デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治20年1月6日（1887年）

栄一、整理公債発行サレ六分以上利付公債償還セラレルニ付テハ各地同業者ノ情勢ヲ観察シ、時機ヲ見テ輿情ヲ上陳スベキ旨ヲ述ブ。衆之ニ同意ス。

銀行通信録　第一四号・第一七―一八頁〔明治二〇年一月二〇日〕
　　　　○第七十回定式集会録事　○明治二〇年一月六日
一次ニ同氏○渋沢栄一ハ又各位ニ詢議シテ曰ク、昨十九年勅令第六十六号ヲ以テ整理公債証書ヲ発行セラレ、漸次六分以上利付ノ公債証書ヲ償還セラルヘキニ付テハ、我同業者ニ影響スル少小ニアラサルヲ以テ、大ニ慮ル所ナカルヘカラス、然ルニ小子旧臘大坂地方ニ滞留ノ日、同業者某ト談話ノ際某モ亦痛ク之ヲ憂ヒ、已ニ同地同盟銀行ハ政府ニ向テ営業年限ノ延期ヲ出願センコトヲ企テ、審ニ評議ヲ経テ已ニ其委員ヲモ定撰スルニ至リシト云、夫レ曩キニハ諸公債証書ノ騰貴ニ因リ九州同盟銀行ヨリ政府ヘ建議スルノ議アリテ我カ同盟会ヘモ協議アリシカ、到底願旨貫徹スヘカラサルヲ察シ、之ヲ中止ニ措キシカ今日ノ事ハ又前日ノ比ニアラサルヲ以テ黙止スヘキ場合ニアラスト雖トモ、其挙措若シ軽易ニ出ツル時ハ却テ誤ヲ貽スノ恐レ
 - 第6巻 p.145 -ページ画像 
ナシトセサルヲ以テ、我委員ノ内ニ在テ精細ニ各地同業者ノ情勢ヲ観察シ、併セテ当路ノ内意ヲモ稟候シ時機ニ投シテ速ニ協議ヲ尽シ以テ其輿情ヲ上陳スヘキ者ハ如何ト、各位皆同意ヲ表セリ