デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
13款 社団法人国際聯盟協会
■綱文

第36巻 p.391-396(DK360156k) ページ画像

大正9年4月29日(1920年)

是日、当協会第一回理事会、築地精養軒ニ開カレ、栄一出席ス。


■資料

国際聯盟 第一巻第一号・国際聯盟協会々報第一〇―一一頁大正九年一一月 国際聯盟協会成立後の経過(三)第一回理事会(DK360156k-0001)
第36巻 p.391-392 ページ画像

国際聯盟 第一巻第一号・国際聯盟協会々報第一〇―一一頁大正九年一一月
 ○国際聯盟協会成立後の経過
    (三)第一回理事会
 場所  築地精養軒 時日 大正九年四月二十九日
 出席者 渋沢会長、添田副会長、秋月・吉井・高橋・山川・松田・岡・穂積各理事、伊達・杉村・沢田諸氏
      協議事項
 (一)基金募集に関する件 本会事業経営上、毎年相当の資金を要する為、到底会費収入を以てしては之を支弁すること不可能なるに付き広く公衆より一定の基金を募集し、其の果実に依り毎年の資金を支弁することゝせざるべからず。依つて右所要基金募集方に関しては慎重考慮の上、之を決定することゝす。
 (二)総務部・調査部及宣伝部設置の件 今後本会の事業遂行上、副会長・理事の役割を決定し置くこと必要なりとし、審議の結果左の通り決定す。
 総務部 (長)吉井理事
 調査部 (長)阪谷副会長 岡・山川・田川各理事
 宣伝部 (長)添田副会長 姉崎・林・山川各理事
 会計監督 井上理事
 (三)事務所に関する件 幹事及書記長決定の上、之に選定方を一任することゝ決す。
 (四)幹事及有給職員に関する件 会長及副会長に之が選定方を一任することに決す。
 (五)発会式開催に関する件 発会式は五月廿日前後に開催し、其際は原首相・内田外相・西園寺公・大隈侯及渋沢会長に演説を請ふことに決す。
 (六)総裁及副総裁に関する件 徳川公爵を総裁とし、西園寺公・大隈侯を名誉総裁に推すことゝし、差当り渋沢会長より直接徳川公に交渉することに決す。
 (七)評議員選定の件 本協会発起人たることを承諾せられたる諸氏は、当然之を評議員とし、発起人名簿作成の際、遺漏したる者にして発起人会の席上、高橋理事より一同の賛同を経て発起人中に加ふべし
 - 第36巻 p.392 -ページ画像 
とせられたる人々四十六人も、その承諾ありたる節は之を評議員に推すことゝ決す。
   ○第二回及ビ第三回理事会ニハ栄一出席セズ。



〔参考〕国際聯盟 第一巻第一号・国際聯盟協会々報第一一―一九頁大正九年一一月 国際聯盟協会成立後の経過(四)第二回理事会(DK360156k-0002)
第36巻 p.392-396 ページ画像

国際聯盟 第一巻第一号・国際聯盟協会々報第一一―一九頁大正九年一一月
 ○国際聯盟協会成立後の経過
    (四)第二回理事会
 場所  築地精養軒 時日 大正九年五月十日
 出席者 阪谷副会長、添田副会長、吉井・山川・松田各理事、伊達・松村両氏
      協議事項
 (一)名誉総裁依頼の件 徳川公爵総裁依頼の件は、渋沢会長に一任せる次第なるが、西園寺公・大隈侯に名誉総裁依頼の件は、総裁決定後、総裁及会長より交渉することゝし、本件に関しては添田副会長に一任することゝ決す。
 (二)発会式延期の件 五月二十日開催の内定の所、会長病気の為め暫時延期に決定。
 (三)発会式委員指名の件 山川・松田両理事、伊達・杉村・沢田三氏を総会委員に指名のことに決す。
 (四)基金募集に関する件 本会の事業たる是非とも政府の後援を要する次第につき、必要資金の如きも何等本会の立場を「コミツト」せざる程度に於て、政府より補助を受くることゝし、必要に応じ政府に願出づることありとするも、一方民間より相当額の寄附を得て、本会資金支弁の方法を講ぜざるべからず、依つて六月上旬頃、総理大臣官邸に知名実業家を招待し、総理より基金寄附方の勧奨を試み貰ふこととす。右総理に依頼の件は会長に一任に決す。
 (五)幹事・書記長及書記指名の件 幹事は伊達・杉村・沢田の三氏に之を委嘱し、書記長は沢田氏之を兼ね、書記は沢田氏の裁量により之を採用することゝ決す。
 (六)仮事務所 商業会議所に設け、差当り本会宛の郵便物を受付け貰ふ事とし、右交渉方阪谷副会長に依嘱す。
    (五)第三回理事会
 時日  大正九年六月七日 場所 添田副会長邸
 出席者 阪谷・添田両副会長、宮岡・高橋・姉崎・田川・岡・松田
     山川各理事、杉村・沢田両幹事
      報告
 (一)総裁名誉総裁に関する件 会長病気の為、徳川公爵に総裁依頼方延引の所、先頃会長一時快方に向はれたる際、公爵を応訪《(往カ)》し篤と依頼せられたるも、公爵は事の甚だ重大なるに付、未だ決心するに至らずとて容易に承諾を与へられず、会長も已むを得ず其儘に引き取りたる次第なりしも、更に公爵を勧説する為、添田副会長を病床に招かれ前記の経過を告ぐると共に、協会の組織に関する書類を一括して公爵に提出すべきを以てせられたるに依り、副会長は直に之を持参して公爵を応訪したる処、公爵は反覆懇談せられたる上種々の質問あり、結
 - 第36巻 p.393 -ページ画像 
局責任の過大にして其の分に過ぐるものありとの理由を以て、承諾の旨明言せられざりしに依り、副会長は会員一同の希望のある所を詳説したる上、是非とも承諾あり度旨を切言して引取りたり。然る処、翌日英国大使館の園遊会に於て、公爵より総裁就任方快諾すべしとの旨御話あると共に、愈々就任の上は誠心誠意、尽力し度きに付、今後の事等打合の為め渋沢会長、阪谷・添田両副会長と会合し、篤と懇談を遂げ度き旨を語られたり。
 次に名誉総裁依頼の件に関しては、第一回理事会の翌日大隈侯爵を応訪して、当方希望の存する処を述べたるに、侯は例の如く長広舌を揮はれ、米国の聯盟不参加及国際聯盟の権威なきことに付き縷々述べられたるを以て、相当説明を加へたる上、協会設立の経過と共に名誉総裁就任方、一同の希望を容れられ承諾あり度旨を述べ引取れり。西園寺公爵に対しては、巴里以来の行懸もあることなれば、速に面会の機会を得むとしたるも、公爵の御都合により数日の後に面会することを得、協会設立の経緯を説明したる所、公爵は自分は已に老年なれば辞退し度き所、斯かる事業は本来若き連中の領分にて、自分が如き年寄の何時迄も伸さ張り出る時代に非ず、と言はれたるに付き、実は協会の仕事其ものは吾れ吾れ以下若き者にて処理する考なるも、御名前を拝借する必要あるに付、懇願する次第なりと述べ、協会に関する各種の書類を差出して引取れり。
 右名誉総裁の件は追々会長より公侯に対し、親しく依頼の次第あるべきを以て、公侯の御即答を得ることは之を差控へ、唯々従来の経過と当方に於ける切なる希望とを申述べて引き取れり。
 (二)首相官邸招待会に関する件 協会の資金を募集する為め、首相官邸に財界の有力者を招待し、首相より親しく政府の意の在る処を告げ、資金の醵出方勧誘を為し貰ふ件は、会長全快の上親しく首相と会談し之を取運ぶことに致度、協会の基金募集は急速に之を実行すべき必要あるも、首相との交渉は余人を以て代ふべからず、会長直接懇談せらるゝこと適当と認めらるゝに付、已むを得ず会長全快の時迄待つ事と致し度し(以上添田副会長よりの報告)
 (三)仮事務所の件 前回理事会決定の通り、東京商業会議所内に之を設くることゝせり。本事務所は現に協会の基金もなく、且つ有給専任の幹事も雇入れ得ざる現状なるに顧み、差当り事務は便宜上外務省内の一室を用ひ、本年書記生試験合格者三名を書記に採用し、各種事務に当らせつゝあり。(以上沢田幹事報告)
      協議
 (一)国際聯盟協会聯合会規約に関する件 大正八年十二月「ブリュッセル」に於て開催せられたる、国際聯盟協会聯合会総会に於て制定せられたる聯合会規約は、予て在仏帝国大使を経て在「ブリュッセル」聯合会事務局長より送付あり、其後我が協会に於ても、同規約承認の上聯合会参加の手続を了せられ度き旨、同事務局書記長より前記総会に出席せる秋月氏に対し勧誘あり、本邦協会も既に成立を告げたる以上、右聯合会に加入の要あるべく、依つて本日、同規約を理事会の議に附することゝせり。聯合会事務局書記長より秋月氏に宛てたる
 - 第36巻 p.394 -ページ画像 
書面及び該規約訳文左の如し。
        白耳義国際聯盟協会
        「ブリユッセル」に於てユージェーヌ・ベー
    秋月閣下
 拝啓、陳者「ブリュッセル」会議及聯合規約仮決議ノ決定ニ従ヒ、貴下協会ノ組織確定ノ有無ニ付、御通報相仰度、若シ組織済ナルニ於テハ国際聯盟ノ思想宣伝ノ為、設立セラレタル総テノ協会ノ聯合「フェデラシオン」ニ対シ、手続方聯合ノ規約ニ従ヒ請求致度、尚「ブリユッセル」ニ於テ貴下ガ仮表決セラレタル規約ヲ、貴下ノ協会ニ於テ承認セラレタルヤ否ヤモ承知致度、若シ或点ニ付、表決ヲ留保セラルルニ於テハ、其ノ如何ナル点ナルヤモ併セテ御通報相成度、将又聯合ノ理事会ニ派遣セラルヽ、貴下協会ノ常置代表者二名ノ氏名及資格御通知相煩度、右御依頼迄此段申進候 敬具
       国際聯盟協会聯合規約
        第一章 聯合ノ目的及組織
第一条 国際聯盟協会聯合ハ、国際聯盟ノ基礎的規約ニ規定スル原則ノ改善ヲ図リ、且其ノ適用ヲ期スルカ為、設定セラレタル諸協会ヲ集合シテ、協同的行動ニ出テシムルコトヲ以テ、其ノ目的トス
第二条 聯合ニ於テ各国ハ、単ニ一協会ノミニ依リ代表セラルヘク、右協会ハ其ノ国ノ他ノ団体ヲ糾合スルコトヲ得ヘシ
 前記ノ協会ハ其ノ自治ヲ保持ス
第三条 聯合ノ本部ハ、之ヲ「ブリユッセル」ニ置ク、聯合ノ機関ハ総会及理事会トス
        第二章 総会
第四条 聯合ノ総会ハ、理事会ノ招集ニ依リ之ヲ開ク
第五条 各総会ハ次回ノ会合ノ場所ヲ決定ス、右ノ如キ指定ナキトキハ理事会之ヲ選定ス
第六条 各総会ハ其ノ事務局ヲ組織ス
第七条 総会ハ各国団体ノ代表者ニ依リ組織セラル、右代表者ハ之ヲ一国十名ニ限リ、各会期ノ開始前少クトモ十五日以内ニ、其ノ名簿ヲ書記長ニ送付スルコトヲ要スヘシ
第八条 理事会ハ各国団体ノ調査及総会ノ議決ニ附スヘキ問題ノ表ヲ決定ス、総会ハ此等ノ問題カ調査及討議ニ附セラルヽ順序ヲ決定ス
第九条 各協会ハ一切ノ問題ニ関シ、予メ準備的調査ヲ為シ、総会ノ一箇月前迄ニ書記長ニ報告書ヲ提出ス
第十条 表決ハ国ニ依リ之ヲ行フ、同一ノ国ニ属スル代表者ハ口頭投票名簿ニ一団トシテ列記セラレ、其ノ過半数決ニ依ル表決カ其ノ国ノ協会ノ表決タルモノトス
        第三章 管理
          聯合ノ理事会
第十一条 聯合ノ理事会ハ各国ヨリ出ス二名ヲ以テ之ヲ組織ス、各国ハ更ニ一名ノ補欠ヲ指名スヘク、右補欠ハ代表者中ノ一人カ差支アル場合ニ之ニ代ルモノトス
 表決ハ国ニ依リ之ヲ行フ
 - 第36巻 p.395 -ページ画像 
第十二条 理事会ハ
 (イ)事務局ノ調査・事業・公表及一般ニ其事務ヲ監視シ
 (ロ)経常的財源ニ基ク予算ヲ決定シ
 (ハ)聯合ノ企図スル目的ニ合シタル発議ヲ為シ
 (ニ)総会ヲ招集シ、其ノ議事ニ附セラルル問題ヲ決定シ
 (ホ)総会ノ決議ノ実行ヲ準備ス
第十三条 理事会ハ毎年理事会員中ヨリ会長一名、副会長二名及会計主任一名ヨリ成ル事務局ヲ任命シ、且聯合ノ書記長及職員ヲ指名ス書記長ハ理事会(?)ノ議事ニ列シ諮問ニ応ス
第十四条 事務局ハ理事会ノ権力及監督ノ下ニ置カレ、聯合ノ事務ヲ整理シ、文書ヲ集中シ、総会ノ事業ヲ準備シ、其ノ他一般ニ理事会(?)ノ委任スル職務ヲ行フ
第十五条 事務局ノ一般経費ハ万国郵便聯合総理局ノ定ムル経費分担ノ割合ニ従ヒ、各協会ノ醵出金ニ依リ之ヲ支弁ス
第十六条 理事会(?)ハ毎年一回其ノ会員中ヨリ二人ノ会計検査員ヲ任命ス、右検査ノ後理事会ハ収支ノ決算ヲ承認ス
第十七条 会長ハ理事会員ノ招集ヲ必要トセサル程度ノ諸点ニ付、理事会ヲ開クコトナク通信ニ依リ会員ニ諮問スルコトヲ得ヘシ、此ノ場合ニ於テ決定ハ表決ノ過半数ニ依リ、表示セラレタル意見ニ従フモノトス
第十八条 本規則ニ規定セラレサル一切ノ場合ニ付テハ、理事会之ヲ決定スヘシ
第十九条 理事会ニ於テ規約改正ニ関スル提議ヲ受理スルハ、各会議ノ少クトモ三月以前タルコトヲ要ス
 討議の結果、右規約は日本国際聯盟協会に於て全然之を承認することとするも、但し(一)第九条に関しては日本の地理的関係に顧み、各総会開会決定の上は三箇月又は四箇月前、其の旨聯合会書記局より本邦に通知し、以て本邦代表者の出席――と充分なる時間の余裕を得らるゝ様何等かの了解を遂げ置くこと、(二)第十三条に関し事務局が会長一名、副会長二名、会計主任一名のみを以て組織せられ居る以上、日本より役員を出すこと殆ど不可能のこととなるべきに付き、本邦代表者をして何等事務局に関係を附け置かしむる機会を作る為め、副会長の数を五名に増加したしとの希望を表明すること、(三)本規約全体を通じ、会議の表決方法に関し何等規定なき処、重要事件に関しては特に全会一致の方法に依ることを希望する旨申出づること。以上三点の希望を併せ申出で、成る丈け其の貫徹を期する様措置すべき事に決す。依つて六月十一日聯合会書記局に対し、左記趣旨の電報を発送せり。
 本邦国際聯盟協会は、留保を附せずして聯合会規約案を承認す、但し同規約案に関し次の如き希望を有す。
一、総会は成るべく定期に之を開くこと、然らざれば開催前少くとも四箇月前に之を通知ありたきこと。
二、第十三条中副会長を五名とすること。
三、理事会及総会の議決は原則として多数決とするも、極めて重要な
 - 第36巻 p.396 -ページ画像 
る事項に付きては、全会一致の原則に従ふ余地を存し置くこと。
 (二)会務処理に関する件 沢田幹事より会務進捗を期する為め、副会長中何れか一名を常務担当者と定め、重大要務に非ざる限り常務担当副会長の決裁に依り、会務を処理することに決定せられん事を要求し、討議の結果、添田副会長を以て常務担当副会長とす。
 (三)会員募集の件 会員は此際進んで之を募集する事に決し、其の方法等に関しては添田副会長と幹事とに一任することゝなれり。
 (四)調査部組織の件 岡・松田・山川各理事を特別委員に挙げ、之に同部組織の件を委任す。