デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

4章 道徳・宗教
4節 キリスト教団体
5款 其他 3. 東京基督教女子青年会
■綱文

第42巻 p.321-324(DK420078k) ページ画像

昭和2年3月26日(1927年)

是ヨリ先、東京基督教女子青年会ハ同会館復興建築資金ノ募集ヲ開始ス。栄一、趣旨ニ賛同シテ金千円ヲ寄付シ、且ツ同会総幹事エンマ・アール・カフマンノ懇請ヲ容レ、是日、植村澄三郎外二十三名ニ紹介ノ労ヲトル。


■資料

(エンマ・アール・カフマン)書翰 渋沢栄一宛 一九二七年三月一九日(DK420078k-0001)
第42巻 p.321-322 ページ画像

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紹介状往翰(一)(DK420078k-0002)
第42巻 p.322-323 ページ画像

紹介状往翰(一)             (渋沢子爵家所蔵)
                (別筆朱書)
                志立たき子、ミス・カフマン両氏之紹介状
(謄写版)
拝啓、益御清適奉賀候、然ハ東京基督教女子青年会に於て復興建築資金を募集致居、老生も其必要を認め微力なから金壱千円寄附致候処、右募集委員長志立たき子夫人並にミス・カフマンに於て、是非拝光親しく御懇願致度切望致候由にて、老生よりも拝願致候様被申出候に付此書相付候間、参趨の節ハ御引見之上、願意御聴取被下候ハヽ幸甚に御座候、右願用得貴意度如此御座候 敬具
  昭和二年三月廿六日
                     渋沢栄一
  植村澄三郎様   矢野恒太様    大橋新太郎様
男爵近藤滋弥様    橋本圭三郎様   大川平三郎様
  根津嘉一郎様   増田義一様    服部金太郎様
  若尾璋八様    藤原銀次郎様   馬越恭平様
  山下亀三郎様   藤田謙一様    団琢磨様
 - 第42巻 p.323 -ページ画像 
  神田鐳蔵様    武藤山治様    池田成彬様
 佐々木勇之助様 男爵古河虎之助様   三輪善兵衛様
  今井五介様  男爵大倉喜七郎様 男爵森村開作様

            東京基督教女子青年会
                会長  志立タキ子
                総幹事 ミス・カフマン


東京基督教女子青年会復興建築趣意書 第一頁刊(DK420078k-0003)
第42巻 p.323 ページ画像

東京基督教女子青年会復興建築趣意書 第一頁刊
    復興建築趣意
 創設以来玆に二十年、わが東京基督教女子青年会は、世界全国に亘る百万の女子青年会員と提携して、外には国際的親義と世界平和との為、内には社会教化の為に、終始基督教主義に基いて、専念青年女子の霊・智・体の円満な発達を計りつゝ今日に及んで居ります。
 震災後既に三年、やがて物質文化の世界の都として復興せらるべき私共の帝都をば、精神的にも亦立派に進んだものとしたいといふ望みは、志ある人の必ず持つて居る処であらうと信じます。即ち、現代女性の中堅である青年女子が、家庭及社会人として、一層深い修養と活動とに向はねばならない秋は来て居ります。玆に於て、本会の事業はいよいよ必要となつて現れますと共に、事業の範囲は到底手狭な仮建築会館には容れ得ぬ程の拡大を感じてまゐりました。
 依て玆に、本会が必要とする土地及建築を得る為に、六拾五万円を計上いたしましたが、其中四拾万円は已に米国基督教女子青年会より復興資金として寄贈を受けて居ります。残る弐拾五万円の募集方は、私共全会員の肩にかゝつて居りますので、目下、私共は本会館再築の意気に燃えて極力この事に当らうといたして居ります。どうか私共の微衷をお汲み下さいまして、充分の鼓舞奨励と共に御援助を賜りますやう、会員一同ひたすらに御願ひ申し上ぐる次第でございます。


東京基督教女子青年会書類(DK420078k-0004)
第42巻 p.323-324 ページ画像

東京基督教女子青年会書類         (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓、時下益々御清祥の段奉賀候、陳者此度本会復興建築資金の為御寄附被下誠に難有厚く御礼申上候、昨今の時勢に際し本会の使命も亦重大と相成申候を覚え、一同努力致居候処、今回の御援助に依り一層の責任を感じ、益々奮励致度覚悟に御座候、何卒今後共然るべき御指導と御鞭撻とを賜り度願上候
先は右御礼迄申上候 敬具
  昭和二年三月二十九日
              東京基督教女子青年会幹部役員
                      志立タキ
                      西野きよ
                      内池よね
                      小室美恵
                      江口春子
 - 第42巻 p.324 -ページ画像 
    (宛名手書)
    渋沢栄一殿
  ○エンマ・アール・カフマンニ就イテハ、本資料第三十九巻所収「其他ノ外国人接待」大正十五年十月二十日ノ条参照。



〔参考〕同方会報 第三二号・第五三―五四頁 明治四二年一〇月 基督教女子青年会寄宿舎落成式(DK420078k-0005)
第42巻 p.324 ページ画像

同方会報  第三二号・第五三―五四頁 明治四二年一〇月
△基督教女子青年会寄宿舎落成式 予て牛込納戸町四十五番地に新築中なりし基督教女子青年会の寄宿舎落成式を十月三十一日挙行せり、舎監世良田はる子女史の報告に依れば、建坪二階共に百七十一坪、其費用八千円にして、地代五千五百円を出せりとぞ、講堂・応接間・役員室等を除き、寄宿室は総て十三、一室七畳半に三人詰の割合にて、目下卅五人(十七校の女生徒)を収容せり、寄宿料は月八円五十銭を徴す、此新築費の大部分は英国の慈善家オーバストン氏の喜捨せる所にして、其他英米人の出資亦少からず、近き中に小石川安藤坂に第二の寄宿舎を設立するも尚剰余金ありといふ
  ○寄宿舎ハ学生ノ為ニ設ケラレ、第一寄宿舎ハ小石川区水道町二八ニ、第二寄宿舎ハ牛込区納戸町四五ニアリ。大正十二年九月一日ノ大震災ニ本会館(神田区北神保町一四)焼失シテ、一時事務所ヲ第二寄宿舎ニ移シ、仮会館(旧会館跡)ノ建築並ニ事業ニ尽瘁ス。(「東京基督教女子青年会沿革及事業」ニヨル)