デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

5章 教育
2節 女子教育
12款 其他 7. 武蔵野女子大学設立計画
■綱文

第45巻 p.95-98(DK450036k) ページ画像

大正14年(1925年)

是ヨリ先、高楠順次郎ハ武蔵野女子大学創設ヲ計リ、先ヅソノ付属トシテ武蔵野女子学院ヲ大正十三年四月開校ス。是年栄一、当校創立顧問トナル。


■資料

武蔵野女子大学綱要 大正十四年八月廿一日(DK450036k-0001)
第45巻 p.95-96 ページ画像

武蔵野女子大学綱要 大正十四年八月廿一日
                   (武蔵女子学院所蔵)
    武蔵野女子大学創設趣意
女性の進歩は国運進展の基調であります、家庭から社会、教育から宗教、総べて民族向上の基礎たるべき方面に於てハ、知識あり品性ある女性の力を要することが最多いのであります。故に女子教育の完成に向つてハ、公人たると私人たるとを問ハず、一般に甚大の注意を払ハねバならぬのであります。凡そ有為の女性を要すること今日より急なるはない、而して女性思想の危機も亦今日より甚しきハないのであります、有為の女性は根柢ある最高の教育に依て養ハれねばならぬ。健全なる教育主義に基づき女性に適応せる高等教育機関を設くるハ、我国精神界に貢献する所以なりと信ずるのであります。
我々はこの大責任を全うする為、玆に武蔵野女子大学を創設することを決心いたしました。一旦発願した限りハ、その理想実現に向つてハ如何なる努力をも厭ふものでハありませぬ。世の同志の諸兄姉幸に一臂の力を添へて、我々の目的を貫徹せしめたまはんことを懇請いたし
 - 第45巻 p.96 -ページ画像 
ます。
                  武蔵野女子大学
                   願主 高楠順次郎
    武蔵野女子大学設立内規
一、武蔵野女子大学ハ仏教主義を以て教養の中心とす
二、武蔵野女子大学ハ寄宿制度を主として家庭的修養をなす
三、武蔵野女子大学は七年制の武蔵野女子学院を本系の予備門とし、別系として女子専門学校・高等女学校・附属小学校を設く
四、武蔵野女子大学ハ人格教育を以てその主眼とす
五、武蔵野女子大学の建設地は武蔵野字保谷(武蔵境駅附近)とす、所有敷地弐万参千坪、外囲土堤築造已に終る
六、武蔵野女子大学の資金ハ凡弐百万円とす
   一、基金五拾万円 二、創設費金百五拾万円
七、武蔵野女子学院ハ既に大正十三年四月二十一日を以て東京築地三丁目赤十字臨時病院跡に開設す、在院生徒二百七十名あり、試験制度全廃を断行し、仏教に依る自由修養を試み、相当の成績を収めつゝあり
    武蔵野女子大学創立委員
       大谷光明       大谷尊由 男爵夫人 九条武子
  男爵夫人 藤田富子       藤瀬秀子 男爵   藤村義朗
       馬越恭平       高橋義雄 文学博士 沢柳政太郎
  文学博士 三上参次  法学博士 花井卓蔵      山科礼蔵
  文学博士 服部宇之吉      赤星鉄馬 文学博士医学博士 富士川游
  勧学   島地大等  文学博士 藤岡勝二      三宅静子
  武蔵野女子学院長 高楠次順郎   武蔵野女子学院幹事 鷹谷俊之
   同顧問
       大谷光端     岡田良平  子爵 渋沢栄一
  男爵   平山成信  男爵 益田孝      藤山雷太
  文学博士 下田次郎     西脇済三郎


諸会発起趣意書 (一) 【武蔵野女子大学基金募集】(DK450036k-0002)
第45巻 p.96-98 ページ画像

諸会発起趣意書 (一)          (渋沢子爵家所蔵)
    武蔵野女子大学基金募集
 婦人教育は国運発展の基調であります。故に其完成に向つては公人たると個人たるとを問はず、甚大の注意を払はねばなりません。然るに婦人教育の危機今日より甚しきはありません。有為な婦人を要する事今日より急なる時はありません。有為な婦人は之を根柢ある最高の教育に待たねばならないと思ひます。玆に質実な教育主義に基いた、武蔵野女子大学を、文学博士高楠順次郎先生が創立せらるゝを聴き、其の主旨に賛し、後援団体紫紅会を組織し、博士の発願を貫徹せしむる為め、出来得る限りの活動をする事になりました。
 募集金其他内規は左の通りです。が建設基金壱百万円を募集する事は仲々困難な事と思ひます。然し絶えざる努力をもつて隠忍するなれば他日必ず目的の彼岸に到達する事が出来得ると確信致します。嘗て敬虔な信徒がその真心から一枚の瓦を寺院の屋根に積んだやうに、吾
 - 第45巻 p.97 -ページ画像 
吾も女子大学建設の為め努力したいと思ひます。
 それには熱心な御賛助と厚い御同情に依らねばなりません。吾々は大方の同情ある御寄附を得て、完成の日の欣びが来るのを心待ちに致して居ります。
    武蔵野女子大学内規
一、武蔵野女子大学は仏教主義を以て教養と経営との中心とす。
一、武蔵野女子大学は全国女学校卒業生団体・仏教女学校・仏教婦人会・処女会・其他婦人団体の後援を求む。
一、武蔵野女子大学は寄宿制度を主として家庭的修養をなす。
一、武蔵野女子大学は附属として、女子専門学校・女子学院等を経営す。
一、武蔵野女子大学の特色は人格教育にして、殊に外国語文学芸術の奨励、進歩主義、精神主義等とす。
建設地  東京市外武蔵野字保谷(武蔵境駅より十分)
敷地   弐万参千坪(買収済)
資金用途 財団組織五拾万円、建築費五拾万円、合計壱百万円也。
女子学院 女子大学附属として大正十三年四月二十一日東京市京橋区築地三丁目赤十字病院跡にて開院せり。既に次年度入学志願者の登録をなしつゝあり。
女子学院の特色 試験制度全廃、其他女子大学に同じ。
顧問 順序不同
  文部大臣 岡田良平氏、子爵 渋沢栄一氏、文学博士 沢柳政太郎氏、法学博士 花井卓蔵氏、男爵 平山成信氏、山科礼蔵氏、藤山雷太氏。
    寄附規定
後援会  紫紅会と名づく
事務所  東京市小石川区関口台町五番地 大雄閣内
寄附金  壱円以上
送金方法 振替口座東京六六九二九番、東京市小石川区関口台町五
     高楠正男宛、通信欄に寄附金と指定さるゝ事
     御都合に依つて集金郵便を差上げても差支へありません
寄附金発表方法 毎月二十五日迄到着の分は其領収報告を翌月の雑誌「現代仏教」にて発表します。(御住所を明記して下さい)
領収書   領収書の代りに「現代仏教」を御送りします。
紫紅会事業 女子学院内にて購売組合を始めつゝあり。其他講演会・活動写真会・音楽会・女子大学デー等を催す。
  紫紅会組織
    顧問   文学博士 木村泰賢
         文学博士 長井真琴
    幹事   文学士  鷹谷俊之
    実行委員      今泉浩
              柳秋之丞
              高楠正男
              井上増次郎
 - 第45巻 p.98 -ページ画像 
              木下検二
              山崎精華
  実行委員(イロハ順)
    井山春子   高楠美津枝
    井山恒子   伊達静江
    石上靖子   恒松安代
    二宮直子   中川芳子
    西島文子   楠原愛子
    小野節子   秋山花子
    荒木あき   北島恵美
    佐久間美須子 桐谷かつら
    木村照子   潮留延子
  会計       森四郎五郎
           小林浩
       武蔵野女子大学基金募集後援
             紫紅会事務所
            東京市小石川区関口台町五番地
                    振替東京六六九二九番
                    電話牛込七八八番


武蔵野女子学院副校長 鷹谷俊之回答(DK450036k-0003)
第45巻 p.98 ページ画像

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