デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
4節 保険
9款 関東大震災火災保険金支払問題
■綱文

第51巻 p.341-342(DK510092k) ページ画像

大正12年12月8日(1923年)

是日、東京市長永田秀次郎、渋沢事務所ニ栄一ヲ訪ヒ、火災保険問題等ニツキ、臨時議会ニ於テ議会ト政府ト衝突ノ生ゼンコトヲ懼レ、ソノ回避ニツキ栄一ニ尽力ヲ請フ。栄一尽力ス。


■資料

渋沢子爵親話日録 第二 自大正十二年十二月至 高田利吉筆記(DK510092k-0001)
第51巻 p.341-342 ページ画像

渋沢子爵親話日録 第二 自大正十二年十二月至  高田利吉筆記
                      (財団法人竜門社所蔵)
○十二月八日
○上略
△五時半永田東京市長事務所へ来訪、面会せらる、市長ハ臨時議会の形勢を憂慮し、復興院問題・火災保険問題等にて議会と政府と衝突し、解散ともならば帝都復興の事業ハ忽ち停頓し、市民の迷惑ハいふべからず、されば何とかして衝突を避けしむるやう尽力ありたしと懇請す、子爵は従来政治にハ一切関係せさる主義なれども、事情誠に黙止し難ければ、成否ハ固より保すべからざれど、及ばん限り緩和の方法を講ぜんと答へらる
○下略
  ○中略。
○十二月十日
○上略
△四時高橋是清子を其邸に訪問せらる、市長より依頼の件につき大橋新太郎・団琢磨両氏と内議の結果なり、臨時議会の無事に経過せんことを希望せられたるに、子も全く同意見なれば尽力ハすべきも必成は保し難しと答ふ
○下略
○十二月十一日
○上略
△団琢磨氏参邸す、前日市長依頼の事につきて野田卯太郎氏を訪問したる顛末報告の為なり
 - 第51巻 p.342 -ページ画像 
○下略
  ○中略。
○十二月十四日
△朝大橋新太郎氏飛鳥山へ参邸、東京市長依頼の件につき一意見ありとて、山本総理大臣に伝達せられんことを請ふ
○中略
△午後一時半永田市長来訪につき、過日来財界の有力者と共に斡旋の事情を詳述せられたるに、深く其労を謝して帰れり
○中略
△それより総理大臣・大蔵大臣に会見を求められたれども、支障ありて行はれず、去りて衆議院に岡崎邦輔氏を御訪問、過日来高橋・床次・野田・団等諸氏と商議の事、及火災保険金問題について斡旋を求められしに、氏も固より同意見なれば尽力せんと答へたり