デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

2部 社会公共事業

5章 学術及ビ其他ノ文化事業
2節 演芸及ビ美術
6款 高等演芸場
■綱文

第27巻 p.432-433(DK270122k) ページ画像

明治40年2月24日(1907年)

是ヨリ先、柳沢保恵等八名欧米流ノ新劇場設立ヲ企図ス。栄一、大倉喜八郎ト共ニ相談役トシテ之ニ賛助シ、資本金十五万円ヲ以テ株式会社高等演芸場設立ニ決ス。是日築地同気倶楽部ニ於テ創立総会開カレ、柳沢ヲ取締役会長ニ推シ、栄一取締役ニ就任ス。


■資料

竜門雑誌 第二二〇号・第四二―四三頁 明治三九年九月 ○高等演芸場設立計画(DK270122k-0001)
第27巻 p.432-433 ページ画像

竜門雑誌  第二二〇号・第四二―四三頁 明治三九年九月
○高等演芸場設立計画 本社々長・伯爵柳沢保恵・男爵長松篤斐・千葉松兵衛・大倉粂馬・村井貞之助・福島行信・根津嘉一郎諸氏の発起に係る同演芸場にては、本月十七日午後五時より浜町常盤屋に於て発起人会を開き、相談役たる青淵先生及大倉喜八郎氏も参会協議の結果愈々株式募集に着手することゝなりたるが、同株式は過半以上は発起人に於て引受済となりたりと云ふ、因みに記す、同演芸場の資本金は十五万円にして、場所を芝区桜田町に選定し、欧米に行はるゝ「ミユージツク・ホール」の設計に則りて、座席を特等・一等・二等・三等に分ち、且つ入場者に快感を与ふる為め、冬期は暖管を通じて温を取り、夏季は電気煽風器に頼りて涼を納るゝの装置を為し、広く内外人の技芸に堪能なるものを招きて音曲・歌舞其他技芸の改善を図り、以て其楽を偕にせんとの計画なるよし、資本金払込方法及び内訳は左の如しとなり
    資本金払込方法
 一金十五万円           資本金
  内
 金三万七千五百円         第一回払込金
  一株に付二百五十円
 金三万七千五百円         第二回払込金
  但前同断
 金三万七千五百円         第三回払込金
  但前同断
計金十一万二千五百円
 但当分金十一万二千五百円に止め残額は必要に応じ払込ものとす
    払込済資本金使用方法
 一金十一万二千五百円       払込済資本金
  内訳
 金十万円             演芸場建築及装飾費
 金五千五百円           什器
 金二千円             創業費
 - 第27巻 p.433 -ページ画像 
 金五千円             融通資金


竜門雑誌 第二二六号・第四八頁 明治四〇年三月 ○高等演芸場の重役選任(DK270122k-0002)
第27巻 p.433 ページ画像

竜門雑誌  第二二六号・第四八頁 明治四〇年三月
○高等演芸場の重役選任 資本金弐拾万円を以て創立せられたる株式会社高等演芸場は、二月二十四日築地同気倶楽部に於て創立総会を開き、重役の選挙を行ひしに、左の如く当選、青淵先生は取締役に就任せられたり
 取締役会長  伯爵 柳沢保恵
        男爵 長松篤棐   村井貞之助
 取締役
        男爵 渋沢栄一   福島行信
           千葉松兵衛  根津嘉一郎
 監査役
           鈴木兵右衛門


国民新聞 明治三九年一〇月二六日 高等演芸場設立計画(DK270122k-0003)
第27巻 p.433 ページ画像

国民新聞  明治三九年一〇月二六日
    高等演芸場設立計画
 予て計画中なりし高等演芸場は、愈々柳沢保恵伯外八名を発起人とし、渋沢栄一・大倉喜八郎氏等を賛助員とし、資本金十五万円、株券一株五十円として株主を募集せしに、其申込数意外の好況を呈し、〆切期日は来る廿八日なるにも拘はらず、四日迄に既に応募株数一千余株を超過せるの盛況なれば、来月に入れば早々株主総会を開き、演芸場建設地を卜し直ちに建設に着手する予定なりと、而してその劇場は欧米に行はるゝミユージック・ホールの設計に則り、内外演伎に適するやう和洋を折衷し、内外人を問はず総て技芸に堪能なるものを招き場内には化粧室・運動場・飲食物売店を設け、寒暑の防備としては暖管・電扇を配置し、昼席は毎土曜日の午後一時より、夜席は午後六時より十時迄興行する都合なりと。



〔参考〕竜門雑誌 第二二二号・第四六頁 明治三九年一一月 高等演芸場株式募集景況(DK270122k-0004)
第27巻 p.433 ページ画像

竜門雑誌  第二二二号・第四六頁 明治三九年一一月
○高等演芸場株式募集景況 本社々長を始め柳沢伯・長松男外数氏の発起に係る高等演芸場設立計画に関しては屡々記したるが、其後同発起者は事務所を麹町区八重洲町一丁目一番地三菱構内に事務所を設けて創立計画に従事し、資本金十五万円、株券三千株、即ち一株五十円の株式組織として株主を募集せしに、事時代の要求に添ひたればにや其株式申込数は意外なる好況を呈し、〆切期日は本月二十八日なるにも拘はらず、二十四日の現況に徴するも、既に応募株数一千余株を超過するに至り、此勢にして進むときは締切期日までは応募数殆んど倍に達すべき見込あり、右は発起人に於て按分比例により公平なる計算を以て其引受株を割当る筈なりといふ、斯る現況なれば来月に入らば早々株主総会を開き、高等演芸場建設地を卜定し、直に建設に着手する予定なりといへり



〔参考〕渋沢栄一 日記 明治四一年(DK270122k-0005)
第27巻 p.433 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治四一年     (渋沢子爵家所蔵)
二月二十八日 快晴 軽暖
○上略 日本倶楽部ニ抵リ、高等演芸所ノ重役会ニ出席ス ○下略