デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
3款 特殊銀行 5. 株式会社韓国銀行
■綱文

第50巻 p.302-319(DK500062k) ページ画像

明治42年8月16日(1909年)

是日栄一、内閣ヨリ韓国銀行設立委員ヲ仰付ケラレ、十一月九日同委員ヲ免ゼラル。


■資料

東京経済雑誌 第六〇巻第一四九八号・第二九頁 明治四二年七月一〇日 ○韓国銀行条例の内容(DK500062k-0001)
第50巻 p.302 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一四九八号・第二九頁 明治四二年七月一〇日
    ○韓国銀行条例の内容
韓国の中央銀行に関する日韓協約は、遅くとも本月十五日頃迄に発表し、直ちに銀行条例発布の筈なるが、兌換券の発行等に関する規定を除き、条例案に関し聞く所左の如し
△条例の体裁 殖民地銀行たる台湾銀行条例に類し、規定は約五十ケ条に上り、日本銀行と関渉する件に就て、多少の規定を設けたり
△行名の選定 行名は、伊藤前統監等の苦心せし所にして、大韓銀行との議もありしかど、韓国銀行の方稍や穏当なるべしとの意見あり、条例発布間際迄に、特別の名義を発見せざれば、韓国銀行と為す筈なり
△役員の選定 役員としては総裁一名・理事四名・監事二名を置き、理事主席を以て総裁代理たらしむるを以て副総裁を置かず、役員全部日本人を任用す
△銀行の監督 韓国銀行は度支部大臣の監督の下に営業せしめ、兌換券発行其他に関し日本銀行へ報告せしむ
△正貨の準備 韓国銀行の正貨準備は金銀の外、日本銀行兌換券を用ゆるを許し、営業の便を計らしむ
△利益の補給 韓国銀行の営業利益は、兌換券発行の特権のみにて相当の利益を占むべく、長期の補給を為す必要なきを以て、営業の初期は収益六分見当とし、之れに対する補給金を与へ、返還を要せざることゝしたり、同行の営業にして其の緒に就かば、少くとも年一割の利益を挙ぐるに至るべき見込なり
△創立の準備 創立委員約三十名は両三名の韓国人を除き、他は全部日本人にして東京・京都・大阪・名古屋・神戸等の有力なる実業家を挙げ、委員長には渋沢男を推薦する筈なるが、男は八月下旬渡米の予定に付き、遅くとも八月上旬に創立総会を開くに至るべし


銀行通信録 第四八巻第二八五号・第三八―三九頁 明治四二年七月 ○内国銀行要報 韓国中央銀行の設立(DK500062k-0002)
第50巻 p.302-303 ページ画像

銀行通信録  第四八巻第二八五号・第三八―三九頁 明治四二年七月
 ○内国銀行要報
    ○韓国中央銀行の設立
韓国中央銀行設立の議は、往年伊藤前統監赴任の当時より伝唱せられし所なるが、今回政府は愈々其設立に着手することに決定し、其組織に関しては我日本銀行条例に準じて、既に草案の起草を終り、不日之を発表すると共に、日韓両国政府より創立委員の任命を見るべしとの事にて、其組織及兌換券条例の大要なりとて、世間に伝説せらるゝ所
 - 第50巻 p.303 -ページ画像 
左の如し
 一、資本金を一千万円とし、一株百円として之を十万株に分つ
 一、株主は日韓両国皇室・政府及人民に限り、他に売買譲与することを許さず
 一、韓国政府は一定の期間年六分の利子を補給するものとす
 一、本店を京城に置き、現在第一銀行の支店及出張所を支店とす
 一、総裁以下重役は総て日本人とし、理事及監事中には韓人を交ゆることあるべし
 一、韓国政府及統監府監督の責に任じ、度支部次官及統監府員を監理官とす
 一、兌換券発行に就ては、発行高同様の金貨・金地金・銀貨・銀地金及日本銀行兌換券を準備とすること
  但し日本銀行兌換券を正貨準備とするに就ては、特別の規定を設くべし
 一、銀準備を置くときは、金準備の五分の一以内たるべきこと
 一、保証準備発行制限高は二千万円とす(第一銀行券の発行制限高は一千万円也)、但し第一銀行券中引換を了らざるものある間は其額丈之を引去り、其償却高を限りとして漸次制限高に達せしむるものとすること、全く国立銀行紙幣銷却の時と同じ
 一、兌換券の種類は、一円・五円・十円の三種とす
 一、営業及兌換券の景況等を毎週政府に提出せしむること
○下略


法令全書 明治四二年 内閣印刷局編 刊 ○統監府告示第七十六号(官報八月二十五日)(DK500062k-0003)
第50巻 p.303-304 ページ画像

法令全書  明治四二年  内閣印刷局編 刊
○統監府告示第七十六号(官報八月二十五日)
日韓両国政府ハ明治四十二年七月二十六日付ヲ以テ、両国間ニ韓国中央銀行ニ関スル覚書ヲ交換セリ、其全文左ノ如シ
  明治四十二年八月十六日   統監 子爵 曾禰荒助

    韓国中央銀行ニ関スル覚書
 日韓両国政府ハ韓国銀行ノ設立ニ関シ、左ノ条款ヲ協定ス
 第一条 韓国政府ハ韓国銀行ヲ設立シ、之ニ兌換銀行券ヲ発行スルノ権ヲ与ヘ、韓国中央金融機関タルノ業務ニ従事セシムルノ外、日本銀行ノ委託アルトキハ、日本国国庫金ノ取扱ヲ為サシムヘシ
 第二条 株式会社第一銀行ノ発行シタル銀行券ハ、韓国銀行ノ発行シタルモノト看做シ、韓国銀行ハ其ノ銷却ノ義務ヲ承継スルモノトス
 第三条 韓国銀行ノ株式ハ日韓両国人ニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
 第四条 韓国銀行ノ重役ハ当分ノ中、日本人ヲ以テ之ニ充ツヘシ
 第五条 韓国銀行ハ韓国政府持株以外ニ対シテ為スヘキ利益配当カ年百分ノ六ノ割合ニ達スル迄ハ、韓国政府持株ニ対シ利益配当ヲ為スコトヲ要セス
 第六条 韓国政府ハ韓国銀行ノ創立後五箇年間ハ、同国政府持株以外ノ株式ニ対シ年百分ノ六ノ割合ノ利益配当ヲ保証スルモノトス
 - 第50巻 p.304 -ページ画像 
  右覚書日韓文各二通ヲ作リ、之ヲ交換シ後日ノ証トスル為、記名調印ス
   明治四十二年七月二十六日
                統監  子爵 曾禰荒助
   隆熙三年七月二十六日
                内閣総理大臣 李完用


東京経済雑誌 第六〇巻第一五〇二号・第三五頁 明治四二年八月七日 ○韓国銀行の特典(DK500062k-0004)
第50巻 p.304 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一五〇二号・第三五頁 明治四二年八月七日
    ○韓国銀行の特典
去月二十六日発布の韓国銀行条例は、大体営業規程に於て台湾銀行法に類し、銀行券発行規程に於て日本銀行条例に類せり、而して営業に於て台湾銀行法と異なる点は、公共団体に対しては政府の認可を受け無担保の貸付に於て日本銀行条例と異なる点は、日銀は保証発行兌換券に対し一個年千分の十二半の割合を以て発行税納付の義務あるに拘はらず、韓銀には此の義務無き代りに、其利益金株主に対する配当年一割二分を超過するに至る時は、其の超過額の二分の一を政府に納付すべきことを規定せり、又韓国銀行創立の際、其営業費を補助する為韓国政府より百二十万円を無利子にて貸下げ、右は五年間据置、以後十年賦を以て償還せしむる事、韓銀の利益金配当にして、政府持株以外の株式に対し、毎営業年度に於て年百分の六の割合に達する迄は、政府持株に配当を為すことを要せざるのみならず、一般株主の配当六朱に達せざる時は、政府は創立初期の末日より五年間を限り之を補給すべしと規定せるもの孰れも同行の特典なりと云ふ


官報 第七八四四号 明治四二年八月一七日 叙任及辞令(DK500062k-0005)
第50巻 p.304-305 ページ画像

官報  第七八四四号 明治四二年八月一七日
    叙任及辞令
                 大蔵次官 若槻礼次郎
              韓国度支部次官 荒井賢太郎
              大蔵省理財局長 勝田主計
             統監府書記官伯爵 児玉秀雄
          従四位勲二等功二級男爵 宇佐川一正
             従四位勲一等男爵 高橋是清
             従三位勲二等男爵 渋沢栄一
           従四位勲二等法学博士 添田寿一
               正五位勲二等 園田孝吉
               従五位勲三等 早川千吉郎
                  勲三等 大谷嘉兵衛
                正五位男爵 岩崎小弥太
               従四位勲四等 小山健三
               正五位勲四等 高橋新吉
               正五位勲四等 三井高保
                  勲四等 田中源太郎
 (各通)             勲四等 岩下清周
                  勲四等 豊川良平
 - 第50巻 p.305 -ページ画像 
                  勲四等 池田謙三
                  勲四等 志立鉄次郎
                  勲四等 左右田金作
                  勲四等 岡谷惣助
               従五位勲五等 土居通夫
               正七位勲五等 中野武営
                      安田善三郎
                      原田二郎
                      岸本豊太郎
                      神野金之助
                      滝定助
                      市原盛宏
                      白完爀
                      韓相竜
 韓国銀行設立委員被仰付(八月十六日内閣)
  ○韓国銀行設立委員等ハ明治四十二年八月二十三日ヲ以テ設立委員会ヲ開キタリ。(「銀行通信録」第四八巻第二八七号・第四七―五四頁)
  ○是年八月十九日、栄一渡米実業団ヲ率ヰテ東京ヲ発シ、十二月十七日帰国ス。


東京経済雑誌 第六〇巻第一五〇四号・第三四頁 明治四二年八月二一日 ○韓国銀行創立委員任命(DK500062k-0006)
第50巻 p.305 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一五〇四号・第三四頁 明治四二年八月二一日
    ○韓国銀行創立委員任命
                   (株式の前景気)
 韓国銀行創立委員並に委員会幹事は、左の通り任命せられたり
  韓国銀行設立委員長被仰付
              従三位勲一等男爵 松尾臣善
 韓国銀行設立委員被仰付
  ○前掲ニ付キ人名略ス。
 韓国銀行設立委員会幹事被仰付
             二宮基成 河内山楽三
 乃ち十七日、松尾委員長並に若槻大蔵・荒井度支部の両次官、勝田理財局長・二宮銀行課長等、大蔵省に会合して創立委員会開会の打合せを為したるが、第一回設立委員会は来る二十三日開会に決し、其他の準備に二週日を要すべければ、株式募集は九月十日前後ならんと伝ふ目下金融緩慢の折柄、該事業の確実有利なるを見込み、未だ確然たる募集方法の発表せられざるに拘らず、財界の之に対する意気込は非常にて、既に権利株の売買も話頭に上り、其プレミアムの如きも十三円を唱へ、高きは二十円を予想するものあるほどなれば、実際募集の暁には無論東洋拓殖会社株以上の成績を挙ぐるに至る可しと云ふ


東京経済雑誌 第六〇巻第一五〇五号・第三五頁 明治四二年八月二八日 ○韓国銀行株募集手続(投機熱の予防策)(DK500062k-0007)
第50巻 p.305-306 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一五〇五号・第三五頁 明治四二年八月二八日
    ○韓国銀行株募集手続
                   (投機熱の予防策)
△韓国銀行株式募集 は既報の如く期日未だ決定せざるも、日韓両国政府の定款の認可を待ちて発表する筈にて、二十五日既に両政府の認
 - 第50巻 p.306 -ページ画像 
可を得たれば、法定猶予期間を見積り、九月十日頃には株式の募集を開始するに至るべし、而して二十三日の設立委員会に於て最も議論ありたる
△株式募集の方法 は専ら取扱銀行を日本銀行の本支店等に止むべしとの説出でたるも、斯くては株主の多くが都会の人に限られ、遠隔地方には応募の便を与へしめざる結果となるが故に、縦へ満鉄の株式募集の場合の如く、取扱銀行数を余りに多くする必要なきも、可及的普及せしむる要ありといふに意見一致し、日韓両国を合し五十の取扱銀行を選定するに至れり、尚金融市場緩慢の折柄とて
△投機熱の防遏策 として応募の状況如何によりては、随時に締切をなすの権能を常務委員に一任したるのみならず、思惑買を制する目的を以て、応募者に渡すべき保証金の受取書は単に一通となし、割増金を全く附加せずして株式の割当を按分比例によることゝせり、而して
△取扱銀行との契約 は(一)株式取扱手数料を募入総高の千分の五とし、(二)保証金は無利息にて取扱銀行の当座預金となし、(三)随時に引出して日本銀行に預入することに決定せりといふ、従つて一部の投機者流は応募者の名義を多くし、応募高を分割して以て利を得むとの策を講ずるに至るべしと


東京経済雑誌 第六〇巻第一五〇七号・第三一頁 明治四二年九月一一日 ○韓銀株式募集成績(日韓両帝室持株)(DK500062k-0008)
第50巻 p.306-307 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一五〇七号・第三一頁 明治四二年九月一一日
    ○韓銀株式募集成績
                   (日韓両帝室持株)
韓国銀行の株式募集は、六日午前九時より内地及び韓国の各取扱銀行に於て、応募申込を受付けたるが、非常の盛況にて、設立事務所に達せる午前十時の第一回報告によれば、東京・大阪・名古屋・京都を合せ一千百一万一千株の多数に上り、既に需要額の百七十三倍弱に達するを以て、松尾委員長は直に常任委員会を開き、即日午後一時を以て募集を締切るに決定し、其の旨各取扱銀行に通達したり、而して同創立事務所七日正午取調べに係る申込株総数は二千五十三万一千六百十四株にして、募集株に対し二百九十四倍九九四に該当す、其内訳左の如し
                  株
 東京       五、〇一四、六八〇
 大阪       七、六八二、九二六
 京都       一、〇五四、三七四
 名古屋      二、一〇五、二八四
 神戸         六一九、〇三三
 横浜         八一一、七八九
 福島         二九二、〇〇三
 北海道         四一、三九九
 金沢         二六三、九五〇
 新潟         三六一、一五八
 高松          六一、一〇六
 土佐         一〇四、八二五
 松江          二五、三五四
 - 第50巻 p.307 -ページ画像 
 広島         二九七、六五一
 門司         七八四、〇二五
 肥後         一九五、二五六
 鹿児島        一八九、七九一
 韓国         六二七、〇一〇
  計      二〇、五三一、六一四
即ち二百五十株の申込に対し一株を得る割合なり、因に我皇室よりは内蔵頭名義にて、十五銀行に一千株応募御申込あり、又韓国皇室よりは第一銀行京城総支店に千株の申込みありし由なるが、右両帝室の応募株は特別詮義を以て、多分優先的に募入せらるゝこととなるべし


第一銀行五十年史稿 巻六・第四三―四四頁(DK500062k-0009)
第50巻 p.307 ページ画像

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官報 第七九一五号 明治四二年一一月一〇日 叙任及辞令(DK500062k-0010)
第50巻 p.307-308 ページ画像

官報  第七九一五号 明治四二年一一月一〇日
    叙任及辞令
                 大蔵次官 若槻礼次郎
              韓国度支部次官 荒井賢太郎
              大蔵省理財局長 勝田主計
             統監府書記官伯爵 児玉秀雄
          従四位勲二等功二級男爵 宇佐川一正
             従四位勲一等男爵 高橋是清
             従三位勲二等男爵 渋沢栄一
           従四位勲二等法学博士 添田寿一
               正五位勲二等 園田孝吉
               従五位勲三等 早川千吉郎
                  勲三等 大谷嘉兵衛
                正五位男爵 岩崎小弥太
               従四位勲四等 小山健三
               正五位勲四等 高橋新吉
               正五位勲四等 三井高保
                  勲四等 田中源太郎
                  勲四等 岩下清周
 - 第50巻 p.308 -ページ画像 
                  勲四等 豊川良平
                  勲四等 池田謙三
                  勲四等 志立鉄次郎
 (各通)             勲四等 左右田金作
                  勲四等 岡谷惣助
               従五位勲五等 土居通夫
               正七位勲五等 中野武営
                  勲五等 市原盛宏
                      安田善三郎
                      原田二郎
                      岸本豊太郎
                      神野金之助
                      滝定助
                      白完爀
                      韓相竜
 韓国銀行設立委員被免(十一月九日内閣)


青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第一四頁 昭和六年一二月刊(DK500062k-0011)
第50巻 p.308 ページ画像

青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
              竜門雑誌第五一九号別刷・第一四頁 昭和六年一二月刊
              明治年代
  年 月
 四二 八 ―株式会社韓国銀行設立委員―明、四二、一一。


銀行通信録 第四八巻第二九〇号・第四六頁 明治四二年一二月 ○内国銀行要報 韓国銀行事務引継(DK500062k-0012)
第50巻 p.308 ページ画像

銀行通信録  第四八巻第二九〇号・第四六頁 明治四二年一二月
 ○内国銀行要報
    ○韓国銀行事務引継
韓国銀行にては、十一月二十三日を以て第一銀行より同月二十日の現在帳簿により事務引継を終了し、翌二十四日度支部に於て藤原監理官立合の上、市原韓国銀行総裁と日下第一銀行取締役との間に授受の調印を終りたり、其引継目録左の如し
                            円
 一銀行券発行高           一一、八三〇、〇〇〇
 一韓国政府預金              三八〇、〇〇〇
 一公金預金                九八〇、〇〇〇
 一個人普通預金            一、七二〇、〇〇〇
 一政府貸上金             八、一四〇、〇〇〇
 一民団貸附金(京城及釜山)        六二〇、〇〇〇
 一行舎新築費               四〇〇、〇〇〇
 一土地建物(京城)             五一、〇〇〇
前記の中、政府貸上金及民団貸附金は、本支店の合計なるも、其他は京城本店の分のみにて、支店・出張所の分は後日引継を行ふこととし愈々十一月二十四日より一般の営業を開始せり


東京経済雑誌 第六〇巻第一五一一号・第三二頁 明治四二年一〇月九日 ○韓国銀行抽籤確定(DK500062k-0013)
第50巻 p.308-309 ページ画像

東京経済雑誌  第六〇巻第一五一一号・第三二頁 明治四二年一〇月九日
    ○韓国銀行抽籤確定
 - 第50巻 p.309 -ページ画像 
韓国銀行設立事務所にては、松尾設立委員長、若槻・荒井常務委員等立会ひ、一日午前九時より端株の抽籤挙行の結果、左記の如く抽籤募入五千六百二十五株、其口数同数となり、募入外は三万四千百十八株に上れり、右に付き委員長より即日大蔵大臣に設立認可申請を為したるが、第一回払込は十四日迄とし、其の通知は韓国其他遠隔地へは同日、市内は五日までに発せし筈、又た設立総会は二十九日開会することに決定したるを以て、委員長は払込通知と同時に各取扱銀行に宛て募入者をして、払込期日を厳守せしめんことを通牒したり
 募集総株数                六九、六〇〇株
  内 帝室分                二、〇〇〇株
 総申込株数            二〇、三五〇、三七四株
 同上口数                 四四、四九七口
 按分割当確定数              六一、九七五株
 同上口数                  四、七五四口
 募入外れ株(口)数          三九、七四三株(口)
 抽籤募入株(口)数           五、六二五株(口)
 募入外れ株(口)数          三四、一一八株(口)


東京経済雑誌 第六〇巻第一五一五号・第三九頁 明治四二年一一月六日 ○韓国銀行創立総会(DK500062k-0014)
第50巻 p.309-310 ページ画像

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〔参考〕銀行通信録 第一六二号・第七一四―七一五頁 明治三二年五月 日韓銀行に就て 渋沢栄一(DK500062k-0015)
第50巻 p.310-311 ページ画像

銀行通信録  第一六二号・第七一四―七一五頁 明治三二年五月
    日韓銀行に就て
                      渋沢栄一
韓国に中央銀行を設立するの必要あることは、吾人の夙に認むる所なれども、之が設立の方法に至りては、世人の説く所様々なりとす
或は云ふ、日本人及韓国人の間に株主を募り、一の株式会社を組織し韓国政府と約定して紙幣発行及国庫金取扱等、総て中央銀行たるの事務取扱の権利を掌握し、我国人主として之か経営の任に当るべしと、是れ所謂日韓銀行と唱へらるゝ所のものたり
 - 第50巻 p.311 -ページ画像 
余も韓国に完全なる一の中央銀行を設けしむるは、同国の為め必要なることを信する者なり、去れども右に述ぶるが如き組織を以てしては啻に成立の難きのみならず、其成立後の効果に至りても、吾人の企望を充たすことを得へきやと疑ふものあり
何故に然るやと云ふに、第一斯の如き性質の銀行を成立せしむるが為め、韓国政府をして之を認諾せしむること頗る難事なるべし、或は云はん、我外務省の手にて韓国政府に勧誘せしめなば、直ちに許可せらるべしと、然れども余の見る処にては、韓国政府も容易に其誘導に応せざるべし、若し之を強迫して迄も設立せしめざるべからずと云ふに至りては、是れ国際上第一の難問なるべしと思はるゝなり
仮りに韓国政府之に同意して、其設立を許可したりとするも、成立後の維持に困難なきを得ざるべし、何となれば同国今日の如き状態に於ては、常に転輾すべき株主に依りて、起業中の難関を超ゆるは殆んと為し能はざる事柄ともいふべくして、其間種々の面倒を生して両国の株主間に、紛擾を来すべきの懼あれはなり
若し果して右の如くんは、日韓銀行なるものは国際上の紛議となり、日韓両国の交情を疎隔せしむることなきを保せさるべし、斯の如きは吾人の宜しく避けざるべからざる処なり
尚説を為す者あり、日韓銀行設立の目的は其中央銀行たらしむるにあれども、該銀行の資金は之を京釜鉄道に融通して、該鉄道成立の速成を期するにありと、然るに同鉄道の成立は実に容易の事にあらずして其完成迄には少くとも二千万円の資金を要すへく、而して其得失の如きは容易に予算し得さるへし、其利益の明確ならさる起業に対して、巨額の資本を投するは其危険少なからさるのみならず、一銀行の資金を挙て一事業に応するは、銀行の性質上為すへきことにあらさるなり我国に於て十五銀行は日本鉄道に対し、恰も右の如き位地に立ちしことあれとも、日本鉄道は其事業正確にして、加ふるに年々政府より利子の補給ありしゆへ、充分なる結果を見たれとも、京釜鉄道の如きは今日の現況にては全く其趣を異にし、成立後に於て収益する処は果して負債を償却し得るや否、疑なき能はざるなり
之を要するに、余の見る処は、韓国中央銀行の如きは我国人が之を経営せんよりは、寧ろ韓国人自身をして自ら之を設立せしめるか、自己の手に於て経営の任に当らしむるを以て至当のことなりと信す、即ち我国に於て日本銀行を成立したるが如く、其帝室若くは資本家有志者をして組織せしむること至当なり、然れども不慣なる韓国人か中央銀行を設立し、自ら之が経営に任するは或は出来得べからざる処なるべし、故に我政府は宜しく之に助力を与へて、契約上相応の権利を其担当者に付与せしめ、漸を以て其隆盛を謀るを今日に於る適当の処置と信するなり



〔参考〕東京経済雑誌 第四七巻第一一七二号・第四―五頁 明治三六年二月二八日 韓国中央銀行設立の計画(DK500062k-0016)
第50巻 p.311-313 ページ画像

東京経済雑誌  第四七巻第一一七二号・第四―五頁 明治三六年二月二八日
    韓国中央銀行設立の計画
韓国政府が第一銀行支店の発行に係る一覧払手形の通用を禁止したるは、中央銀行を設立し、之をして紙幣を発行せしめんとするの計画に
 - 第50巻 p.312 -ページ画像 
基けるものなり、而して手形の禁止は我が政府の談判に依りて解禁せられたりと雖、中央銀行を設立し、之をして紙幣を発行せしめんとするの計画は、引続き進行せるものゝ如し、其の計画者は内蔵院卿李容翊にして、中央銀行条例及び兌換条例は既に脱稿したり、農商工部顧問加藤増雄氏は、特に内勅を奉じて、李容翊の計画に種々の協力を与へたる由にて、中央銀行条例は要するに、我が日本銀行条例を参酌し加藤氏の起草したるものと見て差支なしと云ふ
 中央銀行は有限責任となし、本銀行より負債を弁償する時は株金総数に限ること
 中央銀行資本金は三百万円と定め、六万株に分ちて、一株を金五十円と定むること、但株主の決議にて株金を増加することを得
 中央銀行の株券は株主の姓名を記載して、大韓国人より募集して、売買譲与を国内人外に許さゞること
 中央銀行は一年内純利金の内、創業費と営業費と其他の諸費を削除して、余額の内十分の八は株金総額に対して配当し、十分の一は賞与金に、十分の一は積立金となし、或は資本金に損失を生ずるときは補充すること
 一、国庫金の出納と海関税及其他諸般の税金収俸一切の事務を担当すること
 二、兌換金券発行の権は本銀行の専任担当に属すること
 三、政府が発行する金銀票換票其他商業票の買入及内減貸与をなすこと
 四、金銀を買入して新旧貨幣を交換すること
 五、公債証書及政府発行の各種証書を典当とし、臨時定期の貸与をなすこと
 中央銀行は右に記載したる事業の外、左に掲載する条件に関渉せざること
 (一)不動産及本銀行と他銀行諸会社の株券に対し、典当貸与をなし、又は買入をなさゞること
 (二)本支店及分支店の開設に必要なるの外、不動産の所有主とならざること
 国庫金の出納と、各税額の収俸と、新旧貨幣交換に関する諸経費等は、度支大臣及中央銀行総裁と協議の上定むること、中央銀行は総裁一人・副総裁一人・理事三人にて綜理し、監理員五名以下を置くこと
韓国に於て中央銀行を設立するは、必要にして有益なる事業と謂ふべし、而して之に紙幣発行の特権を附与するは可なりと雖、銀行の設立と同時に兌換紙幣を発行せしめんとするは、困難と云はんよりは寧ろ出来得べからざるの計画と認めざるべからず、夫れ韓国には貨幣条例ありと雖、其の条例に基きて製造せる貨幣なし、貨幣なくして如何にして兌換紙幣を発行し得べき乎、況や兌換条例の草案第一条には、兌換金券は政府より製造して、中央銀行条例第九条第二項に依て、同銀行より発行して、金銀貨と兌換することを得と規定せるに於てをや、銀価下落せる場合に於て、兌換紙幣を以て金貨と交換すれば、中央銀
 - 第50巻 p.313 -ページ画像 
行は損失して紙幣の所持人は利益し、銀貨と交換すれば紙幣の所持人は損失して中央銀行は利益すべし、且夫れ両本位制は良制なりと雖、韓国一国の力を以て之を維持し得べきものにあらず、要するに韓国にては先づ中央銀行を設立して、其の成立を鞏固にし、而して貨幣条例に従ひて金貨を製造し、之を中央銀行に蓄積して後ち兌換紙幣を発行すべきなり



〔参考〕稿本日本金融史論 滝沢直七著 第九七一頁 大正元年一〇月刊(DK500062k-0017)
第50巻 p.313 ページ画像

稿本日本金融史論 滝沢直七著  第九七一頁 大正元年一〇月刊
 ○第三編 第五章 第七節 朝鮮銀行の発達
    第二款 韓国銀行の創設
韓国銀行を中央銀行として創設するに関しては、当局者間に数種の意見があつた。或は(一)第一銀行支店をその儘に存せしめ、中央金融機関設立の必要なしと為し。或は(二)第一銀行支店を改造して中央金融機関と為すべしと為すものあり。或は(三)日本銀行制度の一部を変更して支店を朝鮮首都に設置し、以て中央銀行の任務に当らしむべしと為し。或は(四)新に中央銀行を設立すべしとの説であつた。遂に四十二年十月韓国銀行は創設せられたのである。同月一日に於ける株式募集締切の結果は、所要の六万七千六百株に対し二千五十三万千六百株に達して二百九十四倍の多きに上つたのである。
○下略



〔参考〕本邦銀行発達史 石沢久五郎著 第五二〇―五二三頁 大正九年九月(DK500062k-0018)
第50巻 p.313-314 ページ画像

本邦銀行発達史 石沢久五郎著  第五二〇―五二三頁 大正九年九月
 ○第四篇 第四期 銀行制度の整頓及び資力充実の時代
    第二十一章 朝鮮銀行の創立及びその由来
○上略 斯様に帝国政府監督の下に、第一銀行は発行銀行として韓国に於て特殊の地位を占め、銀行券を発行し、貨幣整理事務及び国庫出納事務を取扱ひ、且つその業務も漸次に発展しつゝあつたが、爾来韓国政府は幾度かの変革を経て、明治四十年七月、日韓両国の間に協約成立し、日本人を韓国官吏に使用することゝなり、こゝに庶政一新し、財政は膨脹し、経済界益々発展するの気運を生ずるに至つたので、中央銀行を設立して国内に於ける金融機関を統一するの必要を感ずることとなつた。そこで韓国政府は中央銀行設立の計劃を立てゝ、第一銀行と交渉を開始し、それが四十二年六月円満に解決を告げたので、同月十四日韓国政府度支部次官荒井賢太郎と第一銀行頭取渋沢栄一との間に、権利義務に関する左記の覚書の交換を了つた。
      韓国中央銀行設立につき株式会社第一銀行
      との間における権利義務承継に関する覚書○略ス
 更に同年七月二十六日に韓国政府は、我が帝国政府と韓国中央銀行設立に関する左記の協約を締結し、翌八月十六日にこれを発表した。
      韓国中央銀行に関する覚書○略ス
 而して同日を以て、韓国政府は韓国銀行条例を発布し、その設立に関する事務を日本政府に委託することゝしたので、日本政府は八月十六日日本銀行総裁松尾臣善を設立委員長に、韓国度支部次官荒井賢太郎外三十一名を設立委員に任命して設立のことに当らしめた。そこで
 - 第50巻 p.314 -ページ画像 
八月二十三日彼等は設立委員会を開き、議事規則及事務章程・銀行定款・取扱店契約書・株主募集公告の諸案を議定し、且つ若槻礼次郎・荒井賢太郎・勝田主計・児玉秀雄・市原盛宏の五名を常任委員にあげた。而して該銀行定款が二十五日を以て其筋の認可を得たので、二十七日これを発表し、同時に株式の募集を公告した。
 さて募集は九月六日を以て開始し、十二日を以て締切るべき筈であつたが、応募非常の盛況であつたゝめ、初日の午後一時を以て締切ることゝなつた。而してその応募高は政府其他の持株を除きたる六万九千六百株に対し、二千三十五万二千三百七十四株の応募であつたから当さに二百九十二倍の多数に達したわけである。其処で日韓両皇室よりの申込二口二千株を優先に募入し、残株六万七千六百株は按分率に依つて各申込人に割当て、按分より生じたる端数株は更に抽籤を以て三百一株以下の総申込人に分配した。斯様にして株式募集事務の終了を告げたので、十月一日設立委員長は韓国銀行設立の認可を大蔵大臣に申請し、即日その認可を得たので、第一回株金四分の一の払込を通知し、同月十四日にその払込を終了することとなつた。於是同月二十九日創立総会を東京商業会議所に開き諸事を議決した、又同日を以て韓国政府は市原盛宏を総裁に、水越理庸・三島太郎・木村雄次三名を理事に、浜口吉右衛門・伊藤長次郎の二名を監事に任命したので、同総裁は翌三十日設立委員長から設立に関する一切の事務を引継ぎ、十一月十日設立の登記を為し、越へて二十三日に至り第一銀行から、同月二十日現在の帳簿により業務の引継を行ひ、翌二十四日度支部に於て市原韓国銀行総裁と日下第一銀行取締役との間に授受の調印を終つた。而してその引継目録は次ぎの如きものであつた。
○下略
  ○本巻所収「株式会社第一銀行」参照。
  ○明治四十四年八月十五日勅令第三百三号ニヨリ朝鮮銀行法施行セラレ、当行ヲ朝鮮銀行ト改称ス。



〔参考〕支那関係諸方往復(二)(DK500062k-0019)
第50巻 p.314-315 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

〔参考〕支那関係諸方往復(二)(DK500062k-0020)
第50巻 p.315-319 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。