デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治27年5月17日（1894年）

芝紅葉館ニ於テ東京銀行集会所主催ノ銀行家懇親会開カル。栄一出席シ一場ノ挨拶ヲ述ブ。

集会録事　自明治二十六年一月　　　　　（東京銀行集会所所蔵）
　　　　○第百四十二回定式集会録事　○明治二七年五月一五日
次ニ豊川良平氏ハ頃日来九州、中国、四国等各地方ヨリ多数ノ銀行者上京シ、既ニ本日中村楼ノ銀行大会ニ出席シタルモノ四十名以上ナリト云フ、斯ノ如ク多数ノ銀行者都下ニ相会スルハ誠ニ稀ナルコトニシテ、且今回ノ大会ニ東京ヨリ出席セサルカ為メ、或ハ東西相容レサルカ如キ感想ヲ持スルモノナキニアラサレハ、東京同盟銀行主唱トナリ彼ノ同業者ニ謀リ一夕懇親会ヲ催スモノハ如何トノ発議ニ衆皆同意ヲ表シ、之ヲ打合スヘキコトニ決定シ同七時下退会セリ
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　（別紙）
　　　　　　当日出席員
　　　　　　　　　第一国立銀行　　　渋沢栄一　○外二八名氏名略
　　　　○銀行大懇親会
明治廿七年五月十七日午後五時ヨリ芝紅葉館ニ於テ国立銀行大懇親会ヲ開キ、来会スルモノ七十四名ナリ、本会ハ去ル十五日東京銀行集会所同盟銀行定式会ノ評議ニ係リ当集会所首唱シテ其十六日大会事務所ニ就キ、松田源五郎、堀部直臣等ノ諸氏ニ打合其同意ヲ以テ開設シタルモノナリ、席定マルヤ渋沢栄一氏ハ立テ開会ノ旨趣ヲ陳ヘ、大白ヲ挙ケテ満場諸氏ノ健康ヲ祝シ、且未タ面識ノアラサル諸氏モアルヘケレハ各立チテ自ツカラヲ紹介センコトヲ謀リ、先ツ自分第一国立銀行頭取渋沢栄一ナルコトヲ告ク、以下各自順ヲ逐フテ之ニ傚フ、上羽勝衛氏ハ又立テ渋沢氏開会ノ辞ニ答ヘ、其前後館女歌舞ノ余興数番ヲ催シ、会場靄然一同歓ヲ罄シ午後九時退会セリ、当日出席人名左ノ如シ
　　　　　　東京同盟銀行
　　　　　　　　　第一国立銀行　渋沢栄一　○外七三名氏名略

銀行通信録　　第一〇三号・第三八頁〔明治二七年六月一〇日〕
○銀行家懇親会　東京銀行集会所ノ発起主唱ニ係ル銀行家懇親会ハ、去ル五月十七日午後五時ヨリ紅葉館ニ開カレタリ、京浜間ノ銀行家ヲ始メ東北、中国、四国、九州又ハ其他ノ地方等ヨリ出京セル銀行家臨席シ、其総員無慮七十余名、座席定マルヤ渋沢栄一氏ハ開会ノ趣旨ヲ述ベ、営業上、取引上又ハ各地方ノ情況等ニ就テ互ニ相語リ、且談笑娯楽ノ裡ニ懇親ヲ結バンコトヲ求メ、胸襟ヲ披キテ談笑シ、種々ノ余興モアリ各自歓ヲ尽シテ退散セシハ同九時ナリキ