デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和2年6月10日（1927年）

是日栄一、来日中ノフランス共和国シュナイダー会社技師デュメイン及ビ仏国通商会社関係者等ヲ、飛鳥山邸ニ招待シテ、茶会ヲ開ク。

（増田明六）日誌　　昭和二年　　　　　　　（増田正純氏所蔵）
六月十日　金　晴　　　　　　　　　　　　　　　　　出勤
午後三時飛鳥山邸ニて、子爵主催の仏国シユナイダー会社派遣の技師Dumain招待茶会があつた、陪賓として門野重九郎・山田馬次郎・藤山愛一郎・溝口忠亮伯・大倉直介、其他大倉商業会社及仏国通商会
 - 第54巻 p.19 -ページ画像 
社関係者来会、主人側子爵・渋沢武之助・増田明六・小畑久五郎で合計拾六名であつた、青淵文庫で待合ひ、晩香廬で茶菓を饗し、客主共ニ歓を尽して五時終了
　デユメイン氏ハ、日本の陸軍で仏国通商会社を通して注文した大砲の試発ニ立合ふべく、シユナイダー会社より派遣さ《（せ）》られ《（た脱）》のである
○下略
　　○中略。
六月三十日　木　晴　　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
此日の来訪者の重なるもの
○中略
2山田馬次郎氏　仏国通商会社関係職員嘱託員等の季末手当支給額ニ付て協議の為めであつたが、各員の働きハ一ニ氏の指導ニ依るのであるから、同氏ニ於て可然決定を請ふの外無く、又其決定ニ付てハ全然異議無き旨を答へて置いた
○下略
　　○中略。
九月廿二日　木　晴　　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
仏国通商会社の件
同社業務担当の山田馬次郎氏来訪ニて、同業務の状態ニ付き報告があつた、同氏ハ一ケ月又ハ二ケ月毎ニ必す来訪して業務の報告を為すを例とせられる、誠ニ敬服の至である
　　○中略。
十一月八日　火　曇　　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
本日の来訪者
1山田馬次郎氏　仏国通商会社本季決算の件
○下略
　　○中略。
十一月十八日　金　晴　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
本日ハ不思議な程多数の来訪者ニ接した
○中略
7脇道誉氏　仏国通商会社決算の件
○下略
　　○中略。
十一月廿四日　木　晴　　　　　　　　　　　　　　　出勤
午後一時大倉組ニ於ける仏国通商会社重役会ニ出席、来卅日開会の同社株主総会ニ提出する決算書類を承認し、又同社と大倉商事会社との商取引ニ関し報酬歩合ニ関する覚書をも承認した
○下略
　　○中略。
十一月三十日　水　曇　　　　　　　　　　　　　　　出勤
 - 第54巻 p.20 -ページ画像 
○上略
午後二時、大倉組で開会せられた仏国通商会社第五回定時総会ニ出席した
　議案は半期間の諸決算書の承認、之を原案の通承認し、損益金処分ニ就てハ利益金参万余円を以て前期繰越損失金を補塡し、差引金弐万余円の損失金を繰越す事ニ決した
　次ニ監査役門野重九郎氏任期満了改選の件ハ重任と決し、同氏之を承諾した
　　○中略。
十二月廿三日　金　降雨　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
本日の来訪者
○中略
3渡辺穎吉君　仏国通商会社重役ニ季末車代として金百円位宛贈与する事如何との事であつた、未た利益も挙け得さる今日其必要無く思ふも、去り迚堅強に之を主張するものニあらすと答へて置いた
○下略

（増田明六）日誌　　昭和三年　　　　　　（増田正純氏所蔵）
四月十四日　土　晴　　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
本日の来訪者
○中略
3渡辺穎吉氏　仏国通商会社の件
○下略
　　○中略。
五月廿三日　水　晴　　　　　　　　　　　　　　　　出勤
後二時、大倉組に於ける仏国通商会社重役会に出席、昨年下季決算書類の承認を為した
○下略
　　○中略。
五月三十日　水　晴　　　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
午後二時、大倉組ニ於ける日仏通商会社の総会に出席した
○下略
　　○中略。
七月十二日　木　晴　　　　　　　　　　　　　　　　出勤
○上略
本日の来訪者
1林一夫氏　仏国通商会社々員で近日仏国に出張員として出張するので、其暇乞の為めであつた、依て同会社の組織が他株式会社と少しく相違ある点を述へ、日仏通商の親善の為に特ニ努力を請ふ旨を希望した
2渡辺穎吉氏　林一夫氏案内の為め
 - 第54巻 p.21 -ページ画像 
○下略
　　○中略。
九月十四日　金　晴　　　　　　　　　　　　　　　　出勤
今日の来訪者
1山田馬次郎氏　仏国通商会社営業の景況報告の為めと、同社ニて渋沢子爵米寿祝賀をしたいが其方法に付き聞きたいとの事であつた
○下略