デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正5年9月26日（1916年）

是月、当奉賛会、組織ヲ改メ財団法人トナル。是日栄一、総裁宮ヨリ当奉賛会理事ヲ嘱託セラル。副会長元ノ如シ。七年三月理事長阪谷芳郎渡支ニ付、留守中理事長代理トナル。

明治神宮奉賛会通信　第一〇号・第一頁大正五年一〇月
　　　　○経過報告
 - 第41巻 p.563 -ページ画像 
▽八月十六日　財団法人明治神宮奉賛会設立許可願書ヲ、東京府ヲ経テ内務大臣宛差出セリ
○中略
▽九月廿二日　財団法人明治神宮奉賛会設立ノ件許可アリタル旨、東京府知事ヨリ伝達アリタリ
▽九月廿五日　理事会ヲ開キ、財団法人明治神宮奉賛会設立ニ関スル件ヲ議決ス
▽九月廿六日　財団法人明治神宮奉賛会理事・監事・常議員ノ御嘱託アリタリ

明治神宮奉賛会通信　第一〇号・第二頁大正五年一〇月
　　　　○会務報告
▽九月廿五日　本会事務所ニ於テ理事会ヲ開キ、左記事項ヲ議決セリ
　　財団法人明治神宮奉賛会設立ニ関スル件
　大正五年五月一日ノ理事会ニ於テ議決シタル寄附行為ニ依リ、八月十六日附ニテ財団法人明治神宮奉賛会設立ノ件出願中ノ処、九月十六日附ニテ内務大臣ニ於テ許可アリタル趣、同月廿二日東京府知事ノ伝達ニ接シタルヲ以テ、同会設立ニ関シ左ノ件々ヲ希望ス
　一、従来ノ本会役員・事務員及支部職員ハ辞令ヲ須ヰズシテ法人ノ役員・事務員及職員トスルコト
　　但シ従来ノ理事及会計監督ハ解嘱シ、法人ノ理事・監事及常議員ハ新タニ嘱託ノ手続ヲ行フモノトス
　二、従来ノ本会規程ハ爾今法人ノ規程トシテ総テ効力ヲ有スルコト
　　但シ法人設立ノ結果改訂ヲ要スルモノハ此ノ限リニアラズ

明治神宮奉賛会通信　第一一号・第一頁大正五年一一月
　　　　○経過報告
△十月二日　財団法人明治神宮奉賛会設立ノ登記ヲナス

明治神宮奉賛会通信　第一〇号・第二―五頁大正五年一〇月
　　　　財団法人明治神宮奉賛会寄附行為
　　　　　　第一章　名称
第一条　本会ハ明治神宮奉賛会ト称ス
　　　　　　第二章　目的及事業
第二条　本会ハ明治神宮外苑ヲ造設シ、之ヲ明治神宮ニ奉献スルヲ以テ目的トス
第三条　外苑ノ設計ハ明治神宮造営局ニ委嘱スルカ又ハ其ノ認可ヲ受クルモノトス
　事業施行ニ付テ必要ナル事項ハ明治神宮造営局ニ委嘱スルコトヲ得
　　　　　　第三章　事務所
第四条　本会ハ事務所ヲ東京市麹町区三年町一番地ニ置キ、必要ニ応シ各地ニ支部ヲ置クコトヲ得
　　　　　　第四章　資産及会員
第五条　本会設立ノ日ニ於ケル資産ハ、金壱百拾四万六千弐百参拾弐
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円参銭八厘トス
第六条　本会ノ資産ハ郵便官署又ハ確実ナル銀行ニ預入ルヽモノトス
第七条　本会ノ事業翼賛ノ為寄附スル金銭ハ之ヲ受領ス、建造物木石等ハ審査ノ上之ヲ受領ス
第八条　本会ノ事業ヲ翼賛スル者ハ、之ヲ会員又ハ賛助員ト称ス
　会員ノ種類及会員並賛助員ノ待遇方法ハ別ニ之ヲ定ム
　　　○第九・十条略ス。
　　　　　　第五章　総裁・副総裁・会長・副会長及顧問
第十一条　本会ニ総裁一人・副総裁二人以内ヲ置ク、総裁ハ皇族ヲ奉戴ス
　副総裁ハ総裁之ヲ嘱託ス
　副総裁ハ総裁ヲ輔翼シ、総裁故障アルトキハ総裁ノ指名スル副総裁之ヲ代理ス
第十二条　本会ニ会長一人・副会長五人以内ヲ置ク
　会長・副会長ハ総裁之ヲ嘱託ス
　会長ハ総裁ノ旨ヲ承ケ会務ヲ指揮監督ス
　副会長ハ会長ヲ輔佐シ、会長故障アルトキハ会長ノ指名スル副会長之ヲ代理ス
第十三条　本会ニ顧問若干名ヲ置キ、総裁ノ諮詢ニ応セシム
　顧問ハ総裁之ヲ嘱託ス
　　　　　　第六章　役員
第十四条　本会ニ理事九人・監事三人・常議員若干名及評議員若干名ヲ置ク
　理事及監事・常議員及評議員ハ、会長ノ推薦ニ依リ総裁之ヲ嘱託ス
第十五条　理事中ニ理事長一人ヲ置キ、会長ノ指名ニ依リ総裁ノ承認ヲ得テ上任ス
　理事長ハ本会ヲ代表シ、会長ノ指揮監督ヲ受ケ一切ノ事務ヲ処理ス
　理事長故障アルトキハ、会長ノ指名スル理事代テ其職務ヲ行フ
　理事ハ常議員会ノ議決其他常務ノ執行ニ任ス
第十六条　常議員ハ重要ノ会務ヲ審議ス
第十七条　評議員ハ会長ノ諮詢ニ応シ意見ヲ陳述ス
第十八条　役員ノ任期ハ四年トス、但再任ヲ妨ケス
　　　○第十九条ヨリ第二十八条マデ略ス。
　　　　役員異動
理事嘱託
理事長指名　男爵　阪谷芳郎　　　　　監事嘱託　　　　男爵　大倉喜八郎
理事嘱託　　男爵　渋沢栄一　　　　　同　　　　　　　　　　安田善三郎
同　　　　　男爵　三井八郎右衛門　　同　　　　　　　　　　志村源太郎
同　　　　　　　　中野武営　　　　　常議員嘱託　法学博士　井上友一
同　　　　　　　　大橋新太郎　　　　　　　　　　　　　　○以下三十四名氏名略ス。
同　　　　　　　　柿沼谷蔵
同　　　　　　　　朝吹英二
同　　　　　　　　木村久寿弥太
同　　　　　　　　水上浩躬

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中外商業新報　第一〇九六〇号大正五年一〇月一四日
○明治神宮奉賛会　明治神宮奉賛会は今回財団法人組織に改めたるが総裁・副総裁・顧問・会長等は従前の如く、理事・監事及常議員は左の如く決せり
　△理事　（理事長）男爵阪谷芳郎・（理事長代理）男爵渋沢栄一・男爵三井八郎右衛門・中野武営・大橋新太郎・柿沼谷蔵・朝吹英二・木村久寿弥太・水上浩躬△監事男爵大倉喜八郎・安田善三郎・志村源太郎・△常議員法学博士井上友一・井上準之助・市来乙彦・池上四郎・馬場三郎・早川千吉郎・浜岡光哲・豊川良平・土居通夫・侯爵徳川頼倫・大谷嘉兵衛・法学博士奥田義人・和田豊治・川西清兵衛・田所美治・高田慎蔵・田中源太郎・工学博士団琢磨・塚本清治・奈良武次・久保田政周・工学博士日下部弁二郎・山田新一郎・男爵藤田平太郎・子爵藤波言忠・男爵古河虎之助・工学博士古市公威・男爵近藤廉平・秋山真之・伯爵清棲家教・子爵三島弥太郎・斯波淳六郎・肥後八次・男爵森村市左衛門・鈴木摠兵衛

明治神宮外苑志　明治神宮奉賛会編　第七頁昭和一二年八月刊
　○第一編　第一章　明治神宮奉賛会の創立
　　　　第二節　経過
　内務省内に明治神宮造営局の設置あり。本会は神宮外苑の設計及施工を之に委嘱するが為には、組織を法人に改むるの要あり、大正五年五月定款を議決して、財団法人明治神宮奉賛会設立の許可を得、従来の理事を解嘱し、更に会長の推挙に依りて男爵渋沢栄一・男爵阪谷芳郎・男爵三井八郎右衛門・中野武営・大橋新太郎・柿沼谷蔵・朝吹英二・木村久寿弥太・水上浩躬の九氏を理事に、男爵大倉喜八郎・安田善三郎・志村源太郎の三氏を監事に、法学博士井上友一○中略　の二十六氏を常議員に御嘱託あり、尋いで会長は理事中より男爵阪谷芳郎を理事長に指名して総裁宮の御裁可を得、理事水上浩躬は専ら常務に当ることゝなれり。
○下略

明治神宮奉賛会通信　第二八号・第一頁大正七年四月
　　　　○経過報告
△三月十四日　本会々長ヨリ理事長代理ニ理事渋沢男爵ヲ指名ス
　　　　　　　本会総裁ヨリ早川千吉郎ヲ理事ニ嘱託ス

青淵先生公私履歴台帳　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一明治神宮奉賛会理事　五年○大正九月
○中略
一明治神宮奉賛会理事長（阪谷男爵不在中）　七年三月　消滅
　　　○大正七年三月、理事長阪谷芳郎、外務大臣ノ懇請ニヨリ中華民国政府財政顧問トナリ、幣制改革ノ為メ渡支セルニ付、留守中、栄一理事長代理トナル。同年六月三十日阪谷芳郎帰国ト共ニ此ノ任ヲ解カル。
　　　○爾後栄一理事トシテ任期満了毎ニ重任シ歿年ニ至ル。詳細左ノ如シ。
　　　　大正九年九月　重任、大正十三年九月　重任、昭和四年四月　重任（奉
 - 第41巻 p.566 -ページ画像 
賛会通信第五十八及七十七号並奉賛会所蔵文書ニ拠ル）。

竜門雑誌　第三五一号・第九八頁大正六年八月
　　　　○明治神宮外苑造営進捗
　青淵先生を副会長とせる明治神宮奉賛会は、神宮内苑区域外に森厳なる大規模の外苑を造成する目的を以て、予て全国各府県よりの熱誠なる献金を受理し、既往六月末を以て締切たる結果、予定額四百万円を超過すること実に二百万円の多きに達したるが、今回内務省にては奉賛会の委託により造営局内に外苑課を新設し、奏任待遇の課長技師及び判任書記並に雇員を配置して之が工事の進捗を図り、同時に内苑工事との聯絡合致を保たしむるに決定し、目下夫々準備中の由なり。