デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和2年3月28日（1927年）

是日、当調査会第七回理事会、丸ノ内日本工業倶楽部ニ開カレ、栄一出席ス。ソノ席上ニ於テ寄付金ノ募集ヲ栄一及ビ理事長井上準之助ニ委任ス。

太平洋問題調査会書類（一）　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
時下益々御清栄奉賀候、陳者来ル廿八日（月曜日）正午ヨリ二時迄、丸ノ内工業倶楽部ニ於テ第七回理事会相開キ申度ク候間、御多用中恐レ入リ候得共、何卒御参集被下度候
 - 第37巻 p.549 -ページ画像 
既ニ御熟知ノ通リ、第二回大会ハ弥々本年七月十五日ヨリ、ホノルルニ開催ト決シ、当調査会ニ於テモ万全ヲ期シテ之ニ臨ム必要上、至急諸種ノ重要問題ニ就キ御協議ヲ願ヒ、着々之ガ準備相整ヘ度ク希望仕候、先ハ右得貴意度如斯御座候　敬具
　　昭和二年三月十九日
　　　　　　　　　　　　　　　　太平洋問題調査会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　理事長　井上準之助
　　　　子爵　渋沢栄一殿
　　　　　　　　　　御取次中

太平洋問題調査会書類（一）　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　太平洋問題調査会第七回理事会順序
　　　　　　　　時　昭和二年三月廿八日（月曜日）正午ヨリ二時迄
　　　　　　　　所　丸ノ内工業倶楽部
一、前回記録朗読
二、報告
　　（1）二月十四日午后三時ヨリ銀行倶楽部ニ於テ「人口及食糧問題」研究会ヲ開催シ、農学博士那須皓氏ノ二時間ニ渉ル講演アリ、本日ノ出席者ハ左ノ如シ（順序不同）
　　　　井上準之助氏　　高木八尺氏
　　　　石井徹氏　　　　鶴見祐輔氏
　　　　那須皓氏　　　　塩沢昌貞氏
　　　　斎藤良衛氏　　　一宮鈴太郎氏
　　　　小池厚之助氏　　清沢氏
　　　　矢内原忠雄氏　　大橋新太郎氏
　　　　頭本元頁氏　　　添田寿一氏
　　　　小野英二郎氏　　長尾半平氏
　　　　服部文四郎氏　　米田実氏
　　　　石本恵吉氏　　　佐分利貞男氏
　　　　鈴木文治氏　　　小川郷太郎氏
　　　　高柳賢三氏　　　斎藤惣一氏
　　　　武田胤雄氏　　　以上廿五名
　　（2）二月廿七日附ヲ以テ、ホノルル中央部ヨリ、別紙ノ通リ米国代表者ノ内報ニ接ス
　　○別紙略ス。
二、協議事項
　　（1）代表者選定ノ件
　　　イ、選定ニ際シ四部門ヲ参照スルコト
　　　ロ、婦人代表者ヲ加フル事ノ可否
　　　ハ、外人ノ代表者ヲ加フル事ノ可否
　　　ニ、赤木氏（原田氏手紙○略ス参照）山県氏（ルーミス氏手紙○略ス参照）ニ関スル件
　　（2）財務ニ関スル件
　　　イ、財務委員設置ノ件
 - 第37巻 p.550 -ページ画像 
　　　ロ、大会出席費用及向後二ケ年間ノ本会経常費準備ノ件
　　　ハ、会費徴収ノ可否
　　　ニ、研究費ニ関スル件
　　　ホ、事務費ニ関スル件
　　（3）研究ニ関スル件
　　　イ、研究部会ノ組織、部長及幹事ノ選任、代表者全部ヲ四部門ニ分属セシムル事
　　　ロ、研究会開催ノ度数・時日・場所・経費其他ノ実際問題ニ関スル件
　　　ハ、提出論文ノ起草者及発表者ノ選任
　　　ニ、中央部廻送アゼンダ以外ニ、日本側ニ於テ準備スベキ問題又ハ提出スベキ議題
　　　　　イ、宗教法案
　　　　　ロ、軍備制限問題
　　　　　ハ、汎アジア運動
　　（4）プレス主任ノ推薦ノ件（出淵外務次官ヨリノ手紙○略ス参照）
　　（5）会員推薦ニ関スル件
　　（6）朝鮮代表ニ関スル件
　　（7）総会開催ノ件
　　　イ、時日
　　　ロ、場所
　　　ハ、協議項目
　（附）本日ノ会合ヲ新聞ニ発表スル事ノ可否
　（附）一九二九年度大会ヲ日本ニ於テ開催スルノ可否
　（附）ブレースリー氏ニ関スル件
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一九二七、三、二六

（太平洋問題調査会）理事会評議員会書類綴
　　　　　　　　　　　　　　　　　（太平洋問題調査会所蔵）
　　　　太平洋問題調査会第七回理事会
　　　　　　　　時　昭和二年三月廿八日（月曜日）正午ヨリ二時迄
　　　　　　　　所　丸ノ内工業倶楽部
出席者（ABC順）十二名
評議員会長　　子爵　渋沢栄一氏
理事長　　　　　　　井上準之助氏
　　　　石井徹氏　　　伯爵黒木三次氏
　　　　那須皓氏　　　男爵阪谷芳郎氏
　　　　沢柳政太郎氏　　　斎藤惣一氏
　　　　高木八尺氏　　　　高柳賢三氏
　　　　鶴見祐輔氏　　　　武田胤雄氏
前回記録朗読ヲ省略シ、直チニ協議ニ入ル
一、井上理事長ヨリ、第二回大会出席本邦代表トシテ其内諾ヲ得、或ハ交渉中ニ属スルモノ、左ノ如キ旨報告アリ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（イロハ順）
 - 第37巻 p.551 -ページ画像 
　　　　井上準之助氏　伊東米次郎氏《（伊東米治郎）》
　　　　原田助氏　　　高木八尺氏
　　　　高柳賢三氏　　鶴見祐輔氏
　　　　那須皓氏　　　奥山清治氏
　　　　矢吹慶輝氏　　斎藤惣一氏
　　　　鈴木文治氏　　末延道成氏
　　理事長ハ、右ノ外尚詮衡ヲ行ヒ、婦人代表ニ就テモ考慮シ、次回ニ報告スル事ニ決ス
二、大会出席費用及向後二ケ年間ノ本会経常費準備ノ件ヲ附議シ、大体ニ於テ別紙予算案○略スヲ承認シ、募金ニ就テハ評議員長・理事長ニ一任スル事ニ決ス
三、研究部会ヲ組織シ、ハワイヨリ廻送協議事項以外、日本側ニ於テハ左記ノ諸問題ヲ研究準備シ置ク事
　　イ、宗教法案　　　　　　　ヘ、反動思想
　　ロ、軍備制限問題　　　　　ト、小作争議
　　ハ、汎アジア運動　　　　　チ、日露関係
　　ニ、無産政党　　　　　　　リ、出版物法案及言論・集会ノ自由
　　ホ、ハワイ在留邦人ノ社会　ヌ、外人土地法ノ実施
　　　　的諸問題
四、朝鮮代表数名ヲ一行ニ加フル事
右、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一九二七、三、三〇
　　○第六回理事会（昭和二年二月五日）ニハ栄一出席セズ。

太平洋問題調査会書類（一）　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（案）
拝啓　時下愈々御清栄奉賀候
陳者本会は、大正十四年別紙会則の通り、主として太平洋の諸問題に関する調査研究を為すの目的を以て、設立せられたるものに有之、大正十五年及本年《（十四）》ホノルル市に於て開会せられたる、第一・第二回太平洋問題調査会大会には、本会より代員を派遣して各種の問題に対し、本邦の立場を各国に知らしむることに努力したる次第に候処、太平洋沿岸各国の国際状勢に伴ひ、本会を益々堅実なる基礎に置くことの必要を切実に相感候、就ては何卒貴下に於ても御入会被下、本会の目的を達成する様御助力被成下度、此段御願申上候　敬具
　　昭和二年二月二六日
　　　　　　　　　　　　太平洋問題調査会
　　　　　　　　　　　　　　評議員会長　子爵　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　理事長　　　　　　井上準之助
　　　　　　　　殿
　追而本会々則及会員名簿各一部呈上仕候間、御高覧被下度候
　　○別紙会則及ビ名簿略ス。
　　○右書ニハ大正十四年ニ開カレタル太平洋問題協議会大会ヲ本会第一回大会ト算ヘタルナリ。