デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2021.9.1

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
1款 在米日本人会
■綱文

第33巻 p.405-416(DK330023k) ページ画像

大正13年10月13日(1924年)

是日当会書記長滝本為三、アメリカ合衆国千九百二十四年移民法成立ニ依ツテカリフォルニア州在住邦人農業労働者ノ被レル困厄ヲ救済スル使命ヲ帯ビテ帰朝シ、栄一ヲ訪問シテ援助ヲ懇請ス。栄一助力ヲ約シ、爾後横浜正金銀行並ニ住友銀行ニ勧請シテ、資金貸出ニツキ援助セシム。


■資料

(増田明六) 日誌 大正一三年(DK330023k-0001)
第33巻 p.405 ページ画像

(増田明六) 日誌 大正一三年 (増田正純氏所蔵)
十月十三日 月
○上略
桑港在米日本人会書記長滝本為三氏本日帰朝の由にて来訪す、神崎驥一氏同伴
同氏ハ同会を代表してフレスノ地方ニ於ける日本農業家が買入れたる土地代金年賦支払ニ窮するを救助の為め、之が資金を、外務省を頼り正金銀行より得るの使命を携行し来りしものなり、問題頗る困難と思ハるゝも、十分協力其目的を達するニ助力すべき事を約し、同日ハ別れたり
○下略


集会日時通知表 大正一三年(DK330023k-0002)
第33巻 p.405 ページ画像

集会日時通知表 大正一三年 (渋沢子爵家所蔵)
十月十八日 土 午後一時 滝本為三氏来約(事務所)
   ○本資料第三十四巻所収「日米関係委員会」大正十三年十月二十九日ノ条参照


(増田明六) 日誌 大正一三年(DK330023k-0003)
第33巻 p.405-406 ページ画像

(増田明六) 日誌 大正一三年 (増田正純氏所蔵)
十一月十二日 水
○上略
日米問題の件ニ付き、正金の副頭取一宮氏と住友東京支店長岡橋氏ニ子爵並神谷氏と共に会談す
   ○中略。
十二月八日 月
○上略
神崎驥一氏神戸より上京、アメリカ加州在留邦人農業家救助資金の件ニ付き協議あり、後子爵を飛鳥山邸ニ訪問す
十二月九日 火 晴
○上略
後一時神崎驥一氏来訪し、外務省佐分利通商局長及正金一宮副頭取訪
 - 第33巻 p.406 -ページ画像 
問の結果ニ就き談話あり
○下略


在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0004)
第33巻 p.406-407 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)
  大正十三年十二月廿二日   横浜正金銀行
                 副頭取 一宮鈴太郎(印)
    子爵 渋沢栄一殿
拝啓、益々御清祥奉賀上候、陳者在米日本人会提唱ニ係ル「フレスノ」地方日本農民救済ノ件ニツキ、弊行頭取ヨリ桑港支店支配人ニ宛テタル書面写シ、御参考迄ニ爰許御内覧ニ供シ申候間、御査収被成下度、申ス迄モナク右ハ弊行内部間ノ手紙ニツキ、其御含ミニテ御取扱被成下候様奉願上候 敬具

(欄外朱印)
 写
  大正十三年十二月廿日
                      頭取
   桑港支店
    支配人 小島久太殿
拝啓
フレスノ地方日本農民救済案ニ関スル九月廿六日付貴翰拝接仕候
貴殿ノ御見解ニヨレハ
一、日本人会立案救済計画ノ正金銀行貸金ハ担保トシテ土地ノ二番抵当ヲ取得スルコトヽナリ、加州銀行法ノ規定ニ違反スルコト
一、土地会社株券ヲ担保トスル場合ハ、日本人土地会社株券カ市上ノ売買可能《Marketable》ニアラサル実状ヨリシテ、同シク銀行法ニ抵触スルコト
一、該救済案ハ単ニ焦眉ノ急ニ迫レル今明年中ニ期日トナレル地代払込及借入金弁済ノ計画ニ止マリテ、将来ニ及ハス、明後年以後ノ払込資金ハ如何様ニスルカ、而シテ本行ノ貸付金ハ何時如何ニシテ弁済セラルヘキ乎ヲ明ニセス、単ニ漠然タル葡萄代金ノ昂騰ヲ僥倖スルノミ、何レノ点ヨリ観ルモ銀行カ貸付ヲナシ得可キ根拠ヲ有セサルコト
等ノ理由ニヨリ本行カ此問題ニ干与スルコト甚タ困難ナリトノ結論ニ到着スルモノト承知致候、追テ客月十八日付電報ヲ以テ帰化不能外国人ヲ株主トセル土地会社ノ資格《Status》ニ関スル加州検事総長ウエツブ《Webb》ノ声明ニ付テ御報知有之、日本人土地会社ノ土地又ハ株券カ銀行ノ担保トシテ法律上ノ地位甚危険ナル旨承知仕候
 本件ハ加州ニ於ケル多数日本人農民ノ興廃ノ岐ルヽ重大問題トシテ当方ニ於テモ慎重ナル考慮ヲ加ヘ、当局其他トモ数々会商ヲ重ネ候事ニ有之、他方ニ於テ渋沢子爵カ斡旋ノ労ヲ採ラルヽニ至リ、一宮副頭取ハ本月十一日住友銀行東京支店長岡橋氏ヲ帯同シテ子爵ト会見シタル次第ニ御座候処、此間一宮副頭取カ各方面ニ対シテ申述ヘラレタル主意ハ、即チ貴殿カ本件ニ対シテ採ラルヘキ方針ノ基礎トナルヘキモノニ有之、其要領左ニ開陳仕候
 該救済案ニ計劃セル政府ノ保証又ハ命令ト云フカ如キ事ハ直接又ハ
 - 第33巻 p.407 -ページ画像 
間接ニ国庫ノ負担トナルヘキモノニ有之、立法上ノ手続ヲ履マサルヘカラスシテ、今日ノ場合目的ノ達成甚困難ナル様被存、従テ之ヲ前提トシテ立案セラレタル日本人会ノ計劃ハ、当面ノ急ヲ救フ実行案トシテハ根本的ニ立直シノ必要有之ト存申候、原来「フレスノ」地方ニ於ケル日本人土地所有者全体ヲ、一般的ニ且包括的ニ救済セントスルハ経済上甚ダ無理ナルコトヽ云ハサル可カラス、戦後ニ於ケル世界的経済ノ大動揺ニ遭遇シテ、産ヲ失ヒ困窮セル海外在留日本人ハ単ニ加州ニ止マラス、世界到ル所ニ有之、加州農民ノミカ葡萄市価低落ノ影響ヲ蒙リ、排日立法ノ圧迫ヲ受ケ居ル理由ヲ以テ、一律ニ公共的ノ救済ヲ要求シ得ル根拠ハ可無之、日本人会提出ノ書類ニヨレハ、該土地平均値段一英加五百拾弗位ノ見積リニ相成居申候処、実際ハ一千弗ノ価値アルモノモアルヘク、又甚敷低価ノ劣等地モアルヘク、将又所有者箇々ノ経営状態・資産負債関係及収益割合等ハ千差万別ナルヘク、自然陶汰ノ理法ニヨリ或ハ多少ノ援助ニヨリテ活路ヲ得ルモノ、或ハ到底見込ナキモノ等ノ区別ヲ生スルコト已ムヲ得サル儀ト存申候、万一日本人会希望ノ通リ、政府ノ保証ニヨル資金融通ノ途実現セラルヽ場合ニ於テモ、貸金対象物ノ経済的真価《Merit》ハ絶対必要ノ条件ト相成可申、況ヤ本行ノ如キ銀行業者トシテハ普通貸金ノ原則以外ニ準拠スヘキ標準ヲ有セサルヤ当然ニ御座候、本行トシテハ不動産長期貸付ハ営業上主義トシテナス可カラサル事申ス迄モ無之、且ツ加州一帯ニ亘リテ此種貸金ハ従来不良又ハ回収不能トナリ其金額多キニ上レルコト御承知ノ通リニ有之、加之、比年本邦貿易入超ハ震災以来更ニ其程度ヲ加重シ、本行在外資金調達ニ苦心一方ナラサル折柄、貴地ニ於テ農業資金ヲ放出スルコトハ極メテ好マシカラサル儀ニ候得共、在米日本人ト貴地ニ於ケル本行ノ特殊ナル地位ニ鑑ミ、本問題カ取引申込《Business Proposition》トシテ考慮出来得ヘキ範囲ノ貸金ハ敢テ辞セサル所存ニ御座候
 要スルニ包括的救済ハ差シ当リ実現スヘキ見込ナキ様被存、本行ハ只実際的ニ、普通営業上ノ問題トシテ取扱ヒ得ル限度ニ於テ、資金供給ヲ考慮スヘク、何レ貴地ニ於テ土地所有者側ヨリ何等カノ申出可有之事ト存候処、其際貴殿ハ此主旨ニヨリテ御折衝相成度、貸出ノ妥当性ニ関スル最終ノ判断ハ実地ニ接触セル貴殿ノ自由裁量ニ依ルノ外無之ニ付キ、貴殿ハ個々ノ場合ニツキ大体左ノ標準ヲ以テ最善ノ注意ト研究トヲ尽シ御決定相成様希望致候
 一、担保カ加州銀行法ニ抵触セス、且ツ銀行検査官ノ批難ヲ招ク虞ナキコト
 一、相当ノ期間内ニ回収ノ見込アリト認メラルヽコト
 一、農家負債ノ済崩《Instalment》カ明後年以後ニ跨ル分ハ、本行ハ必要ノ場合最後ノ払込迄徹底的ニ助力スル肚ヲ極メサル可カラス、従テ此点ヲ充分考慮シテ貸出額ヲ決定スヘキコト
此標準ニヨリテ貴店カ貸付ケ得ル金額ハ、日本人会申出所要金額ニ比シテ蓋シ極メテ少額ナルヘキモ已ムヲ得サル儀ニ御座候 以上


(増田明六) 日記 大正一三年(DK330023k-0005)
第33巻 p.407-408 ページ画像

(増田明六) 日記 大正一三年 (増田正純氏所蔵)
十二月廿四日 水 晴
 - 第33巻 p.408 -ページ画像 
朝飛鳥山邸ニ子爵拝訪す、御病気軽快ニ赴かれ、来廿七日湯河原天野屋ニ転地療養と決せられたり、誠ニ慶すべき事なり
十時神谷忠雄・滝本為三両氏来訪、子爵病牀ニ於て小生と共に、在米日本人会提議中加在留邦人農家救済の件ニ付き種々協議を擬す
○下略
   ○中略。
十二月廿七日 土 曇
○上略
堀越善重郎氏を丸ビル八階の同商会ニ訪問して、在中加地方在留邦人農家救済の件に付き、滝本為三氏と共ニ談話し、同氏の助力を請ふ事を依頼し、快諾を得たり○下略


在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0006)
第33巻 p.408-409 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)
(鉄筆)
  住友銀行支店
    岡橋 支配人殿
拝啓、時下益御清適敬賀之至ニ候、然ハ予て御配慮を煩し居候米国中加地方在留邦人農家金融援助ニ関する件ニ付き、横浜正金銀行に於てハ左記之通在桑港支店長ヘ内訓致候趣、同行一宮副頭取より内報有之候処、右ニ対し目下帰朝中の在米日本人会書記長滝本為三氏より、別紙之通願書提出致したる由ニ候、就てハ御手数ニ候ヘ共、此趣貴下より御本店ヘ御通報之上、御行ニ於ても正金銀行と御協力、滝本書記長拝願之趣旨御認容被下候様此上之御尽力願上候、尚御本店ヘハ元在米日本人会書記長にて目下神戸関西学院商業部々長神崎驥一氏罷出、事情具陳拝願之筈ニ候間、併せて御通報置被下度候以上 敬具
  大正十三年十二月卅一日 渋沢栄一
    横浜正金銀行本店ヨリ桑港支店長宛内訓ノ要点
一、担保ガ加州銀行法ニ抵触セズ、且銀行検査官ノ批難ヲ招ク虞ナキコト
二、相当ノ期間内ニ回収ノ見込アリト認メラルヽコト
三、農家負債ノInstalmentガ明後年以後ニ跨ル分ハ、本行ハ必要ノ場合最後ノ払込迄徹底的ニ助力スル肚ヲ極メサルベカラス、従テ此点ヲ充分考慮シテ貸出額ヲ決定スベキコト
大体右ノ標準ヲ以テ貸出高ヲ判断決定スベキコト
        以上
(別紙)(謄写版)
  横浜正金銀行
    副頭取 一宮鈴太郎殿      在米日本人会書記長
  大正十三年十二月二十九日
拝啓、益御清適奉慶賀候、然ハ過般外務省並に渋沢子爵を通して御願申上候中加地方在住邦人土地所有者金融援助に関する件に就てハ、目下国家的金融に関し焦眉の急を告くる幾多の重要問題を有せられ、且歳末別して御繁忙の際にも拘らす、多大の御同情と御尽力とを賜り真に感謝に堪へす候、小生儀帰朝早々突然病に冒され入院加療の無余儀
 - 第33巻 p.409 -ページ画像 
次第と相成、空しく貴重の時日を経過致居候処、其間貴台の在留農民に対する深甚なる御同情に依り、遂に去る十二月二十日附小島貴行桑港支店宛の御文書に於て金融の御方針を御示し被下、在米日本人会の中加地方農業者援助事業の解決に新生面を開き得たるは、小生の欣喜に堪へさる所に候、就て此際望蜀の御咎可有之も難計候へ共、実際上の問題として左記の事項御認容被下候はゝ、御救済の実極めて著しく相成、憂慮せる同胞も蘇生の思可有之と存候間、何卒御詮議被下度、敢て拝願仕候
一貫行より桑港小島支店長宛御内訓の三要点に就ては、同支店長の御取扱被下候場合の御裁量如何に依りて在留民の希望達成に大なる影響を生する次第に御座候が、今回ハ曩に願出候政府の援助を背景としての場合と異なり、全く貴行の御同情的御取扱に依り、然かも御営業上御迷惑を掛けさる様の仕組と致候上御貸出を願ふ儀に候へは先般申上候今明年度六拾五万弗御貸出を願ふ希望を改めて更に左記の如く御願致候
  第一 第一抵当権を設定し得へきもの全部に対し御貸出を願度候事、此結果ハ請願理由書第七頁に掲けたる統計概括表中第一類に属する分百五名、所有土地四千八百英町、地価弐百四拾七万弗に対し、第一抵当権を貴行に於て御取得の上、其負債額七拾九万弗の御貸出を願度事と相成候、但本項の借受人各個に就てハ、土地実価と借入金額との割合に自然差等可有之ハ勿論に候へ共、貸出高の最低割合を普通米国の銀行が邦人土地所有者に貸与する平均標準率、即ち土地実価の四割四分位の程度迄御取扱願度候事
  尤も今明年度中に返済を要する債務者の負債額ハ
   千九百二十四年度分拾九万参千五百弗
   千九百二十五年度分弐拾弐万七百弗
    合計四拾壱万四千弐百弗
  に有之、負債額七拾九万弗との差参拾七万弗ハ千九百二十六年以降に於て返済を要する債務者の負債なるが、之が御貸出は願ふ必要無之見込に候
  第二 年賦払の方法に依り土地を購入し居る者、即ち第二類に属する分四十九名、土地弐千七百八拾六英町、此地価百四拾万弗、年賦払未済金額九拾壱万弗の分に対してハ、貴行に於て土地価格と貸出金額との割合を成るへく寛大に御取扱相願ひ、此際出来得る限り完全に所有権を得せしめ、之を前項と同様貴行に第一抵当として差入得る様御処理願度候事
右の御願に関してハ借入金返済の方法・期限等に付き貴行に於て御安心難出来分ハ致方無之候も、加州銀行監督官の認容する範囲に於て寛大に処置致呉るゝ様、重て御支店長に御内訓被成下度懇願仕候 敬具


渋沢栄一書翰 控 牛島謹爾宛大正一三年一二月三一日(DK330023k-0007)
第33巻 p.409-410 ページ画像

渋沢栄一書翰 控 牛島謹爾宛大正一三年一二月三一日 (渋沢子爵家所蔵)
  牛島謹爾様
拝啓、其後御無音に相成候処御起居如何ニ候哉、過般帰朝したる滝本氏之談に依れバ、近来御健康兎角御勝れ無き御様子に候へ共、目下日
 - 第33巻 p.410 -ページ画像 
米問題尚紛糾之折柄、別して御加餐一日も早く御強健ニ被復、本問題の解決ニ御努力被下候様祈念致候、小生も十一月中旬風邪ニ被冒、爾来病褥ニ横ハリ空しく時日を経過するの無余義状況ニ候処、昨今漸次軽快ニ赴き、医師の戒告に依りて当分之内神奈川県湯河原温泉ニ滞在致す事と相成候、明春ハ健康の回復と共ニ活動致度と期居候、当夏ハ小生好物之密柑不相変沢山御送与被下《(蜜)》、毎々御芳情之段深く御礼申上候、御知人へ右配布方御依頼之分ハ、取扱人たりし増田をして御報知申上しめ候間御承知被下度候
先年御約束致候貴兄の詩集に対する序文未以て出来不致、貴音に接する毎ニ恐縮の念に打たれ候、小生老来執筆懶く、事意と伴はす誠に遺憾に候へ共、右序文之義は是非勇を鼓して其中起稿送附可致候
中加地方邦人農家金融之件に付き曩ニ政府ニ御請願相成、又滝本氏御遣ニ付、小生に於ても爾来御添心御希望之達せらるゝ様に尽力致居候此か経過に就ては増田をして報告せしめ候間御覧被下度候
本年七月米国に於て新移民法実施後、小生等日米関係委員の執るべき方針に付てハ爾来一日として念頭を不去考慮致候へ共、未た具体案を得るに不至、隔靴掻痒の感に不堪、不取敢本年末に際し別紙写之通米国の知人七十余名に対し出状致候間御一覧被下、将来之御協力切望之至に候
先ハ年末に際し御厚情に対する御礼之意を表し、旁近況御通知申上度如此御座候 敬具
                      渋沢栄一
   尚々病中代筆之義御寛容被下度候
(欄外記事)
 [大正十三年十二月三十一日
   ○別紙ニ就イテハ本資料第三十四巻所収「日米関係委員会」大正十三年十二月二十五日ノ条参照。


(増田明六)書翰控 牛島謹爾宛大正一三年一二月三一日(DK330023k-0008)
第33巻 p.410-411 ページ画像

(増田明六)書翰控 牛島謹爾宛大正一三年一二月三一日
                     (渋沢子爵家所蔵)
  牛島謹爾様
拝啓、時下益御清適之義と拝遥賀候、然ハ渋沢子爵之御申付ニ依り、予而在米日本人会より政府へ御請願相成、次て滝本書記長を御派遣相成候中加地方邦人農家金融援助ニ関する経過之大要を、左記御報告申上候
扨中加地方邦人農家金融援助之件ハ、去十月中旬滝本氏の帰朝談話に依りて始めて承知致、爾来子爵ハ其希望を達せしめ度と添心せられ居候処、不幸にして滝本氏同二十四日突然発病、即日より聖路加病院ニ入院加療と相成候は誠に遺憾之至ニ候、併し幸に貴地方の状況に精通せる神崎驥一氏、神谷忠雄氏(神谷氏ハ恰も目下閑職の地に在り、当分本問題に付き尽力する様子爵より依頼せられ候)ニ於て滝本氏の後を引受け、又増田明六・小畑久五郎等子爵之命に依りて両氏と協力し政府方面及銀行ニ対し種々運動を試み、又渋沢子爵は特に外務大臣を訪問し、或ハ佐分利通商局長及正金銀行及住友銀行の代表者と会し斡旋尽力大ニ努められ、是非貴会の請願を実現せしめんと試みられ候へ
 - 第33巻 p.411 -ページ画像 
共、財政行政の整理を施政方針の一ニ数へ居る現政府ニ於てハ、請願之趣旨には同情すれとも之を認容するの余地無之様子にて、遂に正金銀行ハ加州銀行法並に検査官の批難を招かさる範囲と、又同銀行営業上取扱得る程度に於て資金之供給を与へらるゝ事と相成、其旨同行本店より小島桑港支店長へ内訓を発せられ候
貴会請願之主眼としたる政府の保証又ハ命令ニ依りて貸付を受けんとする希望は絶望と相成、前記の如く正金の手心一つにて貸付を受くる次第と相成候に付ては、此際此貸付の範囲を可成拡大ならしむる必要有之候ニ付、目下一方には外務省へ口添を依頼し、他方ニハ銀行ニ頻リニ懇願を重ね居候、尚住友銀行に対しても正金と同様之貸出を受くる様専ら尽力致居候
先ハ概要御報告申上候 拝具 増田明六
(欄外記事)
 [大正十三年十二月三十一日


在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0009)
第33巻 p.411 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)

図表を画像で表示--

   別紙請願理由書ノ援助金ニ関スル件 大正13.12.1 [img 図]明六    人員   面積                   購買代金   時価                未払負債及土地代    106人  [img 図]〓4.800エーカー  142万弗   [img 図]〓247万弗  [img 図]〓 79万弗     49人  [img 図]〓2.800 〃    156万弗                140万弗               91万弗    156人               7.600 〃    298万弗                387万弗  [img 図]〓170万弗 面積[img 図]〓4.800エーカーハ所有権取得シアリテ銀行担保品トナスコトヲ得レトモ、負債79万弗ノ抵当物トシテ提供シアルニ付、時価[img 図]〓247万弗-負債[img 図]〓79万弗=168万弗ハ二番抵当物トシテノ価ト為スコトヲ得ベシ又同上[img 図]〓2.800ヱーカーハ未タ所有権移転シ居ラサルナリ 未払負債及土地代[img 図]〓170万弗ノ内援助ヲ請フ額ハ如次  1,924 ニ返却スヘキ負債 193.500弗      払込ムヘキ金額 232.494〃  合計 646.694弗  1,925 ニ返却スヘキ負債 220.700〃 此64万弗余ヲ正金ヨリ貸付ケラレンコトヲ請フモノニシテ、若シ今明年内ノ払込不能トナル場合ハ、契約不履行ニ基ク強制執行処分ニ依リ、上記時価387万弗ノ財産ヲ失ハントスル次第ナリ 上記ノ援助金額請願ニ対スル正金ノ意向ハ 一、窮況ニアル邦人農家ハ単ニ中加ニ限ラサルベシ、此際中加ヲ援助スルトキハ必然他地方ヨリモ同様ノ請願ニ接スベシ 二、今明年ノ払込金額ヲ貸出スヲ可ナリトスルモ、明後年以後ノ払込金額モ亦貸出ヲ懇請セラルヽニ至ラン等種々心配セラルヽ処アリシカ、結局各個人ニ付キ担保品ノ確実ナルモノニ限リ、桑港支店長ヲシテ貸付ヲ為サシムベシトノコトナリ 




在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0010)
第33巻 p.411-412 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)
                  (別筆)
                  一月九日回答済 明六
拝啓、正金一宮氏宛書面写並に住友銀行宛写し何れも拝受仕候、歳末年始御多忙の際に関らず御懇切なる御尽力ニ対し衷心より感謝致候、
 - 第33巻 p.412 -ページ画像 
人間の希望には限りなく候も、日本の現状に鑑みれば、今日迄の処に進行致したるは望外の好結果と考へざる可からず、偏に子爵並に佐分利局長の御尽瘁は固よりなるも、貴兄及び神谷兄○忠雄の絶大なる御協力の賜なる事は明白なる処にて深く深く御礼申上候、住友銀行国府支配人よりは旧臘小生宛書面を以て、結局個々の場合を研究して貸付けを致すの外なかるべしとの意を洩され、且つ滝本君の西下如何に付て問合せ有之候間、同君病気の為め旅行六ケ敷故、小生代つて近々再び湯川重役を御訪ね申上べき旨御答へ致置候、何れ新年銀行開店早々湯川氏へ御面会の上、御下命の諸点につき充分懇談し、最上の効果を収め度く希望仕居候
子爵の御健康も好都合に御快方に向わさ《(せ)》られ候由何より喜ばしく存候滝本君も鎌倉に静養せられつゝありとの事、全快の日を祈り居り候
                            早々拝具
                          神崎驥一
    増田明六様
         侍史
      一月三日


(牛島謹爾) 電報 渋沢栄一宛一九二五年一月四日(DK330023k-0011)
第33巻 p.412 ページ画像

(牛島謹爾) 電報 渋沢栄一宛一九二五年一月四日
                        (渋沢子爵家所蔵)
  SANFRANCISCO
                         January 4, 1925.
VISCOUNT SHIBUZAWA《(SHIBUSAWA)》, TOKIO.
PLEASE ACCEPT OUR HEARTFELT THANKS FOR YOUR GENEROUS COOPERATION AND ASSISTANCE GIVEN TO TAKIMOTO MISSION STOP WISHING YOU MANY RETURNS OF A HAPPY NEW YEAR GEORGE SHIMA
(右訳文)
          (栄一墨書)
          一月十一日湯河原ニテ一覧
          滝本氏之使命ニ付而其後正金・住友両行との引合向如何相成候哉要点報知有之度事
    電報(大正十四年一月六日入手)
 東京市
    渋沢子爵閣下         桑港 牛島謹爾
滝本氏の使命に対し御懇篤なる御協力と御援助とを賜り衷心より感謝の意を表し、新年に際し幾久しく御多幸ならん事を祈る


在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0012)
第33巻 p.412-413 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)
恭賀新年
拝啓、新年早々貴書を賜り難有拝読仕候
其後御容体如何に被為入候哉、申上候迄も無之事ながら、折角御大切に御保養専一に奉祈上候
陳者旧臘十二月二十九日付を以て一宮正金副頭取へ御提出相成候御趣
 - 第33巻 p.413 -ページ画像 
意に基き、昨七日小生同氏に面会仕候処、同氏は此書の提出を好まれず、寧ろ望蜀の感甚しきものなる旨を申され候
是れ小生も初めより予期致居候事とて驚きも不致候得共、篤と先方の事情を聞けば、一面御尤の様にも相見え申候
一宮氏曰く、正金としては出来得る限りの便利を図り度、唯其方法は銀行の営業範囲を脱せざる程度に於て之を為し度く、而も其斟酌施設に就ては支店長の考慮に一任するの外なく、支店長としても安全なる方法手段あらば決して其貸出しを拒むに非るべく、仮令第一抵当権の設定あり共、其経営者の事業が不安固なりと視ば、勢ひ是れが融通を拒まざるを得ず、従つて地価の何割を貸し幾干を融通すると言ふが如きは、日本にあるものゝ指揮命令し得るものに非ず、此の如きは在加州の経営者と正金支店長との接触に依つて定るものなれば、此種の依頼は拒絶すと言ふの外なしと申され候
且曰く、今回「フレスノ」地方の依頼を承諾して幾分なり共融通を図らば、他の地方の者も又来りて同等の要求をなすべく、既に多額の貸金ある此際、此の如き要求に応ずるは頗る好ましからざる次第なるも周囲の事情止を得ず之を承諾せるものなり云々
又一宮氏の企望としては、若し貴下の病状帰米し得る程度に迄恢復せば、一度加州に帰り、日本の事情を在加の経営者に説明して能く其了解を得、以て正金の貸出等に就きても直接間接の御助力あらん事を祈る旨申され候
是は小生も至極御尤の考案と存候、貴下の御帰米を賛成する小生の存意は、若し万一にも正金支店長が余り厳重なる斟酌をなし、商売にも救済にもならざるが如き態度に出づるあらば、之を電報なり書面なりにて、再び外務大臣なり、或は渋沢子爵なりに宛てゝ其事情を訴へ、更に正金本店の再考を乞ふなり、或は他省の官憲に訴ふるなり、時の宜しきに従つて其手段方法を講ずるの道あるべきも、目下の所にては正金支店長が如何なる程度に於て之を融通すべきや其斟酌施設の寛厳を知らざるに、先づ之を疑ふて彼是其貸出程度の割合を知らしめよ、又之を支店長に通知せよと逼るが如きは、聊か妥当ならざるかの如き感あり、這は是れ在中加幾百の農業経営者と、之に依つて生計を営む幾千万人の安危に係る大問題なれば、事若し紛糾して企望を達するに至らざれば、貴下は御迷惑にても亦再び御渡来相成候て、具に其事情を朝野憂国の士に訴へ、以て其目的の貫徹に務めらるゝ様被遊候ては如何、本年は小生も日本に在留すべく、微力犬馬の労を惜しまざるべし、唯此際第一に大切なる事は、一宮氏の書により正金支店長の斟酌如何を、貴下直接に監視するの要あるべしと存候次第に御座候
但し一宮氏の一般の語気は、同氏の十二月廿日付の書を見て御互が推測せしが如き偏狭のものに非ざるものゝ如く察して、小生は寧ろ楽観の念を抱いて辞去仕申候 敬具
  大正十四年一月七日            堀越善重郎
    滝本為三様


在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0013)
第33巻 p.413-414 ページ画像

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在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0014)
第33巻 p.414-415 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、御書面拝見仕候、尚滝本君よりも電報に接し候間本日住友本店に罷越候、湯川重役には会議の為め直接面会の機会無之候ひとも、国府・大平両支配人に各別々に御話し致し、正金一之宮副頭取宛提出の願書に示しある二点を中心として縷々申述べ置候、御承知の通り国府氏は嘗て桑港支店長たりし人であり、大平氏も同支店創設者の一人に有之候間、本件に付て御話し申すには尤も適当の人々に御坐候、住友銀行としては未だ方針確定せりとは申難く候も、大体には先般大要を申上候国府氏の小生宛私信に洩されたる如く、銀行業務の許す範囲に於て、個々の場合の価値又は条件に基き、或る程度の救済をなすと云ふが関の山らしく候、即ち正金がやるから其の驥尾に附し応分の貸付けをなさんとの意志と察せられ候、然し其れ丈けでは、吾等の希望する処と相当の距離有之るや固よりに候間、大凡次の趣旨の事を申述べ置候、『銀行業務の許さるゝ範囲と申さるゝ事は勿論諒と致しますが、其の範囲には多少の伸縮があり得る事と推察しますから、在米農業家救済の御同情厚き精神に基き、出来る限り積極的方針の解釈を以て進まれたい、在日会当初の希望は六七十万弗位の金融を得て、救済を必要とする百数十名の農業家全部を、其の恩沢に預らしめたき事なりしも、日本の現状到底是を望み難しとせば、せめては地券の邦人に移り居るもの、即ち銀行が第一抵当権を持ち得らるゝものは、大体方針としては包括的に是等を救助する事に決定して戴きたい、尚其以外の者にても或る程度の貸付けをなせば地券が邦人に移るものは、可成有利なる解釈を与へられたい、更に正金銀行に於ては結局桑港支店長の自由裁量に待つ云々の内訓であるが、支店長としては本店の命令の範囲内に於て、而も人情の常として安全第一主義で自由裁量をなす事になるは必然の事なるが故に、出来る丈け積極的態度を支店長が取り得らるゝ様に、本店先づ積極的方針をとる態度を決して戴きたい、又表面は正金の驥尾に附す云々と申されても、実際の上には寧ろ正金をして激励奮発せしむる結果を生ずる迄に践込んだ態度をとらるゝ事を切望する、然らば同胞に於ても魚心あれば水心で、住友の好意と同情に酬
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ひる事必ずあるべしと、此の点を反覆力説せり』両支配人よりは決定的言質を得る事は固より得能わざりしも、御趣旨の存する処は充分了解せり、重役にも伝達し出来る丈けの事を可致しとの答へ有之候、正金同様に具体的の回答を得ざる事は物足らぬ心地致し候も、銀行の立場としては不已得事と存候、然し本店に対し希望の存する処を力説反覆したる事は、決して徒労には相成らざる事と存居候、而して此上は御説の通り滝本君の健康回復次第帰米せられ、新総領事と協力して正金・住友両支店長の所謂自由裁量の範囲を可成拡大せしむるに尽力せらるゝが、本件に対する有終の美を収むる唯一の途と存候、引続き重重の御尽力奉拝謝候、神谷君此度ひ東邦電力会社に御勤務御決定の由同慶至極に存候 拝具
    増田明六様             神崎驥一
         侍史
  大正十四年一月十二日


在米日本人会中加地方土地所者者保護請願ノ件[在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件](DK330023k-0015)
第33巻 p.415 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所者者保護請願ノ件[在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件] (渋沢子爵家所蔵)
                         (岡橋)
     大正十四年一月廿七日   支配人 岡橋林 (印)
  渋沢子爵閣下
    Fresno地方在住日本人ニ対スル救援貸金ノ件
拝啓、愈々御清祥に被亘候事と拝察仕候、陳者予而御配慮中の北米合衆国フレズノ在住日本人の地所代金払込金の融通方に就て、当行本店より当行桑港支店支配人佐藤鶽吉に対して大体方針を指示致したる要旨を、外務省佐分利通商局長殿に御報告申上置き候条、右は御参考の一端とも存じ、右報告書写玆許同封仕候間何卒御査閲願上候 敬具


在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件(DK330023k-0016)
第33巻 p.415 ページ画像

在米日本人会中加地方土地所有者保護請願ノ件 (渋沢子爵家所蔵)

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 Copy (岡橋)(印)    大正十四年一月廿一日  支配人 岡橋林  外務省通商局長    佐分利貞男殿 



    Fresno地方在住邦人ニ対スル救援貸金ノ件
拝啓、本件ニ関シ当行本店ニ於テハ、当行桑港支店支配人佐藤鶽吉ニ対シ、フレズノ在住日本人買入地所代金払込金ノ融通ニ就テ要求アラバ、申込ノ個々ニ就テ考慮シタル上、ソノ貸出ガ
 一、加州銀行法其他法律ニ抵触セス
 二、銀行検査官ヨリ批難ヲ受クル処全然ナク
 三、ソノ回収ガ安全確実ト充分認メラルヽ
コトノ三条件ヲ具備シタル場合ニ限リ、本店ノ承認ヲ得テ適当ノ金額迄貸出ヲ許容スルモ差支ナキ旨内訓ヲ発シタル趣移牒致参リ候聞、御参考ノタメ右御報告申上候也
       以上


(増田明六) 日記 大正一四年(DK330023k-0017)
第33巻 p.415-416 ページ画像

(増田明六)日記 大正一四年 (増田正純氏所蔵)
二月廿六日 木 曇
午前十時飛鳥山邸ニ至り、十一時より催さるゝ午餐会の準備を為す
 - 第33巻 p.416 -ページ画像 
午前十一時前桑港総領事大山卯次郎、同地日本人会書記長滝本為三両氏、添田寿一・頭本元貞・堀越善重郎三氏来会、子爵・小生及小畑以上八名洋館応接室ニ卓を囲ミ、加州ニ於ける在留農民の状態並金融ニ就て意見を交換し正午午餐を執り、食後再度談話の後二時半散会
○下略


渋沢栄一 日記 大正一四年(DK330023k-0018)
第33巻 p.416 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正一四年 (渋沢子爵家所蔵)
三月十七日 美晴 寒
○上略 午前十時滝本為三氏来訪ス、氏ハ米国加州ニ於ル在米日本人会ノ書記長ニテ、客年十月本会ノ使命ヲ帯ビテ出京シ、爾来種々ノ援助ヲ与ヘテ、横浜正金銀行及住友銀行ノ了解ヲ得、明日出立帰米スルニ付来リテ告別スルナリ、依テ会見シテ、詳細ニ日米関係委員会ノ趣旨及今日迄ノ助力ヲ示シ、当方ノ衷情ヲ了解セシム、殊ニ牛島会長ニ対シテ余ノ意志ヲ伝達セシムル事トス、且文雅上ノ来書ニ付テモ相当ノ回答ヲ為ス ○下略



〔参考〕牛島謹爾氏関係往復(DK330023k-0019)
第33巻 p.416 ページ画像

牛島謹爾氏関係往復         (渋沢子爵家所蔵)
           (別筆)
           十月十八日落明六
           (別筆)
           十一月十一日回答済明六
  大正十五年九月二十三日       滝本為三
 渋沢事務所
    増田明六様
○上略
子爵の御斡旋ニよりて両銀行より約十四五万弗の資金は融通せられ、これニより救助を得たる土地所有者も二十名内外に達し候へ共、何分にも借付条件《(貸)》ニ制限せられ、恩典ニ浴し得る者ハこれ以上有之間敷様察せられ候、千九百二十三年末の調査ニ比し邦人の土地所有面積ハ一万二千英町減少致し候
○下略



〔参考〕牛島謹爾氏関係往復(DK330023k-0020)
第33巻 p.416 ページ画像

牛島謹爾氏関係往復 (渋沢子爵家所蔵)
  在米日本人会
    滝本為三様
○上略
五、土地代支払資金に関する件 先年御帰朝の上御奔走被成候中加地方邦人農業者の為ニ資金融通の件ハ、正金・住友両銀行支店より約拾四五万弗の貸出金ありしも、之が融通を受けしものハ僅かに二十名の土地所有者に過きさる由、右ハ折角の子爵の尽力も格別之功力無き結果ニて遺憾の至に候へ共致方無之候、尚本件ハ向後の参考とも相成候義ニ付御閑暇の折貸出金額、之が担保品、条件、借用金者氏名等御取調の上御報告被下度候
○中略
  大正十五年十一月十一日       増田明六