デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
2節 米国加州日本移民排斥問題
3款 日米関係委員会
■綱文

第34巻 p.663-686(DK340080k) ページ画像

大正15年12月20日(1926年)

是日、当委員会主催アメリカ合衆国ニュー・ヨーク米日関係委員会会員ジェームズ・エッチ・フランクリン博士招待午餐会、丸ノ内東京銀行倶楽部ニ開カル。栄一病気ニヨリ出席スルヲ得ズ。同博士ハ合衆国千九百二十四年移民法改正ノ要ヲ述ブ。


■資料

日米関係委員会往復書類(二)(DK340080k-0001)
第34巻 p.663 ページ画像

日米関係委員会往復書類(二)      (渋沢子爵家所蔵)
拝啓、益御清適奉賀候、然ハ米国バプテスト教会外国伝道部主任ジエームス・エチ・フランクリン博士ニハ今般本邦渡来ニ際シ、特ニ紐育日米関係委員会ヨリノ依頼ヲ受ケ、既年施行セラレタル排日移民法案ニ関シ本会々員諸氏ト協議致由申越有之候ニ付テハ、来廿日(月曜日)正午丸ノ内東京銀行倶楽部ニ於テ同博士ヲ招待シ篤ト御協議相願度ト存候間、年末御多忙ノ際恐縮ニハ候得共、万障御差繰ノ上尊来被成下度此段得貴意候 敬具
  大正十五年十二月十六日
                日米関係委員会
                 常務委員 渋沢栄一
                 同    藤山雷太
    会員各位
  御諾否折返シ御回示願上候


日米関係委員会集会記事摘要(DK340080k-0002)
第34巻 p.663-666 ページ画像

日米関係委員会集会記事摘要       (渋沢子爵家所蔵)
 大正十五年十二月二十日(月)正午、於東京銀行倶楽部日米関係委員会開催、紐育日米関係委員会々員ジエームス・フランクリン博士と協議之為
    出席者
 来賓 ジエームス・エチ・フランクリン博士、ウヰリアム・アキスリング博士
 委員 浅野総一郎氏・藤山雷太氏・阪谷男爵・添田寿一氏・内田嘉吉氏・頭本元貞氏
 幹事 服部文四郎氏・小畑久五郎氏
    記事概要
阪谷男 昨日飛鳥山邸に渋沢子爵を訪問しました節、子爵はフランクリン博士、アキスリング博士及皆様へ宜敷申上ぐる様にとの事でありました。吾々国民が憂慮に包まれて大小の会合を遠慮されて居る今日でありますから、フランクリン博士を盛に歓迎申上ぐる事の出来ないのを遺憾に存じます。一昨年彼の移民法が米国議会を通過し
 - 第34巻 p.664 -ページ画像 
ました時、フランクリン博士は我邦に御滞在中であつたので私は数回御目にかゝりました。特に渋沢事務所に於て右法案に対する方針に関して懇談致した事を鮮に記憶して居ります。フランクリン博士の御活動には私共非常に感服して居るのであります。博士の書面又は新聞雑誌等によりて幾度となく活動の情報に接して居つたのであります。移民法は国内問題でありまする為め直接運動は之を米国側に御一任せねばならないので、殊にフランクリン博士の如き正義人道を重んずる諸彦に御尽力を願つた次第であります。私共の隠忍を緩慢な処置であると誤解して憤慨の情を漏らさんとしたものもあります、例へば米国大使館の国旗を奪取したる事、帝国ホテルに抜剣にて乱入したるものあること、米国大使館前に於て自殺を行ひしものに対して盛なる葬儀を行ひしことなどであります。尚ほ之れよりも一層烈しいのは、日本人は新移民法に満足して今日となりては之に不服を称へて居るものは無いなどゝの宣伝をなし居る者ありとの事を聞き、之に昂奮して彼の国技館といふ大建物内に米国排斥運動を宣揚せんとの噂さがありましたから、吾々之を聞きましたものが手を廻はして之を中止せしめた程であります。若し以上米国内に於て、若しくは国内に於て日本人は最早排斥移民法に頓着せぬなどゝいふ事が盛に称へらるゝ様になりましたならば、其れこそ大事と思ひます。
 渋沢子爵はフランクリン博士の御帰国前に、是非御面会して懇談致すことを希望して居られます。私は重ねて此際フランクリン博士の為めに盛なる歓迎の情を表現し能はざることを遺憾とすることを、玆に繰返へして申上けます。博士の御話は客間に於て親しく承ることに致します。
   午後一時二十五分フランクリン博士概略左の如く語らる
アキスリング博士 紐育日米関係委員会々長ジオジ・ダブルユー・ウヰツカシャム博士及幹事ギューリック博士署名の推薦状を朗読してフランクリン博士を紹介せらる(推薦状の訳文添附)
フランクリン博士 阪谷男爵及諸君、私は先づ第一に日本皇帝陛下の御不例を非常に痛はしく感ずる次第であります。本日の如き非公式の会合も遠慮され《(る)》べきでは無いかと思ひ、実は午前中会合の有無を御尋ね致した程でありまして、仮令へ斯る会合が中止されましたとしても、私は喜んで其変更を受諾致した筈であります。次に私は渋沢子爵の御病気を衷心より悲むものであります。吾々は子爵をデイア・ヴァイカウントと称へ一種言ふべからざる尊敬を払つて居ります。米国人にして日本を訪問するものは子爵に面会することを希望して居るのであります。フインレー氏の如きは私がシヤトル市にある間、長距離電話を以て渋沢子爵に宜敷申上ぐる様にと申越された次第であります。私は国家とか人種とか宗派とかを超越して人情の統一を信ずるものでありますから、我邦が排斥移民法を布いて無造作に日本の国威を傷つた事に就ては、是非亜米利加側から之を訂正せねばならぬと確信して居るのであります。此排日移民法は近々三十日、若くは幾ケ月といふ短日月の内に改正せらるべしは思ひませ
 - 第34巻 p.665 -ページ画像 
ん。此問題は難問題であります。私は渋沢事務所に於て子爵を始め阪谷男爵・添田博士・頭本氏と懇談せし事を昨日の如く明確に記憶して居ります、又其際御引受けしました活動方針の実行に就ても帰国後時を移さず奔走した積りであります。私はボストン市にヱリオット老博士も御尋ね致しました。大統領にも面会しました。又意見書を作製して米国議会の各上院議員に配布しましたが、大した効果を収めませんでした。二千二百万の信徒を網羅する基督教会同盟の四年目毎の大会に於て前駐日大使ウッヅ氏の提出せられたる意見書の朗読は我邦の人民に大なる感動を与へました。恐らくウッヅ氏の此議論程輿論を動かしたものは未た嘗つて無いと思はれます。アキスリング博士の面前に於て申すも悪いのでありますが、同博士は到る処に侃々諤々の言を吐かれまして排日派の連中からは売国奴とまで罵詈せられたことは珍らしくないのであります。テンニー博士も帰国中処々に講演して排日移民法の非礼なることを説かれました。本問題を決して等閑視し居らない証拠として、私は最近に起りました一・二の例を挙げて御紹介しようと思ひます。我関係委員にウヰリアム・ヘーヴン博士があります。此人は米国の名誉の為めに排日移民法を改正すべきであると申して居ります。我邦に於ける最も有力なる説教者として社会に大なる勢力を有して居るフォスデック博士は、我邦の国祭日たる「感謝日」に米国に於ける最大の放送局より其説教を放送しました、其内に「米国は成金風を吹かして威張り散らし、無礼にも日本を侮辱し、日本の顔を手のヒラで打つたのである……」とあります。諸君、米国は早晩此移民法を改正するであらうと思ひます。此移民法に対して従来日本の採来られし方針は、米国の親日的指導者に活動の便宜を与へたのみならず、米国の輿論をして日本に同情を向けしむる為に大なる力があつたと思ひます。若し単に政略として斯る方針を採用せられたとしても、之れは最善の方策であると思ひます、況んや事理を解して此点に重きを置かるるは、私共に敬服の念を益々深かゝらしむるものであります。此問題解決の為め最も妨害となるものは、我邦の政党政治であることは今更申上ぐるまでも無いと思ひます。加州が何故に我邦の政治に重きを為さるゝかは、両政党の勝敗権を握り居る点に存するのであります。彼のヒューズ氏がウヰルソン大統領と競争して、終に敗北に帰したのは全く加州がウヰルソン大統領に投票したからでありました。加州ではギューリック博士が日本より俸給を受けて活動して居ると言つて居りますが、斯る言は相当地位のある人々によつて為されて居るのであります。移民問題に関し日本の輿論は二つに別れて居るとの報告が米国に伝つて居ります、即ち一つは日本は最早此問題を過去のものとして取扱ふといふのと、モー一つは日本は依然此問題の解決を求めつゝありといふのであります。故に私は日本を去る前に此二つの衝突する点に関して明瞭なる理解を得度いのであります。私は日本国民の真の輿論を携へて帰り度いのであります。私は埴原前駐米大使を信頼する一人であります。ヒユーズ国務卿の母校たるブラウン大学は、同大使に名誉学位を贈与せられましたが、
 - 第34巻 p.666 -ページ画像 
其時の総長フォーンス博士の演説中「永久の調和と平和とを、日米両国間に希望す」との言がありました。
 本問題の解決に資する為め将来有力なる代表者会を開催し度いと思ひ内密に計画して居ります、尤も此れには東京の日米関係委員会や紐育の関係委員会が表面に立つのではありません、政治家・学者・労働代表等の如き小数会合を開催せんとするのであります。私は自分の事を申上げて相済みませんが、本問題の為めには家人から発狂でもしはせんかとまで疑はれた程熱中したのであります。私が家庭に到着しました翌日は私の誕生日に当るので、家内は内々祝賀の計画を立てゝ居りました、然し私は直ちにワシントン市に出馬して大統領其他有力の士に面会しました。又私は基督教会同盟の東洋関係委員及紐育関係委員と共に最近二ケ月間種々の教育運動を起し、且つ協議会をも開きました。私の考では移民法施行以来過ぐる二ケ月の運動は、其れまでの間に行はれた全運動よりも有効であると思ひます。余り長くなりますので此辺で御免を蒙ります。
阪谷男 私共はフランクリン博士より有益なる御話を承りて、真に感謝に堪へぬ次第であります。何ぞ御質問にてもあらば御尋ねになつたら如何であります
フランクリン博士 アラバマ州タスケギー大学の総長でモートンと申す黒人が帝国ホテルに滞在して居ります、真に立派な紳士でブーカー・テイ・ワシントン以来の名教育家であります。諸君が御会ひ下さらば本人も非常に喜ばるゝことゝ思ひます。日本が排斥移民法も過去の出来事として敢て論ぜずとの報告は、最近日本を訪問せられしパウル・モンロウといふ教育家の口より漏らされたといふ事でありますが、然し之れは同教育家の意見ではなく、さういふ意見を聞いたといふにあるとの事であります
頭本氏 モンロー氏の聞知せりといはるゝものは、多分日米間の貿易事業にのみ没頭して他を顧みざる人々の説ならんと思ふ、然し、渋沢子爵及其同僚は決して斯る意見を抱き居らす(金子子及新渡戸博士の例を引かる)
添田博士 貴族院に用事ありし為め、最初より今日の会合に列席し得ざりしは遺憾なりきと冒頭せられ、日本人側が沈黙と静粛とを守り来りしは全く問題の解決を速進せしめ、排日的米国人をして日本が国内問題に干渉すとの口実を与へざらしめんが為であつて、決して満足し居る為には非らざるなり。日米両国の世界各国に対する責任が非常に大なれば、一日も早く日米問題を解決して調和の域に達し共同の活動に出づる必要ありと述べらる
阪谷男爵 米国が移民法施行以来日本に好意を表しつゝあることは、バンクロフト大使及マクヴエー大使の如き立派なる方々を派遣し、且つ日本人の入国を寛大に取扱はるゝ点に示されて居る、然し之等は移民法支持の代償とはならず、日米両国の根本的融和は結局移民法の改正に依らざるべからずと思ふ……
   二時閉会
 - 第34巻 p.667 -ページ画像 

(阪谷芳郎)日米関係委員会日記 大正一五年(DK340080k-0003)
第34巻 p.667 ページ画像

(阪谷芳郎)日米関係委員会日記 大正一五年
                 (阪谷子爵家所蔵)
十五、十二、廿 銀行クラブ午餐、日米関係委員、ドクトル・ゼームス・ヱッチ・フランクリン及アキスリング招待、阪谷・藤山・添田・頭本・浅野・内田・小畑、余挨拶シ、フランクリン氏報告アリ、明年三月同氏支那ヨリノ帰リニ今一会ヲ催フシ相談スルコトニ決ス、余ハ移民問題ニ付日本人ハ米国人士ニ信頼シ忍耐シ居ルコトヲ述ベ、問題ノ結了シタルニアラザルコトヲ注意ス附バンクロフト、マクビー二大使ノ尽力及ロシヤ、支那問題ノ影響モ加ハル旨ヲ述


(増田明六) 日誌 大正一五年(DK340080k-0004)
第34巻 p.667 ページ画像

(増田明六) 日誌 大正一五年     (増田正純氏所蔵)
十二月二十日(月)晴
○上略
正午銀行倶楽部に於て、米国バプテスト教会宣伝部長フランクリン氏の歓迎会日米関係委員会主催に出席の筈なりしが、折柄来客の為め其時刻を失し、遂に欠席するに至りしは不本意の次第なり
○下略


(ジョージ・ダブリュー・ウィカシャム シドニー・エル・ギューリック) 書翰 渋沢栄一宛一九二六年一一月一八日(DK340080k-0005)
第34巻 p.667-669 ページ画像

(ジョージ・ダブリュー・ウィカシャムシドニー・エル・ギューリック) 書翰
          渋沢栄一宛一九二六年一一月一八日(渋沢子爵家所蔵)
     FEDERAL COUNCIL OF THE CHURCHES
        OF CHRIST IN AMERICA
    NATIONAL OFFICES, 612 UNITED CHARITIES BUILDING
        105 EAST 22d STREET, NEW YORK
                   November 18, 1926
Viscount E. Shibusawa
  Chairman,Committee on Japanese American Relations
  2 Kabutocho, Nihonbashi
  Tokyo, Japan.
My dear Viscount Shibusawa:
  The Commission on International Justice and Goodwill of the Federal Council of Churches is taking advantage of a visit to Japan of Dr. J. H. Franklin, to send to you and to your Committee our cordial greetings. Dr. Franklin, you may remember, is Chairman of our Committee on Relations with the Orient and also is a member of the National Committee on American Japanese Relations and carries the greetings of both these groups.
  Dr.Franklin will be able to tell you quite fully of the policies, programs and activities of both groups, which have for many years been in close relationship and sympathy.
  Under the guidance of the Committee on Relations with the Orient the Federal Council of Churches has for many years been carrying forward a program of education in regard to the
 - 第34巻 p.668 -ページ画像 
 relations of the United States with Japan, seeking to cultivate appreciation and understanding among our people of her culture, problems and aspirations.
  The Federal Council of Churches has repeatedly recorded its judgment that the international policies of all nations should be free from race prejudice and discrimination, to the end that the ideals of brotherhood may be effectively expressed in their laws and in their mutual treatment of one another. In this educational program it is the settled purpose of the Federal Council to continue.
  In closing, we bespeak for Dr. Franklin opportunity to confer with you and your Committee on our common interests in the promotion of mutual understanding, goodwill and cooperation between our two peoples, to the end that brother-hood, fair dealing, justice and peace may prevail in all our relations.
  With kindly greetings and all good wishes for yourself and for the members of your Committee from the members of our two groups, on whose behalf we are writing, we subscribe ourselves,
       Faithfully and sincerely yours,
           (Signed) Geo.W.Wickersham
                 chairman
           (Signed) Sidney L. Gulick
                 Secretary
(右訳文)
          (栄一鉛筆)
          別状フランクリン氏へ対し回答状発送致候際ニハ此ギユーリツク氏へも回答致度候事
            昭和二年一月八日一覧
 東京市、日米関係委員会々長
  子爵渋沢栄一閣下 紐育、一九二六年十一月十八日
         ジヨージ・ダブルユー・ウヰツカーシヤム
              シドニー・エル・ギユーリツク
拝啓、益御清穆奉賀候、然ば今回ジヱー・エチ・フランクリン博士日本を訪問致候に付、我基督教会聯合会国際正義並親善委員会は、同博士に依頼し閣下に対し又貴委員会に対し本委員会より深厚なる敬意を伝達為致候
御承知かと存候が、フランクリン博士は当聯合会東洋関係委員会々長にして、又紐育米日関係委員会員に有之、右両団体の挨拶をも齎す次第に御座候、同博士は長年密接なる友情と同情とを保持せる両団体の方針・計画並活動状態に関し充分詳細に報告申上げ得る事と存候
右東洋関係委員会指導のもとに基督教会聯合会は、長年対日関係に関する教育計画を遂行し、以て日本の文化・諸問題及び抱負に関する我国民の尊重と理解との涵養に努め候
 - 第34巻 p.669 -ページ画像 
基督教会聯合会は、各国の法律並に相互の取扱方に於て、四海同胞の理想を明確に表明せざるべからずとの見解を以て、世界各国の国際政策は、人種的偏見及差別観念を脱却せざるべからずと繰返し主張致居候、此の教育方針の下に努力を継続するは、我聯合会に於ける確乎不動の計画に御座候
終に臨み吾等は閣下を始め貴委員会に於ては、四海同胞、公正・正義並に平和をして、両国関係のあらゆる方面に行はるゝを目的とする両国相互間の諒解・友情及協力の増進の如き共通問題につきて、フランクリン博士と御協議被下様期望仕候
右両団体の為め得貴意度如此御座候 敬具
   ○右ニ対スル返書ハ三月十一日付ニテ発送セラレタリ。後ニ収ム。


(ジョージ・ダブリュー・ウィカシャム)書翰写 ジェームズ・ヱッチ・フランクリン宛一九二六年一一月二四日(DK340080k-0006)
第34巻 p.669-671 ページ画像

(ジョージ・ダブリュー・ウィカシャム)書翰写
   ジェームズ・ヱッチ・フランクリン宛一九二六年一一月二四日 (渋沢子爵家所蔵)
               (COPY)
                          40 Wall Street
                           New York
                     November 24, 1926
Dr. James H. Franklin
  American Baptist Foreign Mission Society
  276 Fifth Avenue
  New York City
My dear Dr. Franklin:
  I should like to send through you to Viscount Shibusawa and our other friends in Japan, a most cordial and hearty greeting, and I would ask you to assure them that neither I nor the other members of the Committee on American Japanese Relations have become at all indifferent to the situation created by the action of our Congress in discrimnating against Japan in the last Immigration Law. They know how deeply we regretted that action. We have conferred often and earnestly with each other, and have sought counsel and advice from our friends on the Pacific coast, as to what steps we could take to bring about an enlightened public opinion, which might be reflected in Congress, and lead to a modification of this law which would put Japan on a parity with other nations, by giving her citizens ther right of entry into our country on the quota basis. In considering what we might do, we have had to be wary lest any of our friends, however discreet, might do more harm than good to those whom we would like to benefit. Even the little that we did has called down upon the heads of Dr.Gulick and myself contumelious comments on the part of some of the press in California. Nevertheless, we all remain of the opinion that continued efforts in putting the facts clearly before the people is advisable, and that, indeed, it is the only thing that can be
 - 第34巻 p.670 -ページ画像 
 done to bring about such a change of sentiment as we should wish. We are all of opinion that a direct appeal to Congress would accomplish nothing at the present time. We get conflicting reports from Japan as to the state of public sentiment there. Some of our friends write that the matter has quieted down, and that it occasions no further concern. Others tell us that while sentiment is not articulate, it is, nevertheless, deeply felt. One of the things I hope we may get as the result of your trip to Japan is direct evidence as to this question, but above all things, do assure our friends there of our unabated interest and our deep sympathy.
  Believe me to be,
              Yours faithfully,
         (Signed) GEO. W. WICKERSHAM
(右訳文)
          (別筆)
          本訳文は去る大正十五年十二月二十日銀行倶楽部に於て日米関係委員会主催の下にフランクリン博士を招待せし際、博士が披露せられし書面の写にて、其後博士が子爵の御高覧に供せられたしとて、小生宛への書面中に封入送附越《(衍)》されしものに有之候
           昭和二年二月九日     小畑秘書
          (栄一鉛筆)
          三月十一日一覧
          此書状ニ付而ハ特ニ老生よりウヰツカーシヤム氏へ宛一書を送りて其厚意を謝し、追而フランクリン氏と会見ノ際にも充分打合申度候事
          此件ニ付テハ既ニ書状発送候義ニ付事済
(写)              昭和一年十二月卅一日入手
 紐育市
 米国浸霊教会外国伝道会社
  ジエームス・エチ・フランクリン博士殿
         紐育、一九二六年十一月廿四日
          ジヨージ・ダブルユー・ウヰツカーシヤム
拝啓、然ば小生は貴下を通して渋沢子爵並に日本の友人諸氏に最鄭重にして心からなる御挨拶を申上げ度と存候、最近の移民法に関し日本人に差別的待遇を与ふるに至れる議会の決議により発生せる事態に対し、小生及び紐育日米関係委員会員各位は冷淡なるに至りしには非らざる旨、右の方々に御確め被下候様御依頼申上候、小生等が如何に深く議会の処置を遺憾とせるかは、右諸氏に於て御承知の事に御座候、小生等如何なる方法により穏健なる輿論を喚起し以て議会を反省せしめ、且日本を列国と同一の規準に置き日本人が比率によりて入国すべき権利を獲得し得る様該法律を修正せしむるかに付屡熱心に協議し、且太平洋沿岸に於ける同志の意見をも徴し候、小生等は方針を決定す
 - 第34巻 p.671 -ページ画像 
るに当り注意の上に注意を加へ折角都合よかれしと願ふて、却て其人の迷惑を醸す事の無之様焦慮致居る次第に候、実は小生等の些細の行動に対してすら、加州の或新聞紙はギューリック博士及び小生に対し暴慢なる批評を浴せかけ申候、然りながら我国民に実情を明確に了知せしむる為め努力を継続致候事必要なるは勿論、小生等の希望せるが如き輿論の変化を招来するには、真に唯一の手段なりと依然として相考へ候
又小生等は現下の状況にては議会に直接訴へ候とも何等目的を達する事能はずとの意見を懐抱罷在候
日本に於ける一般感情の状況に関し矛盾せる報告を入手致候、或者は該問題は鎮静し爾後何等の問題発生せずと申し、又或者は感情の発露明瞭ならざるも心中深く感ずる処ありと中越候、貴下が日本旅行の結果招来せられ度と希望致候は、本問題に関する実際的証拠に御座候、猶ほ日本の友人諸氏に対し、吾等が依然として此問題に深き注意を払ひ且つ深厚なる同情を有し候事をも御保証被下度候 敬具


(ジェームズ・ヱッチ・フランクリン)書翰 渋沢栄一宛一九二六年一二月二一日(DK340080k-0007)
第34巻 p.671-672 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

渋沢栄一書翰 控 ジェームズ・エッチ・フランクリン宛昭和二年三月一一日(DK340080k-0008)
第34巻 p.672 ページ画像

渋沢栄一書翰 控 ジェームズ・エッチ・フランクリン宛昭和二年三月一一日
                    (渋沢子爵家所蔵)
      案           (栄一鉛筆)
                   二月二十六日一覧
 神田区三崎町三崎会館
  アキスリング博士気付
   ジエー・エチ・フランクリン博士殿
                      渋沢栄一
拝復、益御清適奉賀候、然ば旧臘東京銀行倶楽部に御案内申上候節、老生折悪しく病気引籠中なりし為拝光の機を失し遺憾千万に御座候、然しながら当日の御演説の大要は阪谷男爵及小畑秘書役より聴取致欣慰罷在候、爾来加療の結果経過良好に有之候、頃日殆ど快方致、時々外出致候迄相成候間御安神被下度候
来月下旬再度入京の節には親しく御懇談致度と楽しみ居候
右遷延ながら得貴意度如此御座候 敬具
昭和二年三月十一日
   ○右英文書翰ハ同日付ニテ発送セラレタリ。
 - 第34巻 p.673 -ページ画像 

渋沢栄一書翰 控 ウィカシャム、ギューリック両名宛昭和二年三月一一日(DK340080k-0009)
第34巻 p.673 ページ画像

渋沢栄一書翰 控 ウィカシャム、ギューリック両名宛昭和二年三月一一日
                    (渋沢子爵家所蔵)
               (栄一鉛筆)
                昭和二年三月五日閲了
      案
 紐育市第四街二八九
  ジヨージ・ダブルユー・ウヰツカシヤム博士殿
  シドニー・エル・ギユーリツク博士殿
                   東京 渋沢栄一
拝啓、益御清適奉賀候、然ばフランクリン博士に御託の昨年十一月十八日付貴書正に落手難有拝見致候、同博士の昨年十二月東京滞在中は小生病気引籠中にて遂に御面会の機会を失し誠に遺憾に候も、東京日米関係委員会は同月廿日東京銀行倶楽部に同博士招待午餐会を催し、一千九百二十四年に於ける排日移民法施行後の経過に就き詳細の報告を聴取致候
当日の同博士談話の要領は同会に列席したる阪谷男爵より承及び、不相変貴兄を始め紐育日米関係委員諸氏が公平なる見地より同法改正の必要を主張せられ居候由を承り欣慰罷在候、然る所同博士談話中に近頃日本国民は移民法に対し反対を唱ふるものなく至って静穏なりと報導する者有りて、貴兄等の同法改正運動は之が為め少からざる障害を蒙り居候に付、今回博士は我国民に付て之が真相を十分調査致度御希望なる趣を伝承して一驚を喫し候
本来小生等日米関係委員は、米国内の立法に対し抗議的態度を執るは或は日米両国間に紛議を生ずるに至るべきを恐れ不満を抑へつゝ偏に貴兄等の御運動の成効を期待し居る次第にして、日本国民が黙々として反対を公表せざるは要するに小生等の隠忍なる態度に基きたるものに外ならず候、一例を挙くれば我国民中米国を知れる有識者にして先年の移民法改正法案通過の日を我が国恥デーと定め、毎年同日は全国に亘りて演説会を開き、永久に米国の不法行為を記憶せんと迄計画したるものさへ有之候も、小生の反対に会ひ之を中止したる事実有之候右様の事情に候間、日本国民に不満の意志なしなど唱ふる者は全く自己の利害関係を本位とする無責任者の浮言に候、フランクリン博士は近日再度当地へ来着の由に付其際面会篤と実情御話可申候、先は乍延引尊書御受旁申上度匆々如此御座候 敬具
  昭和二年三月十一日
                      渋沢栄一
 尚々御尽力に依る御寄贈の米国人形は日本に於ける官民の好評を博し、新聞に雑誌に談話に依りて全国内に宣伝せられ、非常の好印象を全国民に与へ候、本日は青山青年館に於て右人形の歓迎式挙行せられ、小生も列席一場の演説を為し、帰宅後本書相認め候次第に候
 詳細は不日御書通可申上と存候
   ○右英文書翰ハ同日付ニテ発送セラレタリ。



〔参考〕排日移民法案ニ関スル意見書(DK340080k-0010)
第34巻 p.673-686 ページ画像

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