デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
7款 カーン海外旅行財団
■綱文

第36巻 p.160-164(DK360062k) ページ画像

大正2年3月22日(1913年)

是日、フランス共和国人アルベール・カーンノ出資ニヨリ、カーン海外旅行財団設立セラレ、栄一其商議員ヲ請託セラル。在任歿年ニ及ブ。


■資料

カーン海外旅行財団寄附行為 附カーン海外旅行財団商議員就職解任規定(DK360062k-0001)
第36巻 p.160-162 ページ画像

カーン海外旅行財団寄附行為 附カーン海外旅行財団商議員就職解任規定
                     (渋沢子爵家所蔵)
 (印刷物)
    カーン海外旅行財団寄附行為
第一条 本財団ハ相当ノ智識経験アル学者ヲシテ海外諸国ニ旅行シ、其国々ノ一般ノ状態及人民生活ノ状況ヲ視察シ、以テ自国ノ教育ニ資セシムルヲ目的トス
第二条 本財団ハ法人トシ、カーン海外旅行財団ト称ス
第三条 本財団ノ事務所ハ当分ノ内東京久保城山町四番地ニ置ク
第四条 本財団ハ仏国巴里、アルベール・カーン寄附ノ拾万円ヲ以テ基本金トシ、内四万円ハ本財団設立ノトキ之ヲ寄附シ、残余ハ数年ノ内数次ニ之ヲ寄附スルモノトス
 前項ニ規定スル拾万円ノ外、アルベール・カーンハ将来基本金ヲ増加シ財団ヲシテ約壱万参千弐百円ノ年利ヲ取得スルコト、即チ永久ニ毎年旅行者弐名ヲ維持スルコトヲ得シムルノ措置ヲ為スヘシ
 前二項ノ規定ニ拘ラス新ニ寄附ヲ得、又ハ歳計ニ剰余ヲ生シタルトキハ之ヲ基本金ニ組入ルルコトヲ妨ケス
 基本金ハ公債証書若クハ確実ナル有価証券ニ代ヘ之ヲ保管スヘシ
第五条 基本金ノ利子毎年旅行者弐名ヲ維持スルニ足ラサル間ハ、アルベール・カーンハ相当ノ金額ヲ寄附シテ其不足ヲ補充スヘシ
 前項ノ規定ハ五年ヲ以テ期間トス、但シ期間満了スルモ万已ムヲ得サル事由ナキトキハ、之レヲ更新スルモノトス
第六条 本財団ハ基本金ノ利子其他ノ収入ヲ以テ年々ノ経費ニ充ツ、但シ事務執行ニ要スル費用トシテ幾分ヲ使用スルノ外、主トシテ之ヲ当該年度ノ旅行費用ニ支出ス
第七条 旅行者ハ毎年弐名トス、但シ特別ノ事情アルトキハ商議員会ノ議決ニ依リ、其年ノ人員ヲ増減スルコトヲ得
第八条 旅行者ノ旅行期限ハ一箇年トス、但シ支給金ノ節約又ハ其他ノ方法ニ依リ一箇年以上ニ渉ルモ妨ケスト雖モ、若シ二箇年以上ニ渉ルヘキトキハ予メ商議員会ノ承認ヲ受クルヲ要ス
第九条 旅行地ハ欧羅巴諸国・北米合衆国・支那・印度及埃及ヲ以テ主要トス、但シ特別ノ事情アリ且ツ第一条ノ目的ニ適合スルニ於テハ、商議員会ノ議決ニ依リ他ノ一定ノ地方ニ旅行セシメ、且ツ前条ノ旅行期限ヲ短縮スルコトヲ得
第十条 旅行者ハ通例、経済学・社会学・哲学・法学・史学・文学若
 - 第36巻 p.161 -ページ画像 
クハ之ト類似ノ学科ヲ修ムル者ノ中ヨリ選定スヘシ
第十一条 旅行者ハ通例現ニ帝国大学ノ教職ニ在リ若クハ大学院ニ就学中ノ者ヨリ選定スヘシ、但シ此ノ資格ヲ有セスト雖モ殊ニ顕著ナル智識経験ヲ有スル者アルトキハ、特ニ之ヲ選定スルコトヲ得
第十二条 旅行者ハ帰朝後速ニ報告書ヲ本財団ニ提出スルヲ要ス
第十三条 本財団ハ毎年四月一日ヨリ翌年三月三十一日ニ至ルマテヲ会計年度トス
第十四条 本財団ニ商議員九名ヲ置キ旅行者ノ選定・予算・決算、其他重要ノ事項ヲ議決ス
第十五条 商議員ハ互選ヲ以テ其一人ヲ会長トス
第十六条 商議員会ノ議決ハ全員ノ過半数ニ依ル、但シ会長モ評決ニ加ハル権ヲ有シ、可否同数ナルトキハ会長ノ決スル所ニ依ル
第十七条 本財団ニ理事三名、監事二名ヲ置キ、理事ノ内一人ヲ理事長トス
第十八条 商議員就任解職ノ規定ハ別ニ定ムル所ニ依ル
 理事長・理事・監事ハ商議員之ヲ選任シ任期ヲ三年トス、但シ重任ヲ妨ケス
 商議員ト理事長又ハ理事トハ相兼ルヲ妨ケス
第十九条 本寄附行為ハ商議員三分ノ二以上ノ議決ニ依リ、文部大臣ノ認可ヲ経ルニアラサレハ之ヲ変更スルコトヲ得ス
      附則
第二十条 本財団最初ノ商議員ハ奥田義人・伯爵大隈重信・子爵末松謙澄・久原躬弦・小松原英太郎・山口鋭之助・男爵渋沢栄一・富井政章
 理事長ハ子爵末松謙澄、理事ハ松浦鎮次郎・二上兵治、監事ハ男爵阪谷芳郎・福原鐐二郎トス
  大正二年三月二十二日東京ニ於テ
         仏国巴里リユー・ド・リセリユー百二番地
                 アルベール・カーン代理人
         東京市芝区西久保城山町四番地
                      末松謙澄

    カーン海外旅行財団商議員就職解任規定
第一条 本財団ハ左ノ諸員ニ請テ本会ノ商議員トス
 一、現ニ文部大臣ノ職ニ在ル者
 二、現ニ東京帝国大学総長ノ職ニ在ル者
 三、現ニ京都帝国大学総長ノ職ニ在ル者
 四、現ニ宮内省勅任官ノ職ニ在ル者一人
 五、帝国大学教授又ハ名誉教授一人
 六、在朝ト在野トヲ問ハス名望信用重キヲ世上ニ為ス者三人、内一人ハ成ルヘク金融事業ニ関係アル者トス
 七、基本金寄附者ノ代表者一人
第二条 第一条第一号ヨリ第五号ニ至ル商議員ハ、其現職ヲ退キタルトキハ本財団商議員ノ職モ自ラ消滅シタルモノトス
 - 第36巻 p.162 -ページ画像 
第三条 第一条第五号及第六号ノ商議員ハ其任期ハ三年トス、但シ重任ヲ妨ケス
第四条 第一条第七号ノ商議員ハ基本金寄附者生存中ハ寄附者之ヲ嘱託シ、寄附者死亡後ニ欠員ヲ生シタルトキハ、寄附者ノ意思ニ最モ近シト認ムヘキ方法ニ依リテ商議員会之ヲ嘱託ス
第五条 第四条ノ特例ヲ除クノ外、新商議員ノ嘱託ハ総テ商議員会ノ議決ヲ以テ之ヲ行フ
第六条 本規定ハ寄附行為ニ附属シタルモノトシ、其変更ニハ寄附行為第十九条ヲ準用ス
第七条 本財団最初ノ商議員中、奥田義人ハ第一条第一号、
   ハ第二号、久原躬弦ハ第三号、山口鋭之助ハ第四号、富井政章ハ第五号、伯爵大隈重信・男爵渋沢栄一・小松原英太郎ハ第六号、子爵末松謙澄ハ第七号ニ依ルモノトス
  大正二年三月二十二日東京ニ於テ
         仏国巴里リユー・ド・リセリユー百二番地
                 アルベール・カーン代理人
         東京市芝区西久保城山町四番地
                      末松謙澄
  ○昭和六年八月以降ニ印刷サレタル当財団寄附行為印刷物ノ初頭ニ「本財団ハ仏国人アルベール・カーン氏ノ出資ニ依リ大正二年三月二十二日ニ設立セラレタルモノナリ」ト註記シアリ。
(別筆・貼紙)

図表を画像で表示--

 カーン海外旅行財団役員氏名   任期満了期日 (昭和五年八月十二日現在) 商議員    田中隆三 同      小野塚喜平次 同      新城新蔵 同      山口鋭之助 同   伯爵 牧野伸顕     昭和八年六月八日 同   男爵 古市公威     同上 同   子爵 渋沢栄一     昭和六年三月二十二日 同   男爵 富井政章     同上 同 兼理事長 秋月左都夫    昭和六年四月十七日 理事     二上兵治     昭和六年三月二十二日 同      西山政猪     同上 監事  男爵 阪谷芳郎     同上 同      福原鐐二郎    同上 以上 




青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第一七頁 昭和六年一二月刊(DK360062k-0002)
第36巻 p.162-163 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿)昭和六年十二月調 竜門社編
              竜門雑誌第五一九号別刷・第一七頁昭和六年一二月刊
    大正年代
年  月
 - 第36巻 p.163 -ページ画像 
二  三 ―カーン海外旅行財団商議員―昭和六、一一
  ○当財団ノ事務所ハ、設立当時、芝区西久保町四番地末松謙澄邸ニアリ。昭和六年八月十日、麹町区大手町(文部省内)ニ移転シ、同八年八月二十八日文部省ノ移転ニ伴ヒ、同区三年町(文部省内)ニ移ル。


カーン海外旅行財団書類(DK360062k-0003)
第36巻 p.163 ページ画像

カーン海外旅行財団書類          (渋沢子爵家所蔵)

拝啓、春和之候益御清適奉賀候、陳者本財団大正十三年度決算書及財産目録、並ニ大正十四年度予算案、別紙ノ通リ高覧ニ供シ候条、御承認被下度御異議無之候ハヾ、御氏名ノ下ニ御捺印被下度候也
  大正十四年四月八日   カーン海外旅行財団
                       (花押)
                理事長 秋月左都夫○
                理事  松浦鎮次郎(印)
                同   二上兵治(印)
商議員 岡田良平殿(印)
同   古在由直殿(印)
同   荒木寅三郎殿(印)
同   山口鋭之助殿
同 子 渋沢栄一殿(印)
同   富井政章殿
   ○別紙略ス。


集会日時通知表 昭和二年(DK360062k-0004)
第36巻 p.163 ページ画像

集会日時通知表  昭和二年      (渋沢子爵家所蔵)
三月十日 土 午後五時半 カーン海外旅行財団ノ件(丸ノ内常盤屋)


カーン海外旅行財団書類(DK360062k-0005)
第36巻 p.163 ページ画像

カーン海外旅行財団書類          (渋沢子爵家所蔵)

拝啓、春和の候益御清適奉慶賀候、陳者本財団商議員就職解任規定第一条第六号に該当する商議員二名欠員と相成居候処、今般其補充として、伯爵牧野伸顕殿及男爵古市公威殿に商議員嘱託の事に致度、御同意に候はゞ御氏名の下に御捺印被成下度、此段得貴意候也
  昭和二年四月十日    カーン海外旅行財団
                         (花押)
                 理事長 秋月左都夫○
                 理事  松浦鎮次郎(印)
                 同   二上兵治(印)
商議員  三土忠造殿(印)
同    古在由直殿(印)
同    荒木寅三郎殿
同    山口鋭之助殿
同 子爵 渋沢栄一殿(印)
同 男爵 富井政章殿
     秋月左都夫殿
(欄外別筆)
 昭和二年六月三日小石川区大塚坂下町一二三水島鶴次郎氏へ書留封書ニシテ本書返送済

 - 第36巻 p.164 -ページ画像 

カーン海外旅行財団書類(DK360062k-0006)
第36巻 p.164 ページ画像

カーン海外旅行財団書類          (渋沢子爵家所蔵)
          (栄一鉛筆)
          当日雨天に付欠席せるも電話にて其旨通知し置たり
拝啓、本財団事業再開、役員改選其他ニ関シ種々御協議致度事項有之来ル三月十日午後五時半丸ノ内常盤屋ニ於テ役員会相開キ候条、何卒万障御繰合御出席相成度、此段得貴意候也
  昭和三年二月廿七日       カーン海外旅行財団
                   理事長 秋月左都夫
    商議員 子爵 渋沢栄一殿
  追伸、晩餐之用意致置候、尚御来会ノ有無封入ノ端書ニテ御一報願上候