デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

1章 社会事業
1節 東京市養育院其他
2款 岡山孤児院
■綱文

第30巻 p.367-368(DK300031k) ページ画像

大正6年4月23日(1917年)


 - 第30巻 p.368 -ページ画像 

是日、当院創立三十年記念会ニ際シ、栄一、中央慈善協会長トシテ祝辞ヲ贈ル。


■資料

慈善 第八編第四号・第九二―九五頁 大正六年四月 岡山孤児院創立満三十年記念会(DK300031k-0001)
第30巻 p.368 ページ画像

慈善  第八編第四号・第九二―九五頁 大正六年四月
    ○岡山孤児院創立満三十年記念会
同記念会は去る四月二十三日岡山市門田屋敷三友寺の西隣に於て挙行せられ、又記念講演会は午後と夜間とに分ち、県会議事堂に於て開催せらる、而して是等の集会は何れも予期以上の盛況を呈し、故石井院長を偲ぶの情転た切なるものありて、来会者一同皆な何れも偉人の生命は永遠なりとの感を深からしめたるが如く思はしむ。 ○下略
      祝辞
岡山孤児院創立せられて玆に三十年、本日之が記念会を挙行せらるるに方り、故石井院長を追懐し本院の将来を祝福するの念転た切なるものあり、抑本院は我邦孤児救済事業中之が巨擘を以て称せらる、而して其の克く今日の盛を致せるもの故石井院長の二十有七年に亘れる努力と、其の後を承けたる大原現院長の尽瘁とに由らすむはあらす、故石井院長か本院を経始せるは実に明治二十年に在り、君夙に孤貧児救済の必要を認め、率先斯の事業を始むるや、百難を排し万難を凌き、終始一貫崇高の信念と鞏固の意志を以て専心事に当り、経営日に其の大を加ふるに至れり、現院長大原氏は石井氏在世中久しく理事として院の経営に参画し、又屡々資財を本院に寄せて其の経営を輔けたるもの尠からす、其院長の職を襲ふや鋭意事に当りて施設見るべきもの頗る多く、曩に院の負債償却の途を講じて財政の基礎を確定し、或は本院の子院たる茶臼原孤児院の拡張と独立とを図り、或は又巨資を提供して大阪分院の独立経営を断行し、之を法人組織の石井記念愛染園と為す等、著々故石井氏の理想を現実にし、経営更に一段の地歩を進めたり、本院の名声嘖々たる蓋し偶然にあらさるなり、希くは関係者諸氏常に新旧院長の理想と熱誠とを体して一層奮励事に当り、本院の内容設備両つなから完整して、益々良範を天下に示すに至らむことを、玆に三十年記念会の挙あるに際し衷心の敬意を表し、併せて将来益々発展せられむことを祈る
  大正六年四月二十三日
            中央慈善協会長 男爵 渋沢栄一