デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

3章 国際親善
3節 国際団体及ビ親善事業
3款 日印協会
■綱文

第36巻 p.55-59(DK360026k) ページ画像

大正14年2月28日(1925年)

是日、当協会理事会、帝国ホテルニ開カル。栄一出席シテ当協会ノ基金募集其他ノ件ヲ協議ス。是
 - 第36巻 p.56 -ページ画像 
ヨリ後、事業拡張資金募集委員ヲ指名ス。


■資料

渋沢栄一 日記 大正一四年(DK360026k-0001)
第36巻 p.56 ページ画像

渋沢栄一 日記 大正一四年         (渋沢子爵家所蔵)
二月二十八日 晴 寒
○上略 正午帝国ホテルニ抵リ、日印協会ノ会合ニ出席シ午餐中本会ノ沿革ニ付種々ノ談話ヲ為シ、又タゴール氏ノ設立スル学校寄附金ノ事ヲ協議ス ○下略


日印協会書類 (一)(DK360026k-0002)
第36巻 p.56 ページ画像

日印協会書類 (一)            (渋沢子爵家所蔵)
                           明六
拝啓、時下愈御清栄奉賀候、陳者本会新理事の方々へ別紙の案内状を猶ほ大隈副会頭並に旧理事之方々へは点線の所を「理事増員決定後」と変更し、其他の所は同文にて案内状を本日差出置申候間、此義子爵殿へ何卒宜敷御伝言被成下度奉懇願候 敬具
  大正十四年二月廿四日
                  日印協会理事
                   副島八十六 
   増田明六殿
    副会頭並に理事(○印ハ新理事)
 侯爵 大隈信常
  ○藤山雷太    ○三宅川百太郎
  ○堀啓次郎    ○森広蔵
  ○星野錫     ○白仁武
  ○金子直吉     副島八十六
   森島又蔵     高楠順次郎
  ○児玉謙次    ○渡辺海旭
   間島与喜    ○安川雄之助
   松尾吉士    ○頭本元貞

(別紙)
粛啓、余寒難去之候愈々御清適奉賀候、陳者先般日印協会事業拡張に就き尊台を理事に御推薦申上候処御快諾を給はり慶幸之至に不堪候、其後御挨拶旁早速一会相催度心組に有之候処、老生微恙の為其意を得ず、荏苒延引候段遺憾此事に奉存候、昨今漸く快癒致候につき来る二月廿八日(土曜)午前十一時丸ノ内帝国ホテルに於て理事会開催仕度候間、月末御多端之折柄乍甚恐縮御差繰り御臨席被成下度、此段御案内を兼ね得貴意度如斯に御座候 敬具
  大正十四年二月二十四日    日印協会会頭
                   子爵 渋沢栄一
    新理事宛
  追而当日の御都合折返し御一報願上候


(日印協会) 参考書類 自大正一一年至昭和五年 【拝啓、時下愈御清栄奉賀候、陳者一昨日…】(DK360026k-0003)
第36巻 p.56-57 ページ画像

(日印協会) 参考書類 自大正一一年至昭和五年
                     (日印協会所蔵)
拝啓、時下愈御清栄奉賀候、陳者一昨日(土曜)午前十一時帝国ホテ
 - 第36巻 p.57 -ページ画像 
ルに於て理事増員後第一回理事会を相開き、渋沢会頭、大隈副会頭、星野理事、児玉理事、間島理事、三宅川理事、森理事、白仁理事、副島理事、高楠理事、渡辺理事及び安川理事御出席に相成り、別紙事務報告○略ス承認の上
新入会員承認の件は可決
組織変更の件及び会務復興並に拡張に伴ふ基金募集の件は、正副会頭並に専務理事の外に委員五名を挙げて熟議を遂げ、更に之を理事会に提出する事
  但し右委員は会頭の指名に依り決定の事
タゴール翁歓迎費残金処分の件は、残金に渋沢子爵の寄附金壱千円を加へ不取敢タゴール翁経営の学校へ寄附金の一部分として之を送り置き、或時機を待て更に送金の方法を講ずる事
○中略
震災善後会よりの補助金処分の件は当分之を会頭の手許に預け置き、震災善後会より附与せられたる趣旨に副ふ様適当に使用する事
に決議相成申候間此段御承諾被成下度候
先は右得貴意度如斯に御座候 敬具
  大正十四年三月二日
        東京市京橋区築地三丁目十六番地
                      日印協会
   ○右ハ当日欠席ノ理事ニ対スル通知文ナリ。


(日印協会) 参考書類 自大正一一年至昭和五年 【(写) 拝啓、過日は御多忙之折柄本会理事会に御臨席を忝ふし…】(DK360026k-0004)
第36巻 p.57 ページ画像

(日印協会) 参考書類 自大正一一年至昭和五年
                     (日印協会所蔵)
(写)
拝啓、過日は御多忙之折柄本会理事会に御臨席を忝ふし深謝此事に奉存候、扨て同会決議に基き本会事業拡張に伴ふ基金募集並に組織変更の案件は、之が実行方法を特別委員の議に附する事に相成り、且右委員は会頭の指名に依る事に相成申候に付、大隈副会頭と相談の末、堀啓次郎氏、児玉謙次氏、三宅川百太郎氏、白仁武氏、安川雄之助氏の五君に御委任、別に正副会頭並に副島理事参加可仕候間、左様御承知之上、右の趣旨達成に乍此上宜敷御尽力を給はり度悃請之至に不堪候先は右御通知旁御貴意度如斯に御座候 敬具
  大正十四年三月五日      日印協会会頭
                   子爵 渋沢栄一


日印協会書類 (一)(DK360026k-0005)
第36巻 p.57-58 ページ画像

日印協会書類 (一)           (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
拝啓、時下秋冷の候愈々御清適奉賀候、陳者其後本協会は鋭意復興の途に精進し、昨春来活躍の準備として理事の増員を図り、先年総会の砌総て役員の選定を会頭の指名に一任することの議決に基き、渋沢会頭より左記の諸氏に懇請せられ候結果、同十月に至り
  藤山雷太氏  堀啓次郎氏  星野錫氏
  金子直吉氏  児玉謙次氏  三宅川百太郎氏
 - 第36巻 p.58 -ページ画像 
  森広蔵氏   白仁武氏   渡辺海旭氏
  安川雄之助氏 頭本元貞氏
何れも就任を快諾せられ候、之に在来の理事喜多又蔵、間島与喜、松尾吉士、副島八十六、高楠順次郎諸氏相協戮して本会の為に尽瘁せらるることゝなり、同十一月の理事会に於て会務拡張方針を決定仕候と同時に、旧来の面目を一新して本会多年の懸案たる財団法人の組織に改むべく、同時に積極的の活動を開始して諸般の調査研究に、海外貿易の促進に、将又文化的接触に貢献すべく、之に依て会員始め一般の便利の為めに大に寄与する処あらんとし、先づ之が基礎たるべき実力の完備を急務と認め、今春二月理事中より堀・児玉・三宅川・白仁・安川の五氏を会頭より特別委員に推挙し、大隈副会頭、副島常務理事之に参加して数回に亘り事業拡張の実行案を査定し、更に理事会の議に諮りて其の承諾を得、渋沢会頭初め特別委員、各理事全部の熱心なる努力に依り幸に各方面の諒解援助を得て着々好調に進捗しつゝある現況に御座候、仍て差当り中絶致居候会報を刊行し、近く御手許に御送附申上度と存居候間、左様御諒承被下度候
先は会務近況御報告旁々如此に御座候 敬具
  大正十四年十一月
              東京市京橋区築地三丁目十六番地
                      日印協会
                      電話 銀座四七三七番
  追申
   其後御宿所に異動等も有之候はば何卒折返へし御一報煩し度願上候



〔参考〕日印協会攬要 同協会編 第六―九頁 (大正一四年一月)刊(DK360026k-0006)
第36巻 p.58-59 ページ画像

日印協会攬要 同協会編 第六―九頁 (大正一四年一月)刊
  ○日印協会事業一斑
    二、本会の発展
○上略
 大正十一年一月大隈会頭薨去後、新に副会頭子爵渋沢栄一を会頭に評議員侯爵大隈信常を副会頭に推挙し、業績逐次見る可きものあらんとするに際し、突如大正十二年九月一日大震火災に会し、不幸にして本会は多年の苦心蒐集に係る調査資料・図書・標本類を挙げて一切烏有に帰し、爾来専ら之が善後策に忙殺されたるが、最近に及び漸く整理の緒に就き、且つ新に各方面の有力者を理事に加へ、玆に復興の曙光を認むるに至れり。
○中略
    四、本会の抱負
 本会の歴史と現状とは略前掲の如くなるが、大震災後に於ける日本対印度・南洋諸国の輸出入貿易の情勢に徴すれば、将来本会責任の重大なる、真に想察に堪へたるものあり。本会が更に新活動を開始して其の真乎の天職を完うするは正に其時に在りと謂ふべし。然るに本会現在の規模を以てしては、其の目的を貫徹すること難きが故に、本会は此時を機とし、先づ根本的に其の組織を改めて社団法人となし、大
 - 第36巻 p.59 -ページ画像 
に基礎の確実を計ると同時に、種々なる新施設新経営を講ぜんと欲し目下著々其の準備中に在り。 ○下略
   ○当協会ハ遂ニ法人組織トナルニ至ラズ。