デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治19年12月25日（1886年）

是日栄一当会会頭トシテ北海道産絞粕俵製ノ現行改良法ハ至極便利ナル旨ヲ遠藤吉平ニ回報ス。

東京商工会議事要件録　　第二三号・第一〇―二七頁　明治二〇年三月二二日刊
　　第十二定式会　　（明治二十年二月廿六日午後四時三十分開会）
　　　　会員出席スル者　○五十六名
○上略
次ニ会長（渋沢栄一）ハ規程第五章第二十二条ニヨリ明治十九年下半季間定式事務ノ成跡ヲ報告ス
　　自明治十九年七月至同年十二月　半季間事務報告
○中略
　　　　雑事　　　　五件
○中略
○俵造改良ノ便否ニ付遠藤吉平ヨリ照会ノ件
　　本件ハ十二月十三日附ヲ以テ函館遠藤吉平氏ノ照会ニ係リ、其要旨ハ米塩絞粕俵製改良ノ事ハ兼テ同氏ノ経画スル所ニシテ既ニ北海道産絞粕ノ如キモ近時愈改良ノ実行ヲ奏シタルニ、右改良ノ義ハ是迄ヨリ多少手数ヲ要シ之ガ為メ産地産出者ノ苦情不少ニ付、何卒需用地ニ於ケル改良上ノ便否ヲ取調ベ回報アリタシト云フニ在リ、依テ本会ヨリ当業者ノ意見ヲ問フタルニ絞粕現行ノ改良法ハ聊カ故障ナク至極便利ト思考スル趣ニ付、同月二十五日附ヲ以テ其旨ヲ同氏ニ回報シタリ
○下略

東京商工会議事要件録　　第二三号参考部・第一―三頁　明治二〇年三月二二日刊
〔第一号〕
拝啓仕候諸彦益御清穆奉賀上候、陳ハ米塩絞粕等俵製改良ノ儀ハ小生
 - 第18巻 p.576 -ページ画像 
之夙ニ熱望罷在候所ニテ既ニ去ル明治十一年十一月中元東京商法会議所ヘ意見書差出候処、幸ニ御賛成其意見ヲ副ヘテ当時伊藤内務卿ヘ上呈セラレタルノ光栄ヲ得候次第ニテ爾来米塩俵製ハ各府県ニ於テ追々改良之傾向有之、又当道絞粕俵製ノ如キハ地方官ニ於テ大ニ奨励ヲ加ヘ本年他道ヘ輸出ノ分ハ悉皆改良稍奏功ノ場合ニ至リ申候、然ルニ右絞粕俵製改良上ヨリ出産者ノ手数相増候為メ産地ノ苦情不少、就テハ改良ノ得失ヲ挙ケテ本道出産者一般ヘ相示シ申度存候間、需用地ニ於テ改良上ノ便否果シテ如何ニ御坐候哉、乍御手数其向ノ商賈ヘ御問合御取調ノ上何分ノ御回報被下度願上候、且ツ此改良タル数十年来ノ旧慣ヲ一時ニ打破セシモノニ付今日之結果ヲ視ルニ至リシハ容易ノ事ニハ無之候得共、此改良ニテ猶不完全ノ点モ御坐候ハヽ何卒御諭示被降度此段併而願上候　頓首拝具
　　　　　　　　　　　　　　　　　　函館区会所町
　　　　　　　　　　　　　　　　　　四番地寄留
　　十九年十二月十三日　　　　　　　　　　　遠藤吉平
　　　　東京商工会
　　　　　　　　　　御中
〔第二号〕
米塩絞粕等俵製改良ノ義ニ就テハ兼テヨリ御経画ノ末既ニ貴地産絞粕ノ義モ愈々俵製改良ノ功ヲ奏シ候処、今般其得失ヲ挙ケテ貴地出産者一般ヘ御示シ相成度ニ付需用地ニ於ケル改良上ノ便否ヲ取謂ベ回報候様本月十三日附ヲ以テ御申越ノ趣承知仕候、即チ本会ヨリ不取敢当府下肥料問屋組合ヘ問合候処右絞粕俵製ノ義ハ当春改良致候通リニテ聊カ故障無之至極便利ト思考スル旨別紙ノ通リ申越候間、此段別紙写相添及御回報候也　（別紙写ハ略）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京商工会々頭
　　十九年十二月二十五日　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　遠藤吉平殿

東京商工会々外諸向往復文書　第三号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東京商工会議所所蔵）
今般函館区会所町四番地遠藤吉平ヨリ絞粕俵製改良ノ義ニ付別紙ノ通リ照会有之、就テハ何卒乍御手数貴組合ニ於テ右絞粕俵製改良ノ便否御取調本会ヘ御報告相成候様致度、又右改良法ニ就キ別ニ御見込モ有之候ハバ併テ御申越相成候様致度、此段別紙相添及御照会候也
　　　　　　　　　　　　　　　　　東京商工会々頭
　　明治十九年十二月二十日　　　　　　　　　渋沢栄一
　　東京肥料問屋組合
　　　　奥三郎兵衛殿
　　　　　○
拝啓陳者今般函館遠藤吉平氏ヨリ絞粕俵装改良之件照会有之候ニ付見込有無等取調候様御照会之赴拝承仕候、即時肥料組合中及協議申候処別段見込も無之趣則別紙之通リニ御坐候間、遠藤氏ヘ可然御廻答被下度此段及貴答候也
 - 第18巻 p.577 -ページ画像 
　　　　　　　　　　　　　　　　東京肥料問屋組合
　　十二月廿二日　　　　　　　　　　　　　奥三郎兵衛印
　　東京商工会々所
　　　　渋沢栄一殿

東京商工会々外諸向往復文書　第三号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（東京商工会議所所蔵）
益御安静可成為在奉賀上候
一今般函館区会所町遠藤吉平氏より照会相成候絞粕俵製改良之件ニ付商工会会頭渋沢栄一氏より御問合有之候趣致承知候、早速組合中篤と遂集議申候処当春便宜を図り改良致候通り絞粕正味弐拾貫目俵と相定メ置需用地ニ於テ聊故障無之至極便利と被存候間、此段可然御回答被成下度尚御依頼候也
　　　　　　　　　　　　　　　　　東京肥料問屋組頭取
　　十二月廿二日　　　　　　　　　　　　　　小津与右衛門印
　　　　奥三郎兵衛　様