公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第35巻 p.40-43(DK350006k) ページ画像
昭和2年6月24日(1927年)
是日、当委員会主催ニュー・ヨーク総領事斎藤博及ビサン・フランシスコ総領事武富敏彦招待午餐会、丸ノ内東京銀行倶楽部ニ開カレ、栄一出席ス。
日米関係委員会往復書類 (二)(DK350006k-0001)
第35巻 p.41 ページ画像
日米関係委員会往復書類 (二) (渋沢子爵家所蔵)
斎藤・武富両氏案内状
拝啓、時下益御清適賀上候、然ハ日米問題ニ関スル米国ノ近況ニ付御談話願度旨申上候処、御快諾被下難有存候、就テハ来廿四日正午丸ノ内東京銀行倶楽部ヘ尊来被成下度願上候、右御案内申上候 敬具
日米関係委員会
昭和二年六月十六日 渋沢栄一
藤山雷太
逐て当日ハ御平服にて尊来願上候
日米関係委員会集会ニ関スル控(DK350006k-0002)
第35巻 p.41-42 ページ画像
日米関係委員会集会ニ関スル控 (日米関係委員会所蔵)
昭和二年六月廿四日(金)正午、於東京銀行倶楽部
紐育総領事斎藤博及桑港総領事武富敏彦両氏招待午餐会
(太丸、太字ハ朱書)
○紐育総領事 斎藤博
○桑港総領事 武富敏彦
陪賓
○外務次官 出淵勝次
欠通商局長 斎藤良衛
欠通商局第三課長 石射猪太郎
欠情報部長 侯 小村欣一
○情報部第一、第二課長 若杉要
○欧米局長 堀田正昭
○欧米局第二課長 須磨弥吉郎
○外務省参与 植ノ原悦二郎
○政務次官 森恪
欠市来正彦 ○内田嘉吉
欠井上準之助 欠串田万蔵
○一宮鈴太郎 欠山田三良
○服部金太郎 欠男爵 古河虎之助
欠原富太郎 ○常務委員 藤山雷太
原田助 欠江口定条
欠新渡戸稲造 ○姉崎正治
○堀越善重郎 ○浅野総一郎
(病気)欠大倉喜八郎 ○男爵 阪谷芳郎
欠大谷嘉兵衛 ○常務委員子爵 渋沢栄一
欠小野英二郎 郷里ヘ帰省欠白仁武
欠子爵 金子堅太郎 ○男爵 森村開作
欠梶原仲治 幹事 ○服部文四郎
出団琢磨 ○増田明六
*欠添田寿一 ○小畑久五郎
○頭本元貞 調査嘱託 ○高木八尺
欠男爵 瓜生外吉
- 第35巻 p.42 -ページ画像
*(欄外記事)
[遅参可致ニ付時刻到来の節ハ待たずに始められたし
日米関係委員会集会記事摘要(DK350006k-0003)
第35巻 p.42-43 ページ画像
日米関係委員会集会記事摘要 (渋沢子爵家所蔵)
日米関係委員会
昭和二年六月廿四日(金)正午、於東京銀行倶楽部
紐育総領事斎藤博氏及桑港総領事武富敏彦氏招待午餐会
出席者
来賓 紐育総領事斎藤博氏・桑港総領事武富敏彦氏・外務次官出淵勝次氏・情報部第一兼第二課長若杉要氏・欧米局長堀田正昭氏・欧米局第二課長須磨弥吉郎氏・外務省参与植原悦二郎氏政務次官森恪氏
会員 一宮鈴太郎氏・服部金太郎氏・堀越善重郎氏・団琢磨氏・頭本元貞氏・内田嘉吉氏・添田寿一氏・藤山雷太氏・姉崎正治氏・浅野総一郎氏・男爵阪谷芳郎氏・子爵渋沢栄一氏・男爵森村開作氏
幹事 服部文四郎・増田明六氏・小畑久五郎
調査嘱託 高木八尺氏
記事概要
座長渋沢子爵 子爵は食前日米関係委員会の沿革に就て述べらる
食後
武富桑港総領事 一千九百廿四年に於ける排日移民法通過後加州に於ける日本人問題は先づ鳴りを静めたりと言ふも差支なかるべし。而して従来排日の四団体として知られたる在郷軍人団、加州ッ子団、加州農業及加州労働団は其名称を移民委員と改めたり。彼等は加州土地法の維持、写真結婚の廃棄、紳士協約の破棄、市民権剥奪、及排日移民法の制定の五点に於て勝利を得たり。従つて排日の巨頭たるフイラン。マクラチー等の日本人に対する態度は緩和せり。州会に於ける排日の声も至つて低くなれり。上下両院、市長、検事総長(州の)改選期には排日演説盛なりしが近来は大に趣を異にせり。然しながら之を以て直ちに排日熱は去りしものと見るべからず、名称こそ変れ排日団は依然として存立し、必要の場合には必ず蹶起すべし。米国に於ける現在の輿論は移民法改正運動に成功を与ふる程熟し居らず。故に甚だ月並みの意見ではあるが、日本としては隠忍持久を主とし、米国に於ける輿論の進展を待つより外に方法なかるべしと語らる
頭本氏 吾々は移民法の改正せられざる間は決して満足を得る能はずとの意志は常に之を維持し、且つ表明するに少しも憚らないのであるが、実行に至ると米国の西部と東部との意見一致し居らざる為めに大に困難を感ずるなり
斎藤紐育総領事 紐育市在留の日本人数は二千六百名以上三千名に過ぎず、従つて紐育方面には排日の空気至つて稀薄なり。例へば一千九百二十四年の移民法に関しても、紐育の大新聞は議会の態度を一斉に攻撃せり。然らば米国人は日本にコータを与ふる事に悉く賛成
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するかと言へば、決して然りとは言ふ事能はざるなり。根本問題としては帰化法の改正を成立せしむるにあり。而して此問題は第二世日本人問題如何によつて決せらるべく、若し彼等が米国人としての価値を十分発揮する時には帰化権の将来も有望ならん。第二世に関しては、米国の有力なる親日家の間に深き注意を払ふ者ありとの例として、紐育市のジヤッジ・ゲーリー氏が日系米人たる斎藤といふ者を就職せしめんが為に尽力せられたることを述べらる。
添田氏 忍耐を持続するは今更言ふまでも無いが、黙して経過を待つことは不得策と思ふが故に、何か積極的方法を講ずる必要あるべし……云々
堀越氏 ハワイに於てロータリー倶楽部の歓迎会を受けし時、或る人の話に第二世は第一世の如く忠実に農業に従事することを好まず、無暗に都会生活を求むるが如き傾向あるは、ハワイに於ける将来の脅威なりと語られたり。三時閉会