デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正14年5月20日（1925年）

是ヨリ先五月六日、朝鮮仏教大会、財団法人設立ノ認可ヲ受ケ、財団法人朝鮮仏教団ト称ス。是日、同団理事会ノ推薦ニヨリ、栄一顧問ヲ依嘱セラル。八月十日同理事会ノ決議ニヨリ、名誉賛助員ニ推サル。在任歿年ニ及ブ。

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
　　大正十四年一月二十三日
　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮仏教大会
　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　李允用　印
　　　　（宛名手書）
　　　　渋沢栄一殿
　　　　　　財団法人寄附行為ノ件
拝啓、時下益御清勝被為渉慶賀ノ至ニ奉存候、陳者本会ヲ財団法人ニ組織変更ノ件、予テ御賛同ヲ得居候処、今回理事会ニ於テ、別紙ノ通寄附行為ヲ定メ、其ノ筋ヘ許可申請ノ手続相運ヒ候間、御了知相煩度此段得貴意候　拝具
　追伸　寄附行為第四条ニ於テ基本財産トシテ、小林源六氏御提供ノ金拾万円ノミヲ掲記シ、予テ声明致置候東京方面有力者各位ノ寄附金六万円ヲ掲記セサリシハ、未タ現金ヲ領受セサルト、財団法人ノ設立ヲ差急キ候為、急遽寄附者各位ノ御調印ヲ得難キニ依ルモノニ有之候間、御諒承相成度申添候

（別紙、謄写版）
　　　　財団法人朝鮮仏教大会設立許可申請
別紙寄附行為ニ依リ財団法人朝鮮仏教大会設立致度候間、御許可相成度、此段申請候也
　　大正十四年一月二十三日
　　　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教大会設立者
　　　　　　　　　　　　　　京畿道京城府三清洞百四十五番地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　男爵　李允用
　　　　　　　　　　京畿道京城府南大門通二丁目百二十三番地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小林源六
　　　　朝鮮総督　男爵斎藤実殿

（別紙、謄写版）
　　　　財団法人朝鮮仏教大会寄附行為
第一条　本法人ハ財団法人朝鮮仏教大会ト称ス
第二条　本法人ハ朝鮮ニ於ケル仏教ノ振興普及ヲ図リ、人心ヲ教化善
 - 第42巻 p.81 -ページ画像 
導シ、民衆ノ福祉ヲ増進スル為、其ノ事業ニ必要ナル財産ヲ所有シ又ハ之ニ必要ナル資産ヲ供給スルヲ以テ目的トス
　本法人ハ前項ノ外、必要ニ応シ附帯事業トシテ、教育・慈善、其ノ他ノ社会事業ヲ行フコトヲ得
第三条　本法人ハ其ノ事務所ヲ京畿道京城府長谷川町十七番地ニ置ク
第四条　本法人設立ノ日ニ於ケル基本財産ハ、寄附行為ニ依リ小林源六氏ノ提供シタル金拾万円トス
第五条　左ノ各号ノ一ニ該当スルモノハ、之ヲ本法人ノ基本財産ニ編入ス
　　一、特ニ基本財産トシテ本法人ニ寄附セラレタル財産
　　二、歳計剰余金ニシテ翌年度ニ繰越使用ノ必要ナキモノ
第六条　本法人ノ目的遂行上基本財産ヲ処分セムトスルトキハ、理事三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第七条　基本財産ハ最モ安全且確実ナル方法ニ依リ、之ヲ管理スルモノトス
第八条　本法人ノ財産ヨリ生スル果実、其ノ他ノ収入ハ、第二条ノ目的ノ為ニ使用スルモノトス、但シ特ニ用途ヲ指定シタル寄附財産ハ此ノ限ニアラス
第九条　本法人ニ理事十五名、監事三名ヲ置ク
　理事及監事ハ評議員会ニ於テ選挙ス
　任期ハ理事三年監事二年トス、但シ再任ヲ妨ケス
第十条　理事及監事ニシテ辞任・死亡、其ノ他ノ事由ニ依リ欠員ヲ生シタルトキハ、第九条ニ依リ補欠選挙ヲナス、但シ任期ハ前任者ノ残任期間トス
第十一条　理事ハ理事会ヲ組織シ、理事長一名ヲ互選ス
　理事長ハ法人ヲ代表シ、理事会ヲ招集シ、其議長トナリ、其ノ他理事会ニ関スル一切ノ事務ヲ処理ス
　理事会ニ於テハ常任理事ヲ互選シ、法人ノ事務ヲ分担セシムルコトヲ得
第十二条　理事会ニ於テ決議スベキ事項ハ、予メ各理事ニ通知スルモノトス
　理事会ニ於テハ理事全員ノ同意アルニアラサレバ、通知以外ノ事項ニ付決議スルコトヲ得ス
第十三条　本寄附行為ヲ変更セムトスルトキハ、理事会及評議員会ニ於テ三分ノ二以上ノ同意ヲ得、主務官庁ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第十四条　本法人ヲ解散セムトスルトキハ、理事会及評議員会ニ於テ三分ノ二以上ノ同意アルコトヲ要ス
第十五条　本法人解散ノ場合ニ於ケル所属財産ハ、仏教又ハ教育・慈善、其ノ他社会事業ヲ目的トスル他ノ団体ニ帰属セシム、其ノ処分方法ニ付テハ前条ノ手続ニ依リ之ヲ決定ス
　　　　　　附則
第十六条　本寄附行為施行ニ関スル細則及評議員ニ関スル事項ハ別ニ之ヲ定ム
第十七条　本法人ハ朝鮮仏教大会ノ事業ヲ継承スルモノトス
 - 第42巻 p.82 -ページ画像 
第十八条　本法人設立ノ際ニ於ケル理事及監事ヲ左ノ通指定ス
　　　　　理事（十五名）　　　　　　　　（イロハ順）
　　　　　　　　京城府楽園洞二八三　　　白寅基
　　　　　　　　京城府旭町一ノ一五八　　服部豊吉
　　　　　　　　京城府南大門通三ノ九七　富田儀作
　　　　　　　　京城府三清洞一四五　　　李允用
　　　　　　　　同　長谷川町一七　　　　李元錫
　　　　　　　　同　嘉会洞二六　　　　　韓昌洙
　　　　　　　　同　照格洞一四八　　　　韓翼教
　　　　　　　　同　舟橋町一四〇　　　　中村健太郎
　　　　　　　　同　本町一ノ五八　　　　釘本藤次郎
　　　　　　　　同　漢江通一三　　　　　大和与次郎
　　　　　　　　同　苑南洞一四九　　　　前田昇
　　　　　　　　同　南大門通二ノ一二三　小林源六
　　　　　　　　同　漢江通一三　　　　　荒井初太郎
　　　　　　　　同　都染洞二八　　　　　申応照
　　　　　　　　同　茶屋町一八四　　　　芮宗錫
　　　　　　　監事
　　　　　　　　同　南米倉町二〇二　　　和田常市
　　　　　　　　同　嘉会洞九三　　　　　韓相竜
　　　　　　　　同　南山町二ノ二六　　　山口太兵衛
　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
　　○朝鮮仏教大会ハ大正十四年五月六日付ヲ以テ設立許可ノ指令ヲ受ケ、名称ヲ朝鮮仏教団ト改メ、六月八日京城府南山町京城ホテルニ於テ発団式ヲ挙行セリ。（「朝鮮仏教団大正十四年度事業報告」ニ拠ル）

（渋沢栄一野中清）書翰控　　李元錫宛大正一四年一月二七日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　案
拝啓、益御清適奉賀候、然ば李允用氏より御送付之財団法人朝鮮仏教大会設立許可申請に関する書類写正に入手、着々手続御進捗の段結構と存候、当地有志の寄付に触れず兎も角も法人設立を申請せられ候は誠に当を得たる御取計と存候○中略
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京　渋沢栄一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　野中清
　　京城
　　　　李元錫殿
○中略
　　大正十四年一月廿七日
　　○右書翰全文ハ本巻「朝鮮仏教大会」中ニ収ム。

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
粛啓
予ねて御高配に預り候朝鮮仏教団（旧朝鮮仏教大会）の儀、去る五月
 - 第42巻 p.83 -ページ画像 
六日附を以て、朝鮮総督府より財団法人設立許可相成候旨、同月十三日本団本部より電報有之候条、不取敢御通知申上候、尚将来共御配慮の程偏に奉願候也　草々敬具
　大正十四年五月十四日
　　　　　　　　　　　東京牛込区岩戸町二十六
　　　　　　　　　　　　　至心学寮内
　　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団東京支部
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐藤稠松
　　　　（宛名手書）
　　　　渋沢栄一殿

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
今般理事会ノ推薦ニ依リ、貴下ニ本団顧問《（二字手書）》　ヲ委嘱候ニ就テハ、今後永ク万般ノ御指導相仰キ度及懇嘱候也
　　大正十四年五月二十日
　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団長　男爵李允用　印
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵渋沢栄一殿

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
理事会ノ議決ニ依リ貴下ヲ本団名誉賛助員ニ推薦致候ニ就テハ、今後永ク万般ノ御幇助相仰キ度及懇嘱候也
　　大正十四年八月十日
　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団長　男爵李允用　印
　　　　（宛名手書）
　　　　　子爵渋沢栄一殿

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
　　大正十四年十月九日
　　　　　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団長　李允用
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵渋沢栄一閣下
拝啓、益御清穆ノ段奉慶賀候、偖本団モ基礎漸ク鞏固ト相成、是ヨリ愈々本団ノ目的ニ向ツテ邁進スルノ時機ニ到達致候、是レ偏ニ、本団顧問《（二字手書）》トシテ御厚庇ノ賜ニ有之、誠ニ不堪感謝厚ク御礼申上候、右役員トシテ御高配ヲ仰グニ就テハ、本団設立ノ際直ニ委嘱状差上クベキ筈ニ有之候処、事務多忙ニテ彼是不手廻リノ為今日ニ至リ、恐縮ニ存候乍延引別紙委嘱状差上申候間、何卒本団ノ為御援助ト御指導トヲ賜リ度奉願候　敬具
　　○顧問委嘱状前掲。是年五月二十日付ナリ。

青淵先生職任年表　（未定稿）　昭和六年十二月調　竜門社編
　　　　　　　　　　　　　　　竜門雑誌第五一九号別刷・第二二頁昭和六年一二月刊
　　　　大正年代
年　月
一四　　五　財団法人朝鮮仏教団顧問―昭和六、一一。大一
 - 第42巻 p.84 -ページ画像 
　　　　　　　　四、八―〃〃名誉賛助員―昭和六、一一。

（小林源六）書翰　渋沢栄一宛大正一四年三月二六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　　　　　　（別筆）
　　　　　　　　　　　　　　　　大正十四年三月弐拾六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小林源六氏来状
拝啓、春暖之候益御清穆被為渉候段奉恐賀候、其後ハ乍存御疎音打過欠礼罷在候段、平ニ御寛恕之程奉仰候
扨朝鮮仏教大会も今回愈財団法人ニ組織変更ニ伴ひ、諸般の用務を帯び、副会長前田昇氏不日上京可被致就てハ、御繁務中誠ニ恐縮ニ存候ヘ共、万事宜敷御願申上度、先ハ御起居御伺旁右迄得貴意候　拝具
　　三月廿六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小林源六
　　　　渋沢子爵閣下

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法団財人朝鮮仏教団書類[財団法人朝鮮仏教団書類]　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓、晩秋の時気に相成候処、愈々御清穆の段奉賀上候、陳者本月廿三日当支部設立発会式挙行に際し、御鄭重なる祝電を賜り、御芳志まことに難有奉感謝候、今後に於て一層御後援を荷ひ、所期の目的を達成致度候間、何卒宜敷御願申上候
　先は御礼詞申述度如此に御座候　敬具
　　大正十四年十月廿九日
 - 第42巻 p.85 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮仏教団大邱支部長
　　　　子爵渋沢栄一殿

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓仕候
本月二十五日、朝鮮仏教団支部を当地に創設致候て発会式挙行之際は早速御懇篤なる御祝電を賜り、御芳志之段千万忝く、奉感謝候
其状況を掲載する新聞○見当ラズ度拝送之上御報告に代へ、謹て御礼申述如此御座候　敬具
　　大正十四年十月卅日
　　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮仏教団
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　釜山支部一同
　　　　子爵渋沢栄一閣下

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
愈々御清福の段奉慶賀候
陳者去る六日朝鮮仏教団清州支部発会式に際し、御懇篤なる御祝電を辱ふし奉深謝候、当日興福寺大西大僧正猊下・副団長前田昇氏の御臨場を仰き盛大なる発会の式典を挙行仕候こと、是偏に御高配の賜と支部員一同深く感銘罷在候
玆に本団の使命を遵奉し御期待に背かさらむことを期し申候、右御礼申述度如斯に御座候　敬具
　　大正十五年十一月十日
　　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮仏教団
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　清州支部長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　前田平太
　　　　子爵渋沢栄一殿

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　大正十五年十一月十二日
　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団沙里院地方部長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　久保田耕馬　(印)
　　　　子爵渋沢栄一閣下
拝啓、時下愈々益々御清穆ニ被亘候段、南山不斜候
陳者本月四日沙里院地方部発開式挙行候節《（会）》ハ、御丁重ナル御祝電ヲ頂戴仕奉深謝候
如来慈光之裡、切ニ　閣下之御平安ヲ祷リ、併而向後幾久敷鞭撻提撕之程ヲ衷心冀求仕候
先ハ右乍延引以書中、当地方部各役員並団員一同ヲ代表致シ、謹而御礼申述度、如斯御座候　敬具

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　昭和二年十一月七日入手の電報
 - 第42巻 p.86 -ページ画像 
　東京
　仏教聯合会、朝鮮仏教団顧問
　　　　渋沢子爵
無事発会式ヲ終ル御厚意ヲ謝ス
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仏教団羅南支部長

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓　時下向寒の候、愈々御清穆の段奉賀候
陳者這般朝鮮仏教団本支部発会式挙行に際しては、御鄭重なる祝電を忝ふし、御芳情誠に難有感謝に不堪候、今後永久本支部の為、万般の御幇助相仰度奉懇願候
右不取敢謹而御厚礼申上度如斯御座候　敬具
　　昭和二年十一月十六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　朝鮮仏教団公州支部長丸山虎之助
　　　　子爵渋沢栄一殿

財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
　　昭和四年四月十九日
　　　　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団長　韓昌洙
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵渋沢栄一閣下
拝啓、益御清穆ノ段奉慶賀候、陳者今秋朝鮮博覧会ノ開催ヲ機トシ、朝鮮仏教大会ヲ京城ニ於テ開催スル事ト相成候ニ就テハ、右趣意並準備計画書御参考ノ為御送付申上候
（別紙、印刷物）
　　　　朝鮮仏教大会趣旨並準備計画
　　　　　　朝鮮仏教大会趣旨
　　○本文略ス。
　　昭和四年一月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　京城仏教各宗聯合会
　　　　　　　　　　　　　　主催者　財団法人朝鮮仏教中央教務院
　　　　　　　　　　　　　　　　　　財団法人朝鮮仏教団
　　　　朝鮮仏教大会要項
一、大会の主旨目的
　本会は内鮮仏教徒の交情親睦を厚くし、朝鮮に仏教普及を促進する為、相提携して協力進歩の道を図り、以て半島文化の発達に資し、民衆の福祉増進に貢献するを目的とす
二、名称
　本会は朝鮮仏教大会と称す
三、研究事項
　本会は主として朝鮮に於ける仏教興隆の方法を研究す
四、会期及会場
　（1）会期　昭和四年　月　日より三日間とす
　（2）会場　とす
 - 第42巻 p.87 -ページ画像 
○下略
　　○昭和四年八月ノ日付アルリーフレツト「朝鮮仏教大会趣旨並要項」ニヨレバ、会期ハ十月十一日ヨリ三日間、会場ハ朝鮮総督府大ホール・勤政殿・京城公会堂・訓練院トアリ、第三日ニハ朝鮮博覧会観・各所視察ト記ス。

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財団法人朝鮮仏教団書類　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
　　昭和四年十二月二十五日
　　　　　　　　朝鮮仏教大会準備委員長　男爵韓昌洙
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵渋沢栄一殿
拝啓、益御清穆奉慶賀候、偖朝鮮仏教大会ニ就テハ多大ナル御援助ヲ蒙リ、御蔭ヲ以テ滞リナク終了仕候段、不堪感謝厚ク御礼申上候、右大会経費収支決算書別紙ノ通御送付申上候間、御一覧被成下度此段得貴意候　敬具
（別紙、印刷物）
　　　　朝鮮仏教大会経費収支決算書
○上略
右ノ外
一、朝鮮仏教大会経費ニ充当スル為財団法人朝鮮仏教団ニ対シ、左記ノ通寄附アリタリ
　　金五百円　　　　子爵渋沢栄一殿
　　金三百円　　　　　　東洋拓殖株式会社殿
　　計八百円
○下略

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