デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正9年4月30日（1920年）

是日栄一、アメリカ合衆国人フランク・エー・ヴァンダーリップノ一行ヲ、飛鳥山邸ニ招キテ午餐会ヲ催ス。

集会日時通知表　大正九年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
四月三十日　金　午前八時半　綱町邸ヘ御出向
　　　　　　　　正午　　　　ヴアンダーリツプ一行招待会（飛鳥山
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邸）

中外商業新報　第一二二五一号大正九年五月一日
　　　　打寛いだ＝午餐会
　　　　　　飛鳥山曖依村荘に招かれた
　　　　　　ヴァンダーリツプ氏等の清興
渋沢男爵の米賓ヴァンダーリツプ氏一行招待の午餐会は、三十日○四月正午過から飛鳥山の新緑濃き本邸で開かれた、正門には
　□日米　の大国旗が風に翻り、眺望絶佳な庭園の芝生には天幕張ながら御殿風の食堂が設けられ、内部は爛漫たる桜と杉の青葉に飾られ周囲は淡紅と白の幔幕で囲らしてある、軈て正午頃から一行は自動車で乗りつけ零時半にスツロング氏、モーリス氏夫妻、ベル氏夫妻の五名の不参を除いてお客の顔が揃ふ、陪賓たる金子子爵、埴原外務次官大隈信常氏、目賀田・後藤・三井・近藤・大倉・穂積の各男爵、鎌田栄吉氏、添田・桜井・穂積各博士、麻生女子大学校長
　□其他　浅野総一郎・村井吉兵衛・堀越善重郎の三氏は夫人同伴、渋沢武之助・同正雄・神谷忠雄等の諸氏を合せて主賓九十五名とある主人役は渋沢男・同夫人・令嗣敬三氏と阪谷男で、西洋館の各室は主客に明け放つて至る処歓談に打寛ぐ態が見受けられた、一時から食堂で午餐会が開かれ、主人渋沢男の簡単な挨拶が頭本元貞氏の
　□通訳　で述べられるとヴ団長は鄭重な謝辞を述べ、歓談裡に餐を終ると、一同愛蓮堂前に並んで記念の撮影があり、婦人客の為には日本館広書院で伊藤陵雲・横山章雲両氏の席画がある、斯て婦人客は三時麻生正蔵氏・井上秀子・塘茂太郎等の案内で目白の女子大学参観に行き、ヴ氏其他は庭内晩香廬で協議会の打合をした上、午後四時歓を尽して散会した

竜門雑誌　第三八四号・第五四―五五頁大正九年五月
○ヴアンダーリツプ氏一行歓迎午餐会　青淵先生には四月三十日正午飛鳥山別荘に於てヴアンダーリツプ氏一行を招待し、歓迎の午餐会を催されたる由なるが、右午餐会の為め特に円庭に設へたる食堂に於て折柄の新緑を愛しながら午餐を共にし、青淵先生の挨拶、ヴアンダーリツプ氏の謝辞ありて宴を閉ぢ、ヴアンダーリツプ氏其他一行の男子連は晩香廬に於て協議会を開き、婦人連は余興の席画、茶の湯に打興じ、或は新緑の庭園を逍遥し歓を尽して散会したるは午後四時過なりしと云ふ。
因に当日出席せられたる諸氏は左の如くなりし由。
　ヴアンダリツプ氏　同夫人　　　　　同令嬢
　ベネヂクト氏　　タフト氏　　　　　同夫人
　シヤルマン氏　　同夫人　　　　　　キングスレー氏
　同夫人　　　　　ストリート氏　　　同夫人
　同令嬢　　　　　クロムウエル氏　　同夫人
　クラーク氏　　　同夫人　　　　　　同令嬢
　ゲージ氏　　　　イーストマン氏　　デービス氏
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　同夫人　　　　　モリガン氏　　　　セレンベツツ氏

　バランタイン氏　同夫人　　　　　　ボールス氏
　同夫人

　井上秀子氏　　　今西氏夫人　　　　市橋倭氏
　一宮鈴太郎氏　　同夫人　　　　　　埴原正直氏
　服部文四郎氏　　穂積男爵　　　　　同夫人
　穂積重遠氏　　　同夫人　　　　　　堀越善重郎氏
　同夫人　　　　　千葉豊治氏　　　　大隈信常氏
　大倉男爵　　　　小野英二郎氏　　　鎌田栄吉氏
　金子子爵　　　　門野重九郎氏夫人　神谷忠雄氏
　田中孝子氏　　　武田彰子氏　　　　添田寿一氏
　塘茂太郎氏　　　頭本元貞氏　　　　村井吉兵衛氏
　同夫人　　　　　黒川新次郎氏　　　松方正熊氏夫人
　福原信三氏　　　福井菊三郎氏夫人　福島喜三治氏夫人
　後藤男爵　　　　近藤男爵　　　　　明石照男氏夫人
　小室三吉氏夫人　浅野初子氏　　　　浅野慶子氏
　浅野総一郎氏　　同夫人　　　　　　麻生正蔵氏
　阪谷男爵　　　　同夫人　　　　　　桜井錠二氏
　阪井徳太郎氏　　目賀田男爵　　　　三井男爵
　宮岡恒次郎氏　　同夫人　　　　　　渋沢武之助氏
　渋沢正雄氏
　青淵先生　　　　同夫人
　渋沢敬三氏　　　渋沢信雄氏　　　　渋沢智雄氏
　増田明六氏　　　笠井重治氏　　　　小畑久五郎氏
　　　○本資料第三十五巻所収「日米有志協議会」同年四月二十四日ノ条参照。