デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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（筑波鉄道株式会社）　第壱回報告書　大正三年度上半期
　　　　　　　　　　　（自大正三年四月十一日至大正三年六月三十日）第七―一一頁（大正三年七月）刊
　　　　第壱回事業報告書
　　　　　　創立総会
○上略
第一　会社創立ニ関スル事項報告ノ件
　明治四十三年四月三十日発起人連署ヲ以テ茨城県新治郡土浦町ヲ起点トシ、真壁郡下館町ニ至ル間ニ鉄道敷設ノ件ヲ出願シ、同四十四年四月二十日内閣総理大臣ヨリ免許状ヲ下付セラル、次テ明治四十五年三月十一日鉄道線路一部変更、並ニ軌間拡張及資本金増額ノ出願ヲ為シ、同年六月四日認可ヲ得、又大正二年三月二十二日本線路終点ヲ岩瀬駅ニ変更ノ件ヲ出願シ、同年七月二日之カ許可ヲ得タリ発起人ハ会社創立事務ヲ処理スル為メ、発起人会ヲ開キテ発起人総代及創立委員ヲ選定ス、総代及委員ハ定款ノ作成其他会社成立ニ至ル迄一切ノ事務ヲ処弁シ、専心創立事務ノ進捗ヲ図リ、一面ニハ技師ヲシテ全線路ヲ実測セシメ、諸般ノ設計ト起業ノ調査ヲ為サシム
 - 第51巻 p.544 -ページ画像 
而シテ大正二年九月二十五日ヲ以テ株主募集ニ着手ス、時偶々財界不振人気沈衰ノ際ナリシモ、本鉄道敷設ハ地方開発上必須ノ事業ナルヲ以テ、奮テ会社ノ成立ヲ期セント欲シ、委員ハ鋭意尽瘁ノ結果大正三年二月十五日ヲ以テ総株数ノ応募者ヲ得ルニ至レリ、而シテ第一回払込ハ同年三月二十七日ヲ以テ全部之ヲ完了ス
○中略
　　　　　　社務総況
大正三年四月十一日創立総会ヲ了リ会社ノ成立スルヤ、取締役互選ノ結果、取締役社長ニ佐分利一嗣氏、専務取締役ニ高村国策氏ヲ推薦シ各承諾ノ上事務引継ヲ受ク、而シテ四月二十日ヲ以テ本会社設立ノ登記ヲ卒エ、四月廿二日ヲ以テ工事施行認可ノ申請ヲ為シ、次テ茨城県庁及沿線諸官衙ヲ歴訪シテ諸般ノ交渉ヲ悉シ、鉄道院ヘハ土浦駅連絡ニ関シ屡々請願ヲ為セリ、又茨城県庁ヨリノ通牒或ハ地方有志者ヨリノ希望ニヨリ、線路一部変更ノ調査ヲ重ネ、五月廿九日ヨリ数日ニ渉リ茨城県技師ヨリ線路ノ調査ヲ受ク、其他諸規則ノ編制、株券ノ作成諸帳簿ノ調製整理等事業進行ニ必要ナル各般ノ事務ヲ処理シタリ○下略

（筑波鉄道株式会社）　第壱回報告書　大正三年度上半期
　　　　　　　　　　　（自大正三年四月十一日至大正三年六月三十日）付・第一五頁（大正三年七月）刊

　　　　筑波鉄道株式会社株主名簿　（大正三年六月三十日現在）
　　株数　府県名　氏名
○上略
一〇〇　東京　男爵渋沢栄一
○下略

日本鉄道史　鉄道省編　下篇・第六四一頁大正一〇年八月刊
　○第二十一章第二節軽便鉄道法ニ依ル鉄道
　　　　筑波鉄道
筑波鉄道〔株式会社〕ハ千葉県千葉町円尾卓爾等ノ発起ニ係リ、茨城県新治・筑波・真壁地方ノ交通ヲ図リ、国有鉄道常磐・水戸両線ノ連鎖タルヲ目的トシ、資本金九十万円ヲ以テ土浦・岩瀬間二十五哩ノ蒸気鉄道ヲ経営セントシ、軽便鉄道法ニ拠リ申請シ、明治四十四年四月二十日之カ免許ヲ受ケタリ、然レトモ爾来事業ノ遂行意ノ如クナラズシテ工事進行阻滞シタリシカ、漸ク大正七年ニ至リ四月十七日ヲ以テ土浦・筑波間十二哩四十二鎖ヲ開業シ、同年六月七日筑波・真壁間六哩十九鎖、九月七日真壁・岩瀬間六哩十九鎖亦開通シ、玆ニ全線二十五哩ノ開通ヲ完フスルヲ得タリ