デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正7年6月（1918年）

先ニ栄一・渡辺嘉一等ニヨリ企画セラレタル当会社、是月東洋電機製造株式会社トシテ設立セラル。渋沢同族株式会社、株主トナル。

東洋電機製造株式会社書類　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　設立大正七年六月、資本金参百万円、
　　一株五拾円、払込高七拾五万円
　　　　　社長　　　　渡辺嘉一
　　　　　取締役　　　朝比奈林之助
　　　　　同　　　　　玉木弁太郎
　　　　　同　　　　　武和三郎
　　　　　同　　　　　井阪孝
　　　　　同　　　　　山脇正吉
　　　　　同　　　　　W・M・ブース
　　　　　監査役　　　若尾璋八
　　　　　同　　　　　近藤賢二
　　　　　同　　　　　中村静嘉
　　　　　相談役　　　和田豊治
　　　　　　庶務課長　　岡本善夫
　　　　　　会計課長　　三田藤二
　　　　　　調度課長　　野村太郎
　　　　　　工務課長　　上遠野亮三

東洋電機製造株式会社定款　　第一―六頁大正七年一月刊
　　　　東洋電機製造株式会社定款
　　　　　第一章　総則
第一条　　　本会社ノ営業目的ハ左ノ如シ
　　　　　　一、電車用其他一般ノ電気機械及器具類ノ製作・販売、並ニ其輸出入業
　　　　　　二、前項ニ附帯スル一切ノ業務
第二条　　　本会社ハ東洋電機製造株式会社ト称シ、本店ヲ東京市ニ置ク
　　　　　　　但取締役ノ決議ヲ以テ便宜ノ地ニ支店又ハ出張所ヲ置クコトヲ得
第三条　　　本会社ノ資本総額ハ金弐百万円トス
第四条　　　本会社ノ存立期間ハ会社成立ノ日ヨリ満参拾箇年トス
　　　　　　前項ノ期間ハ株主総会ノ決議ヲ以テ延長スルコトヲ得
 - 第54巻 p.52 -ページ画像 
第五条　　　本会社ノ公告ハ東京市ニ於テ発行スル中外商業新報ニ掲載ス
　　　　　第二章　株式及株主
第六条　　　本会社ノ株式ハ記名式ニシテ、之ヲ四万株ニ分チ、株券ハ壱株券・拾株券及五拾株券ノ参種ニ分チ、壱株ノ金額ヲ金五拾円トス
第七条　　　株主ニシテ其名義ニ係ハル株数ノ一部分ニ対シテノミ払込ヲナストキハ、其ノ払込ヲナスベキ株式ノ株券番号ヲ指定スベシ、若シ之ヲ指定セザルトキハ本会社ニ於テ適宜之ヲ指定スベシ
第八条　　　株式ヲ譲受ケタルモノハ、本会社所定ノ名義書換請求書ニ記名捺印ノ上、株券ヲ添ヘテ、之ガ名義ノ書換ヲ請求スベシ
　　　　　　相続又ハ遺贈ニヨリ株式ヲ取得シタルモノハ、其ノ事実ヲ証スベキ書類ヲ名義書換請求書ニ添付シ、又裁判ノ結果ニ依リ取得シタルモノハ、判決ノ謄本ヲ添付スベシ
第九条　　　株式名義ノ書換ハ株主名簿ニ株式移転ノ登録ヲナシ、株券裏面ニ移転ノ年月日ヲ記入割印シ、取締役記名捺印シテ之ヲ証ス
第十条　　　株式名義ノ書換ハ毎年十二月一日ヨリ及六月一日ヨリ其月ニ開会スル定時株主総会終了ノ日迄、及臨時株主総会招集ノ通知ヲ発シタル日ヨリ該総会終了ノ日マデ之ヲ停止スルコトヲ得
第十一条　　株券ヲ汚損シタルトキハ、請求ニヨリ新ナル株券ト交換スベシ
　　　　　　喪失又ハ滅失ノ時ハ保証人連署ノ保証書ヲ提出スベシ、会社ハ之ニ対シ調査ヲナシ、又ハ其証明ヲ要求スルコトヲ得
第十二条　　株式名義書換ノ手数料ハ株券壱枚ニ付金拾銭トシ、新規株券交付ノ手数料ハ株券壱枚ニ付キ金弐拾五銭トス
第十三条　　株主ハ其氏名住所及印鑑ヲ当会社ニ届出ヅベシ、之ヲ変更シタルトキ亦同ジ、但シ無能力者ハ其法定代理人前項ノ手続ヲナスベシ
第十四条　　外国ニ居住スル株主ハ、日本帝国内ニ仮住所ヲ定メ之ヲ会社ニ届出ヅベシ、若シ其ノ届出ヲ怠リタルトキハ、会社ハ諸般ノ通知ニ対シ其ノ責ニ任ゼザルモノトス
　　　　　第三章　株主総会
第十五条　　株主総会ヲ分チ定時及ビ臨時総会ノ二種トス
第十六条　　定時総会ハ毎年六月及ビ十二月ニ招集シ、臨時総会ハ必要ニ因リ臨時之ヲ招集ス
第十七条　　株主ハ他ノ出席株主ニ委任シテ、其ノ議決権ヲ行フコトヲ得
第十八条　　株主総会ノ議長ハ社長之ニ任ズ、社長事故アルトキハ他ノ取締役之ヲ代理シ、取締役総テ事故アルトキハ、商法
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ニ特別ニ規定アル場合ノ外出席株主中ヨリ選任ス
第十九条　　株主総会ノ議事ハ、商法ニ特別ノ規定アル場合ノ外、出席株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ決シ、可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス、但シ議長ハ其ノ議決権ノ行使ヲ妨ゲズ
第二十条　　株主総会ノ議事ハ其概要ヲ議事録ニ摘載シ、議長及ビ出席株主弐名以上捺印シテ之ヲ保存ス
　　　　　第四章　株金払込
第二十一条　株金ノ払込ハ第壱回払込ヲ金拾弐円五拾銭トシ、以後ノ払込金額及期日ハ必要ニ応ジ取締役ノ決議ニヨリ之ヲ決定通知スルモノトス
第二十二条　株主ガ株金ノ払込ヲ延滞シタルトキハ、払込金額百円ニ付キ壱日金四銭ノ延滞利息ヲ徴収シ、尚商法ノ規定ニ依リ処分スベシ
　　　　　第五章　役員
第二十三条　本会社ハ株主総会ニ於テ取締役七名以内、監査役参名以内ヲ選挙シ、社務ヲ執行セシム
第二十四条　取締役及ビ監査役ノ所有スベキ株式数ハ、壱百株以上トス
第二十五条　取締役ノ任期ハ参箇年トシ、監査役ノ任期ハ弐箇年トス但シ補欠選任セラレタル取締役及ビ監査役ノ任期ハ前任者ノ残期間トシ、又増員選任ニヨル当選者ノ任期ハ他ノ同職者ノ現任期間トス
　　　　　　前項ノ任期ガ定時総会以前ニ終了シタルトキハ、之ヲ其定時総会終了迄延長スルコトヲ得
第二十六条　取締役及ビ監査役ニ欠員ヲ生ズルモ、商法ノ規定ニ違反セズ、且ツ会社業務ニ差支ナキトキハ、取締役ノ決議ヲ以テ次ノ総会迄補欠選挙ヲ延期シ、又ハ之ガ選任ヲ為サザルコトヲ得
第二十七条　取締役ハ各自所有株式壱百株ヲ監査役ニ供託スベシ
　　　　　　前項ノ株式ハ退任後ト雖モ、其期定時株主総会ニ於テ在任中ノ計算報告ヲ承認シタル後ニ非ザレバ返還セズ
第二十八条　取締役ハ互選ヲ以テ社長壱名及常務取締役若干名ヲ選任スルコトヲ得
　　　　　　社長ハ会社ヲ代表シ、株主総会及ビ取締役ノ決議ニ基キ社務執行ノ責ニ任ズ
　　　　　　常務取締役ハ社長ヲ補佐シ社務ヲ処理シ、社長事故アルトキハ之ガ代理ヲナス
　　　　　　取締役ノ決議ニヨリ顧問又ハ相談役ヲ置クコトヲ得
　　　　　第六章　計算
第二十九条　本会社ノ決算期ハ毎年十二月一日ヨリ五月三十一日マデ六月一日ヨリ十一月三十日マデノ二期トス
第三十条　　本会社ハ毎決算期ノ総収入金ヨリ営業上一切ノ費用・損失及諸償却金ヲ控除シタル残金ヲ純益金トシテ、左ノ割
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合ニヨリ分配シ、之ヲ其期末日現在ノ株主ニ配当ス
　　　　　　　法定積立金　純益金ノ百分ノ五以上
　　　　　　　役員賞与金　同　　　百分ノ拾以内
　　　　　　　別途積立金　同　　　若干
　　　　　　　株主配当金　同　　　若干
　　　　　　　後期繰越金　同　　　若干
第三十一条　別途積立金ハ事業拡張費、固定財産ノ減価償却、諸機械建物ノ修繕、及ビ欠損金ノ補塡、又ハ株主総会ノ決議ニヨリ利益金配当ノ補充ニ充ツルコトヲ得
第三十二条　株主ガ五箇年ヲ経ルモ配当金ヲ受取ラザルトキハ会社ノ所得トス
　　大正七年一月五日

東洋電機製造株式会社株主書類
（印刷物）　　　　　　　　　　　　（書入）
　　　　　　　　　　　　　　　　　［昭和五年八月改正
　　　　定款改正要目
第一条ヲ左ノ通リ改正
　　　本会社ノ営業目的ハ左ノ知シ
　　　一、各種機械器具・電車・電気機関車、其他一般鉄道並ニ事輛用品ノ製作・修理・販売及其ノ輸出入業
　　　二、電気鉄道軌道ノ設計、出願手続ノ代弁、工事監督並ニ請負業
　　　三、前項ニ附帯スル一切ノ業務
　　　　現行条項○前掲ニツキ略ス
第八条第二項ヲ左ノ通リ改正
　　　相続・遺贈、其他法律上ノ手続ニヨリ株式ヲ取得シタルモノハ其事実ヲ証スベキ書類ヲ名義書換請求書ニ添付シ、又裁判ノ結果ニヨリ取得シタルモノハ判決ノ謄本ヲ添付スベシ
　　　　現行条項○前掲ニツキ略ス
第十一条第二項ヲ左ノ通リ改正
　　　喪失又ハ滅失ノ時ハ保証人連署ノ保証書ヲ提出スベシ、会社ハ請求者ノ費用ヲ以テ其旨ヲ公告シ、参拾日以内ニ其権利ヲ主張スルモノナキ時ハ新券ヲ発行スルモノトス
　　　　現行条項○前掲ニツキ略ス
第十四条ヲ左ノ通リ改正
　　　外国ニ居住スル株主ハ、日本帝国内ニ仮住所ヲ定メ又ハ代理人ヲ置キ、双方連署ヲ以テ之ヲ会社ニ届出ヅベシ、若シ其ノ届出ヲ怠リタルトキハ、会社ハ諸般ノ通知ニ対シ其ノ責ニ任ゼザルモノトス
　　　　現行条項○前掲ニツキ略ス
第三十一条ヲ左ノ通リ改正
　　　別途積立金ハ事業拡張費、固定財産ノ減価償却、諸機械建物ノ修繕、及ビ欠損金ノ補塡、及株主配当金ノ補足、其他必要ノ場合ニ於テ、取締役会ノ決議ニ依リ之ヲ支出スルモノトス
 - 第54巻 p.55 -ページ画像 
　　　　現行条項○前掲ニツキ略ス
第三十二条ヲ左ノ通リ改正
　　　株主ガ其ノ支払ノ日ヨリ五箇年ヲ経ルモ配当金ヲ受取ラザルトキハ会社ノ所得トス
　　　　現行条項○前掲ニツキ略ス
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上

東洋電機製造株式会社株主書類　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
拝啓
陳者本月二十七日当会社第十一回定時株主総会ニ於テ営業報告書・貸借対照表・財産目録・損益計算書及損益金処分別冊ノ通リ承認相成候間此段御通知申上候　敬具
　　大正十二年十一月　日
　　　　　　　　　　　　　　東洋電機製造株式会社
　　　　　　　　　　　　　　　取締役社長　渡辺嘉一
　　株主
　　　　（宛名手書）
　　　　渋沢同族株式会社殿