デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正14年6月（1925年）

是月栄一、当会第六次旅行班派遣費トシテ金百円ヲ寄付ス。七月九日、当会、右旅行班送別会ヲ飛鳥山邸ニ於テ催ス。栄一出席シテ訓話ヲナス。

亜細亜学生会書類　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
謹啓　時下高堂益々御清栄之段大慶の至りに奉存候
陳者支那学生の吾国を訪問し、学術上の意見を交換し、或は制度文物風俗習慣を視察するもの多々有之、此傾向たるや彼我親善の実を挙くる上に於て好結果を齎らすものと確信仕り候、依つて吾が亜細亜学生会に於ても本会成立の意義遂行の手段として、例年の通り夏季休暇を利用し、別紙の如く亜細亜各方面に視察旅行団を派遣し、広く亜細亜の実状を明かにし、同時に彼我意志の疎通を謀らん事を企画仕り候、就ては此書面持参の学生より詳細御聴取の上、何分共御援助被下度、本会としては此有意義なる企画も、大方有志諸彦の御後援により遂行致さするの外無し、此儀相叶はゞ幸甚之れに不過と存候、先ハ御願用迄如此に御座候　敬具
　　大正十四年六月
　　　　　　　　　　　　　　　亜細亜学生会長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　男爵　阪谷芳郎(印)
　　　　　　　　　　　　　　　　　副会長　木下友三郎(印)
　　　　　　　　　　　　　　　顧問　子爵　渋沢栄一栄一
　　　　　　　　　　　　　　　顧問　子爵　後藤新平(印)
　　　　（宛名手書）
　　　　子爵　渋沢栄一殿
　追而計画大要左の如し
 - 第46巻 p.51 -ページ画像 
　一　派遣人数ヲ二十一名トシ、之レヲ七班ニ分チ、別紙計画書の通り方面を定メテ旅行セシム
　一　一名ニ付平均弐百五拾円ヲ補助ス、故ニ合計五千二百五十円ノ寄附ヲ要ス
　一　御寄附金ハ神田区駿河台明治大学内亜細亜学生会主事中島常吉宛、又ハ麹町区永楽町海上ビルデイング内第一銀行丸ノ内支店本会当座口ヘ御払込被下度候
（謄写版）
　追伸　本文申上候旅行費に付ては年々御迷惑相願恐縮至極に御座候就ては資金醵集に付根本的立案致度種々考慮中には候得共、未だ成案を得ざる為め、本年も亦御願ひ申上候次第に御座候
　　又今回の支那各地に於ける騒擾は真に憂慮に堪へざる義に有之、右に付けても平素の意志疎通と相互了解の必要を痛感致候義に御座候処、本文計劃は実に此等を目的と致候次第に有之、其の適切なるを信じ申候間、御迷惑とは拝察致候得共敢て拝願仕候段御諒承被下度候
　　　○別紙ヲ欠ク。

亜細亜学生会書類　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓、益御清穆奉賀候
陳者本会第六次学生旅行視察隊派遣仕候ニ就テハ、多大ノ御寄附金ヲ辱フシ御厚志難有奉深謝候、何レ旅行準備相整ヒ候上更ニ御報告申上候得共、不取敢御礼旁得貴意候　敬具
　　六月　日
　　　　　　　　　　　　　　　　　亜細亜学生会印
　　　　渋沢栄一殿

亜細亜学生会書類　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（表紙）
　　大正拾四年度
　　　　寄附金明細書
　　　　　　　　　　亜細亜学生会

　　　　　　　　（太字ハ朱書）
金壱百円也　　　子渋沢栄一殿
○中略
　合計六千八百四拾参円八拾銭也
　　此合計ハ違算ナリ、正確ナル
　　　合計金六千八百弐拾弐円八拾銭也(印)
○下略

集会日時通知表　大正一四年　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
七月九日　木　午前九時　亜細亜学生会々員約二十四・五名来約（飛
 - 第46巻 p.52 -ページ画像 
鳥山邸）

亜細亜学生会書類　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（控）
謹啓　時下高堂益々御清栄奉賀候
陳者今般亜細亜学生会儀、例年ノ通リ支那を中心とする亜細亜各地に見学旅行員拾八各を派遣候、就而子爵御病気の折から御辞申上候へ共来る七月九日午前九時半市外飛鳥山渋沢顧問邸内晩香廬を拝借し、御訓話旁送別会相催し度、御多忙中誠に恐縮の至りに御座候へ共、是非当日御出席被下度御願申上候　敬具
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亜細亜学生会々長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阪谷芳郎
　追伸　一行ハ十日午後八時東京駅出発と決定致候

亜細亜学生会書類　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
拝啓、暑気愈々厳シク候処高堂益々御清栄奉賀候、陳者本会第六次学生旅行班ハ、去ル七月九日渋沢子爵邸ニ於テ阪谷会長・木下副会長、渋沢・富谷両顧問、小林会計監督列席ノ上旅行ニ関スル訓話アリ、旅行班ハ同日及翌日ニ渉リ東京駅ヲ目的地ニ向ヒ出発致シ候
予而御迷惑御願ヒ申候寄附金総額ハ金六千八百四拾弐円八拾銭、内未収金六百五拾円也ニ御座候、明細ニ付テハ旅行報告書作製御報告申上グベク候
先ハ右御報告申述候　敬具
　　大正拾四年七月拾八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　亜細亜学生会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　主事　中島常吉
　　　　（宛名手書）　　　　　　　　　同　　長野清秋
　　　　渋沢栄一殿

　大正拾四年度第六次旅行員各班別左ノ通リニ御座候
　　　　　　第一班（シベリア）　　　　早大　伊東正義
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　村田精三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明大　坂田稔
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　慶大　長野清武
　　　　　　第二班（満蒙）　　　　　　東協　岩崎儀三郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　中島信一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　早大　川原一男
　　　　　　第三班（北部支那）　　　　明大　山本圭四郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東協　宮崎専一
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　帝大　大槻文平
　　　　　　第四班（中部支那）　　　　帝大　渡辺次郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　野村市次郎
　　　　　　第五班（四川省地方）　　　慶大　福永哲彦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明大　福田英一郎
 - 第46巻 p.53 -ページ画像 
　　　　　　第六班（フイリツピン諸島）慶大　丸山辰雄
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東協　橋田外治
　　　　　　第七班（シヤム南洋）　　　帝大　薜永魁
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東協　宮田良蔵
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　明大　栗本幹雄
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上