デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

3章 商工業
10節 化学工業
6款 理化学興業株式会社
■綱文

第53巻 p.179-192(DK530033k) ページ画像

昭和2年7月15日(1927年)

是ヨリ先、栄一、財団法人理化学研究所長大河内正敏等ト共ニ、当会社ノ設立ヲ企画ス。是日、日本工業倶楽部ニ於テ、創立発起会開カレ、栄一出席シテ、当会社設立ノ趣旨ヲ説明ス。席上、栄一、創立委員ノ詮衡ヲ一任セラレ、十六日、大橋新太郎外六名ヲ推挙ス。栄一、爾後開カレタル創立委員会ニ、屡々出席ス。


■資料

理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0001)
第53巻 p.179-181 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類       (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
    理化学興業株式会社設立趣意書
 財団法人理化学研究所は、大正六年三月、帝室御下賜金、国庫補助金並に有志の醵金を以て設立せられ、爾来約十年、此間斯界の権威は身を堵して研究に従事し、純正科学に亦其応用に於て驚嘆すべき実績を挙げ、学界及産業界に貢献せし事多大なるは世間周知の事に属す、現に欧洲の学者にして同所に留学せる者あり、或は理化学研究所の創製に係る精密機械類にして欧米の学者間に賞用さるゝ等、同所が欧米先進国に重きを為すに至りしは実に近来の一大快事と謂ふべし。
 理化学研究所は学術方面に異常の発展を為すと共に、其応用に於ても、既に内国特許一四一件、外国特許三二件を獲得し、此等特許発明の一部は既に工業として成立し、或は成立せんとするもの尠からざるも、同所の事業性質上試験的工業に対し多額の資金を投ずる事を許さざるが故に、産業の開発又は輸出貿易の助成に資する有益なる発明も尚未だ工業化されざるもの多きは、誠に遺憾に堪えざる所なり。
 仍て吾人は同所の研究をして更に盛ならしめ、且発明品の工業化を実施して産業界に寄与せん為、同所の事業を後援する一機関を設立せんことを篤志家に提唱する所以なり。
  昭和二年六月                 発起人

    事業説明書
  一 発明品の事業化
 理化学研究所の発明品にして事業化の見込あるものゝ試験的工業を実施し、之が成功を観たる場合は新会社を設立し、或は会社自ら該業を経営せんとす。
  二 東洋瓦斯試験所事業継承
 東洋瓦斯試験所は過去数ケ年間アドソール利用法に就きて研究し、其応用範囲又自ら定り、試験所としての任務を完了したるやの観あり然も未だ独立的営利会社とするの尚早なるを思はしむるが故に、之を
 - 第53巻 p.180 -ページ画像 
本会社に継承し、益々其健全なる利用法の発達を助成せんとするものなり。
 左にアドソール応用法の現状と将来に対する希望を述べんとす。
    (イ)
 冷房換気装置は、東洋瓦斯就験所に於て稍や完成せられたるの観あり、過去に於ける同所の利益が主として本装置に依りて挙げられたるの実情にありと雖も、本装置の利用法を拡く一般の大建築物或は住宅等に応用するの域に到達せしに非ず、尚仮すに幾多の研究と時日とを以てし、之を低廉なるものとなし、冬期に於ける煖房装置と共に何れの建築物も本装置の応用に依り、夏期冷房による能率増進と人類の福祉に資せんとするものなり。
    (ロ)
 乾燥装置は乾繭に成功したるも、総括的に論じて未だ研究時代を脱せず、海産物・野菜・果実其他の乾燥法の進歩は、一国の進運上等閑に附すべきに非ず、アドソール利用の最大使命又玆に存すと謂むか、故に其応用法の研究は本社の一大事業たらむとす。
    (ハ)
 瓦斯倫回収装置は新潟・秋田・台湾等に於ける天然瓦斯より揮発油を安価に回収するものにして、本邦の如き液体燃料の資源に乏しき邦家にあつては、平時と雖も緊切なるものにして、之れ又アドソール応用の一大研究事項たらずんばあらざるなり。
    (ニ)
 アドソール応用の範囲拡大せられ、各用途に必要なる特種アドソールの製造事業は、其応用と別個の意味に於て、品質の改良と製造原価低下の研究は必要欠く可からざるものなり。
    (ホ)
 是を要するにアドソールの製造及応用の全般に亘つて、前項の目的を達せんが為、之を暫く本会社に包容し、目的を達成し、然る後、アドソール製造及前記三種の応用装置各別に営利会社を創設せんとするものなり。
  三 理化学研究所製品及試作品の販売
 理化学研究所に於ける製作及試作品にして市場に出し得るものゝ販売代理業を営む事。

      目論見書
一、金参百万円也  壱株ニ付金壱千円 総株数 参千株
 一、金九拾万円也  第一回払込金
    用途内訳
   一、金弐拾五万円也  土地・建物・機械・器具・備品・什器其他一般固定資金
   一、金参拾五万円也  東洋瓦斯試験所継承費
   一、金壱万円也    創立費及登記料
   一、金弐拾九万円也  流動資金
    合計 金九拾万円也
 - 第53巻 p.181 -ページ画像 
    収支予算書
     本社は各発明品の事業化に必要なる資金を限定し、総て独立会計を支持せしめ、各種の試作的工業期間の経営に当らしむるが故に、各部に於ける固定資金償却・人件費・広告費・雑費等は本予算書に抱容せず
    収入之部
一、金九万円也  一般発明品試作販売より生ずる利益
一、金八万円也  アドソール応用装置販売及利用より生ずる利益
一、金参万円也  理化学研究所製品及試作品の販売権より生ずる利益
   計 金弐拾万円也
    支出之部
一、金六千円也  事務所賃借料
一、金弐万円也  人件費
一、金弐万円也  諸経費
一、金四千円也  予備費
   計 金五万円也
  差引 利益金
       金拾五万円也 第一年度利益
        (第二年度以後収益は年々増大する見込なり)
    利益処分案
一、九万円也       株主配当(年一割)
一、金七千五百円也    法定積立金
一、金七千五百円也    役員賞与金
一、金弐万弐千五百円也  理研寄附金
一、金壱万八千円也    試験費積立・別途積立金若ハ株主再配当
一、金四千五百円也    後期繰越金
   計 金拾五万円也


竜門雑誌 第四六七号・第一一七頁 昭和二年八月 青淵先生動静大要(DK530033k-0002)
第53巻 p.181 ページ画像

竜門雑誌 第四六七号・第一一七頁 昭和二年八月
    青淵先生動静大要
      七月中
六日 ○上略理化学興業株式会社創立相談会(日本工業倶楽部)
   ○中略。
十五日 理化学興業会社創立協議会(日本工業倶楽部)○下略


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0003)
第53巻 p.181-182 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類 (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓 時下益御多祥奉賀候、陳者今般財団法人理化学研究所に於ける研究の結果を工業化する機関設置の必要を認め、別冊趣意書○前掲ニツキ略スの通り株式会社の設立を計劃致候間、何卒発起人として御賛同被成下度、切に懇願仕候、就ては理化学研究所の現況並に新会社設立計劃等の大要御報告申上度候間、御多用中甚だ御迷惑と存候へ共来る七月十五日午前十一時丸ノ内日本工業倶楽部へ御来駕相煩し度、右御依頼旁
 - 第53巻 p.182 -ページ画像 
得貴意候 敬具
 追て本通知書は左記の諸賢に差上申候間御含置被下度候、猶乍御手数御来否御一報御願申上候
  昭和弐年七月九日
                      大橋新太郎
                   子爵 大河内正敏
                   男爵 阪谷芳郎
                   子爵 渋沢栄一
                   男爵 森村開作
      記

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          (イロハ順)    井阪孝殿《(井坂孝)》  加藤恭平殿    磯村豊太郎殿       田中栄八郎殿    原富太郎殿        団琢磨殿    服部金太郎殿       相馬半治殿    橋本圭三郎殿       根津嘉一郎殿    原邦造殿         内藤久寛殿    大川平三郎殿    男爵 中島久満吉殿《(中島久万吉》    大橋新太郎殿       植村澄三郎殿 子爵 大河内正敏殿       矢野恒太殿    小倉常吉殿        山岡順太郎殿    門野重九郎殿       松本健次郎殿    牧田環殿         湯川寛吉殿 男爵 藤田平太郎殿       三輪善兵衛殿    藤山雷太殿        渋沢敬三殿    藤原銀次郎殿       塩原又策殿    青木菊雄殿     男爵 森村開作殿    浅野泰治郎殿       諸井恒平殿 男爵 阪谷芳郎殿        未延道成殿《(末延道成》    結城豊太郎殿       鈴木三郎助殿 




理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0004)
第53巻 p.182-183 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
(別筆朱書)
供覧 欠席者へ報告状
拝啓 理化学興業株式会社設立計画の儀に就ては過日得貴意候通、昨十五日有志諸氏の御会同を御願申上候処、幸に多数御出席被成下、席上渋沢子爵は会社設立の趣旨に就き、又大河内子爵は事業目論見の大要に就き説明せられたるに、一同本計画に賛同の意を表せられ、設立事務を進捗せしむる為発起人中より委員七名以内を推挙すること、並に其詮衡方を渋沢子爵に一任することを決議せられ候、仍て散会後渋沢子爵は大河内子爵の同意を得て左記の七氏を委員に推挙せられ候間不取敢右御報告申上候、猶本計画の遂行に関しては何卒御尽力の程切に奉懇願候、御報告旁此段得貴意候 敬具
  昭和二年七月十六日
 - 第53巻 p.183 -ページ画像 
    記
 大橋新太郎殿 田中栄八郎殿 植村澄三郎殿 牧田環殿
 青木菊雄殿 結城豊太郎殿 森村開作殿


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0005)
第53巻 p.183 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
(別筆朱書)
供覧 委員会案内状
拝啓 昨日理化学興業株式会社創立発起会開催に際しては御多用中に不拘御差繰御参会被成下奉感謝候、其節御一任相成候創立委員詮衡の儀は大河内子爵の同意を得て貴殿外六氏に御委嘱申上候間、何卒御承諾被成下度偏に奉希上候
就ては設立事務の進捗上御打合申上度儀有之候間、御多忙の折柄御迷惑と存候得共、来る二十日(水曜)午前十一時日本工業倶楽部へ御来駕相煩し度、御願旁右得貴意候 敬具
  昭和二年七月十六日
                     子爵 渋沢栄一

理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0006)
第53巻 p.183-184 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類         (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓 甚暑ノ砌益御健勝奉賀候、陳者先般得貴意候理化学興業株式会社創立ノ件ニ関シテハ去ル二十日日本工業倶楽部ニ創立委員会ヲ開催致候処、委員七名ノ外渋沢・大河内両子爵・阪谷男爵御出席相成、左記の《(ノ)》事項決議相成候間此段御報告申上候 敬具
 追テ当社ノ定款及当社ト理研トノ契約条項ハ、来ル二十七日理化学研究所ニ於テ理事会並ニ評議員会ニ附議セラルヽ由ニ有之候、為念申添候也
  昭和二年七月二十三日   理化学興業株式会社
                    創立事務所
    (宛名手書)
    子爵 渋沢栄一殿
    第一回創立委員会決議事項
一、創立委員長ニ阪谷芳郎男爵ヲ推挙スルコト
二、定款案ノ株数及金額ヲ左ノ通修正スルコト
  第六条   「参千株」ヲ「参万株」ニ、「金壱千円」ヲ「金壱百円」ニ
  第七条   「五株券」ヲ「拾株券」ニ
  第八条   「参百円」ヲ「参拾円」ニ
  第十三条  「壱円」ヲ「五拾銭」ニ、「参拾銭」ヲ「弐拾銭」ニ
  第二十三条及第二十六条 「五株」ヲ「五拾株」ニ
三、第二十条ヲ左ノ通修正
  毎期ノ総収入ヨリ総支出金ヲ控除シ得タル金額ヨリ其百分ノ五以内ヲ理化学研究所ニ対スル第一報償金《(次脱カ)》トシテ支出シ、其残額ヲ利益トス
  前項ノ利益金ヨリ百分ノ五以上ノ法定積立金ヲ積立テ且ツ百分ノ五以内ノ役員賞与金ヲ支出シタル残額ハ、年八分ノ割合ニ至ル迄
 - 第53巻 p.184 -ページ画像 
第一次配当金トシテ之ヲ株主ニ配当スルコトヲ得、年八分ノ利益配当ヲ為シタル後剰余アルトキハ、其剰余ノ三分ノ一ヲ理化学研究所ニ対スル第二次報償金トシテ同所ニ納付シ、其三分ノ一ヲ試験費トシテ積立テ、残額ハ第二次配当金トシテ之ヲ株主ニ配当シ別途積立金トシテ積立テ、又ハ後期繰越金ト為スコトヲ得
      以上


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0007)
第53巻 p.184-185 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類     (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    理化学研究所ト理化学興業株式会社トノ契約条項
第一条 財団法人理化学研究所ヲ甲トシ、理化学興業株式会社ヲ乙トシ、甲乙間ニ左ノ事項ヲ契約ス
第二条 甲ハ甲ノ有スル特許権ノ実施及甲ノ製造スル物品ノ一手販売ヲ乙ニ許諾シ、乙ハ右特許発明ヲ有効ニ実施シ、且甲ノ製造ニ係ル物品ノ販売ニ関シ充分ノ努力ヲ為ス義務ヲ有スルモノトス、但シ特許発明ノ実施又ハ物品ノ一手販売ニシテ既ニ他ニ契約シタルモノハ此限ニ在ラス
第三条 乙ハ前条ノ特許発明ノ実施又ハ製品ノ一手販売ヲ第三者ニ許諾スルヲ有利ナリト認メタルトキハ、甲ノ承認ヲ受ケテ第三者ニ許諾スルコトヲ得ルモノトス
第四条 乙カ甲ノ所有スル特許発明ノ改良ニ係ル新規ノ発明ヲ為シタルトキハ、特許ヲ受クルノ権利ハ甲之ヲ承継ス
第五条 乙ハ毎年六月三十日及十二月三十一日ヲ決算期トシ、総収入金ヨリ総支出金ヲ控除シテ得タル金額ヨリ、甲及乙ノ協議ニ依リ其百分ノ五以内ヲ甲ニ対スル第一報償金《(次脱カ)》トシテ甲ニ納付スルモノトス
第六条 乙ノ利益金処分方法ハ左ノ規定ニ依ルモノトス
    一、利益金中ヨリ百分ノ五以上ノ法定積立金、百分ノ五以内ノ役員賞与金ヲ支払ヒ、其残額ハ年八分ノ割合ニ至ル迄第一次配当金トシテ之ヲ株主ニ配当スルコトヲ得
    二、利益金中ヨリ前項ノ金額ヲ控除シタル残額ノ三分ノ一ヲ甲ニ対スル第二次報償金トシテ甲ニ納付シ、三分ノ二ハ之ヲ第二次配当金トシテ株主ニ配当シ、試験費若ハ別途積立金トシテ積立テ又ハ後期繰越金ト為スコトヲ得
第七条 乙カ甲ニ支払フヘキ報償金ハ、乙ノ決算期後一ケ月内ニ之レカ支払ヲ為スヘキモノトス
第八条 甲ハ何時ニテモ乙ノ事業上若クハ計算上ノ事項ニ付報告ヲ求メ又ハ帳簿物件ヲ検査スルコトヲ得ルモノトス
第九条 左ニ掲クル事項ハ甲ノ承認ヲ受クルモノトス
    一、定款ノ変更
    二、事業計劃及ヒ其変更
    三、株金ノ払込
    四、社債ノ募集
    五、附帯事業ノ経営
 - 第53巻 p.185 -ページ画像 
    六、甲ノ発明考案ニ付工業ヲ実施スル会社又ハ組合等ヘノ投資
    七、役員ノ選任
    八、利益金ノ処分
    九、合併及任意解散
    十、前諸項以外ノ重要事項
第十条 乙カ解散ヲ為シタル場合ニ於テハ、本契約ニ依リ甲カ乙ニ許諾シタル特許発明ノ実施権及製品ノ一手販売権ハ当然消滅スルモノトス
    乙ノ解散ノ場合ニ於ケル残余財産ハ、乙ノ払込株金額ヲ限度トシ各持株ノ割合ニ応シテ株主ニ分配シ、尚残余財産アルトキハ其ノ二分ノ一ハ株主ニ分配シ、残余ハ甲ニ納付スルモノトス
第十一条 乙カ本契約ノ条項ニ違背シタルトキハ、甲ハ将来ニ向テ本契約ヲ解除スルコトヲ得ルモノトス
第十二条 本契約書ハ原本弐通ヲ作成シ、甲及乙ニ於テ各壱通ヲ保有スルモノトス


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0008)
第53巻 p.185 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類       (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓 来ル八月一日午前十一時日本工業倶楽部ニ於テ第二回創立委員会開催致候間、甚暑之折柄御迷惑ト存候得共何卒御出席相煩シ度、此段得貴意候 敬具
  昭和二年七月二十七日
           理化学興業株式会社
              創立委員長 男爵阪谷芳郎
    (宛名手書)
    子爵 渋沢栄一殿


竜門雑誌 第四六八号・第八七頁 昭和二年九月 青淵先生動静大要(DK530033k-0009)
第53巻 p.185 ページ画像

竜門雑誌 第四六八号・第八七頁 昭和二年九月
    青淵先生動静大要
      八月中
一日 理化学興業会社創立協議会(日本工業倶楽部)


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0010)
第53巻 p.185-186 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓 甚暑ノ砌ニ御座候処益御健勝奉賀候、陳者予テ得貴意候理化学興業株式会社設立《*》ノ件ハ、財団法人理化学研究所ニ於テ理事会並ニ評議員会ニ附議セラレ候処、幸ニ設立ノ趣旨ニ御賛同相成全会一致定款並ニ同所トノ契約条項ヲ承認セラレ候ニ付、不取敢発起人諸君ノ株数御決定御願申度候間、甚タ御手数ニ存候ヘ共別紙株式引受証○後掲ニツキ略スニ夫々御記入ノ上折返シ御送付相煩シ度候、猶設立事務ノ進捗ヲ図ル為委任状ヲ以テ万事ヲ処理致度候間、乍勝手別紙委任状○後掲ニツキ略スヘ御記名捺印被成下度、右御依頼申上候 敬具
 追テ発起人トシテノ引受数ハ大体弐・参百株位ニ止メ置度候間、右
 - 第53巻 p.186 -ページ画像 
御含ノ上可然御取計被下度仍テ多数御希望ニ候ハヽ其旨御内報被下候様御願申上候、為念右申添候也
  昭和二年八月 日
          理化学興業株式会社
             創立委員長 男爵阪谷芳郎
    (宛名手書)
    渋沢敬三殿
*欄外記事
 本件子爵ニ御尋シタルニ
  一 渋沢敬三氏ヲ発起人ニナスコト
  一 株式ハ三百株引受ルコト
 トシテ重役会ニ協議決定セヨトノコトナリシ 二、八、一一


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0011)
第53巻 p.186 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
拝啓 残暑ノ砌ニ御座候処益御多詳奉賀候《(祥)》、陳者新会社発起人引受株ハ昨日ヲ以テ大体纏リ候ニ付右御報告旁株式募集方等御協議申上度候間、御多用中御迷惑ト存候得共来ル九月三日正午日本工業倶楽部ニ御来駕相煩シ度、右得貴意候 敬具
  昭和二年八月三十一日
           理化学興業株式会社
              創立委員長 男爵阪谷芳郎
    (宛名手書)
    子爵 渋沢栄一殿


竜門雑誌 第四六九号・第一〇一頁 昭和二年一〇月 青淵先生動静大要(DK530033k-0012)
第53巻 p.186 ページ画像

竜門雑誌 第四六九号・第一〇一頁 昭和二年一〇月
    青淵先生動静大要
      九月中
三日 理化学興業会社の件(日本工業倶楽部)
   ○中略。
廿九日 理化学興業会社の件(日本工業倶楽部)○下略


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0013)
第53巻 p.186-187 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓 時下益御多祥奉賀候、陳者当社発起人引受株ハ総数八千八百五十株ト確定致候ニ付右報告旁株式募集方法等ヲ協議スル為、去ル三日創立委員会ヲ開催致候処、委員八名、渋沢・大河内両子爵御出席ノ上左記ノ事項決議相成候間、此段御報告申上候 敬具
  昭和二年九月六日
               理化学興業株式会社創立事務所
    (宛名手書)
    子爵 渋沢栄一殿
      記
一、株式募集要項
  (イ)募集株数   壱万六千百五十株(総株数三万株ノ内理化学研究所引受数五千株、発起人引受数八千八百五十株ヲ控除シタルモノ)
  (ロ)募入方法   申込高超過ノ場合其他割当方法ハ発起人ニ一任ノコト
 - 第53巻 p.187 -ページ画像 
  (ハ)申込株数   一口拾株以上
  (ニ)申込期間   来ル九月十日ヨリ九月二十五日迄
  (ホ)申込場所   東京市 三井・三菱・第一・安田、大阪市住友各銀行本店
  (ヘ)申込証拠金  額面金壱百円ニ対シ金五円、但シ募入ノ上ハ第一回払込金ニ充当
  (ト)第一回払込金 額面金壱百円ニ対シ金参拾円、十月中旬払込ノ予定
二、定款第三条本文ニ「但シ特ニ官署ノ許可ヲ要スルモノヲ除ク」ト附記スルコト
  右ハ区裁判所登記所ノ注意ニ依ルモノニシテ、当社ノ業務ハ其範囲頗ル広汎ニシテ一々業務ノ名称ヲ記載シ能ハサルモ、仮令火薬製造業ノ如キ官署ノ許可ヲ要スルモノハ設立登記ニ際シ其免許証ヲ提示スル必要アルカ故ニ有之候
  仍テ他日特ニ官署ノ許可ヲ要スル業務ヲ営ム場合ハ、其免許証ヲ提示シテ追加登記スル儀ニ有之候


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0014)
第53巻 p.187 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
拝啓 当社創立発起人引受株数未定ノ分ハ昨日ヲ以テ左ノ通確定致候間此段御報告申上候 敬具
       二〇〇 男爵 中島久万吉殿
       三〇〇    浅野泰治郎殿
  昭和二年九月六日
                         (水谷)
            理化学興業株式会社創立事務所(印)
    (宛名手書)
    渋沢子爵殿
 備考
   発起人引受総数 八、八五〇
   理研引受数 五、〇〇〇
   一般募集数 一六、一五〇


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0015)
第53巻 p.187-188 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    発起人ノ引受ケタル株式ノ数及其氏名住所左ノ如シ
                      (イロハ順)
弐〇〇    井坂孝   東京市麻布区富士見町拾七番地
弐〇〇    磯村豊太郎 東京市芝区高輪南町参拾番地
参〇〇    服部金太郎 東京市京橋区銀座四丁目八番地
弐〇〇    原富太郎  横浜市弁天通参丁目五拾番地
参〇〇    原邦造   東京府荏原郡品川町大字北品川宿参百弐拾五番地
壱五〇    橋本圭三郎 東京府豊多摩郡大久保町大字西大久保参百五拾参番地
参〇〇    大川平三郎 東京府北豊島郡滝野川町大字中里参百六拾七番地
参〇〇    大橋新太郎 東京市麹町区上六番町四拾参番地
参〇〇 子爵 大河内正敏 東京市下谷区谷中清水町壱番地
参〇〇    小倉常吉  東京市日本橋区小舟町弐丁目弐番地
 - 第53巻 p.188 -ページ画像 
弐〇〇    門野重九郎 東京市赤坂区新坂町参拾番地
参〇〇    田中栄八郎 東京市本郷区根津宮永町参拾六番地
参〇〇    団琢磨   東京府豊多摩郡千駄ケ谷原宿参百四拾四番地
参〇〇    相馬半治  東京市芝区伊皿子町五拾弐番地
参〇〇    根津嘉一郎 東京市赤坂区青山南町六丁目百拾五番地
壱〇〇    内藤久寛  東京市麻布町材木町参拾六番地《(区)》
弐〇〇 男爵 中島久万吉 東京市牛込区薬王子町四拾参番地《(寺)》
弐〇〇    植村澄三郎 東京市赤坂区表町四丁目四番地
壱〇〇    矢野恒太  東京府荏原郡入新井町大字新井宿千参百参拾七番地
参〇〇    山岡順太郎 大阪市住吉区天王寺百九拾四番地
弐〇〇    松本健次郎 戸畑市大字中原千七拾壱番地
弐〇〇    牧田環   東京市麻布区北日ケ窪町四拾参番地
弐〇〇 男爵 藤田平太郎 大阪市北区網島町四拾番地
参〇〇    藤山雷太  東京市芝区白金今里町拾四番地
弐〇〇    青木菊雄  東京府荏原郡大井町参千百六拾九番地
参〇〇    浅野泰治郎 東京市芝区田町五丁目拾六番地
壱〇〇 男爵 阪谷芳郎  東京市小石川区原町百弐拾六番地
参〇〇    結城豊太郎 東京市麻布区永坂町六拾壱番地
参〇〇    湯川寛吉  兵庫県武庫郡本庄村深江百拾六番地
参〇〇    三輪善兵衛 東京市下谷区二長町五拾壱番地
参〇〇    渋沢敬三  東京市芝区三田綱町拾番地
弐〇〇    塩原又策  東京市日本橋区室町参丁目拾番地
参〇〇 男爵 森村開作  東京市芝区高輪南町参拾参番地
弐〇〇    諸井恒平  東京市本郷区真砂町拾七番地
参〇〇    末延道成  東京市麻布区鳥居坂町五番地
参〇〇    鈴木三郎助 東京市京橋区南伝馬町壱丁目拾弐番地


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0016)
第53巻 p.188 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類       (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓 残暑之砌ニ御座候処益御清栄奉賀候、陳者今般財団法人理化学研究所ノ事業ヲ後援スル為同所ト契約ノ下ニ同所発明品ノ工業化並之ニ附帯スル業務ヲ営ムヘク資本金参百万円ノ株式会社ヲ新設致候間、左記募集要項御承引ノ上株式御申込被下度、別紙定款・理化学研究所トノ契約条項及株式申込書類同封此段得貴意候 敬具
  昭和二年九月八日
           理化学興業株式会社
              創立委員長 男爵阪谷芳郎
    募集要項○上掲ニツキ略ス
   ○同封書類別掲ニツキ略ス。


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0017)
第53巻 p.188-189 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
(控) 渋沢同族株式会社
    理化学興業株式会社
      設立発起人御中
 - 第53巻 p.189 -ページ画像 
拝啓 陳者渋沢敬三殿左記書類調印の上、乍延引玆許加封御送附申上候間、可然御取計被下度、此段得貴意候 敬具
  昭和二年九月十三日
   一会社設立発起人委任状 壱通
   一右   同株式引受証 弐通
          以上     (別筆朱筆)
                     書留


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0018)
第53巻 p.189 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
(写)
(朱書)
参銭収入印紙
  実印
        株式引受証 注意(弐通作成ノコト)

一、理化学興業株式会社株式参拾株《(百)》
  此株式総金額金参万円也(但壱株金壱百円ノ割)
右会社設立発起人トシテ前記株式引受候也
  昭和弐年 月 日
           住所 東京市芝区三田綱町拾番地
                     (朱書)
                渋沢敬三 実印
    理化学興業株式会社設立発起人
                 御中
                   九月拾参日提出済


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0019)
第53巻 p.189 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
(写)
(朱書)
弐銭収入印紙
  実印
        代理委任状

拙者儀 ヲ以テ代理人ニ選任シ左ノ権限ノ事項ヲ委任ス
一、拙者ニ於テ今般創立スヘキ「理化学興業株式会社」ノ設立発起人タルコトヲ承諾シタルニ因リ該会社定款ニ記名調印ヲ為スノ件
一、並ニ右会社設立発起人トシテ為スベキ創立事項ニ関スル一切ノ行為及創立総会ニ於ケル事項且ツ其終結ニ至ル迄之ニ関スル総テノ行為ヲ為スノ件
一、代理人ノ都合ニ依リ復代理人ノ選任ヲ為スノ件
右代理委任状依テ如件
  昭和弐年 月 日
          住所 東京市芝区三田綱町拾番地
                     (朱書)
                渋沢敬三 実印

    理化学興業株式会社設立発起人
                  九月拾参日提出済


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0020)
第53巻 p.189-190 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類        (渋沢子爵家所蔵)
 - 第53巻 p.190 -ページ画像 
(謄写版)
拝啓 陳者当社株式申込状況御報告旁々株式割当等ノ儀ニ付御協議申上度候間、御多用中恐入候得共明後二十九日(木曜日)午前十一時半日本工業倶楽部ニ御来駕相煩度、右得貴意候 敬具
  昭和二年九月二十七日
           理化学興業株式会社
              創立委員長 男爵 阪谷芳郎
    (宛名手書)
    子爵 渋沢栄一殿


竜門雑誌 第四七〇号・第九一頁 昭和二年一一月 青淵先生動静大要(DK530033k-0021)
第53巻 p.190 ページ画像

竜門雑誌 第四七〇号・第九一頁 昭和二年一一月
    青淵先生動静大要
      十月中
八日 理化学興業会社の件(日本工業倶楽部)○下略

理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0022)
第53巻 p.190 ページ画像

理化学興業株式会社書類 (渋沢子爵家所蔵)
拝啓 過日委員会に於て御相談有之候三井・三菱御両家の御引受株数の儀は、予定の通御両家共壱千株と御決定相成候旨本日御通知相受候間、不取敢御報告申上候 敬具
  昭和二年十月一日
          (ゴム印)
          東京市本郷区上富士前町卅一番地
            財団法人理化学研究所内
                          (水谷)
             理化学興業株式会社創立事務所(印)
    子爵 渋沢栄一殿


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0023)
第53巻 p.190 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
拝啓 過日ハ失礼仕候、却説本日別記の通、委員会の召集状発送仕候ニ付、若し閣下に於て御差支無御座候ハヽ、御臨席被成下候様御願申上候 敬具
  昭和二年十月七日
                      水谷清
    渋沢事務所
         御中
(別記、謄写版)
拝啓 当社株式割当並に第一回払込期日取極めの為委員会相開き度候間、甚だ御迷惑と存候得共明八日午前十時工業倶楽部に御来駕相煩し度、右得貴意候 敬具
 追て短時間にて議了可致と存候に付可成御繰合御願申上候
  昭和二年十月七日
            理化学興業株式会社創立事務所
                委員長 男爵阪谷芳郎


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0024)
第53巻 p.190-191 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓 愈々御清栄奉賀候、陳者予テ縁故ノ方々ヨリ募集致候当社株式
 - 第53巻 p.191 -ページ画像 
ハ申込意外ニ多数ニ達シ候ニ付、已ムヲ得ズ一部ヲ削減シ別紙○略スノ通割当致候、猶第一回払込期日ヲ来ル十月二十一日ヨリ同月三十一日迄ト相定メ候間、右御了承相成度、此段御報告申上候 敬具
  昭和二年十月十一日
             理化学興業株式会社創立事務所
               委員長 男爵 阪谷芳郎
    (宛名手書)
    渋沢敬三殿


竜門雑誌 第四七一号・第九五頁 昭和二年一二月 青淵先生動静大要(DK530033k-0025)
第53巻 p.191 ページ画像

竜門雑誌 第四七一号・第九五頁 昭和二年一二月
    青淵先生動静大要
      十一月中
五日 理化学興業会社相談会(日本工業倶楽部)

理化学興業株式会社書類(DK530033k-0026)
第53巻 p.191 ページ画像

理化学興業株式会社書類        (渋沢子爵家所蔵)
(謄写版)
拝啓 当社株式第一回払込終了ニ付、右御報告旁創立総会会議事項等御協議ノ為委員会相開キ度候間、明五日(土曜日)正午日本工業倶楽部ニ御来駕相願度、右得貴意候 敬具
  昭和弐年拾壱月四日
              理化学興業株式会社創立事務所
                委員長 男爵阪谷芳郎
    (宛名手書)
    子爵 渋沢栄一殿


理化学興業株式会社株主書類(DK530033k-0027)
第53巻 p.191-192 ページ画像

理化学興業株式会社株主書類      (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    創立総会御通知 (御出席ノ際本通知書御持参願上候)
拝啓 陳者来ル十一月二十五日(金曜日)午前十時東京市丸ノ内日本工業倶楽部ニ於テ当社創立総会ヲ開催シ、左記会議ノ目的タル事項ヲ附議可致候ニ付御出席被下度、此段御通知申上候 敬具
  昭和弐年拾壱月八日
           東京市本郷区上富士前町卅一番地
              (財団法人理化学研究所内)
            理化学興業株式会社創立委員長 男爵阪谷芳郎
    (宛名手書)
    渋沢敬三殿
                (別筆)
      記          十一月十七日委任状発送済
一、創立ニ関スル事項報告ノ件
二、取締役及監査役選任ノ件
三、商法第百参拾四条規定事項調査報告ノ件
四、取締役及監査役カ受クヘキ報酬ヲ定ムル件
追テ創立総会ハ総株式引受人ノ半数以上ニシテ資本ノ半額以上ヲ引受ケタル株式引受人出席スルニ非サレハ成立不致候ニ付、当日御出席相成難キ節ハ、当日出席ノ引受人中ニテ代理人選任方取計可申候間、同封委任状ニ御記名御捺印(予テ御提出ノ印鑑ニ依リ)ノ上御送附被下度候也
 - 第53巻 p.192 -ページ画像 
   ○財団法人理化学研究所トノ関係ニ付テハ、本資料第四十七巻所収「財団法人理化学研究所」昭和二年六月十五日及ビ昭和三年一月二十四日ノ条参照