デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
2節 中央社会事業協会其他
2款 社会事業協会 = 財団法人中央社会事業協会
■綱文

第30巻 p.634-657(DK300082k) ページ画像

昭和5年11月8日(1930年)

是ヨリ先、前年十一月組織セラレタル救護法実施促進委員会ハ本年ニ至リ、更ニ救護法実施促進期成同盟会ヲ結成シ運動ヲ継続シ来リシガ、ソノ実施ニ就キ当局ノ確答ヲ得ル能ハズ。仍テ是日委員ハ飛鳥山邸ニ栄一ヲ訪ヒ、出馬ヲ請フ。栄一病ヲ押シテ内務大臣安達謙蔵ヲ訪フ。


■資料

社会事業 第一三巻第一一号・前付 昭和五年二月 救護法実施促進期成同盟会の結成(DK300082k-0001)
第30巻 p.634-635 ページ画像

社会事業  第一三巻第一一号・前付 昭和五年二月
    救護法実施促進期成同盟会の結成
 別記経過報告の如く、第二回全国方面委員会議の決議により組織せられたる救護法実施促進委員会は、活溌なる運動を続けて来たが、俄然第五十七議会の解散に遭遇して、其の運動も亦急遽転向を余儀なくされる情勢となつた。玆に於いて去る二月一日開催せられたる同促進委員会は熟議の結果、左記規約の下に『救護法実施促進期成同盟会』を組織し、全国の方面委員並に社会事業家を打つて一丸として目的貫徹のために全力を尽すことゝなり、直ちに実行運動に着手した。
      実行方法
(一)総選挙対策
  第五十七議会解散の結果、我等当面の急務は、救護法を昭和五年度より実施することに賛成の意味を表明する同志候補者を議会に送るにありと信じ、左の方法により運動をなす。
      運動方法
 一、候補者に対し救護法昭和五年度実施に付き賛否を問ふ。
 二、賛成候補者に対しては超党派的に合法的なる応援方法を講ず。
 三、其の他救護法実施促進に関し必要なる事業をなす。
(二)議会対策
  第五十八議会開会の際は同志議員を擁して、昭和五年度より救護法実施方促進の為めに必要なる諸事業をなす。
   救護法実施期成同盟会規約
一、名称  本会ハ救護法実施期成同盟会ト称ス
一、目的  本会ハ同志ノ協力ニヨリ救護法実施ノ必成ヲ期スルヲ以テ目的トス
一、事業  本会ハ右ノ目的ヲ達スル為左ノ事業ヲ行フ
     イ、救護法実施促進上必要ナル議会運動ヲナスコト
     ロ、其他救護法実施促進ニ関シ必要ト認ムル事項
一、事務所 本会ハ事務所ヲ東京市麹町区大手町一丁目七番地ニ置ク
一、会員  本会ノ会員ハ方面委員及ビ社会事業家其他ニシテ本会ノ趣旨ニ賛スルモノトス
 - 第30巻 p.635 -ページ画像 
一、会費  本会々員ハ会費トシテ金壱円ヲ収ムルモノトス
一、委員  本会ニ委員若干名ヲ置ク
      内一名ヲ委員長トス
      委員ハ会員中ヨリ之ヲ選ブ
      委員ハ本会ノ会務ヲ執行ス
一、経費  本会ノ経費ハ会員ノ醵金及諸寄附金ヲ以テ之ニ充ツ
一、附則  本会最初ノ委員ハ救護法実施促進継続委員之ニ当ルモノトス


救護法実施促進運動史 柴田敬次郎著 第二一一―二一七頁 昭和一五年五月刊(DK300082k-0002)
第30巻 p.635-637 ページ画像

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社会事業 第一五巻第一〇号・第七九―八一頁 昭和七年一月 救護法実施促進運動の回顧 大阪府方面常務委員岩井岩吉(DK300082k-0003)
第30巻 p.637-638 ページ画像

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竜門雑誌 第五一九号・第一三六―一三七頁 昭和六年一二月 社会事業団体催故渋沢子爵追悼講演会(DK300082k-0004)
第30巻 p.639 ページ画像

竜門雑誌  第五一九号・第一三六―一三七頁 昭和六年一二月
  社会事業団体催故渋沢子爵追悼講演会
      (十二月十二日午後一時より東京市公会堂に於て)
○上略
    講演

                      安達謙蔵
○中略 昨年ノ暮ノ或ル寒イ日デアツタ、私ハ突然渋沢子爵カラ面会シタイトノ電話ヲウケマシタ。寒イ折デモアルシ、殊ニ引籠ツテ居ラレルコトヽ承知シテ居ツタノデ、御用ガアレバ私ノ方カラ伺ヒマセウト申シタトコロガ、「イヤ私ノ方カラ頼ム用事デアルカラ、此方カラ伺ヒマス。」トイフコトデアツタ。
 私ハ今更ノヤウニ、其ノ礼譲ニ厚イ老子爵ノ上ヲ思フテ、御待チシテヰルト間モナク訪ネテ来ラレマシタ。キチント羽織・袴ヲツケテ居ラレマスケレドモ、オ髭モ生エタマヽデ、病中ヲ無理ニ押シテ来ラレタ痛々シイオ姿デアツタノデアリマス。
 扠テ老子爵ハ、今日全国ノ方面委員ノ代表者ガ訪ネテ来ラレテ、目下全国二万ノ方面委員ガ世話シテヰル無告ノ窮民ガ、約二十万近クアツテ、ソノ人達ガ甚シイ窮乏ニ陥ツテ居ル、コレヲ救フタメニ已ニ制定サレタ救護法ガアルノデアルカラ、是非ソレヲ実施シテ貰ヒ度イト一生懸命当局ヘ御願ヒシテヰルノデアルガ、財政窮乏ノ折柄、中々六ケ敷イ様デアル。ト言ツテ此ノ人達ヲ餓死セシムルコトハ誠ニ偲《(忍)》ビナイコトデアルカラ、私ニモ是非加勢ヲセヨトノ懇望デアツタ、勿論私モ直接多少社会事業ニ関係シテヰルノデ、夫ハ方面委員諸君ニ頼マレル迄モナク、私ノ責任デモアルト申シテ御引受ヲシマシタノデ、引籠中、コンナムサクルシイ風ヲ致シテ居リマスガ、敢テ直グコチラヘ罷リ出タ次第デアル、何ウカ当局大臣トシテ、此ノ弐拾万ノ同胞ヲ飢餓カラ救フタメニ、是非救護法ノ実施ニ尽力サレタイト、熱誠ヲコメテ申サレマシタ。私ハ思ハズ頭ヲ下ゲマシタ。実際アノ老躯デ此ノ寒中病ヲ押シテ、同胞ヲ救フタメニ我ガ苦痛ヲ忘レ、態々訪ネテ来ラレタソノ至誠、ソノ熱情ヲ思フト、心底敬意ヲ表サズニハ居ラレナカツタノデアリマス。ソノ救護法モ老子爵始メ方面委員諸君ノ願ヒガ叶ツテ愈々之ヲ実施サレル運ビトナツテ、其ノ日モ来月ニ迫ツテ居ル今日、私ハソノ当時ヲ思ヒ出シテ感慨無量デアリマス。
○下略


救護法実施促進運動史 柴田敬次郎著 第三四三―三四五頁 昭和一五年五月刊(DK300082k-0005)
第30巻 p.639-640 ページ画像

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救護法実施促進運動史 柴田敬次郎著 第三八〇―三八一頁 昭和一五年五月刊(DK300082k-0006)
第30巻 p.640-641 ページ画像

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〔参考〕東京朝日新聞 第一五九八五号 昭和五年一一月二日 救護法の実施を内相より首相に懇望(DK300082k-0007)
第30巻 p.641-642 ページ画像

東京朝日新聞  第一五九八五号 昭和五年一一月二日
    救護法の実施を
      内相より首相に懇望
安達内相は一日午後四時半、首相官邸に浜口首相を訪問して、内務省所管の予算問題、殊に現下の社会状態に鑑みその実施を要望されてゐる救護法の取扱ひ方につき懇談するところあつた
 即ち現在の財界不況・失業等が、国民生活を一般的に圧迫してゐることは明かな事実であるが、今日の社会不安の最大原因は、働くに能力なく食ふに資力なき悲惨な人々が、何等の国家的救援を受けることなくして放置されてゐることで、救護法の実施によつてこれ等の人々を救済することは焼眉の問題であるのみならず、現に失業救済の対象とされてゐる失業労働者のうちにも、救護法の適用を受くべき労働能力の欠陥者も含まれてゐるから、救護法の実施は失業問題に対しても側面的効果を挙げることが出来る、更に本質的に見ても救護事業は、すべての社会施設の基礎であつて、我国に今日まで統一的な救護施設のなかつたことは、むしろ不思議な位である
よつて、これを一日も早く実現するの必要はいふまでもないが、問題は財源を如何にするかといふ点である、安達内相はその実現を希望すると共に、財源問題についても考慮中であつたが、出来るなら軍縮剰余金中減税財源の一部をこれに振り向けてはどうかといふことになり
 - 第30巻 p.642 -ページ画像 
この腹案に基き首相の意見を徴したものと見られる
 浜口首相も救護法の実施については賛成で、内相同様極力その実現を希望してゐるが、軍縮剰余金中の余裕財源は国民負担の軽減に充当する旨を、国民のみならず世界に向つて声明してゐるので、その一部を救護法の実施費に回すといふことについては、多少の難色がある
しかし国民負担の軽減も、社会施設も、見方によつては同様の精神に出るものであるから、強ひて形式にとらはれる必要はないとの意見も与党方面には強く主張されてゐるから、これが如何に取扱はれるかは今のところ予測出来ないが、その成行きは注目されてゐる



〔参考〕東京朝日新聞 第一五九九五号 昭和五年一一月一一日 減税額を割いて救護法の実施希望 けふ内相、首相に説く(DK300082k-0008)
第30巻 p.642 ページ画像

東京朝日新聞  第一五九九五号 昭和五年一一月一一日
    減税額を割いて救護法の実施希望
      けふ内相、首相に説く
安達内相は十一日午前九時半首相官邸に浜口首相を訪問し、救護法実施の必要なる所以を力説して首相の考慮を求むると共に、同日午後の予算閣議に関し予め打合せをなし、会見一時間にして同十時半辞去した、内相は当日の会見につき左の如く語つた
 救護法実施の急務なることは、与党並に輿論の既に認むる所であるが、一般会計では来年度から実施することが出来なくなつたので、追加予算提出の際において、海軍軍縮による剰余金の内、減税に振当てる金額の一部を割いて解決したいと思つて首相の考慮を求めた首相は減税充当をしばしば言明して来たのでもあるから、直に承認されなかつたが、陸軍大演習終了後にいづれにか決定するとのことであつた、減税によつて負担の軽減を受くる者は、国民の中でも相当に資力ある人々であるから、この際負担軽減の趣旨を一層拡充して、貧困のため生活し得ざる人々を救護することは、社会の現情に照し極めて緊要なことであり、殊に救護法の実施財源としては軍縮剰余金は極めて適当なものであるから、一部分でも減税に充当する額の中から振当ててもらひたい
尚、救護法の実施については、安達内相は最近に至り日に日に深刻化し行く財界の不況と、失業問題の重大化する現情と、かつは吉田社会局長官等社会局関係者、全国方面委員代表者大会、並に与党方面の熱烈なる運動に動かされたものである、何れにしても本月十九日以後首相並に各閣僚が大演習から帰京後、減税案の具体化と共に決定することになるが、救護法実施の前途は相当に難問題とされてゐる



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇〇五号 昭和五年一一月二二日 救護法実施で内相直談判 蔵相なほ不承認(DK300082k-0009)
第30巻 p.642-643 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇〇五号 昭和五年一一月二二日
    救護法実施で内相直談判
      蔵相なほ不承認
安達内相は二十一日吉田社会局長官と共に、井上蔵相と首相官邸において会見、減税財源の一部をもつて救護法を実施することに同意されたき旨を力説したが、蔵相は軍縮剰余金は減税に充当することを声明してあるから、今となつては同意し兼ねると答へ、意見の一致を見る
 - 第30巻 p.643 -ページ画像 
に至らず、更に慎重に考慮することにして別れた



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇〇六号 昭和五年一一月二三日 救護法の実施結局実現不可能 蔵相容易に賛成せず(DK300082k-0010)
第30巻 p.643 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇〇六号 昭和五年一一月二三日
    救護法の実施結局実現不可能
      蔵相容易に賛成せず
安達内相は減税財源の一部をもつて救護法を実施すべきを主張し、井上蔵相に交渉中であつたが、軍縮剰余金を国民負担の軽減に充当することは、軍縮会議開始以来政府の声明し来つたところであつて、この際これを変更するわけには行かないとの理由で、蔵相の賛成を得る能はず、その他の閣僚も又反対意見を有するものが多いので、内相は今後の交渉に一脈の希望をつないでゐるとはいへ、結局実現しないものと観られて居る



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇〇九号 昭和五年一一月二六日 救護法実施促進陳情(DK300082k-0011)
第30巻 p.643 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇〇九号 昭和五年一一月二六日
    救護法実施
      促進陳情
東京府管内社会事業団体協議会は、去る廿一日東京市政会館講堂に開会の際、救護法実施に関する決議を決定したが、廿五日同会代表者は帝大病院に浜口首相を訪問して病気を見舞ひ、その足で直に首相官邸を訪問し、閣議に出席せる幣原首相代理・安達内相と会見し、同決議文を提出して救護法実施の促進方を陳情した



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇一一号 昭和五年一一月二八日 救護法陳情(DK300082k-0012)
第30巻 p.643 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇一一号 昭和五年一一月二八日
    救護法陳情
全国方面委員代表者会議は、二十七日午前九時から東京市政会館において開会、全国代表委員二百名出席、現下の社会状態に鑑み、救護法の実施はもつとも緊急のものと認むるから、昭和六年度よりこれを実施することを政府に歎願すべき旨を決議し、同零時二十分代表者数名は右決議に基き安達内相を官邸に訪問して陳情した



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇一二号 昭和五年一一月二九日 救護法実施 上奏決議(DK300082k-0013)
第30巻 p.643 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇一二号 昭和五年一一月二九日
    救護法実施
      上奏決議
救護法実施の方面委員は、二十七日内相を訪問したが、その結果更に代表者会を開き、左の決議文を議決した
 一、最後の手段として全国方面委員の連署を以て、請願令による上奏の手続を執ること
 一、全国各地方において、救護法実施促進の演説会を開催して輿論の喚起に努むること
 一、救護法実施遅延に関し首相・内相、特に蔵相の責任を問ひ、その猛省を促すため適当なる方策を講ずること
尚、方面委員は二十八日午前中各府県選出の代議士を歴訪して右決議の趣を伝へ、更に午後一時井上蔵相を訪問して陳情した
 - 第30巻 p.644 -ページ画像 



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇一三号 昭和五年一一月三〇日 救護法実施延期 内相遂にあきらむ(DK300082k-0014)
第30巻 p.644 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇一三号 昭和五年一一月三〇日
    救護法実施延期
      内相遂にあきらむ
井上蔵相と安達内相との間に、先般来交渉を重ねて来た救護法の実施については、蔵相が財源なきの理由を以て強硬に反対意見を持して譲らず、又他の閣僚の多くもこれに賛成する向がなかつたので、安達内相も遂に主張をまげ、二十八日の閣議でこれが実施を見合す事に決定した



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇一九号 昭和五年一二月六日 救護法実施絶望 蔵相閣議で突放す(DK300082k-0015)
第30巻 p.644 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇一九号 昭和五年一二月六日
    救護法実施絶望
      蔵相閣議で突放す
安達内相は五日の閣議において、救護法の実施に関し蔵相の諒解を求むべく、種々その必要を力説すると共に、財源としては軍縮剰余金を割いて、これに当てゝもらひたいと提議したが、これに対し、井上蔵相は
 救護法実施に関しては、今日の財政上到底許されない、内相は軍縮剰余金よりその財源を振り当つるやうにいつてゐるが、これは思はざるの甚しいものである。軍縮の目的は、その招請状にもある通り国民負担の軽減と国際平和の確立にあるのみならず、浜口首相は軍縮剰余金は主として減税に当てると言明してゐる程であるから、今更この剰余金より救護法実施費を支出することは絶対に出来ない、故にこの問題は最早やこれを以て打切りとし、今後の閣議では一切提議しないやうにしてもらいたい、と
強硬に突つ張つて、救護法実施打切論を主張した、安達内相も強ひてこれに異議はいはず、他の閣僚も別段意見を述べなかつたため、正式決定とはいへないが、兎に角今後は閣議の問題とせず、事実上打ち切りとなつた



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇三二号 昭和五年一二月二九日 救護法決議案を政府持て余す 議会の論議注目さる(DK300082k-0016)
第30巻 p.644-645 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇三二号 昭和五年一二月二九日
    救護法決議案を政府持て余す
      議会の論議注目さる
田中内閣の第五十六議会において協賛を経た救護法は、明治四年乃至七年の太政官時代に制定された窮民救護の国家的施設に対し、根本的改革の実をあげ、現代の社会情勢に適応せしむる国家の救護施設を確立するにあつて、その実施は一日の急を争ふものであり、特に勅令に譲つてあつた施行期日を、昭和五年四月一日から実施することに修正可決された位の社会的重要性を有する法律であつたが、現内閣においては五年度はもちろん、来年度においてもその実施に関する経費を予算に計上せず、今期議会に臨むに至つたので、政友会・国民同志会においては、救護法実施の決議案を、休会明け議会に共同提案することに決し、議会においても、相当に重大問題化するに至つた。殊に与党たる民政党においても、党議として救護法の実施を決議し、政府に対
 - 第30巻 p.645 -ページ画像 
しその実現を要求してゐる手前、この共同提案に対して反対するわけにゆかず、結局政府にとつても一つの苦労の種を増すことにならう、もともと救護法の実施については、政府は専ら財政上の理由からその実施を延期したのであるが、現在において要救護者数は少くとも十万人に達し、これに対し僅一万八千余人しか救護の手が届いてゐない有様である、殊に要救護者はほとんど孤独の窮迫者であつて、無産大衆の利益を代表して選出されてゐる無産党の代議士によつてすら、彼等の権利利益は何等主張されてゐない悲惨なる人々であるだけに、その救護を等閑に付することは、社会上重大な問題とされてゐる
今内務省社会局の調査によつて窮民救護の現情を観るに
      窮民救護費(昭和元年度決算額単位円)
 国費        七一、二八〇
 地方費    一、九一九、六八五
  内道府県費   三〇〇、九一八
   市町村費 一、六一八、七六七
  計     一、九九〇、九六五
であつて、国家は僅に七万円の経費を負担してゐるばかりで、その大部分を市町村に負担せしめてゐる現状である
 又昭和三年度におけるじゆつ救規則による救護者数は、癈疾・老衰疾病其他の者において一万七千四百四十三人、又同じく棄児養育において七百二十七人、合計一万八千百七十人の救護を実施したにすぎず、全国の要救護者を少く見積つても子供四万人、老人二万五千人、疾病創ゐ・身心虚弱者二万五千人、不具癈疾者七千人、合計十万人に達するに対し、約五分の一にも及ばない現状である
しかも現内閣は組閣の当時、社会政策の実行を重大政策として掲げ、社会政策審議会までも設置し、然も総選挙に際しては此看板によつて絶対多数まで獲得してゐるのに、組閣以来満一年半に達するにも拘らず、不徹底なる失業対策を除いては、たゞの一つの社会政策的施設をも実施してゐないのであるから、救護法実施問題の如きは、議会において現内閣の責任を究弾する好個の問題として、議会における論議の推移は極めて注目さるゝに至つた



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇五〇号 昭和六年一月七日 蔵相昨日考慮を約し救護法やゝ有望 内相一部実施を切望(DK300082k-0017)
第30巻 p.645-646 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇五〇号 昭和六年一月七日
    蔵相昨日考慮を約し救護法やゝ有望
      内相一部実施を切望
六日の閣議散会後、安達内相は井上蔵相並に町田農相と首相官邸において救護法実施に要する財源のねん出につき協議した、即ち同法の実施については、国庫四百万円・地方費四百万円、合計八百万円を要するのであるが、これによつて明治初年に設けられた窮民救護の制度を根本的に改革し、時勢に適したる窮民救護制度を確立するものとしてその実施は刻下の急務と見られ、休会明け議会においても政友・国民同志両党から同法実施に関する決議案が共同提案さることに決し、これに対して民政党も党議の手前反対するわけにはゆかず、結局政府としても本問題の取扱ひについては苦境に立つことは明かであるので、
 - 第30巻 p.646 -ページ画像 
安達内相は既に一般予算には計上しなかつたが、同法実施に伴ふ財源のねん出を再び協議するに至つたものである、しかして内相としても財政難の甚だしき今日、国庫負担四百万円の全額を要求する考へはなく、一部分でもよいから来年度から実施したい意向であるため、井上蔵相もその財源ねん出について考慮することになり、既に絶望であつた救護法実施も多少息を吹き返した形となつたが、政府が本問題についてどの程度の真剣さを持つてゐるかはまだ疑問であつて、この成行は注目されてゐる



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇七二号 昭和六年一月二九日 救護法実施に傾く 追加予算案提出か(DK300082k-0018)
第30巻 p.646 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇七二号 昭和六年一月二九日
    救護法実施に傾く
      追加予算案提出か
救護法の実施については、井上蔵相は財源難を理由として今議会には追加予算を提案しない意向であり、安達内相も一時断念してゐたが、いよいよ議会へ臨んで見るとこの点に対する野党側の追究は予想以上に強く、殊に貴族院方面の形勢は政府の楽観を許さないものがあり、その上与党さへも自党の面目にかけて公約の実現を希望する声高く、もしこのまゝ政府が押し切るにおいては、周囲の情勢はますます悪化せんとする模様があり、最早単なる財源難だけでは言訳が立たないことが明かとなつて来たので、政府側でも最近に至つて漸く決心を固め井上蔵相は大蔵事務当局に対して、その実施に要する財源のねん出方を真剣に調査せしめることを命じたので、目下大蔵当局は競馬法の改正、その他各省既定経費の節約増額等につき、鋭意財源ねん出に努力中であるから、救護法実施に要する経費は今議会中にいよいよ明年度追加予算案として提出される可能性が多くなつて来た、なほ安達内相が二十八日午前十一時浜口首相を官邸に訪問して、懇談約三十分に及んだのも、救護法の実施につき浜口首相の諒解を求めたものと観られてゐる



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇七三号 昭和六年一月三〇日 救護法実施 一日の閣議で声明か(DK300082k-0019)
第30巻 p.646-647 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇七三号 昭和六年一月三〇日
    救護法実施
      一日の閣議で声明か
救護法の実施につき、政府の態度はすこぶる誠意を欠ぐものとして、与党内にも非難の声が起り、一部には政友会と同様実施促進に関する決議案を議会に提出して政府に迫つたがよいとの説も出て来たので、幹部もその処置には全く窮して来た、よつて頼母木総務は二十九日午前十時院内大臣室にて安達内相と会見し、右につき懇談を遂ぐる所あつたが、その結果政府としても、この場合本年度より実施する計画をたてる外はない、もし財源関係にてその実現が確実となれば、来る一日の閣議にて、その旨声明して、与党内の不満を抑へたいといふことになつた、これがため与党有志の右に関する決議案は提出を見あはせることになつた
      明答を迫る
       湯地幸平氏が
 - 第30巻 p.647 -ページ画像 
救護法実施促進について熱心なる運動を継続してゐる全国方面委員代表者は、救護法実施につき、尚財源ねん出中と称して実行の確答を与へない政府の議会における答弁にあきたらず、貴族院において湯地幸平氏が実施に対する政府の態度をはつきりと窮問することになつた、もし政府が更に前言を繰返すやうな場合は、最後の手段として急きよ全国各府県の方面委員代表者大会を東京に開催し、あくまでその達成を期すると意気込んでゐる



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇七六号 昭和六年二月二日 十日促進大会(DK300082k-0020)
第30巻 p.647 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇七六号 昭和六年二月二日
    十日促進大会
救護法実施促進のために奮起した全国方面委員大会の実行委員京浜代表佐藤愛蔵氏外五名は、一日午後八時半首相官邸において安達内相と面会、救護法実施の件につき、閣議の内容を問ふたところ、永久財源ねん出のため実施はなほ未定の旨答へられたので、直に代表者会議を開き
 来る十日午前九時より日比谷市政会館において、中央地方委員百五十名を招集し、全国大会を開催するに決し、電報を以て招集状を発した



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇七六号 昭和六年二月二日 救護法実施未決(DK300082k-0021)
第30巻 p.647 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇七六号 昭和六年二月二日
    救護法実施未決
当面の重要問題とされてゐる救護法実施に関し、安達内相及び井上蔵相は、一日の閣議においてそれぞれ従来の経過の説明を試み、当局はせめて昭和七年一月からでも是非共施行したい意向を以て、その財源に関し研究中であることを述べて諒解を求め、財源に関する意見の交換をなしたが、大蔵省側の腹案たる競馬法の改正に関しては一部に異議があり、結局財源関係で一致を見なかつたため、遂に閣議決定に至らなかつた、よつてその所要財源については、更に井上・町田・安達その他の関係閣僚の間において協議を遂げ、最近の閣議に付議すべきことに決定した



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇八六号 昭和六年二月一二日 救護法は実施難 競馬法改正気乗り薄(DK300082k-0022)
第30巻 p.647-648 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇八六号 昭和六年二月一二日
    救護法は実施難
      競馬法改正気乗り薄
政府は救護法実施の財源として、競馬法の改正を意図し、農林・大蔵内務三省間において調査研究を進め、意見の交換中であるが、内務省が世論に鑑み、救護法実施の急務なることを告げて、競馬法の改正によつて生ずる財源を熱望して居るに対し、大蔵当局は中立的態度をもつて、大した熱意もない様である、然してこれが主管省たる、農林省では
 現行競馬法が公認競馬の馬券取締上非常に困難に陥り、各地の競馬会において種々なる悪評を産んで居るので、その改正の必要は認めて居るが、今日の如く救護法実施に要する財源ねん出のためにする改正には、極力反対すべしとの意見強く
 - 第30巻 p.648 -ページ画像 
町田農相の如きも、今議会に改正案を提出する意思は無く、結局他の要望に基いて、受動的に提案するにしても、議会を通過するとは考へて居ないとのことである、然して、又競馬法改正に対する農林事務当局は
 政府の意向に全く反対にて、最初内務省が一・二競馬クラブ有志と計り、改正を策したる当初、早くもこれが対策として各種畜産振興施設を研究して、先づその財源を優先的に要求することに決し、多年の懸案とされて居た牧野法の制定を始め、現内閣の緊縮政策の犠牲となつて中止節約繰延べとなつた各施設の調査を進め、いつでも改正案によつて生ずる財源の過半を要求することに準備を進め、畜産関係団体の運動まで手を回し、万全の用意をとゝのへて居る
かやうな有様だから、政府の救護法実施財源は、競馬法の改正のみによつて得るとすることは相当困難なるべく、従つて救護法の実施についても、尚幾多の難関があると思はれる



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇八六号 昭和六年二月一二日 全国方面委員上奏決行 救護法実施の猛運動(DK300082k-0023)
第30巻 p.648 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇八六号 昭和六年二月一二日
    全国方面委員上奏決行
      救護法実施の猛運動
失言問題の解決に忙殺されて、救護法実施に関して何等具体的解決案を示さない政府の不誠意に憤慨した全国方面委員の代表者二百名は、いよいよ十三日午前九時から日比谷において大会を開催し、最後の手段たる請願令による上奏を決行すると共に、議会において救護法実施に関する政友会・国民同志会の共同提案が上程さるゝを機会に、民政党代議士をもべんたつして、政府の決意を迫ることになつた



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇八八号 昭和六年二月一四日 松田拓相に膝詰め談判 救護法の実施について意気込む方面委員(DK300082k-0024)
第30巻 p.648 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇八八号 昭和六年二月一四日
    松田拓相に膝詰め談判
      救護法の実施について意気込む方面委員
既報、全国方面委員代表者大会は、十三日午後は議事を一時中止し、救護法実施につき午後一時、実行委員が松田拓相を訪問、拓相は
 この問題は十三日夜の閣議にかけることになつてゐる、大蔵大臣にお任せが願ひたい
と回答したので、会場に引揚げ午後三時半より再開、全国代表者に会見、顛末を報告、協議の結果「請願上奏は閣議の結果を見て行ふ」といふことに決した
      閣議で決せず
救護法の実施については、十三日夜の定例閣議で協議し、就中安達内相・井上蔵相及び町田農相の間に種々懇談する所あつたが、財源ねん出についてまだ完全な一致を見ず、これについては尚三相の間で協議することゝなつた、従つて十四日朝、方面委員に対する回答については、政府として目下財源ねん出に努力中であるといふ程度の言明をなすものゝやうである



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇八八号 昭和六年二月一四日 陳情で行かねば請願上奏まで 救護法の実施促進に方面委員代表大会(DK300082k-0025)
第30巻 p.648-650 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇八八号 昭和六年二月一四日
 - 第30巻 p.649 -ページ画像 
    陳情で行かねば請願上奏まで
      救護法の実施促進に方面委員代表大会
全国方面委員代表者大会は、十三日午前九時より日比谷の市政会館で開催、婦人代表数名をまじへた全国二万の方面委員代表二百余名集合「救護法即時実施問題」を中心に協議は進められた、まづ幹部会で準備協議の後、十時四十分、小関正道氏(名古屋)の開会のあいさつによつて大会は開かれ、座長に佐藤氏、議長に沼田嘉一郎氏(大阪)を推し、直に協議に入り、左の如き声明書を満場一致可決して休憩、午後一時引続き協議は続けられたが、二十五名実行委員は七班に分れて幣原首相代理・安達内相・井上蔵相・江木鉄相・町田農相・政民両党幹部・議会第一控室の各派議員を議会に訪問、声明書を手渡し「即時実施する意志ありや否や」につき膝詰談判を試み、政府当局の回答が、もし過去三年間運動を続け再度請願したと同様な要領を得ぬものであつた場合は、一同宮城を遥拝、直に請願令による請願上奏の手続を取ることになつた
      声明書
 陛下の赤子を餓死せしむるにしのびず、我等二万の方面委員は一昨年十一月以来、三年にわたり帝都に四度の大会と五十余回の会議を開き、各地において無慮数百回の会合を重ね、熟議討究を尽し、事情を審かにし、熟議を傾け当局に救護法の実施を哀訴歎願した、然るに昨年末に至つても、当局は言を努力中にかりて、実際においては、がうもこの実施を促進するところなかつた、乃ち我等は万策つき最後の方法として合法上の手続をもつて上奏し奉らんことを決議し、全国各地委員は署名なつ印して、之を実行委員の手にゆだねた然も実行委員は尚同胞死活の問題について聖慮を煩はし奉らんことを恐くし、万策を尽したる上にも、尚かつあらゆる方途を講じて同法の実施を一意待望した、然るに第五十九議会の再開されてより既に三旬、窮民の困苦いよいよ甚だしきに拘らず、当局は依然財源ねん出中以上の答弁を与へない、今や満天下の同情は、きう然として我等の抱擁する飢餓線上の同胞に集つてゐる
 一、新聞紙の同情ある記事
 二、与党の政府べんたつ
 三、反対党の決議案提出
 四、貴院の当局難詰
 等々、かくして我等は今や国民の輿望を負うて、本日こゝに救護法実施熱望の最後的大会を開き、当局に誠意を問ふ、当局にして依然誠意を示さずんばこゝに方途全くつく、よつて我等は方面委員の名を重んじて過去三年の長日月、当局を信じてとれる紳士的忍従に悲しくも淡き自慰を感じつゝ、我等に残されたる唯一の途を進み採らんのみ、右声明す
      救護法実施は困難
       農相議会での答弁
政府が救護法実施財源として競馬法の改正をなさんと意図し、目下内務・大蔵両政務当局の間に協議中であるが、十三日の農林省予算分科
 - 第30巻 p.650 -ページ画像 
会において、砂田君の質問に対し町田農相は
 競馬法による納付金は、馬事振興費に全部充当すべきものであると思ふ
と明瞭に答へたから、右の答弁によつて、政府部内において研究されて居る競馬法改正による救護法の実施は、益困難となつて来た
      救護法提案説明者
       武藤氏に決定
政友会では国民同志会と共同提案の救護法につき、提案説明者は、国民同志会長武藤山治氏とし、政友会はその賛成演説を担当することに決し、十三日午後森幹事長は院内に同志会森本一雄氏と会見し、右の意同を述べて委嘱するところあつた



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇八九号 昭和六年二月一五日 救護法の実施促進けふ遂に請願上奏 全国方面委員から(DK300082k-0026)
第30巻 p.650 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇八九号 昭和六年二月一五日
    救護法の実施促進けふ遂に請願上奏
      全国方面委員から
救護法実施に対する政府の確答を得べく、全国方面委員代表者大会の実行委員十三名は、十四日午前十時半、内相官邸に安達内相を訪うたが、内相は
 唯今は財源ねん出のため大蔵省と協議中であるが、今夜また来てくれ
とのあいまいな回答だつたので、代表者達は直に辞去、十一時市政会館で懇親会を開いて報告した結果
 我々は既にさういふ言葉で三年間だまされてきたのだ、この上は政府の誠意も信ぜられぬので、声明通り期成同盟会を解散しよう
といふ事に一決した、かくて午後一時百六十名の代表は二重橋前に整列し
 当局の最後の真意を問うたが、全く誠意のない事がわかり、われらは遂に上奏のやむなきに至つた、かく聖慮をわづらはし奉るは恐くに堪へませんが、こゝに血涙をのんで同盟会を解散し、飢餓線上に立つ二十万の同胞のため、満天下の憂国志士に訴へる次第である
と声明書を読みあげ、宮城を遥拝して悲壮な解散式を行つた、次いで代表者は各地の窮状を訴へた請願令による上奏文を内務大臣あて郵送した、同上奏文は十六日にその内容を一般に発表するはずである



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇八九号 昭和六年二月一五日 いよいよ明年度より救護法実施に決定 財源も大体見込立つ(DK300082k-0027)
第30巻 p.650-651 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇八九号 昭和六年二月一五日
    いよいよ明年度より救護法実施に決定
      財源も大体見込立つ
十四日午後七時衆議院の第二及び第三の両分科会終了後、安達内相と井上蔵相とは院内大臣室で協議の結果、いよいよ明年度より救護法を実施することに決定した、しかして当初の計画では、救護法実施費は四百万円を要することになつてゐるが、財源関係で多少変更を受くる模様であつて、目下農林省と内務省側とにおいて財源関係の調査を急いでをり、二・三日中には実施の範囲等細目の決定を見るはずであるが、兎に角六年度から実施することに政府の腹が決まり、大体財源も
 - 第30巻 p.651 -ページ画像 
見込がついた由である



〔参考〕東京朝日新聞 第一六〇九〇号 昭和六年二月一六日 救護法の財源内定、競馬法改正によつて百万円 内務・大蔵両省で二百万円(DK300082k-0028)
第30巻 p.651 ページ画像

東京朝日新聞  第一六〇九〇号 昭和六年二月一六日
    救護法の財源内定、競馬法改正によつて百万円
      内務・大蔵両省で二百万円
救護法の実施に関しては、十四日安達・井上両相凝議の結果、いよいよ六年度より実施する事と決定し、所要財源の確定的調査を急ぐ事となつたが、右財源ねん出の主要目標となつてゐる競馬法の改正については、農林省において十五日午前十一時より省議が開かれ、協議の結果
 競馬法本来の精神をうしなはざる程度の改正を行ひ、約百五十万円の財源をねん出し、この中五十万円を牧野法案の実施に伴ふ経費、並に馬匹改良施設の拡張に充当し、残る百万円を救護法実施の財源に充てる事
に内定し、この旨町田農相より井上蔵相に移牒し来たつたので、同日午後三時より大蔵省では大臣官邸に省議を開き、井上蔵相、小川・河田両次官、勝参与官はじめ各関係官参集、協議を行ひ
一、財源としては競馬法改正による百万円の外に、大蔵・内務両省で約二百万円の財源をねん出し、合計約三百万円を以て、平年度における救護法施行経費とする事
一、六年度においては、過渡的に競馬法改正による百万円のみを以てする事
一、右の如く財源が当初予定の経費よりも僅少であるので、これに適応して救護法施行の範囲を縮少する事
といふ大体方針を決定し、吉田社会局長官の列席を求め、右の方針を伝へて、これに基く救護法実施に関する具体案作成を希望した、尚当局は同案を十七日の定例閣議に付議し、政府として救護法実施を正式に声明したい意向であると



〔参考〕東京朝日新聞 第一六一〇六号 昭和六年三月四日 救護法実施費は七十八万円 六年度分の財源決定(DK300082k-0029)
第30巻 p.651-652 ページ画像

東京朝日新聞  第一六一〇六号 昭和六年三月四日
    救護法実施費は七十八万円
      六年度分の財源決定
三日院内閣議で承認決定を見た救護法実施費予算については、目下大蔵省側において計数整理中であるが、昭和六年度において救護法実施に要する経費の総額は、昭和七年一月一日よりの実施として大体七十七・八万円となる見込みで、五日頃昭和六年度一般会計第二号追加予算案として衆議院へ提出するはずである、しかして初年度における実施費財源については、競馬法改正による増収百万円中より約五十万円及び沿海州木材関税引上による関税増収約七十万円中より二十七・八万円を充当するはずである、なほ昭和七年度以降の平年度においては競馬法改正による増収二百万円より約百万円、警察費連帯支弁金の減が、その中一ケ所は方面委員を統制する職員養成のためのものである方面委員講習会は原則として救護法実施に慣れてゐない方面委員の知識の低い地方から始められる、其皮切りとして五月に第一回が高知県
 - 第30巻 p.652 -ページ画像 
で行はれる、なほ
 官公吏社会事業関係者懇談会、社会事業家の全国会議等が連続的に計画されてゐる、地方ではそれぞれ県庁の主催で、十月頃から準備運動がどしどし進められる予定である、寝食を忘れ私財を抛つて本命に努力した全国二万の方面委員が、極貧者達から救ひの神と仰がれる日も遠くないであらう



〔参考〕中外商業新報 第一六二三四号 昭和六年四月一六日 活気づいた方面委員の動き まづ本月下旬に代表者大会、続いて催しいろいろ(DK300082k-0030)
第30巻 p.652 ページ画像

中外商業新報  第一六二三四号 昭和六年四月一六日
    活気づいた方面委員の動き
      まづ本月下旬に代表者大会、続いて催しいろいろ
三年間の難産の末やつと産れ出た救護法は、昭和七年一月から実施されるので、内務省社会局内の中央社会事業協会では目下いろいろな準備に忙殺されてゐる、現在までの調査によれば
 全国の要救済人は八万二千五百七人にのぼるが、今年末までに各府県の方面委員を手分し、更に徹底的に調べて調査に洩れた者を登記し要救済をよそほふ者を排除して万全を期するさうである、同協会では去る十三日には京浜の方面委員が打揃つて救護法成立に尽力した貴院・内務省・大蔵省を御礼廻りをしたが、本月下旬には救護法実施成功の報告と朝野尽力者への謝恩をかねて各府県方面委員代表者大会が開かれ、次いで五月五日を中心に全国一斉に
 乳幼児愛護週間が催される、救護法施行準備のための最も重要な方面委員講習会は、費用の関係から毎年全国五ケ所において開催される額(主として東京府と大阪に対するもの)による百五・六十万円、合計約三百万円を充当する計画となつてゐる



〔参考〕法令全書 昭和六年 内閣印刷局編 刊 【朕救護法施行期日ノ…】(DK300082k-0031)
第30巻 p.652-657 ページ画像

法令全書 昭和六年  内閣印刷局編 刊
朕救護法施行期日ノ件ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  昭和六年八月十日
             内閣総理大臣 男爵 若槻礼次郎
             内務大臣      安達謙蔵
  勅令第二百十一号(官報八月十一日)
救護法ハ昭和七年一月一日ヨリ之ヲ施行ス

朕救護法施行令ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム
 御名 御璽
  昭和六年八月十日
             内閣総理大臣 男爵 若槻礼次郎
             内務大臣      安達謙蔵
  勅令第二百十一号(官報八月十一日)
    救護法施行令(昭和六年八月十一日第二百十一号)
      第一章 被救護者
第一条 救護法第一条第一項第三号ノ妊産婦ヲ救護スベキ期間ハ分、娩ノ日前七日以内、分娩ノ日以後二十一日以下トス
 - 第30巻 p.653 -ページ画像 
 分娩ノ日ガ其ノ予定日ヨリ後レタルトキハ、前項ノ分娩ノ日前ノ期間ヲ七日以内延長スルコトヲ得
第二条 救護法第一条第一項第四号ニ掲グル事由ノ範囲、及程度左ノ如シ
 一、不具癈疾ニシテ常ニ介護ヲ要スルモノ、又ハ自用ヲ弁ズルニ過ギザルモノ
 二、疾病又ハ傷痍ニシテ就床ヲ要シ、又ハ長キニ亘リ安静ヲ要スルモノ
 三、精神耗弱又ハ身体虚弱ノ著シキモノ
      第二章 委員
第三条 救護法第四条ノ委員ヲ設置スル市町村及委員ノ定数ハ、地方長官市町村長ノ意見ヲ徴シ之ヲ定ム
第四条 委員ハ地方長官之ヲ選任又ハ解任ス
 委員ノ任期ハ四年トス、但シ特別ノ事由アルトキハ任期中ト雖モ之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第五条 委員ハ救護ニ関シ必要ナル調査ヲ為スベシ
 委員ハ救護ヲ受ケ又ハ受クベキ者ニ付市町村長ニ其ノ状況ヲ通知シ且必要ナル救護ノ種類、程度若ハ方法又ハ救護ノ廃止、停止若ハ変更ニ関シ意見ヲ具申スベシ
第六条 内務大臣ノ指定スル市ニ在リテハ、第三条及第四条第一項ノ規定ニ依リ、地方長官ノ職権ニ属スル事項ハ市長之ヲ行フ
      第三章 救護ノ範囲、程度及方法
第七条 生活扶助ハ金銭又ハ物品ノ給与ニ依リ之ヲ行フ
第八条 生活扶助ノ為給与スル金銭又ハ、物品ハ一月分以内ヲ限リ之ヲ前渡スルコトヲ得
 救護ノ廃止、停止又ハ変更ノ場合ニ於テ、被救護者已ムヲ得ザル事由ニ因リ前渡シタル金銭又ハ物品ヲ費消シ、又ハ喪失シ、且返還ノ資力ナキトキハ、之ヲ返還セシメザルコトヲ得
 救護ノ廃止、停止又ハ変更ノ場合ニ於テ、前渡シタル金銭又ハ物品中返還セシムベキモノニ付テハ、之ニ相当スル額ヲ後ニ給与スベキモノヨリ減ズルコトヲ得
第九条 医療ハ救護施設又ハ市町村長ノ指定シタル医師若ハ歯科医師ニ就キ之ヲ受ケシム、医師又ハ歯科医師処方箋ヲ交付シタルトキハ市町村長ノ指定シタル薬剤師ニ就キ薬剤ヲ受ケシム
第十条 助産ハ救護施設又ハ市町村長ノ指定シタル医師若ハ産婆ニ就キ之ヲ受シム
第十一条 救護ヲ受ケ又ハ受クベキ者急迫ノ事情アルトキハ、市町村長ノ指定セザル医師・歯科医師又ハ産婆ニ就キ医療又ハ助産ヲ受クルコトヲ得
第十二条 生業扶助ハ生業ニ必要ナル資金、器具又ハ資料ノ給与又ハ貸与ニ依リ之ヲ行フ
第十三条 救護法第十一条ノ規定ニ依ル居宅救護ノ場合ニ於テ、生活扶助ノ為支出スル費用ノ限度ハ一人一日二十五銭以内、一世帯一日一円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
 - 第30巻 p.654 -ページ画像 
第十四条 居宅救護ノ場合ニ於テ、医療ノ為支出スル費用ノ限度ハ、内務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
第十五条 居宅救護ノ場合ニ於テ、助産ノ為支出スル費用ノ限度ハ、十円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第十六条 救護法第十三条ノ規定ニ依ル収容救護ノ場合ニ於テ、生活扶助、医療又ハ助産ノ為支出スル費用ノ限度ハ、内務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
第十七条 第十一条ノ場合ニ於テハ、前三条ノ規定ニ拘ラズ其ノ実費ヲ支出スルコトヲ得
第十八条 生業扶助ノ為支出スル費用ノ限度ハ、一人ニ付三十円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第十九条 救護ノ為被救護者ノ移送ヲ為シタル場合ニ於テハ、其ノ実費ヲ支出スルコトヲ得
第二十条 埋葬ノ為支出スル費用ノ限度ハ、十円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第二十一条 特別ノ必要アル場合ニ於テハ、地方長官ハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ、第十三条・第十五条・第十八条又ハ前条ニ規定スル制限ヲ超過シ生活扶助、助産、生業扶助又ハ埋葬ノ為支出スル費用ノ限度ヲ定ムルコトヲ得
第二十二条 救護法第十二条ノ規定ニ依リ母ノ救護ヲ為スハ、其ノ子一歳以下ナル場合ニ限ル
第二十三条 救護法第十六条ノ規定ニ依リ、市町村長又ハ其ノ指定シタル者後見人ノ職務ヲ行フ場合ニ於テハ、後見監督人及親族会ニ属スル職務権限ハ其ノ市町村長ニ属ス
      第四章 救護費
第二十四条 救護法第十八条乃至第二十三条ノ規定ニ依リ、市町村又ハ、道府県ノ負担シタル費用ニ対スル国庫補助ハ、各年度ニ於テ市町村又ハ道府県ノ救護及埋葬ニ要シタル費用、並ニ委員ニ関シ支出シタル費用ヨリ、其ノ年度ニ於テ救護法第二十六条乃至第二十八条ノ規定ニ依リ徴収シ、償還セシメ又ハ充当シタル金額及其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ収入ヲ控除シタル精算額ニ対シ補助ス
 前項ノ規定ニ依リ控除スベキ金額ガ、其ノ年度ニ於ケル救護及埋葬ニ要シタル費用並ニ委員ニ関シ支出シタル費用ノ額ヲ超過シタル場合ニ於テハ、其ノ超過額ハ後年度ニ於ケル支出額ヨリ之ヲ控除ス
第二十五条 道府県ノ設置シタル救護施設及救護法第七条第一項ノ規定ニ依リ市町村ノ設置シタル救護施設ノ費用ニ対スル国庫補助ハ、左ニ掲グル費用ヨリ其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ収入ヲ控除シタル精算額ニ対シ補助ス
 一、救護施設ノ創設費、拡張費及之ニ伴フ初度調弁費《(年脱カ)》
 二、事務費
 救護施設ニシテ他ノ目的ニ利用シ得ベキ場合ニ於テハ、前項ノ精算額ハ救護ノ為利用セラルベキ程度ヲ標準トシテ之ヲ定ム
第二十六条 救護法第七条第二項ノ規定ニ依リ私人ノ設置シタル救護施設ノ設備ニ要スル費用ニ対スル国庫補助ハ、前条第一項第一号ニ
 - 第30巻 p.655 -ページ画像 
掲グル費用ヨリ其ノ費用ニ充ツベキ寄附金其ノ他ノ収入ヲ控除シタル精算額ニ対シ補助ス
 前項ノ精算額ニ付テハ、前条第二項ノ規定ヲ準用ス
第二十七条 第二十四条乃至前条ノ規定ハ、道府県ノ補助ニ付之ヲ準用ス
第二十八条 救護法第二十五条ノ規定ニ依ル国庫及道府県ノ補助金ハ第二十四条乃至前条ノ場合ニ於ケル控除額ニ之ヲ算入セズ
第二十九条 第二十四条乃至前条ノ規定ニ依リ交付シタル国庫及道府県ノ補助金ハ、左ニ掲グル場合ニ於テハ、其ノ全部又ハ一部ヲ返還セシムルコトヲ得
 一、救護施設ガ、救護法若ハ救護法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ
 二、救護施設ノ事業ノ全部若ハ一部ヲ廃止シ、又ハ当初予定シタル目的以外ノ用途ニ利用スルニ至リタルトキ
 三、補助金交附ノ条件ニ違反シタルトキ
 四、詐偽ノ手段ヲ以テ補助金ノ交付ヲ受ケタルトキ
第三十条 被救護者収容救護ヲ受クルニ至リタルトキハ、救護法第十八条及第十九条ノ期間計算ニ付テハ、収容ノ期間ハ収容ノ際ノ居住地ニ於ケル居住ノ期間トス
      第五章 雑則
第三十一条 本令中町村ニ関スル規定ハ、町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ、町村長ニ準ズベキ者ニ之ヲ適用ス
第三十二条 救護法施行ノ際、国・道府県又ハ市町村ノ費用ニ依リ収容救護ヲ受クル者ニシテ、救護法ニ依リ救護スベキモノニ関スル救護法第十八条及第十九条ノ期間計算ニ付テハ、収容ノ期間ハ収容ノ際ノ居住地ニ於ケル居住ノ期間トス
        附則
本令ハ救護法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス(昭和七年一月一日ヨリ施行)
    救護法施行規則(昭和六年八月十一日公布 内務省令第二十号)
第一条 救護法第七条ノ規定ニ依ル認可申請書ニハ、左ニ掲グル事項ヲ規載スベシ
 一、名称、種類及位置
 二、建物其ノ他設備ノ規模、構造
 三、事業経営ノ方法及収支予算
 四、事業開始ノ予定日
 五、設備ニ要スル経費
 救護法第七条第二項ノ規定ニ依ル認可申請書ニハ、左ノ事項ヲ記載シタル書類ヲ添附スベシ
 一、設置者ノ履歴及資産状況
 二、法人又ハ団体ニ在リテハ、定款・寄附行為其ノ他ノ約款
第二条 救護施設ヲ設置シタル者ハ、其ノ事業開始ノ後直ニ其ノ旨地方長官ニ届出ヅベシ
第三条 救護施設ヲ設置シタル者其ノ管理規則ヲ設ケタルトキハ之ヲ
 - 第30巻 p.656 -ページ画像 
地方長官ニ届出ヅベシ、其ノ之ヲ変更シタルトキ亦同ジ
第四条 救護施設ヲ設置シタル者之ヲ廃止セントスルトキハ、左ノ事項ヲ具シ地方長官ノ許可ヲ受クベシ
 一、廃止ノ事由
 二、被救護者ノ処置
 三、財産ノ処分
第五条 地方長官ハ救護施設ニ付必要ナル報告ヲ徴シ、又ハ設備、事業、若ハ会計ノ状況ヲ調査スルコトヲ得
第六条 救護法第十五条ノ規定ニ依リ救護施設ノ長ガ作業ヲ課セントスルトキハ、予メ作業ノ計画ヲ定メ地方長官ニ届出ヅベシ
第七条 救護ノ申請ハ、左ノ事項ヲ具シ本人又ハ親族其ノ他ノ縁故者ヨリ之ヲ為スベシ
 一、救護ヲ受クベキ者ノ氏名、生年月日
 二、居住地及居住期間又ハ現在地
 三、救護ヲ受クベキ事由
 市町村長必要アリト認ムルトキハ、前項ノ規定ニ依ル申請ナキ場合ト雖モ救護ヲ行フベシ
第八条 左ノ場合ニ於テハ、居宅救護ヲ受クル被救護者ハ、直ニ其ノ旨市町村長ニ届出ツベシ
 一、居住地又ハ現在地ニ異動アリタルトキ
 二、世帯ノ構成ニ異動アリタルトキ、又ハ資産若ハ収支ノ状況ニ著シク異動アリタルトキ
 三、救護ヲ受クベキ事由消滅シタルトキ
 被救護者死亡シタルトキハ同一世帯ニ在ル者ハ直ニ其ノ旨市町村長ニ届出ヅベシ
第九条 市町村長ハ被救護者ノ収容ノ委託ヲ受ケタル者ニ就キ必要ナル報告ヲ徴シ、説明ヲ求メ又ハ状況ヲ視察スルコトヲ得
第十条 左ノ場合ニ於ハ、被救護者ノ収容ノ委託ヲ受ケタル者ハ、直ニ其ノ旨市町村長ニ届出ツベシ
 一、被救護者死亡シタルトキ
 二、被救護者救護法第二十九条各号ノ一ニ該当スト認メタルトキ
 三、前二号ニ掲グル場合ノ外、救護ノ廃止、停止又ハ変更ヲ要スト認メタルトキ
第十一条 市町村長ハ其ノ指定シタル医師・歯科医師・薬剤師又ハ産婆ニ就キ医療又ハ助産ニ関シ帳簿書類ヲ調査シ必要ナル報告ヲ徴シ又ハ説明ヲ求ムルコトヲ得
第十二条 救護法第十七条第一項ノ規定ニ依ル埋葬費支給ノ申請書ニハ左記事項ヲ記載シ且埋葬費ノ額ヲ証スルニ足ル書類ヲ添附スベシ
 一、死亡者ノ氏名
 二、死亡及埋葬ノ年月日
 三、埋葬費ノ額
 四、死亡者ト申請者ノ続柄
第十三条 道府県又ハ市町村救護ノ費用ヲ徴収シ又ハ其ノ償還ヲ命ズル場合ニ於テハ、其ノ費用ノ計算書ヲ添ヘ納付スベキ金額及其ノ期
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限ヲ指定スベシ
第十四条 救護法第二十八条ノ規定ニ依リ市町村長遺留物品ヲ売却スル場合ニ於テハ之ヲ競争入札ニ附スベシ
 有価証券及見積価格十円未満ノ物品ハ競争入札ニ付セズシテ売却スルコトヲ得、前項ノ規定ニ依リ競争入札ニ付スルモ落札者ナカリシトキ亦同ジ
第十五条 本令中町村ニ関スル規定ハ町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキ者ニ之ヲ適用ス
        附則
本令ハ救護法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス(昭和七年一月一日ヨリ施行ス)