デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

2部 社会公共事業

8章 其他ノ公共事業
2節 祝賀会・歓迎会・送別会
5款 東宮御慶事奉祝会
■綱文

第28巻 p.712-717(DK280113k) ページ画像

明治36年8月(1903年)

是ヨリ先、奉献美術館建築費補足ノ議起リ、是月名誉会員其他ヨリ追加寄附アリ。栄一之ニ尽力ス。


■資料

東宮御慶事奉祝会報告 同会残務事務所編 第三二五―三三三頁 明治四二年四月刊(DK280113k-0001)
第28巻 p.713-715 ページ画像

東宮御慶事奉祝会報告 同会残務事務所編
                     第三二五―三三三頁 明治四二年四月刊
  第六 再寄贈金
    一 募集手続
明治三十六年七月下旬に至り、名誉会員諸氏に対し再寄贈金勧誘の書牘を発せり、左の如し
 拝啓、時下厳暑ノ候候処、益御旺盛之段奉抃舞候、陳ハ曾テ御賛助ヲ得候奉献美術館建築工事之儀、起工爾来追々進捗候ニ付先般礎石置定式ヲ挙ケ候次第ニ有之、然ルニ該設計ハ素ヨリ美術的壮麗ノ構造ニ候得共、予算ノ都合ニ依リ御便殿ノ設備ヲ欠キ居候処
 行幸啓等ノ節御休憩室ニ充ツヘキ場所ナキハ、奉献建築物トシテ特ニ之ヲ遺憾トスル儀ニ有之、依テ考慮計画ノ末、本館ニ接続増築スルモノトシ、其費額ヲ計算セシニ、金参万参千五拾壱円五拾六銭参厘ヲ要シ候、然ルニ本会ヘ寄贈金及預金利子ヲ以テ現在ノ建築費及本会事務所費等別紙計算書ノ通リ之ヲ支出シ、本館落成後差引金壱万参千弐百弐拾参円弐銭参厘ノ剰余金ヲ生スルノ予算ニ有之、乃チ此剰余金ヲ右御便殿増設費ニ充用スルモ猶約弐万円ノ不足ヲ生シ候而シテ種々考案致シ候得共、他ニ財源ヲ得ヘキ便法無之、己ムヲ得ス過日名誉会員諸君ノ御出席ヲ煩ハシ御懇談仕候処、全会員ニ謀ルハ其数多クシテ得ル処却テ費ス所ヲ償ハサルノ不結果ナキヲ保シ難ク、差向キ名誉会員諸君ニ対シ更ニ相当ノ御寄附ヲ促ス方可然トノ事ニ相決シ候、而シテ其割合ハ御既納金額ニ対スル凡ソ壱割ノ御補助ヲ得ハ略々相足ルヘキ見込ニ有之候、何分時日ヲ経シ今日ニ於テ復ヒ御出金ヲ仰キ候儀、幾重ニモ恐悚ノ至リニ候得共、前顕縷陳ノ状態ニ有之候間、抂テ御許諾被下候様仕度、然ルトキハ市民当初ノ熱誠モ徹底シ、有終ノ美果ヲ得候儀ト切望ノ至リニ不堪候、不日本会書記差出可申候間、此段御領知被下度奉仰候 頓首敬具
  明治三十六年七月 日
              東宮御慶事奉祝会
                副会長 男爵 渋沢栄一
                会長  男爵 千家尊福
    何某殿
  東宮御慶事奉祝会収支計算書
      収入ノ分
 一寄贈金  金四拾万八千五百弐拾九円四拾九銭壱厘
 一預金利子 金拾万七千九百参拾六円九拾八銭弐厘
     合計金五拾壱万六千四百六拾六円四拾七銭参厘
      支出ノ分
 一建築費    金四拾七万千八百拾七円弐拾参銭九厘
 一本会事務所費 金弐万六千四百弐拾六円弐拾壱銭壱厘
     合計金四拾九万八千弐百四拾参円四拾五銭
 収支差引残高
    金壱万八千弐百弐拾参円弐銭参厘
      内
 - 第28巻 p.714 -ページ画像 
       金壱万円   美術館落成後諸払準備金
 再差引
  残 金八千弐百弐拾参円弐銭参厘
  外 金五千円   建築費予算剰余見込高
  計 金壱万参千弐百弐拾参円弐銭参厘
   奉献美術館背面接続 御便殿建築予算調
 一金参万参千五拾壱円五拾六銭参厘
   内
  金千弐百八円七拾五銭六厘    基礎工事費
  金四千九百九拾九円五拾弐銭五厘 煉瓦工事費
  金壱万千弐円四拾六銭壱厘    石工事費
  金九千参百九拾壱円参拾五銭六厘 木工事費
  金五百四拾四円弐拾銭      金具工事費
  金千参百五拾五円弐拾四銭参厘  屋根工事費
  金八百八円五拾弐銭弐厘     泥工事費
  金四百六拾八円         塗工事費
  金弐百円            硝子工事費
  金四百弐拾円          仮建物費
  金四百五拾円          附属工事費
  金六百六拾円          機械器具模型標本費
  金千四拾参円五拾銭       足代費
  金五百円            諸材料運搬費
    二 応募者氏名
八月に至り名誉会員諸氏中及ひ有志の向より特に寄贈あり、其氏名は左の如し(金高は第一寄贈金中に併記しあれば此に略して掲けす)
    今村清之助         男爵 岩崎久弥 男爵 岩崎弥之助
    岩出惣兵衛            石崎政蔵
    服部金太郎            服部与兵衛
    原六郎              日本郵船株式会社
    日本銀行             日本煉瓦製造株式会社
    日本鉄道株式会社         日本精糖株式会社
    北海道炭鉱鉄道株式会社      東京瓦斯株式会社
    東京電車鉄道株式会社       東京電灯株式会社
    東京紡績株式会社         東京人造肥料株式会社
    東洋汽船株式会社      公爵 徳川家達
 侯爵 徳川茂承             岡本善七
    緒明菊三郎            若尾民蔵
    株式会社日本勧業銀行       株式会社第一銀行
    株式会社東京株式取引所      株式会社東京石川島造船所
    株式会社村井兄弟商会       鹿島のふ
    鹿島利右衛門           鹿島岩蔵
    鹿島清左衛門           鐘ケ淵紡績株式会社出張所
    神谷伝兵衛            川崎八右衛門
    高橋新吉             高橋是清
 - 第28巻 p.715 -ページ画像 
    高田慎蔵             高津伊兵衛
    建石三蔵             田中長兵衛
 侯爵 伊達宗徳             園田孝吉
    相馬永胤             総武鉄道株式会社
    鶴岡助次郎            塚本合名会社
    中井新右門            中沢彦吉
    鍋島彦七郎            長島吾助
    臼井儀兵衛         公爵 九条道孝
    山本達雄             馬越恭平
    益田孝              古河潤吉
    古河鉱業合名会社         甲武鉄道株式会社
    近藤利兵衛            江副廉蔵
    帝国生命保険株式会社       雨宮敬次郎
    浅野総一郎            菊池長四郎
  三井一族総代
 男爵 三井八郎右衛門       男爵 渋沢栄一
    清水満之助            十五銀行
    塩沢重助             日高次郎
    籾山半三郎
以上の寄贈金を取扱ひしは第一・第三・日本通商・十五・京橋・東京府農工・鮗エ町・万世・浅草の各銀行とす
    三 登録状
奉献美術館接続御便殿増設ノ主旨ヲ賛成セラレ、金何円出資アリタルニ依リ、之ヲ領収シ本会会員名簿ニ追録致シ候也
  明治三十六年十一月 日
              東宮御慶事奉祝会
              会長 男爵 千家尊福印
    何某殿


東宮御慶事奉祝会報告 同会残務事務所編 第三五一―三五五頁 明治四二年四月刊(DK280113k-0002)
第28巻 p.715-716 ページ画像

東宮御慶事奉祝会報告 同会残務事務所編
                     第三五一―三五五頁 明治四二年四月刊
 ○第八 美術館
    九 便殿増設
明治三十六年七月に至り、弥々便殿増設の必要を認むるのみならす、工事進捗上一日も忽諸に付し去る可らす、されはこれを全会員に謀らんか、多数にして到底望むへきにあらす、先つ少数の名誉会員に商るに若かすと決し、招待状を発すること左の如し
 拝啓時下向暑之候候処、益御清祥之段奉欣喜候、陳ハ奉献美術館之儀工事追々進捗候ニ付、去ル五月十日ヲ以テ礎石置定式執行候処、猶該設計上ニ関シ親シク御面議仕度件御座候ニ付、御繁忙中恐縮之至候得共、万障御差繰来ル十九日午前第九時上野博物館脇該建築場ヘ御来臨被下候様仕度、此段得貴意候 敬具
  明治三十六年七月十六日
              東宮御慶事奉祝会
                副会長 男爵 渋沢栄一
 - 第28巻 p.716 -ページ画像 
                会長  男爵 千家尊福
    何某殿
明治三十六年七月十九日午前九時、会長の招請に応し名誉会員の美術館建築所に相会する者弐拾余名、会長千家男爵一応謝辞を陳して曰く諸氏の業務繁忙なるに拘はらす来会せらるゝは、独り本会の為めに感謝するのみならす、公共の事業に対し其熱心なるに感激すと、而して副会長渋沢男爵其説を敷衍して、増設に関し懇々述ふる所あり、今其概要を叙記せんに、曰く当初本建築に対し便殿の設計を欠きし所以のもの、蓋し醵金の額と其預金利子を合し金五拾壱万六千四百六拾六円四拾七銭参厘あるに対し、建築費四拾七万千八百拾七円弐拾参銭九厘事務所費弐万六千四百弐拾六円弐拾壱銭壱厘、合計金四拾九万八千弐百四拾参円四拾五銭にして、内金壱万円は美術館落成後諸払ひ準備金と為し置くの要あれは、結局差引残額金八千弐百弐拾参円弐銭参厘に過きす、これを以て便殿増設の費途に充用せんとするも、工事監督技師の設計に拠るに凡そ金参万参千五拾壱円五拾六銭参厘を要するの見込なるを以て、先きに述へたる差引残額を控除し尚ほ金弐万四千八百弐拾八円五拾四銭の不足を告くるを以てなり、然るに今諸氏の親しく実況を目撃せらるゝ如く、本館に便殿なきは独り 行幸啓に当り不便なるのみならす、建築上に於ても完全と謂ふへからす、折角市民の熱誠を以て此美挙を計画し
聖代の盛事に対へ奉んとする敬意も、竟にこれか為めに瑕瑾を貽すを免れす、豈に遺憾なきを得んや、諸氏夫れ考一考せられんことを、今や復ひ会員諸氏の義菫黴€心に愬へんか、通常会員以上六千参百余人の大多数に向つて協商の余地なきを如何せん、されはこれを特別会員以上に詢らんか、是亦幾んと八百名の多数にして諄々これを説くも或は労して功を収むること難からん、故に再三熟議し竟に名誉会員諸氏の来場を煩はし、逐一本会の意見を陳し、此に復ひ諸氏の賛助を庶幾ふ所以なり、乃ち名誉会員諸氏にして此上出金額の壱割つゝを分担せらるるものとせは、優に弐万金を獲へし、諸氏の出資少なきにあらさるも此盛挙をして有終の美果を得せしむると否とは実に諸氏の両肩に懸りて、其責め亦大なりと信す、若し夫れ邇・ノ弐万円の金を収め得へしとせむ、現建築費の内に節約を加へて五千円の余剰を生せしむへしとは監督技師の弁する所なり、併せて増築費を補ふに足らん、願くは奮つて賛助あらんことを望むと、懇縷陳述せられき、名誉会員異口同音其趣旨を賛同し且つ曰く、多数の会員に謀らんよりは寧ろ少数の名誉会員をして補助せしめは、労少なくして善果を得へし、本日欠席者多きも必らす異議なからんとて、出席会員の意見一致す、於是乎便殿増設の長日の凝議も頓に解決せり


渋沢栄一 日記 明治三六年(DK280113k-0003)
第28巻 p.716-717 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三六年     (渋沢子爵家所蔵)
六月九日 晴
○上略 午後二時東京市役所ニ抵リ、美術館建築費補足ノ事ヲ参事会ニ請求ス ○下略
   ○中略。
 - 第28巻 p.717 -ページ画像 
十一月七日 曇
○上略 献納美術館建築ノ費途増募ノ事ニ付、東京市掛員来話ス ○下略