デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
6節 窯業
5款 浅野超高級セメント株式会社
■綱文

第52巻 p.549-554(DK520072k) ページ画像

大正15年9月6日(1926年)

是日、日本工業倶楽部ニ於テ、浅野セメント株式会社ノ大株主会開カレ、当会社設立ニツキ協議ス。栄一出席シ、発起人総代浅野総一郎ノ当会社設立趣旨説明ニ対シ、賛成ノ演説ヲナス。次イデ十二月二十五日、生命保険協会ニ於テ当会社創立総会開催セラル。栄一、病気ノタメ出席セズ。


■資料

竜門雑誌 第四五七号・第七七頁大正一五年一〇月 青淵先生動静大要(DK520072k-0001)
第52巻 p.549 ページ画像

竜門雑誌  第四五七号・第七七頁大正一五年一〇月
    青淵先生動静大要
      九月中
六日 浅野セメント会社大株主会(日本工業倶楽部)


浅野超高級セメント株式会社株主書類(DK520072k-0002)
第52巻 p.549 ページ画像

浅野超高級セメント株式会社株主書類(渋沢子爵家所蔵)
大正十五年九月六日午後一時於日本工業倶楽部浅野セメント会社五百株主協議会アリ、全取締役・監査役之ニ渋沢子爵モ加ハラレ列席、浅野社長ハ本会社設置ノ必要ヲ陳ヘ、渋沢子爵ハ浅野セメント会社ガ始メ壱万六千五百円ノ資本ヲ以テ政府ヨリ払下ヲ受ケタル当時ヲ追懐スレハ現今ノ同会社ハ真ニ隔世ノ感アリ、併シ此ノ盛況ハ当会社当局者ノ力ノミニアラス、株主ノ賛助ニ俟タサルヘカラス、豈唯株主ノ協力ノミナランヤ、更ニ社会ノ進展ニ感謝セサルベカラス、本日浅野君ヨリ各位ニ提議シタル当会社ノ設立案ハ、社会ノ進運ニ伴ヒタル計画ナリ、株主各位ハ宜シク之ヲ翼賛シテ成効セシメラルヽ様切望スル旨演説アリ、次キ七氏ノ株主ヨリ種々ノ質問アリシニ対シ金子喜代太氏詳細ニ報答シ、結局全員一致本設立ヲ同意シタリ
  ○右ハ「浅野超高級セメント会社創立趣意書・定款」ノ表紙ニ増田明六ノ記入セル覚書ナリ。明六・敬三・渡辺・白石・鈴木ノ印アリ。


(増田明六)日誌 大正一五年(DK520072k-0003)
第52巻 p.549-550 ページ画像

(増田明六)日誌  大正一五年      (増田正純氏所蔵)
九月六日 月 晴
午後一時日本工業倶楽部ニ於ける超高級セメント会社設立協議会ニ出席す、浅野社長より同社設立の趣旨ニ付き設明あり、渋沢子爵も列席せられ、浅野セメント会社が子爵の保証ニ依りて浅野氏が政府より払下を受けたる当時の状況より説きて現時の盛況ニ及び、真ニ今昔の感ニ堪へす、今日の浅野氏提案も必竟同事業の隆盛ニ外ならす、各位の協賛を与へらるゝ様希望する旨を陳べ、次て浅野社長の現時欧米ニ於ける超高級セメント需供の状況を説きて提案ニ賛成を求め、来会数氏より種々の質問あり、金子取締役之ニ答へ凡て原案を可決したり
○下略
 - 第52巻 p.550 -ページ画像 
  ○栄一日記、是年四月ヨリ十二月迄記事ヲ欠ク。


浅野超高級セメント株式会社株主書類(DK520072k-0004)
第52巻 p.550-553 ページ画像

浅野超高級セメント株式会社株主書類(渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    浅野超高級セメント株式会社 創立趣意書定款
      浅野超高級セメント株式会社創立趣意書
近時欧洲ニ於テ発達シツヽアル高級又ハ超高級セメントハ実ニセメント界ニ一新紀元ヲ劃スルモノナリ、是等セメントハ極メテ短時間ニ高キ強度ヲ発生スルモノニシテ、コンクリート工事ノ期間ヲ著シク短縮シ得ルヲ以テ、交通頻繁ナル市街地ノ道路・橋梁工事、急施ヲ要スル土木建築工事、其他軍事上ノ諸工事ハ多ク之ヲ使用スルニ至レリ、於是該セメントノ製造工業著シク発達シ、独逸ニ於テ一昨年(一九二四年)之カ製造ヲ開始シタル工場拾五、昨年中更ニ増加シテ弐拾参ヲ算シ、全国セメント生産額ノ四分ノ壱ヲ占ムルニ至レリ
セメント界ノ叙上ノ大勢ニ鑑ミ、吾人ハ曩ニ技師ヲ海外ニ派シテ具ニ調査研究ヲ遂ケ、我国ノ原料ヲ送リテ試製ヲ行ヒ、玆ニ技術上経済上ノ確信ヲ得、本会社創立ヲ企劃スルニ至レリ、翻テ我国ニ於ケルセメント需要増加ノ趨勢ヲ見ルニ、近時壱ケ月ノ消費百五拾万樽ヲ超エ、需要ノ増加月々弐拾万樽以上ニ達ス、吾人ハ此ノ新ナル需要ニ対シ超高級セメントヲ以テ之ヲ充サントスルモノニシテ、現在ノ普通セメントト相俟テ広ク一般ノ需要ニ応シ、進ンテ之ヲ海外ニ輸出シ、広ク欧米諸国ノ製品ト輸贏ヲ争ヒ以テ国富ノ増進ニ資セントス、幸ニ各位ノ賛同アランコトヲ冀フ
  大正拾五年 月 日
                  発起人一同

    浅野超高級セメント株式会社設立要項
一、浅野超高級セメント株式会社ノ資本金ヲ五千万円(総株数壱百万株、額面金五拾円)トス
二、浅野セメント株式会社大正拾五年拾月弐拾六日現在ノ株主ニ対シ新旧ヲ通シ其持株五株ニ付参株ノ割合ヲ以テ、右新設会社株式ノ優先引受ヲナサシムルコト
三、右割当株並ニ発起人引受株ノ残余株式ノ割当引受ハ之ヲ発起人ニ一任スルコト
四、引受ナキ株式並ニ第弐項割当端株ノ処分ハ発起人ニ一任スルコト
五、株式申込証弐通及印鑑弐葉ニ記名捺印ノ上第壱回払込金壱株ニ付金拾弐円五拾銭ヲ添ヘ、大正拾五年拾壱月弐拾日迄ニ払込取扱場所ニ提出スルコト
                        以上

      浅野超高級セメント株式会社定款
   第壱章 総則
第壱条 本会社ハ浅野超高級セメント株式会社ト称ス
第弐条 本会社ハ超高級セメントノ製造販売並ニ之ニ附帯スル事業ヲ
 - 第52巻 p.551 -ページ画像 
営ミ、尚是等ノ事業ニ投資ヲナスヲ以テ目的トス
第参条 本会社ハ本店ヲ東京市ニ置キ、必要ニ応シ各地ニ支店・出張所ヲ設クルコトヲ得
第四条 本会社ノ資本金ハ金五千万円トス
第五条 本会社ノ公告ハ東京市ニ於テ発行スル中外商業新報ニ掲載ス
   第弐章 株式
第六条 本会社ノ株式ハ壱百万株トシ、壱株ノ金額ヲ金五拾円トス
第七条 本会社ノ株式ハ記名式トシ、壱株券・拾株券・百株券ノ参種トス
第八条 第弐回以後ノ株金払込ハ、事業ノ必要ニ応シ取締役ノ決議ヲ以テ其ノ払込金額及時期ヲ定メ株主ニ通知ス
第九条 株主払込期日ニ株金ノ払込ヲ為ササル時ハ、其ノ翌日ヨリ払込当日マテ払込金額ニ対シ金百円ニ付壱日金四銭ノ割合ヲ以テ遅延利息及遅延ニ因リテ生シタル費用ヲ本会社ニ支払フヘシ
第拾条 株主又ハ法定代理人ハ株式取得ノ際其ノ住所氏名又ハ名称及印鑑ヲ本会社ニ届出ツヘシ、其ノ変更アリタルトキ亦同シ、但シ氏名・名称又ハ印鑑ヲ変更シタル場合ニ於テハ其ノ事実ヲ証スヘキ書面ヲ添付スヘシ
第拾壱条 前条ノ住所カ郵便到達日数七日以内ノ地域内ニ在ラサルトキハ、右地域内ニ仮住所ヲ定メ届出ツヘシ、若シ其ノ届出ナキトキハ、株主名簿ニ記載シタル住所ニ宛テ発送シタル通知又ハ催告ハ右期間内ニ到達シタルモノト看做ス
第拾弐条 株式ノ名義書換ヲ要スルモノハ本会社所定ノ書式ニ従ヒ請求書ヲ差出スヘシ
  前項ノ請求書ニハ譲受ノ場合ニハ譲渡人トノ連署ヲ要ス、相続遺贈氏名又ハ名称ノ変更其他ノ原因ニ因ル場合ニハ戸籍謄本其他事実ヲ証スヘキ書面ヲ添付スヘシ
第拾参条 株券ノ毀損又ハ分合ニ因リ新券ノ交付ヲ求ムルモノハ本会社所定ノ請求書ニ原券ヲ添ヘテ差出スヘシ
  盗難又ハ亡失ニ因リ新券ノ交付ヲ求ムルモノハ其ノ事由ヲ詳記シ本会社ニ於テ適当ト認ムル弐名以上ノ保証人連署ヲ以テ請求スヘシ、此ノ場合ニ於テハ本会社ハ相当ノ期間ヲ定メ、本人ノ費用ヲ以テ公告シ、故障ノ生セサルコトヲ認メタル後新券ヲ交付ス
第拾四条 株券ノ名義書換ニ付テハ壱枚ニ付金拾銭、新券交付ニ付テハ壱枚ニ付金五拾銭ノ手数料並ニ之ニ附帯シテ生シタル費用ヲ本会社ニ支払フヘシ
第拾五条 本会社ハ毎決算期末日ノ翌日ヨリ定時株主総会終結ノ日マテ及臨時株主総会招集ノ通知発送当日ヨリ該総会終結ノ日マテ株式ノ名義書換ヲ停止ス
  前項ノ外必要ニ依リ公告ヲ以テ一定ノ期間株式ノ名義書換ヲ停止スルコトヲ得
第拾六条 本会社ノ株主ハ日本臣民ニ限ル
   第参章 株主総会
第拾七条 定時株主総会ハ毎年六月及拾弐月ノ弐回之ヲ招集シ、臨時
 - 第52巻 p.552 -ページ画像 
株主総会ハ必要ニ応シ之ヲ開ク
第拾八条 議決権行使ノ場合ニ於ケル株主ノ代理人ハ本会社ノ株主ニ限ル
第拾九条 株主総会ノ議長ハ社長之ニ任シ、社長事故アル時ハ他ノ取締役之ニ当ル、取締役事故アルトキハ出席株主中ヨリ之ヲ選挙ス
第弐拾条 株主総会ノ議事ニ於テ可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス、但シ議長ハ其ノ議決権ヲ行フコトヲ妨ケス
第弐拾壱条 議長ハ必要アリト認メタルトキハ、会議ヲ延期シ又ハ会場ヲ変更スルコトヲ得
   第四章 役員
第弐拾弐条 本会社ノ役員ハ取締役拾名以内、監査役六名以内トシ、取締役並ニ監査役ハ各五百株以上ヲ有スル株主中ヨリ之ヲ選任ス但シ得票同数ナルトキハ抽籖ヲ以テ之ヲ定ム
第弐拾参条 取締役ノ任期ハ満参ケ年、監査役ノ任期ハ満弐ケ年トス但シ補欠当選者ノ任期ハ前任者ノ残期間トシ、増員ノ場合ニハ其ノ任期ヲ現任者ノ残期間トス
  前項ノ任期カ其ノ任期中ノ最終ノ決算期ニ関スル定時株主総会終結前ニ満了スル場合ニハ、其ノ終結ニ至ルマテ之ヲ伸長スルモノトス
第弐拾四条 取締役又ハ監査役ニ欠員ヲ生シタルトキハ補欠選挙ヲ行フ、但シ法定ノ員数ヲ欠カサルトキハ、現任役員ノ協議ヲ以テ之カ選挙ヲ為ササルコトヲ得
第弐拾五条 株主総会ニ於テ取締役中ヨリ社長壱名及専務取締役壱名ヲ選定ス
  社長ハ会社ヲ代表シ業務ヲ総理シ、専務取締役ハ社長ヲ輔佐シテ業務ヲ掌理ス
  取締役中ヨリ互選ヲ以テ常務取締役若干名ヲ置ク事ヲ得
  常務取締役ハ社長・専務取締役ヲ輔佐シ業務ヲ執行ス
第弐拾六条 取締役ハ在任中自己名義ノ本会社株式弐百株ヲ監査役ニ供託スヘシ
  前項ノ株式ハ其ノ取締役退任ノ場合ト雖、其ノ責任解除ヲ経タル後ニアラサレハ之ヲ還付セス
   第五章 計算
第弐拾七条 本会社ハ毎年五月末日及拾壱月末日ノ両度ニ決算ヲ為スモノトス
第弐拾八条 毎期総収入金ヨリ営業上ノ諸経費・諸損失及器械・建物減損金並ニ役員賞与金ヲ控除シタル残額ヲ純益金トス、但シ役員賞与金ハ総収入金ヨリ営業上ノ諸経費及諸損失ヲ差引キタル残額ノ拾分ノ壱以内トス
第弐拾九条 純益金ノ中ヨリ法定積立金トシテ其ノ百分ノ五以上ヲ控除シ、残額ヲ株主ニ配当ス、但シ場合ニ依リ別途積立金及後期繰越金ヲナスコトアルヘシ
第参拾条 前条ノ配当金ハ毎決算期末日現在ノ株主ニ分配スルモノトシ、其ノ支払期日ハ取締役ノ決議ヲ以テ之ヲ通知ス
 - 第52巻 p.553 -ページ画像 
   第六章 附則
第参拾壱条 本会社ノ負担ニ帰スヘキ設立費用ハ金五千円以内トス


浅野超高級セメント株式会社株主書類(DK520072k-0005)
第52巻 p.553 ページ画像

浅野超高級セメント株式会社株主書類(渋沢子爵家所蔵)
    浅野超高級セメント株式会社新設工場、生産高及建設費調

  工場建設個所 一ケ年生産高 樽当建設費               建設資金
 勝峯      二百万樽   百万樽迄三円五十銭百万樽以上二円五十銭 六百万円
 北海道     二百万樽   二円五十銭               五百万円
 川崎      三百万樽   二円五十銭               七百五十万円
 深川      二百万樽   二円五十銭               五百万円
 刈田      五百万樽   二円五十銭               千二百五十万円
 台湾      二百万樽   百万樽迄三円百万樽以上二円五十銭    五百五十万円
 敦賀      三百万樽   百万樽迄三円五十銭百万樽以上二円五十銭 八百五十万円
 計七ケ所    千九百万樽  平均二円六十銭強            五千万円



浅野超高級セメント株式会社株主書類(DK520072k-0006)
第52巻 p.553 ページ画像

浅野超高級セメント株式会社株主書類(渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓 益御清祥奉賀候、陳者曩ニ来拾弐月弐拾参日当会社創立総会開催之旨御通知申上置候処、都合ニ依リ来拾弐月弐拾五日(土曜日)午後壱時東京市麹町区有楽町壱丁目壱番地生命保険会社協会ニ於テ開催ノコトニ変更致、左記目的事項ニ就キ御決議相願度候間御出席被成下度此段御通知申上候 敬具
 追而当日ノ総会議案ハ商法ノ規定ニ依リ、株式引受人ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ヲ引受ケタル者ノ出席決議ヲ要シ候ニ付、御出席難相成候ハヽ別紙委任状ニ御記名御調印ノ上御送付被成下度此段申添候
  大正拾五年拾弐月拾日
              浅野超高級セメント株式会社
                発起人総代 浅野総一郎
    株式引受人各位

      創立総会目的事項
第一、会社創立ニ関スル事項報告ノ件
第二、定款承認ノ件
第三、取締役及監査役並ニ会社ヲ代表スヘキ取締役壱名選任ノ件
第四、商法第百参拾四条ニヨル調査報告ノ件
     以上
  ○欄外ニ委任状発送済ノゴム印ヲ押捺シ、日付欄ニ十二月十八日ヲ記入ス。渋沢同族株式会社社長「敬三」以下捺印アリ。


竜門雑誌 第四六〇号・第七一頁昭和二年一月 青淵先生動静大要(DK520072k-0007)
第52巻 p.553-554 ページ画像

竜門雑誌  第四六〇号・第七一頁昭和二年一月
    青淵先生動静大要
      十二月中
 - 第52巻 p.554 -ページ画像 
十二日 夕刻より風邪の気味にて爾後自邸に引籠り静養せらる
  ○栄一、一月下旬ニ至リテ回復ス。
  ○当会社発起人氏名及ビ其引受株数、並ニ渋沢同族株式会社ノ引受株数左ノ如シ。(「浅野超高級セメント株式会社株主書類」ニ拠ル)
    一、発起人氏名及其引受株数

図表を画像で表示発起人氏名及其引受株数

     浅野総一郎  六万株   阪谷芳郎  二千株     大川平三郎  一万〃   尾高豊作  二千〃     安田善次郎  二千〃   阿部美樹志 二千〃     浅野泰治郎  二千〃   倉田亀吉  二千〃     白石元治郎  二千〃   広井勇   一千〃     渋沢武之助  二千〃   鈴木紋次郎 五百〃     田中栄八郎  二千〃   浅野八郎  五百〃     浅野良三   二千〃   浅野義夫  五百〃     金子喜代太  二千〃   馬杉秀   五百〃     勝精     二千〃   関毅    五百〃     安田善五郎  二千〃 



    一、渋沢同族株式会社ノ引受株数二万一千五百九十株