デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治23年12月15日（1890年）

欧米金融ノ近況ニ関シ通信ヲ設クルノ件、外二件ヲ協議シ何レモ可決ス。

会議録事　　自明治二十二年一月至明治二十三年十二月　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百八回定式集会録事
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　栄一印　(印)
明治二十三年十二月十五日第百八回同盟銀行定式会議ヲ開キ渋沢委員長、園田、西邑、山中等ノ各委員ヲ併セ来会スルモノ二十七名ナリ是日客員トシテ日本銀行ヨリ三野村理事・山本筆頭書記来会セラレタリ
○中略
次ニ会長ハ欧米金融ノ近況ヲ知悉センカ為メ必要ナル通信ヲ開ク事ニ関シ告テ曰、今日ニ於テ欧米金融ノ景況及商業ノ事情ヲ知悉スルハ最モ緊要ノ務メナレハ、日本銀行及正金銀行ニ依頼シテ其通信ヲ請フコトヽ為サハ左迄ノ費用ヲ要セスシテ之ヲ知ルノ便益ヲ得ヘシト考ヘ、諸君ニ協議スル処ナリ
　佐々木勇之助氏曰、本案ノ如キ報道ヲ得ルコトナラハ、大ニ好都合ナレハ、日本銀行・正金銀行ニ於テ之ヲ承諾セラレンコトヲ望ム
　園田孝吉氏曰、正金銀行ニ於テハ営業上緊切ノ関係ヲ有スルヲ以テ常ニ欧米ノ通信ニ接スレハ別段手数ヲ要セスシテ其需ニ応スヘシ
 - 第6巻 p.260 -ページ画像 
　山本達雄氏曰、日本銀行ニ於テモ其需ニ応スルハ敢テ差支ナカルヘシト雖、電報ノ如キハ己ニ正金銀行ヨリ通知アリテ重複スル場合アルヘシト考フレハ、金融社会重要ナル出来事及統計等専ラ後日ノ参考トナルベキモノヲ通知スヘシ
会長曰、然ラハ電報及時々ノ近況ハ正金銀行ニ依托シ、後日参考ニ供スヘキ通信ハ之ヲ日本銀行ニ依頼シ、其事件ノ緩急ニ応シ、同盟中ヘ報告スルコトヽナシ、而シテ其通信ノ箇条ハ委員ヨリ之ヲ両行ニ依頼スヘキコトニ決セリ
次ニ大阪同盟銀行ヨリ小切手及諸手形面ニ横線ヲ施シ使用スルノ件ニ付協議セシカ、敢テ差支フルコトモアラサルヲ以テ此儘承知シ置クベキコトニ決セリ
次ニ会長ハ来二十四年我同盟銀行新年会開催ノ都合ヲ協議シ、一月五日午後四時ヨリ帝国ホテルニ於テ之ヲ開クヘキニ可決セリ

明治廿三年度決議綴　　　　　　　　　　　（東京銀行集会所所蔵）
　　明治二十三年十二月十六日　　　　　　　　　　　書記長(印)
　　委員長(印)
　　委員(印)
　　　大阪同盟銀行集会所ヨリ別紙ノ通照会有之候ニ付左案御回答相成可然乎
去月二十八日出之御状拝見仕候、陳ハ頃日貴地御同盟銀行会議ニ於テ当座引出小切手並諸手形ニ至ル迄表面横線ヲ画シ渡先銀行ヲ指定スヘキ様御同盟一同御申合相成本月一日ヨリ御実施可被成ニ付テハ廿一年三月廿三日御照会有之候諸手形裏面ヘ押印ノ件ハ取消可申様御照会之趣承知仕候此段御回答申上候也

明治二十四年委員決議綴込　　　　　　　　（東京銀行集会所所蔵）
（朱書）
乙四六号
　　　　銀行集会所委員
合同消却並ニ流通損傷銀行紙幣ノ内当省ニ於テ既ニ廃棄ノ手続キヲ了シタルモノ百弐拾万六千余円本月十三・十四ノ両日間（雨天順延）毎日午前第八時ヨリ午後第三時迄印刷局構内ニ於テ焼棄候条右為立会当日現場ヘ出願《（頭カ）》スベシ
　　明治二十四年五月九日
　　　　　　　　　　大蔵省銀行局長　田尻稲次郎印