デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
4款 貨幣制度調査会
■綱文

第23巻 p.165-169(DK230029k) ページ画像

明治26年10月24日(1893年)

是月十四日貨幣制度調査会規則公布サレ、是日栄一、委員ヲ仰付ラル。


■資料

官報 第三〇九一号 明治二六年一〇月一六日 勅令(DK230029k-0001)
第23巻 p.165 ページ画像

官報  第三〇九一号 明治二六年一〇月一六日
  勅令
朕貨幣制度調査会規則ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  明治二十六年十月十四日
             内閣総裡大臣 伯爵 伊藤博文
             大蔵大臣      渡辺国武
勅令第百十三号
    貨幣制度調査会規則
第一条 貨幣制度調査会ハ大蔵大臣ノ監督ニ属シ、左ノ事項ヲ調査審議ス
 一近時金銀価格変動ノ原因及其ノ一般ノ結果
 一近時金銀価格変動ノ我邦経済上ニ及ホス影響
 一近時金銀価格ノ変動ハ我邦現行貨幣制度ヲ改正スヘキ必要アルヤ否、若シ其必要アリトスルトキハ、新ニ採用スヘキ貨幣本位並其ノ施行方法
第二条 貨幣制度調査会ハ左ノ人員ヲ以テ之ヲ組織ス
 一会長    一人
 一副会長   一人
 一委員   二十人
第三条 会長・副会長及委員ハ高等行政官・帝国大学教授・帝国議会議員、其ノ他通貨ニ関シ学識経験アル者ノ中ヨリ選定シ、大蔵大臣ノ奏請ニ依リ内閣ニ於テ之ヲ命ス
   ○第四条ヨリ第八条マデ略ス。


官報 第三〇九八号 明治二六年一〇月二五日 叙任及辞令(DK230029k-0002)
第23巻 p.165-166 ページ画像

官報  第三〇九八号 明治二六年一〇月二五日
    叙任及辞令
 明治二十六年十月二十四日
                従二位子爵 谷干城
貨幣制度調査会々長被仰付
             大蔵次官法学博士 田尻稲次郎
貨幣制度調査会副会長被仰付
             農商務省商工局長 若宮正音
              外務省通商局長 原敬
           法科大学教授法学博士 和田垣謙三
               大蔵省主計官 阪谷芳郎
 - 第23巻 p.166 -ページ画像 
               大蔵省参事官 添田寿一
           法科大学教授法学博士 金井延
               日本銀行総裁 川田小一郎
                従四位子爵 堀田正養
                  従三位 渡辺洪基
                  従四位 渋沢栄一
                  従五位 河島醇
                  従五位 園田孝吉
                  従六位 牧朴傎
                      小幡篤次郎
                      渡辺甚吉
                      栗原亮一
                      高田早苗
                      益田孝
                      荘田平五郎
                      田口卯吉
貨幣制度調査会委員被仰付
               大蔵省参事官 早川千吉郎
貨幣制度調査会幹事被仰付



〔参考〕新聞集成明治編年史 第八巻・第四七六頁 昭和一〇年一二月刊(DK230029k-0003)
第23巻 p.166-167 ページ画像

新聞集成明治編年史  第八巻・第四七六頁 昭和一〇年一二月刊
    貨幣制度調査会=に対する非難
      政府一時の権略に生れたるに非ざる乎
〔一〇・二七 ○明治二六年時事〕政府は数日前貨幣制度調査会なるものを組織し、其の委員も既に任命ありしが、相変らず官民及び貴衆両院議員に就て適宜に人撰せり。而して其委員の中には従来此種の問題に身を委ねて研究を積みたる者、及び銀行者として実際の利害に関係ある所謂黒人筋《(玄)》の人も少からざれば、調査の結果当局者を益することもある可しと雖ども、中には又曾て是等の事に関係なき人もあり、現に其委員長たる谷干城氏の如きは、将軍として軍事上に経験多きことは人皆これを知れども、経済上殊に此貨幣問題に就ては、是迄余り将軍の意見を聞きたることなく、此人にして此委員長となる、聊か意想外の感なき能はざれども、是れ独り谷氏のみならずして、尚ほ委員中にも谷氏同様の感ある者少からず、畢竟政府が一種の政略上より斯る人撰を為したるものにて、製鉄事業調査委員の如き、土木会議委員の如き、皆然らざるは莫ければ、今更之を怪しむにも足らざることなれども、他の事柄と違ひ、本件調査の如きは時宜に依り、現在の幣制を改革すべき端緒を開くことなしとも云ふ可からざる大問題にして、之が調査を為さんとするに当り、政略の意味より格別此事に精通せざる人迄も撰ぶが如きことありとせば、誰れか其調査の結果を信用する者あらん想ふに今日迄政府が製鉄事業調査委員なり土木会議委員なりを撰ぶに就ては、何れも差向き議会の問題と為るべき者なるを以て、政略を加味するの必要も多く之ありしならんなれども、幣制改革問題の如きは軽々に之を処分す可らざるは勿論の事にして、世間に於ても今や方さ
 - 第23巻 p.167 -ページ画像 
に其の考慮中なれば、必しも切迫したる問題に非ず。況んや伊藤・井上二伯の如き、現在の処にては必しも幣制改革に意なしと云へり。二伯の心事若し此の如くなりとせば、政府も亦幣制改革に意なきものと見て大過なかるべし。政府既に此意なくして而して委員を撰ぶに、兼ての慣手段なる人望収攬主義の政略を以てするは猶ほ求むる所なくして与ふるが如く、只之を一片愛嬌の処為と見るの外なく、愛嬌を蒔くが為めに格別其事に精通せざる人迄も撰びたりとせば、政府の本問題に対する意向察知するに難からず。況んや此調査の事は現閣員の発意に出でたるに非ずして、他の勧告に依りて思ひ立ちたる者なりとの噂さへあるをや。苟も政府の真意彼に在りて此に在らざるを知らば、民間老政治家の所謂、無縁の人が親族会議を為すと一般なりと云へるも固より其処にして、政府も亦或は初より之を期したるには非ずやと評する者もありと云ふ。



〔参考〕明治前期財政経済史料集成 大蔵省編 第一二巻・解題第一―三頁 昭和七年八月刊(DK230029k-0004)
第23巻 p.167-168 ページ画像

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〔参考〕子爵谷干城伝 平尾道雄著 第六七一―六七三頁 昭和一〇年四月刊(DK230029k-0005)
第23巻 p.168-169 ページ画像

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