デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

8章 政府諸会
1節 諮問会議
5款 臨時国民経済調査会
■綱文

第56巻 p.595-598(DK560134k) ページ画像

大正7年11月12日(1918年)

是日、総理大臣官邸ニ於テ、当会第二回会議開カレ、新任会長原敬ノ訓示アリ。栄一出席ス。

尚、当会ハ八年七月九日廃止セラル。


■資料

集会日時通知表 大正七年(DK560134k-0001)
第56巻 p.595 ページ画像

集会日時通知表  大正七年        (渋沢子爵家所蔵)
十一月十二日 火 午前十一時 臨時国民経済調査会(首相官邸)


臨時国民経済調査会要覧 第二六頁 大正八年七月刊(DK560134k-0002)
第56巻 p.595 ページ画像

臨時国民経済調査会要覧  第二六頁 大正八年七月刊
 (一) 会議
○中略
 ロ 第二回会議ハ大正七年十一月十二日首相官邸ニ於テ開会シ、曩ニ提出セシ諮問案ノ撤回(同月八日山本農商務大臣ヨリ撤回)其ノ他ニ付幹事ヨリ報告アリ、又原内閣総理大臣ヨリ該諮問案ヲ撤回シタル理由ヲ陳述シ、更ニ国民食糧ノ生産・分配及消費ノ関係ヲ調査シ、之ニ対スル方策ニ付審議攻究ヲ為スヘキ旨ノ訓示アリ


臨時国民経済調査会要覧 第二一―二五頁 大正八年七月刊(DK560134k-0003)
第56巻 p.595-597 ページ画像

臨時国民経済調査会要覧  第二一―二五頁 大正八年七月刊
    第五 原内閣総理大臣訓示
大正七年十一月十二日第二回会議ノ際、原内閣総理大臣ノ訓示シタルモノ左ノ如シ
 一応開会ニ際シマシテ愚見ヲ述ベ置キタイト存シマス、此ノ臨時国民経済調査会ハ御承知ノ通リ前内閣ノ末ニ設ケラレ、而シテ開会致シマシタノミテ現内閣ニ移ツタノテアリマス、其ノ議案モ引断《(継カ)》ヲ受ケテ調査ヲ致シマシタガ、只今報告致シマシタ如ク、当時諮問致シテ居リマスル案ハ今回撤回ヲ致シタノテアリマス、此ノ国民経済ノ調査ト云フコトハ極メテ其ノ範囲モ広ク重大ナル事柄テアリマスカラ、充分ニ委員諸君ノ御尽力ヲ煩ハシタイノテアリマス、併ナカラ斯様ナル事柄ハ色々ナル方面ニ亘ツテ調査スヘキ案件モ多イノテアリマス、大要ヲ区別致シマスルト、所謂臨時応急ノ処分ニ係ルモノト、国家永遠ノ目的ニ向ツテ調査スルモノト、自ラ二ツノ区別カアルコトト存スルノテアリマス、此ノ急ヲ要シマスル事ニ付テハ先般現内閣創立ノ際ニ於キマシテ、米価問題ニ付、如何ニモ急ニ相当ナル処置ヲ執ラナケレハナラヌ状態ニ相成リマシタカラ、之ニ付テハ多少ノ処置ヲ致シマシタ、是ハ既ニ世間ニ公ケニナリマシタカラ、玆ニ公表スルマテモナイ事テアリマスカ、大要ヲ申セハ大体ニ於テ此ノ際米穀ノ収用令其ノ他ノ施行ヲ中止致シマシテ、成ヘク自然ノ趨勢ニ立帰ラシメ、之ニ順応スル処置ヲ執リタイト云フ考カラ、左
 - 第56巻 p.596 -ページ画像 
様致シタノテアリマス、関税ニ就テハ色々ノ議論モ世間ニアリ、又一面ニ於テハ農民ノ状態ヲモ考ヘナケレハナラヌ、何レニ致シマシテモ重大ナル問題テアリマスカラ、政府ニ於テ充分ノ攻究ヲ致シマシタ末、此ノ際関税ヲ撤廃致スカ宜シイト考ヘマシタ故ニ、緊急勅令ヲ以テ撤廃ノコトヲ発布致シ、先ツ以テ一箇年間関税ヲ撤廃シテ自由ニ輸入ヲスルコトノ処置ヲ執ツタノテアリマス、斯様ナル事柄カ如何ニモ急ヲ要スルコトテアリマシテ、調査会ニオ諮リスル訳ニモ参リマセス、其ノ処置ヲ執ツタノテアリマス、其ノ他ニモ多少ノ事ヲ致シテ居リマスカ、玆ニ尽ク御報告スルマテモナク諸君モ御承知ノコトト思ヒマス。
 斯様ナル事ハ焦眉ノ急ニ属スルコトデアツテ、尚永遠ニ亘ル方針ニ付キマシテハ、政府ニ於テ現内閣創立以来種々攻究ヲ重ネテ居リマスカ、所謂物価ノ調節ト云フ大問題ニ向ヒマシテハ未タ充分ノ案ヲ得マセヌノヲ甚タ遺憾ニ存シテ居リマス、吾々ハ責任上此ノ事ヲ少シモ怠ルノテハアリマセヌケレトモ、今日ノ物価ナルモノハ欧洲開戦以来五箇年ヲ経テ今日ノ状態ヲ呈シテ居ルノテアリマスカラ、之ヲ一朝ニシテ改メヤウト云フコトハ、吾々ハ責任ヲ避ケテ申スノテアリマセヌケレトモ、却テ困難ナルコトハ何人モ御了解下サルテアラウト思フノテアリマス、通貨ヲ如何ニスレハ宜シイトカ、何ヲ何ウスレハ宜シイト云フ種々ノ案モ承ルノテアツテ、其等ノ事皆物価調節ニ影響ヲ及ホスヘキ事柄ニハ相違ナイカ、サリトテ実行的ニ考ヘマスレハ、イカニシテ左様ナル事カ俄ニ出来得ルカ、万一出来得タナラハ如何ナル影響ヲ経済界ニ及ホスカト考ヘマスレハ、却々容易ニ断行ハ出来ナイノテアリマス、故ニ此等ノ事ニ就テハ攻究ノ上ニモ攻究ヲ重ネマシテ、相当ノ案ヲ得次第ニ更ニオ諮リヲ致シタイト考ヘルノテアリマス。
 又オ聞及ヒノ如ク、欧洲ノ大戦争モ終リニ近ツイテ居ルノテアリマス、休戦条件モ列国ノ間ニ決定セラレマシテ独逸ニ向ツテ交渉ヲ致シテ居ル今日テアリマスカラ、最早講和ノ遠カラサルコトハ今日予言シ得ルト存スルノテアリマス、一朝講和ニ相成リマシテ、之ニ依リ起ル所ノ状態、政治上ハ暫ク措キマシテモ、経済上国民ノ生活上等ニ種々ナル変動ヲ起スコトハ、私ノ喋々ノ弁ヲ俟タヌ所テアリマス、故ニ焦眉ノ急ハ相応ノ処置ヲ為サナケレハナラヌコトハ無論テアリマスカ、同時ニ更ニ永遠ノ国策ヲ樹テヤウトスレハ、又此ノ戦争終局ニ依ツテ生スル変動ヲモ考慮ノ中ニ置カナケレハナラス、彼此事情ヲ勘考致シマシテ、所謂物価ノ調節其ノ他国民ニ緊切ナル経済上ノ施設事項ト云フカ如キ、官制ニ示シテ居ル所ノ案ヲ立テルノハ実ニ容易ナラヌノテアリマス、又軽卒ニ案ヲ立テマシテ却テ不良ノ影響ヲ国民ノ上ニ与ヘテモ相済マヌノテアリマスカラ、充分ニ攻究シテ然ル後ニ御相談ヲ致シタイト考ヘマス故ニ、前ニ提出シタ案ハ撤回致シマシタ、此ノ案ハ御承知ノ通リニ米価調節ノ制度ヲ定ムルニ就テ、其ノ可否ヲ御相談致シタノテ、ソレニ色々ナル案モ添附シテアリマス、斯様ナル事ハ攻究ヲスヘキモノトハ考ヘマスケレトモ、政府トシテハ此ノ案ハ引続イテ諸君ノ御協議ヲ煩ハシテ幸ニ可
 - 第56巻 p.597 -ページ画像 
決ヲ致セハ、直ニ之ヲ実行スルト云フ覚悟カ無ケレハナラヌ、而シテ其覚悟ヲ致スニハ更ニ一段ノ考慮ヲ要スルコトト考ヘマスカラ、前ノ提出案ハ撤回ヲ致シタノテアリマス。続イテ御相談致シタイ箇条カ只今申シマシタ如ク考慮中ニ係ルモノ多々アリマス、ソレハ案ノ出来ルニ従ツテ御相談ヲシタイト考ヘマス。
 差向キ玆ニ御協議ヲ煩ハシタイト思ヒマスノハ、国民ノ食糧、生産又其ノ生産ヲ如何ニ致スト云フコトヨリ起ツテ其ノ分配又消費ナトノ関係ヲ充分ニ調査致シマシテ、之ニ相当スル方案ヲ立テタイト考ヘマス、是ハイカニモ広イ意味ニモ聞エマスルシ、且又万般ノ事ヲ調査致サナケレハナリマセヌカ、兎ニ角此ノ国民食糧ノ問題或ハ国民ノ生活又一朝事アル時ニハ其ノ場合ニ於テ食糧ノ不足シナイヤウニ為スト云フヤウニナル事ヲ考ヘルト、極メテ重大ノ事テアリマスカ、是ハ何レノ日ニカ必ス此ノ食糧問題ハ決定シナケレハ、一時ノ変動ハ如何ナル処置ヲ執ルコトモ出来マセウカ、永遠ニ亘ツテ国民ノ安心ヲ得ルコトハ難イト考ヘル、故ニ是ハ限本的《(根)》ノ問題ト考ヘマスカラ、此ノ事ヲ御相談致シタイ、何レ斯様ナル事ハ特別委員ヲモ設ケラレテ、攻究ニ攻究ヲ重ネテ此ノ案ヲ定メラルルヤウニ相成ル外ナカラウト思ヒマスカ、兎ニ角此ノ食糧問題ニ就テ其ノ食糧ノ生産・分配及消費等ノ関係ヲ考ヘテ、之ニ対スル相当ノ考案ヲ定メタイト思ヒマス、若シ特別委員テモ出来マスナラハ、之ニ対シテ色々ナル材料等モ提供致シタイノテアリマスカ、此ノ場合ニハ政府ニ考ヘテ居ル所及之ニ関聯致シタル諸問題ニ対スル所見ヲモ述ヘテ、諸君ノ御考慮ヲ煩ハシタイト思フノテアリマス。
 終ニ臨ミマシテ更ニ一言ヲ添ヘテ置キマスカ、臨時国民経済調査会ハ其ノ責任モ甚タ重イコトト考ヘマスルシ、又此ノ御決定ニ依リマシテ、国家国民ニ及ホス所ノ関係モ重大ナルモノト考ヘマス、斯ル会議ニ職務上ノ関係ヲ以テ、私ノ会長トナルコトハ甚タ光栄ノ次第テアリマスカ、同時ニ其ノ責任モ重イコトト考ヘマス、何卒諸君ノ御援助ニ依リマシテ、此ノ会ノ目的ヲ達セラルルヤウニ致シタイト考ヘマス。
    第六 調査事項
大正七年十一月十二日原内閣総理大臣ノ訓示ニ基キタル調査事項左ノ如シ
      調査事項
 国民食糧ノ生産・分配及消費ノ関係ヲ調査シ、之ニ対スル方策ヲ攻究スルコト
      理由
 食糧問題ハ国民生活上緊切ナル事項ニ属スルヲ以テ、国民食糧ノ生産・分配及消費ノ関係ヲ調査シ之ニ対スル方策ヲ審議決定セムコトヲ欲ス


中外商業新報 第一一七二〇号 大正七年一一月一三日 ○経済調査会 諮問案撤回(DK560134k-0004)
第56巻 p.597-598 ページ画像

中外商業新報  第一一七二〇号 大正七年一一月一三日
    ○経済調査会
      諮問案撤回
 - 第56巻 p.598 -ページ画像 
現内閣成立後に於ける第一回臨時国民経済調査会は、十二日午前十一時より永田町首相官邸に於て開会、会長原首相・副会長高橋蔵相・山本農相及外各大臣、幹事長犬塚農商務次官・高橋書記官長並に委員松平子、渋沢・近藤両男、志村・藤山・藤田・小山(健)・小山の諸氏を始め四十余名出席、原首相会長席に着き開議を宣し、先づ津久井幹事より委員の異動並に其後の経過及び前内閣より同調査会に提出の内米専売、外米管理並に其平倉の各諮問案は撤回すべしと告げ、次で原首相は、別項の如き会長就任の挨拶を為し、終つて右演説に対し、現内閣より同調査会に提出すべき諮問案が調査研究中にて、尚提出の運びに至らざるに於ては、特別委員に附託調査せしめられ度しとの動議あり、原会長之を容れ、右特別委員の指名は会長に一任することに決し、議事を終了し、別室に於ける原会長主催の午餐会に列席し、午後三時散会せり
○下略


竜門雑誌 第三六七号・第八八頁 大正七年一二月 国民経済調査会(DK560134k-0005)
第56巻 p.598 ページ画像

竜門雑誌  第三六七号・第八八頁 大正七年一二月
○国民経済調査会 十一月十二日永田町首相官邸に於て第二回国民経済調査会を開会され、原会長を始め、青淵先生其他の各委員幹事等四十余名出席の上、前内閣の提出に係る内米専売及び外米専売に関する件、並に常平倉設置に関する諮問案は何れも撤回するに決して散会したる由


法令全書 大正八年上巻 内閣印刷局編 刊 勅令第三百三十一号(官報七月九日)(DK560134k-0006)
第56巻 p.598 ページ画像

法令全書 大正八年上巻 内閣印刷局編  刊
勅令第三百三十一号(官報七月九日)
○上略
臨時国民経済調査会官制ハ之ヲ廃止ス