相成度希望仕候
      問
第四 預リ貨物ノ種類ハ営業者ノ自定ニ任スヘキヤ将タ条例ヲ以テ之
 - 第18巻 p.331 -ページ画像 
ヲ規正スルヲ利アリトスルヤ
      答
預リ貨物ノ種類ハ概ネ営業者ノ自定ニ任シ、只危険質・爆発質・腐蝕性物等ノ如キ他ノ商品ヲ害スヘキ物品等ニ限リ条例ヲ以テ厳重ニ御禁止相成度奉存候
 預リ貨物ノ種類ハ元来土地ニヨリテ大ニ異同有之、固ヨリ条例ヲ以テ規正スベカラザルモノニ付総テ営業者ノ自定ニ御放任相成度、而シテ本文ニ掲グル各品ノ如キハ共ニ他ノ商品ヲ損害スベキモノニ付只此等ニ限リ総テ条例ヲ以テ厳重ニ御禁止相成度希望仕候
      問
第五 預リ証券ハ売買・抵当ノ二種ニ分チ発行セシムルヲ可トスルカ又ハ一枚ノ証券ヲ以テ此二種ニ通用セシムルヲ可トスルカ
      答
預リ証券ハ目下ノ現況ニヨレバ一枚ヲ以テ売買・抵当ノ二種ニ通ゼシメ候方便利ト奉存候
 預リ証券ヲ売買・抵当ノ二種ニ分チテ発行セシムルハ甚ダ良制ニシテ在来其慣習アルノ土地ニアリテハ之ヲ実施スルニ最モ便利アリトス、是レ蓋シ欧米諸国ニ於テ此制度ノ盛ニ行ハルヽ所以ナラン、然ルニ従来我国ニ於テハ手形取引ノ発育甚ダ不充分ニシテ殊ニ今日倉庫ニ保管スル貨物ハ荒荷ト称スルモノ最モ多ク、其取引ハ概ネ実物ヲ撿査シテ後売買価格ヲ定ムルヲ常トシ、随テ其預リ証券ハ売買用ニ供スル場合甚タ稀ニシテ重ニ抵当用ノ一途ニ供スルニ過ギズ、左レバ今我国ニ於テ此制度ヲ実施スル時ハ貨主ニ於テハ甚タ便利アルガ如シト雖トモ、預リ証券ノ買主ハ更ニ之ヲ売却スルニ当リ故障アラン事ヲ恐レ(偶々其商品他ニ抵当タル時)保証券ヲ抵当ニ取リタル債主ハ負債主ノ返済ヲ誤リタル時面倒ヲ生ゼン事ヲ恐ルヽ(偶々其商品既ニ他人ノ所有ニ帰シタル時)等、要スルニ取引上種々ノ混雑ヲ来シ、仮令其ノ良制タルニモ拘ラズ却テ実際ノ不便ヲ生ズル事可有之奉存候、由是観之此制度ハ他年預リ証券ヲ売買用ニ供スルノ慣習起ルノ日ニ至ラバ其効能固ヨリ著明ナルベシト雖トモ、先ヅ目下ノ現況ニヨリテ之ヲ観ルニ一枚ヲ以テ売買・抵当ノ二種ニ通ゼシムルノ制度ハ却テ実際ニ適応セリト奉存候
      問
第六 倉敷其他ノ手数料等ノ割合ハ総テ営業者ノ自定ニ任スルヲ以テ便ナリトスルヤ
      荅
倉敷其他手数料等ノ割合ハ全ク営業者ノ自定ニ任シ候方最モ便利ナリト奉存候
 倉敷其他手数料ハ元来営業ノ費用ヲ標準トシテ算出シタルモノニシテ、恰モ物価ノ如ク法律ノ能ク制シ得ベキモノニ非ズ、而シテ各地商売ノ摸様ト慣習ノ如何トニヨリ其高低ノ度ヲ同フセザルモノアリ例ヘバ府下深川問屋ノ如キハ其収益ヲ倉敷料ニ期セズシテ専ラ口銭ニ求ムルノ慣習アルヲ以テ、其倉敷料ノ割合ハ口銭ニ比シテ自ラ低度ニアルノ情況アリ、故ニ其割合ハ全ク営業者ノ自定ニ任シ毫モ御
 - 第18巻 p.332 -ページ画像 
規正無之様仕度希望仕候
      問
第七 預リ貨物ノ抵当流レ若クハ期限後庫出シヲ為サザルトキハ営業者ニ於テ公売ノ処分ヲ施シ、而シテ倉敷及手数料其他公売ニ関スル諸入費等ハ他ノ債主ニ先タチ之ヲ領収スルノ特権ヲ与ルノ利害如何
      答
預リ貨物ノ抵当期限ヲ経過シ、若クハ預リ期限後庫出ヲ為サザル時ハ営業者ニ於テ公売ノ処分ヲ施シ、而シテ倉敷料及手数料其他公売ニ関スル諸入費等ハ、他ノ債主ニ先ダチ之ヲ領収スルノ特権ヲ与ヘ候事ハ最モ適当ノ御制度ト奉存候
 従来貸借上抵当品ヲ取リタル債主ハ負債主ガ返済ノ期日ヲ失スルモ其所有権猶負債主ニ属スルヲ以テ其承諾ヲ得ザレバ直チニ之ヲ処分シ難キ事アリ、故ニ負債主(預証券ノ名宛人)ガ返済ノ期日ニ臨ミ故意ニ失踪シテ時日ヲ遷引スルノ実例往々有之、此等ノ場合ニ於テ営業者ハ一時倉敷料及手数料ヲ収入スルノ途ヲ失シ、其困厄実ニ少カラス、又商品預托者ガ期限後其商品ヲ出庫セザル場合ニ於テモ営業者ハ其処分ニ苦ミ、其困厄亦少カラス、是営業者ニ本文ノ如キ特例ヲ与ヘラレン事ヲ最モ必要トスル所以ニ御座候、若シ果シテ此特例ヲ与ヘラルヽ時ハ益々本業ヲ安固ナラシムルヲ得ルハ勿論、債主(預証券ヲ抵当ニ取ル者)及負債主(預証券ノ名宛人)間ノ取引ヲ確実ナラシムルヲ得、結局商業上ノ便益ヲ進捗スル事少々ナラズト奉存候、依テ若シ此等ノ期限ヲ失スルモノ有之候時ハ先ヅ営業者ヲシテ必ズ相当ノ猶予日限ヲ与ヘシメ、而シテ此期限内ニ約束ヲ履行スル事能ハザル時ハ之ヲ公売セシメ候様仕度希望仕候
      問
第八 預リ貨物ノ品質ニ依リ予メ欠減ノ定度ヲ定ムルノ得失如何
      答
預リ貨物ニハ総テ欠減ノ程度ヲ定メザル方可然奉存候
 預リ貨物欠減ノ定度ハ其品質ノ精粗及在庫時間ノ長短等ニヨリ一様ナラザルハ勿論ノ義ニシテ、殊ニ時候ノ寒暄・土地ノ乾湿・貯蔵場所ノ良否等ニヨリテハ、啻ニ欠減ヲ見ザルノミナラズ、時ニ或ハ却テ其形体量目ニ増大ヲ致ス所ノ商品モ可有之ニ付、其欠減ノ定度ヲ定メン事ハ蓋シ実際ニ為シ能ハザル事ト奉存候、今仮リニ営業者ニ於テ予メ之ヲ定メ、彼ノ米商会所ノ格附ノ如ク其御筋ノ御認可ヲ受クルモノトスルモ、若シ商品預托者ニ於テ不便ヲ訴フル時ハ此定度ハ全ク無効ニ帰セザルヲ得ズ、依テ欠減ノ定度ハ予メ之ヲ定メズシテ各地従来ノ慣行ニヨリ営業者及商品預托者相対ノ契約ニ御放任相成候ヨリ外ニ他策無之ト奉存候
      問
第九 預リ貨物ノ価格ハ営業者ノ評定ニ任スルヲ以テ便ナリトスルヤ
      答
預リ貨物ハ寧ロ其価格ヲ定メシメザル方却テ実際ニ便利ナリト奉存候
 抑モ預貨物ノ価格ヲ定メシムルハ該貨物損失弁償ノ時ニ当リ営業者及商品預托者ノ間ニ無益ノ紛議ヲ生セシメサルカ為ナルヘシ、然レ
 - 第18巻 p.333 -ページ画像 
トモ既ニ他日ノ標準タラシメントセハ当初之レヲ定ムルニ当リテ双方ノ紛議ナキヲ保セス、依テ預貨物ハ総テ其価格ヲ定メシメズシテ其弁償法ニ関シテハ兼テ営業者及商品預托者ノ間ニ適宜ノ約束ヲ結バシメ、若シ営業者ガ該貨物ヲ失フ場合ニ於テハ此約束ニヨリテ弁償セシメ候方却テ実際ニ便利ナリト奉存候
      問
第十 預リ証券ノ授受ノ際成ルベク現品ヲ点撿セシムルヲ至当トナスヤ
      答
預リ証券授受ノ際ハ該証券受取人ノ望ニヨリ随意ニ其現品ヲ点撿セシメ候方至当ト奉存候
 預リ証券授受ノ際必ス現品ヲ点撿セシムルモノトスルハ大ニ取引上ノ手数ヲ要シ候得共、預リ貨物ノ中ニハ品位極メテ雑駁ニシテ全ク券面ノミニ依リテ其品質ヲ定メ難キモノ不少ニ付、預リ証券授受ノ際該証券受取人ノ望ニヨリテハ随意ニ現品ヲ点撿セシムルモノト致候方至当ト奉存候
      問
第十一 営業者ニ於テ空証券又ハ事実ヲ詐リタル証券ヲ発行シ、其他之ニ類似ノ行為アルニ於テハ其之ヲ処分スルノ方法如何
      答
営業者ニ於テ空証券又ハ事実ヲ詐リタル証券ヲ発行シ、其他之ニ類似ノ行為アルニ於テハ刑法ヲ以テ御処分可相成ハ勿論、猶行政上特別ノ御処分ヲモ必要ト奉存候
 営業者若シ空証券又ハ事実ヲ詐リタル証券ヲ発行スルガ如キ行為アルニ於テハ、本業一般ノ信用ヲ毀損シ取引上不容易禍害ヲ来スヘキニ付、此場合ニ於テハ刑法ノ正条ヲ以テ厳重ニ処分セラレ、且ツ被害者ヲシテ其損害ヲ要償スル事ヲ得セシムヘキハ勿論猶其犯状ノ摸様ニヨリテハ営業ヲ停止シ、若クハ禁止スル等行政上別段ノ御処分ヲモ必要ト奉存候
      問
第十二 主務ノ官庁ヨリ臨時保管貨物ノ撿査ヲ為スノ得失及其方法如何
      答
主務ノ官庁ニ於テ臨時保管貨物ノ撿査ヲセラルヽハ本業ヲ保護スル為メ必要ノ御制度ト奉存候ヘドモ、其撿査ハ可成取引上ニ妨ゲナキ時間ヲ以テセラレ度奉存候
 主務ノ官庁ヨリ臨時掛官ヲ派シテ保管貨物ヲ撿査セラルヽハ本業ノ信用ヲ保護セラルヽ為メ必要ノ御制度ト奉存候得ドモ、本業ハ常ニ多数ノ貨物ヲ保管シ取引ノ都合ニヨリテハ特ニ其出入急速ヲ要スル事有之ニ付、苟クモ其撿査ノ方法宜ヲ得ザル時ハ取引上ノ妨害実ニ不少、仍テ例ヘバ米穀ノ如キ雨天ニハ其取引最モ少ク、生糸ノ如キ日曜日ニハ其取引甚タ少キ等ノ事実有之候ニ付、此辺ニ充分御注意ノ上可成取引上ニ妨ゲナキ時間ヲ撰ンデ御撿査相成候様御制定有之度希望仕候
 - 第18巻 p.334 -ページ画像 


東京商工会議事要件録 第一四号・第八六―九八頁 明治一八年八月二二日刊(DK180033k-0006)
第18巻 p.334-337 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一四号・第八六―九八頁 明治一八年八月二二日刊
 ○参考部
    ○貸倉営業ノ義ニ付建議
凡ソ貨物ノ集散頻繁ナル地方ニ於テ貸倉営業ノ必要ナルハ今更ニ申上候迄モ無之義ニシテ、我国ニ於テモ商業稍盛ナル地ニ於テハ必ズ其出入品ヲ貯蔵スベキ倉庫有之候得共、未ダ之ガ保管証書ヲ発付シテ其預託品ノ安全鞏固ナルヲ保証スルヲ以テ専業トスル者無之、只商賈各自所有ノ倉庫ヲ以テ僅ニ其商品ヲ積入ルヽノ便ニ供スルニ過ギズ、加之其方法区々一定セズシテ時トシテハ酒醤油又ハ油類等ヲ貯蔵スベキ倉庫ニ米穀又ハ其他ノ雑貨ヲ貯蔵シ、又此等ノ数種ヲ一庫中ニ混蔵シ為メニ貨物ノ性質ヲ害シ市価ヲ損スル事不少、且其貯蔵貨物ニ対シテ蔵主ヨリ預リ証券ヲ発付スル事アルモ固ヨリ正確ノ順序ヲ経ザルモノナルニ付、商業社会ノ信用ヲ得テ売買又ハ抵当ノ用ヲ弁スル事能ハズ、商業取引ノ区域ヲ狭小ナラシメ其開進ヲ障碍スル事蓋シ焉ヨリ甚シキモノ無之ト奉存候
近来ニ至リ東京・大坂其他一二ノ地方ニ於テ倉庫会社ナルモノヲ創設シ、一般商賈ノ為メニ貨物保管ヲ専業トスル者相起リ候得共、元来売買取引ノ手続ヨリ商品ノ種類ニ至ルマテ内外彼此逕庭アルヲ以テ欧米諸国商業地ノ倉庫会社ト其営業ヲ同フスル事能ハズ、独リ関税未済ノ商品ヲ保管スル等ノ特例ヲ得ザルノミナラズ我邦ノ商品ハ概ネ天産物ヲ主トスルニ付、見本ヲ以テ直チニ売買ヲ決スルガ如キモ亦容易ニ為シ能ハザル所ニ有之、故ニ彼ノ欧米諸国商業地ノ倉庫会社ニ在テ最モ必要ナル公売所ノ如キモ随テ其設立ヲ今日ニ期スベカラザル所以ニ御坐候、左レバ此等ノ会社ハ単ニ其保管商品ニ対シテ預証書ヲ発行スルト雖トモ未ダ其預証書ヲ以テ之ヲ輾転売買スルノ便ヲ見ル能ハズ、是レ彼ノ欧米諸国商業地ノ倉庫会社ニ比スレバ其効用大ニ懸隔スル所ニ有之候、然リ而シテ従来問屋業ヲ営ム者ハ専ラ其収利ヲ貨物ノ販売手数料・口銭等ニ仰ギ、倉敷料ニ至リテハ相競フテ之ヲ低下スルノ情況有之候ヨリ此等ノ会社モ勢在来ノ慣習ニ制セラレテ倉敷料ヲ引上グル事ヲ得ス、随テ其収入ハ支出ヲ償フニ足ルモノ甚ダ少キノ状況ニ御座候、如斯此等ノ会社ガ商業上ニ得ル所ノ便益甚ダ薄小ニシテ其営業上ノ収利モ亦極メテ薄小ナルニモ拘ラス僅ニ其預リ証書ヲ保証トシテ銀行又ハ其他ヨリ金融ヲ得ルノ一途アルヨリ、幸ニ今日ニ至ル迄其命脈ヲ保続シタルニ過ギスシテ、其開進発達ハ今日ノ現況ヲ以テスレハ到底期スル事能ハサル処ニ御座候
然ラハ貸倉営業ハ目下我国ノ商業上ニ緊急ナラズトスルカ、本会ニ於テハ決シテ其然ラサル事ヲ確信仕候、抑モ貸倉営業ノ融通ヲ助ケ取引ヲ便スルニ必要ナル機関タルハ欧米諸国商業地ノ現状ニ照シテ明カナル処ニ有之、然ルニ今日我国ニ在リテ未タ顕著ナル効用ヲ発現スル事能ハサルモノハ畢竟我国ノ商業猶幼穉ニシテ其取引多クハ皆現金売買タルニ起因スル義ニ御座候得共、若シ一朝商業進歩シテ約束売買ノ習慣発生スルニ至ラバ商業社会ニ於テ益々此機関ノ必要ヲ感スルハ必然ノ義ニ候ヘバ、今ニシテ其発育ヲ助クルノ道ヲ講シ予メ之ガ需用ニ応
 - 第18巻 p.335 -ページ画像 
ズルノ準備ヲ為スハ実ニ今日ノ一大急務ナリト奉存候
景状斯ノ如クナルニ付、今我国ニ於テ貸倉営業ノ発育ヲ助ケントスルニハ先ヅ条例ヲ制定セラレテ其営業上ニ相当ノ保護ヲ与ヘラルベキ事固ヨリ至当ノ順序ト奉存候得共、既ニ実際ノ情況前陳ノ通リナルニ付此際只条例ヲ頒布セラレテ通常ノ御保護ヲ与ヘラレ候トモ到底真成堅固ノ貸倉業ヲ今日ニ成立セシメ候ハ無覚束義ト奉存候、就テハ今日我政府ニ於テ更ニ特別ノ御保護ヲ此貸倉業ニ与ヘラレン事本会ノ深ク企望スル処ニ御坐候、但シ貸倉業ノ成立ハ未ダ其数ヲ制限セラルヽモノナラザルニ付今後全国各地ニ起ルベキ貸倉業ニ就キ尽ク特別ノ御保護ヲ与ヘラレ候義ハ御実施上為シ能ハザル事ニ候得共、果シテ此特別ノ御保護ヲ以テ正確ノ貸倉業ヲ発育セシメラレントスルニハ自ラ適当ノ方法有之候義ト奉存候、本会熟々其方法ヲ案ズルニ此貸倉業設立ノ地ヲ先ヅ東京・大坂ノ二ケ所ト定メ、其他各地商業枢要ノ場所ニ於テ其設立ヲ望ム者ハ都テ此二ケ所ノ商業区域ニ従テ之ガ支社タラシメ、而シテ其本支店設立ノ順序及資本金ノ定度其募集方等ニ至ル迄概ネ別紙甲号方案書ノ如クナラシメバ全国ノ要地ヲシテ悉ク確実ナル貸倉業ノ設立ヲ得セシムベキ義ト奉存候、而シテ今仮リニ本会ノ概筭スル処ニ拠レバ其営業上ノ損益ハ別紙乙号予筭書ノ如ク相成候ニ付、試ニ政府ガ其利益ヲ御保証相成候モノトセバ果シテ全国各地ニ該営業ヲ興立セシムルヲ得ベキニ付、御保護ノ金額ハ極メテ少クシテ其商業ノ便益ヲ裨補スヘキハ実ニ莫大ノ事ト奉存候、依テ今倉庫条例御制定ニ関スル御諮問ニ対シテ本会ノ意見ヲ復申スルニ当リ併テ別紙甲乙両号書面相添此段建議仕候也
                 東京商工会々頭
  明治十八年八月七日
                      渋沢栄一
    農商務卿 西郷従道殿
(甲号)
     方案書
 一特別ノ保護ヲ以テ貸倉会社ヲ設立セシムルニハ先ツ東京及大阪ノ二ケ所ニ於テ各々大会社ヲ組織セシムベキ事
 一右二ケ所ノ大会社ハ各地枢要ノ場所ニ於テ其支社ノ設立ヲ望ム者アルトキハ、先ツ充分其土地ノ情況ヲ詳察シ果シテ貸倉ノ設立ヲ要スルモノト認ムルニ於テハ其支社ヲ設立スヘキ事
 一全国ニ於テ其支社ヲ設立スヘキ地ハ当分左ノ数所トスヘキ事
   四日市  横浜  石巻  函館  秋田  酒田  新潟  西京  神戸  大津  敦賀  伏木  馬関  長崎
 一右数所ニ設立スヘキ貸倉会社ハ其土地ノ摸様ト商売ノ都合ニヨリ東京ノ会社ニ属スヘキモノト大阪ノ会社ニ属スヘキモノトヲ区分スベキ事、例ヘバ横浜ニ設立スルモノハ東京ニ属セシメ、神戸ニ設立スルモノハ大阪ニ属セシムルガ如シ
 一右二会社ノ営業資本金ハ各々百万円ト定メ、先ツ其半額ヲ募集シ残半額ハ営業上ノ都合ニヨリ漸次募集スヘキ事
 一右募集金額ノ中十分ノ三ヨリ四迄ヲ倉庫家屋等ノ営業資本ニ供シ残十分ノ六ヨリ七迄ヲ公債証書ニ換ヘ営業保証トシテ政府ヘ預ケ
 - 第18巻 p.336 -ページ画像 
シムベキ事
 一政府ハ十ケ年ヲ限リ該二会社ノ純益ヲ年八分迄保証セラルベキ事
 一政府ハ特ニ該二会社ノ管理官ヲ置キ其営業ヲ充分監督セラルベキ事
(乙号)
     計算書
                   一会社ニ付
 一金百万円              資本金
   内
   金三拾万円       倉庫千五百戸前敷地共買入代金
                但シ一戸前敷地共平均金弐百円ノ見積リ
   金八千円        営業用家屋並ニ什具買入代金
                但シ本支店共併テ八ケ所分見積リ
   金六拾九万弐千円    七分利付金禄公債証書額面七拾万〇六千百円買入代金
                但シ額面百円ニ付金九拾八円余ノ見積リ
   以上
      損益予筭
   金四万九千四百二十七円 公債証書額面七拾万〇六千百円ニ対スル一ケ年ノ利子
   金弐万七千円      倉庫千五百戸前十ケ月ノ倉敷料
                但シ一戸前ニ付一ケ月平均金壱円八拾銭ノ見積リ
   金弐万弐千五百円    同十ケ月ノ保管料
                但シ米一俵ノ相場平均金弐円ト仮定シ、一戸前ニ付五百俵ツヽヲ保管スルモノトスルトキハ、千五百戸前ニ付一ケ月平均七拾五万俵ヲ保管シ、此価額金百五拾万円トナルニ付、其千分ノ一半ヲ保管料トシテ収入スルニ於テハ其十ケ月ノ保管料本項ニ記スルガ如シ
   合計金九万八千九百二十七円
   内
   金三千円        倉庫千五百戸前家屋税
                但シ一戸前ニ付平均金弐円ノ見積リ
   金千百弐拾五円     同地税(地価百分ノ二半)
                但シ一戸前ニ付敷地十五坪ト筭スルトキハ千五百戸前ノ敷地弐万二千五百坪トナルヘシ、今一坪ノ地価平均金弐円トシテ総地価金四万五千円ノ見積リ
   金弐万八千八百円    営業費
                但シ一ケ月一ケ所ニ付平均金三百円ツヽノ見積リニテ本支店共合テ八ケ所ニテ一ケ年分
   金弐千七百円      倉庫修繕費
                但シ倉敷料壱割ノ見積リ
   合計金三万五千六百弐拾五円
  差引
   金六万三千三百〇二円             純益金
 - 第18巻 p.337 -ページ画像 
 会社ノ資本金ハ別紙甲号方案書ノ如ク一会社ニ付金百万円ト定メ、其中先ツ凡五拾万円ヲ募集シ、余ハ追テ各地商業ノ摸様ヲ詳察シ漸次募集スベキノ見込ニシテ、以上計算書ニ掲クル処ハ仮リニ全額ヲ募集シタルトキノ予算ヲ示シタルモノナレトモ、若シ半額ヲ募集シタルトキモ固ヨリ此割合ニヨリテ営業シ得ベキ見込ナリ、而シテ此予算ニヨリテ営業スルトキハ凡年六分三厘ノ純益ヲ生ズベキ見込ナレバ、今政府ニ於テ会社ノ純益ヲ年八分迄保証セラルヽモノトスルトキハ実際保証セラルベキ金高一会社ニ付一ケ年凡金一万七千円ニ過キズ(仮令全額ヲ募集スルトスルモ)蓋シ此ノ予算ハヤヽ切リ詰メタル見積リナレトモ、実際営業ノ上ニテハ猶幾分ノ純益ヲ増スヘキ見込アリ、殊ニ今般条例ヲ制定シテ倉庫営業ヲ保護セラルヽ上ニ又別紙甲号方案書ノ如ク特別ニ之ヲ保護セラルヽトキハ、将来倉庫営業ハ益々商業社会ノ信用ヲ得随テ此会社ヨリ発スル預証券ノ如キ取引上欠クベカラザルノ要具トナルヘキニ付、為メニ手形ノ進歩ヲ助長スルノ効能亦少カラザルベシ、果シテ然ラハ従来貸倉ヲ営業スルモノヽ如キハ必ス其倉庫ノ管理ヲ此会社ニ委託スベキニ付、此会社ハ逐年其営業ノ区域ヲ広ムルヲ得遂ニ開業ヨリ第十年ニ至レバ少クモ年九分以上ノ純益ヲ見ルベキナリ


東京商工会議事要件録 第一五号・第四一―七四頁 明治一八年九月五日刊(DK180033k-0007)
第18巻 p.337 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一五号・第四一―七四頁 明治一八年九月五日刊



 第十四臨時会
 第七定式会
(明治十八年八月十四日午後六時四十五分開会)





    会員出席スル者 ○三十三名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ是ヨリ定式会ヲ開クベキ旨ヲ告ゲ本年一月ヨリ六月迄半季間事務ノ成跡ヲ報告ス、即チ左ノ如シ
  自明治十八年一月至同年六月 半季間事務ノ報告
○中略
    雑事   六件
○中略
○倉庫営業ノ義ニ付農商務省ヨリ下問ノ件
  本件ハ前季既ニ報告シタルガ如ク明治十七年十一月十三日附ヲ以テ農商務卿閣下ヨリ諮問セラレタルモノニシテ、其後ノ会議ニ於テ之ヲ審議シタルニ先ヅ委員ヲシテ其答申案ヲ調査セシムベシト云フニ決シ、即チ会長ハ十二名ノ委員ヲ指名シタルニヨリ此等ノ委員ハ六月六日集会シテ其答申案ヲ調成シ、且ツ兼テ八十一番渋沢栄一ノ立案シタル貸倉営業ニ関スル建議案ニ就テモ既ニ其審査ヲ遂ゲタリシガ、其文案ハ本季中未ダ全会ノ議決ヲ得ルノ運ビニ至ラザルニ付其顛末ハ追テ次季ヲ待テ報告スベシ
○下略


東京商工会議事要件録 第一七号・第六―二一頁 明治一九年三月二〇日刊(DK180033k-0008)
第18巻 p.337-338 ページ画像

東京商工会議事要件録  第一七号・第六―二一頁 明治一九年三月二〇日刊



 第九定式会
 第十六臨時会
(明治十九年二月廿八日午後四時開会)





 - 第18巻 p.338 -ページ画像 
    会員出席スル者 ○六十六名
○上略
次ニ会長(渋沢栄一)ハ規程第五章第廿二条ニヨリ明治十八年下半季定式事務ノ成跡ヲ報告ス
  自明治十八年七月至同年十二月 半季間事務報告
○中略
    雑事     八件
○中略
○貸倉営業ノ義ニ付建議ノ件
  本件ハ既ニ前季ニ於テ報告シタルガ如ク八十一番渋沢栄一ノ発議ニ係ルモノニシテ、其後委員会ニ於テ審議ヲ遂ゲ八月三日第十三臨時会ノ可決ヲ経、同月七日附ヲ以テ倉庫条例ノ答申案ニ添ヘテ之ヲ農商務卿閣下ヘ進達シタリ
○下略
   ○右ノ復申並ビニ建議ハ直チニ実行ニ移サレズ。



〔参考〕第二次勧業会商務部日誌 勧業諮問会編 第一―八頁 明治一七年一一月刊(DK180033k-0009)
第18巻 p.338-341 ページ画像

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〔参考〕第二次勧業会商務部日誌 勧業諮問会編 第一八〇―二三五頁 明治一七年一一月刊(DK180033k-0010)
第18巻 p.341-358 ページ画像

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〔参考〕明治前期 財政経済史料集成 第二〇巻・第六七九頁 昭和八年一一月刊(DK180033k-0011)
第18巻 p.359 ページ画像

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