デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
4節 キリスト教団体
1款 救世軍
■綱文

第42巻 p.146-147(DK420042k) ページ画像

昭和4年5月11日(1929年)

是日栄一、当軍社会植民館落成式ニ、財団法人中央社会事業協会会長トシテ祝辞ヲ寄ス。


■資料

財団法人中央社会事業協会会長祝辞 【祝辞 近来わが国社会事業の趨勢は…】(DK420042k-0001)
第42巻 p.146 ページ画像

財団法人中央社会事業協会会長祝辞     (救世軍本営所蔵)
    祝辞
近来わが国社会事業の趨勢は、その社会生活並に社会思想の変遷に伴ひ、旧来の恩恵的慈善の観念を脱し、新しく社会連帯の観念をもつてその基調とするに至り、従つてその施設方法の如きも、従来の恩恵的方面より、漸次科学的方面に重きを置き、事後的救済に代つて、事前の保護に力を注ぐに至りました。最近隣保事業が著しき発展を示しつつありますことは、取りも直さず、この気運を如実に物語るものであります。
救世軍が、大正八年十一月、東京府社会事業協会の委託を受け、地を本所柳島に卜し、社会植民館を建設し、隣保事業を開始してより玆に十余年、その間幼児保育に、青少年の教化に、人事相談に、職業紹介に、その他隣保事業として、専ら近隣の社会状態に適応し、その住民の向上を計るために、力を尽して来られたのでありますが、特にその精神的立場に於いて、近隣の社会教化には最も善き影響を与へつゝあるのであります。
然るに大正十二年の大震火災に際し、その建物の全部を失つてからは応急バラツクに於いて、能く不便に耐へ困苦と戦ひ今日に至つたのでありますが、今や玆に新しき会館の建築成り、その落成式を挙行せらるるに至りましたことは、誠に欣びに堪へないところであります。
この機会に於いて、救世軍理事者並に当館職員諸氏に対し、深く敬意を表し、感謝を捧ぐるとともに、今後新装せるこの会館を中心としてその事業を拡充せられ、隣保のために一層御尽瘁に相成りまして、所期の目的を達成せられることを切望いたします。
一言もつて祝辞といたします。
  昭和四年五月十一日   財団法人中央社会事業協会
                  会長 子爵 渋沢栄一


ときのこゑ 第七九六号昭和四年六月一日 救世軍植民館 落成式 司令官指揮さる(DK420042k-0002)
第42巻 p.146 ページ画像

ときのこゑ 第七九六号昭和四年六月一日
  救世軍植民館
    落成式
      司令官指揮さる
五月十一日(土)午後二時、本所区柳島柳川町救世軍植民館の新築落成式が、司令官山室少将の指揮の下に行はれた。
○中略
続いて長岡社会局長官・平塚東京府知事・堀切東京市長及び中央社会事業協会長子爵渋沢栄一閣下の祝辞を各々代読せられた。○下略

 - 第42巻 p.147 -ページ画像 

救世軍社会植民館新築落成式順序(DK420042k-0003)
第42巻 p.147 ページ画像

救世軍社会植民館新築落成式順序     (渋沢子爵家所蔵)
    救世軍社会植民館
      新築落成式順序
 昭和四年五月十一日(土曜日)午後二時開会
  君が代
  軍歌
  祈祷
  聖書朗読
  軍歌
  式辞及報告       少将 山室軍平
  献堂の祈
  祝辞        宮内大臣 一木喜徳郎閣下
  同        社会局長官 長岡隆一郎閣下
  同        東京府知事 平塚広義閣下
  同         東京市長 堀切善次郎閣下
  同 中央社会事業協会長 子爵 渋沢栄一閣下
  軍歌
  演説             倉橋惣三君
  同              岡実君
  奏楽
  祝祷
  閉会