デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
2節 手形
2款 全国手形交換所聯合会
■綱文

第51巻 p.184-186(DK510044k) ページ画像

大正2年12月10日(1913年)

是日栄一、帝国ホテルニ開カレタル、全国手形交換所聯合懇親会ニ出席シテ演説ヲナス。


■資料

銀行通信録 第五六巻第三三八号・第七三―七九頁大正二年一二月 ○内国銀行要報 各地交換所聯合懇親会(DK510044k-0001)
第51巻 p.184-186 ページ画像

銀行通信録 第五六巻第三三八号・第七三―七九頁大正二年一二月
 - 第51巻 p.185 -ページ画像 
 ○内国銀行要報
    ○各地交換所聯合懇親会
各地交換所聯合懇親会は十二月十日午後五時より帝国「ホテル」に於て開催せられたり、当日出席者は来賓高橋大蔵大臣以下を始めとし、東京・大阪・京都・横浜・神戸・名古屋の各交換所会員百名にして一同晩餐を終り、東京交換所委員長池田謙三氏の挨拶に続き高橋大蔵大臣・三島日本銀行総裁・渋沢男爵及小山健三氏の演説及挨拶あり、各自歓談の上午後十時散会せり、懇親会出席者氏名及演説左の如し
  懇親会出席者氏名(百名)
      来賓(十五名)
  大蔵大臣男爵 高橋是清    専売局長官 桜井鉄太郎
    理財局長 山崎四男六     参事官 佃一予
    銀行課長 森俊六郎   予算決算課長 西野元
     秘書官 黒田英雄      秘書官 河田烈
日本銀行総裁子爵 三島弥太郎 日本銀行副総裁 水町袈裟六
      理事 木村清四郎    営業局長 深井英五
         豊川良平 日本勧業銀行総裁 志村源太郎
日本興業銀行総裁 志立鉄次郎
      会員(八十五名)○氏名略ス
    池田委員長の挨拶○略ス
    高橋大蔵大臣の演説○略ス
    三島日本銀行総裁の挨拶○略ス
    渋沢男爵の演説
 大蔵大臣閣下並に来賓諸君、例に依りまして全国の手形交換所聯合懇親会に、大蔵大臣の御臨場を得まして何時もながらに財政の大方針を御示し戴きましたのは、此会の従来光栄とする所でございますが、其例を欠かぬ今夕を得ましたのを深く諸君と共に悦ぶのでございます殊に今大蔵大臣からお示しを戴いた財政状態の大要を拝聴致しますると、既に諸整理若くは繰延等から大正三年度に越しますもの、又大正三年度に生ずるもの、合せて一億三千万円以上の財源を得るやうに相成りましたことは、財政を追々に鞏固ならしむる御方針が、着々其歩を進むる如く感ぜられて深く御勤労の程を感謝するのでございます、一般経済界に於ける各会社の払込額、若くは貿易の景況等に就ても、お取調べになりまして御示しを戴きましたが、唯此の財政経済に就ては今一歩お踏込みを御示し若くは御垂示を蒙りたいやうに思ひました平生の高橋君の御口上としては少し御遠慮であるか、何か物足らぬやうな感じもありますけれども、併し大要は有り難く拝聴致しました、尚此財政上に就ても税制の事などには一向及ばぬやうでありましたが或は経済上の頭から考へますれば官業の御処分、尚其上に進むと時事問題に直接関係ある御方針が、どうあるかと云ふやうなことを聞くを欲する人々も定めし多からうと思ひますが、大蔵大臣が夫れ丈けまでに御話が無かつたと云ふことは、少々遺憾でございますれども、併し決して是は不平を申上げる訳ではございませぬ、而して今御示し下すつた事に就ては吾々ども銀行者間ではそれぞれ熟読玩味の上或る場合
 - 第51巻 p.186 -ページ画像 
には尚斯くありたい、是はどうありたいと云ふことを申上げる余地をお与へ下すつたものと窺へば、余り事毎に斯くするもの、是より外はいかぬぞと言はれるよりは、寧ろ其簡単なる御話が却て味ひあることに了解し得るかも知れませぬ、殊に今夕東京の者共は余り御膝下に在る為に却て事情に暗い、又近所物言ひ難いと云ふこともある、然るに大阪其他各地の諸君が御出になつて居りますから、必ず新しいお思案をお持ち下すつてあるに相違ないと思ひまして、私の長講義は寧ろ御妨げにならうと思ひますから、玆に差扣へて置きます、是なら大阪其他の各地から種々御希望が出ませうと思ひます、私は唯大蔵大臣の御演説及日本銀行総裁の此の会に対してお示しになつたことを深く感謝致します(拍手)
○下略


竜門雑誌 第三〇八号・第八〇頁大正三年一月 ○全国交換所大会(DK510044k-0002)
第51巻 p.186 ページ画像

竜門雑誌 第三〇八号・第八〇頁大正三年一月
○全国交換所大会 東京手形交換所主催となり全国手形交換所大会を十二月十日午後五時より帝国ホテルに開きたり、来賓高橋蔵相以下出席し、会員は東京・大阪・横浜・京都・名古屋・神戸各交換所代表者百三十名に及ぶ、晩餐終るや池田謙三氏来賓に対する挨拶を述べ、之に対し高橋蔵相の謝辞及び大正三年度の財政方針に就ての演説あり、次に三島日銀総裁の謝辞あり、次いで青淵先生は左の如き所見を述べられぬ
○中略
終りに小山健三氏の演説あり散会したるは午後十時頃なりしといふ