デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.568-575(DK060156k) ページ画像

明治37年10月10日(1904年)

是ヨリ先、政府ハ明治三十七八年戦役費タル第三回国庫債券募集ヲ決シ、民間ノ実業家ヲ大蔵大臣官舎等ニ招キテ諮ル所アリ。

是日栄一他ノ諸家ト共ニ総理大臣官舎ニ会合シテ桂総理大臣・曾禰大蔵大臣及ビ松方・井上両伯ト会議シ、十二日大蔵省令発令サル。十四日、東京銀行集会所ハソノ募集ノ件ニツキ組合銀行協議会ヲ開ク、栄一病後初メテ出席シテ本件ヲ議ス。


■資料

銀行通信録 ○第三八巻第二二八号・第四九〇―四九二頁〔明治三七年一〇月一五日〕 第三回国庫債券発行(DK060156k-0001)
第6巻 p.569-572 ページ画像

銀行通信録
 ○第三八巻第二二八号・第四九〇―四九二頁〔明治三七年一〇月一五日〕
    ○第三回国庫債券発行
本年三月の臨時議会に於て承諾を得、及協賛を経たる臨時事件費総額五億七千六百万円中公債及一時借入金は四億千百万円にして、内当時の日本銀行一時借入金三千百万円を差引くときは公債募集に依るべき分は三億八千万円なりとす、而して各公債中実際募集したるは本年二月十三日大蔵省々令を以て発行せる国庫債券一億円、同五月九日勅令第百三十八号を以て公布せる英貨公債千万磅及同月二十三日同省令第十七号を以て発行せる国庫債券一億円にして、残額猶八千万円あり、然るに一方に於ては戦局の次第に進行して軍費の必要愈々多きを加ふると共に他の一方に於ては第一回国庫債券の払込は来る十一月を以て終結せんとす、是に於て政府は此の際を以て前記残額八千万円を募集することに決せり
政府は右残額八千万円の募集に就き、其条件を第二回国庫債券と同じくし即ち利子割合は一箇年百分の五、発行価格は額面百円に付最低九十二円として募集の年より五箇年以内に償還するの内意なりしが、其条件等に就ては予め民間銀行家の意向を聞くの要あるを以て日本銀行総裁松尾臣善氏は九月二十七日頃より東京、横浜、大阪、京都、名古屋等の重なる銀行家を招き交々其意見を聴取し、民間銀行家の意向も略ぼ判知することを得るに至れり、而して曾禰大蔵大臣は十月一日午後五時より其官舎に民間実業家を招きて晩餐会を開けり、当日招を受けたる実業家左の如し
  東京
  松尾臣善    相馬永胤     添田寿一
  志村源太郎 男爵三井八郎右衛門  益田孝
  荘田平五郎   園田孝吉     安田善次郎
  豊川良平    早川千吉郎    池田謙三
  佐々木勇之助  大倉喜八郎    阿部泰蔵
  末延道成    馬越恭平     菊池長四郎
  福原有信
  京都
  田中源太郎
  大阪
  藤田伝三郎   田中市兵衛    中橋徳五郎
  小山健三    片岡直温     野元驍
  島村久     志立鉄次郎    岩下清周
  町田忠治
  横浜
  大谷嘉兵衛   原富太郎     左右田金作
  名古屋
  滝兵右衛門   神野金之助    伊藤次郎左衛門
  岡谷惣助    関戸守彦
 - 第6巻 p.570 -ページ画像 
当夕は右の外井上伯、松方伯、桂総理大臣、寺内陸軍大臣、芳川内務大臣、清浦農商務大臣、小村外務大臣、阪谷大蔵次官、岩井主計局長、水町理財局長、若槻大蔵書記官等の出席あり、曾禰大蔵大臣は第三回国庫債券発行の内定せるに就きては十分の尽力あらんことを望む旨を述べ、桂総理大臣、松方伯及井上伯の如きも亦熱心に尽力を望む旨を説かれしのみならず食後寺内陸軍大臣及松方伯の演説、及園田孝吉氏の答辞あり、夫より各自の意見を交換し午後十一時三十分散会したり此前後に於て各地銀行家の意向も略々定まれるものゝ如くなりしが、松尾日本銀行総裁は更に翌二日午後五時より前夜大蔵大臣官舎に会せる実業家中特に銀行家を三井集会所に招待して晩餐を饗し併せて前夜来の協議を重ぬる所あり、日本銀行よりは理事首藤諒、営業局長木村清四郎及塩川三四郎の諸氏出席し、先づ総裁より今回政府に於て既に第三回国庫債券募集の議を定められしに就ては共に応募上の打合を為し、諸君の尽力に依り前回に劣らざる好成績を挙げんことを切望する旨を述べしに、各自の間に種々の意見ありしも協議の末遂に政府希望の如く前回同一の条件の下に十分の尽力を為すことゝなり、園田孝吉氏は東京銀行家を、小山健三氏は大阪銀行家を、神野金之助氏は名古屋銀行家を、大谷嘉兵衛氏は横浜銀行家を、田中源太郎氏は京都銀行家を代表して何れも其意を表し終て今後右に関する金融上其他の事に関して打合を為し、午後十一時散会せり
銀行家との協議は右にて結了せしが、政府は本月四日より各地方長官を召集して同じく国庫債券の発行に関する訓示を為す所ありたり
斯くて第三回国庫債券発行規程は本月十二日大蔵省令第四十一号を以て公布せられたり、爰に其規程の全文を掲ぐれば左の如し
 大蔵省令第四十一号
 第三回国庫債券発行規定左の通相定む
  明治三十七年十月十二日 大蔵大臣 男爵 曾禰荒助
    第三回国庫債券発行規定
 第一条 政府は明治三十七年法律第一号に依り国庫債券八千万円を発行す
 第二条 国庫債券利子の割合は一箇年百分の五とす
 第三条 国庫債券は無記名利札附とし其種類は二十五円、五十円、百円、五百円、千円、五千円及一万円の七種とす但し応募者又は所有者の望に由り記名となすことを得
 第四条 国庫債券の元金は明治三十八年より七箇年以内に償還するものとす
 第五条 国庫債券の利子は毎年三月及九月に於て支払ふものとす
 第六条 国庫債券の発行価格は額面百円に付き其最低を九十二円とす
 第七条 国庫債券の応募申込期間は明治三十七年十月三十一日より十一月七日までとす但し取扱銀行は応募者の便宜に依り十月三十一日前と雖も申込を受くることを得
 第八条 応募申込人は応募高、応募価格及住所姓名を詳記したる申込書に申込高百円に付金二円の保証金を添へ日本銀行本支店其他
 - 第6巻 p.571 -ページ画像 
日本銀行の定むる申込所に申込むべし但し保証金には利子を付せず
  前項の応募価格には十銭未満の端数を付することを得ず
 第九条 国庫債券応募高、需用額に超過するときは大蔵大臣は応募価格の高きものより順次債券を交付し需用額に満つるに至て止む其価格同じきものは申込の高に割合ひ減少するものとす
 第十条 申込は明治三十七年十一月十八日までに確定するものとす確定の上は其旨を申込人に通知すべし
 第十一条 前条の通知を受けたるものは左の区別に依り払込を為すべし但し第一期払込は保証金を以て之に充つ
   第一期 明治三十七年十一月十八日       二円(額面百円に付)
   第二期 同年十二月十六日より同月二十六日まで 十円(同)
   第三期 明治三十八年一月十六日より同月二十五日まで 五円(同)
   第四期 同年二月十六日より同月二十五日まで  十円(同)
   第五期 同年三月十六日より同月二十五日まで  十五円(同)
   第六期 同年四月十七日より同月二十六日まで  二十円(同)
   第七期 同年五月十六日より同月二十五日まで  二十円(同)
   第八期 同年六月十六日より同月二十六日まで  十円(同)
  発行価格以上の申込を為したる者は第二期払込と共に其の差額を払込むべし
 第十二条 応募者の都合に依り後の一期若くは数期分を前期に繰上げ払込を為すことを得
 第十三条 明治三十八年九月渡以前の利子は第二条の利率に拘らず左の区別に依り仕払ふものとす
  一、第四期以前に於て全部の払込を完了したる者には明治三十八年三月に於て額面百円に付金六十三銭同年九月に於て額面百円に付金三円の割合を以て利子を支払ふ
  二、第五期以後に於て全部の払込を完了したる者には明治三十八年九月に於て額面百円に付金二円二十七銭の割合を以て利子を仕払ふ
 第十四条 国庫債券の払込を延滞したる者あるときは払込期限の翌日より現払込の日迄金百円に付日歩四銭の割合を以て利子を徴収すべし
  払込期日後三箇月を過き尚ほ払込を為さゞるときは応募の申込を無効とし既に払込たる金額を没収す
 第十五条 国庫債券の応募者第二期の払込を了したるときは記名の仮債券を交付し全額払込の上は之と引換に本債券を交付すべし
 第十六条 前条の仮債券は売買譲与し及び質と為すことを得
  前項の取扱に関しては明治二十七年大蔵省令第十七号を準用す但し応募者が払込を為すに当り供托又は質入等の事故に因り仮債券を呈示すること能はざる場合に於て其旨を証明するときは同令第三条に拠り其払込を仮債券に記入する代に之に対して仮に領収証書を交付することを得
 第十七条 第十四条第二項の場合に於て無効と為りたる仮債券を所持する者は速に之を日本銀行本支店又は代理店に返還すべし
 - 第6巻 p.572 -ページ画像 
 第十八条 仮債券を紛失し又は滅失したるものは二名以上の保証人を立て其事実を日本銀行本支店又は代理店に証明し代仮債券を請求することを得
  前項の請求ありたる後原仮債券を発見したる者は速に其旨を日本銀行本支店又は代理店に届出づべし此場合に於て既に代仮債券の交附を了りたるときは原仮債券を返還せしむ其交附手続中に係るものも時宜に由り返還せしむることあるべし
 第十九条 国庫債券の紛失又は滅失に因り代債券交附ありたる後原債券を発見したる者は速に之を日本銀行本支店又は代理店に返還すべし国庫債券の利札に付ても之に準ず
 第二十条 国庫債券に関する取扱順序は本令に規定したるものゝ外明治十九年大蔵省令第三十号整理公債取扱順序に準拠す

銀行通信録 ○第三八巻第二二九号・第六一六―六一九頁〔明治三七年一一月一五日〕 第三回国庫債券募集(DK060156k-0002)
第6巻 p.572-573 ページ画像

 ○第三八巻第二二九号・第六一六―六一九頁〔明治三七年一一月一五日〕
    ○第三回国庫債券募集
第三回国庫債券八千万円発行の事決定せられ、十月十二日官報号外を以て大蔵省令第四十一号第三回国庫債券発行規程の公布せられたることゝ及其規程は前号(四九〇―四九二頁)に之を記載せり
其発行規程は前二回の分と大体に於て同一なりと雖も、取扱手続其他の上に於て若干の変更あることは規程を一読して之を知るべし、今爰に規程の公布と同時に、大蔵省が公表したる所を記さんに左の如し
 第三回国庫債券発行規程は愈々本日の官報を以て発布されたるが、其大体に於て前二回と異なる所なきも、取扱手続の上に多少の修正を加へたり、就中手続を簡単にし、時宜に適したりと認むべきは、月割利札の改正にあり、従来は毎期の払込に応募額の一部又は全部を繰上げ払込むことを許したるを以て、月割利子の計算千種万別にして、取扱銀行に於て名状すべからざる手数を要するのみならず、大蔵省に於ても利子金額一定せざるを以て、月割利札の製造上及取扱上に不便少なからず、随て本債券交付の遅延を来たす等の恐もあり、旁々応募者に不便を感ぜしめたりしが、今回は欧米の実際を参酌し、第四期以前に全部の払込を了りたる者に対しては、百円に付三円六十三銭の利子を交付し、明年三月及九月の両度に渡すことゝし、又第五期以後に全部の払込を終りたる者に対しては、百円に付二円二十七銭の割を以て利子を附し、明年九月之を渡すこととせり即ち従来発行したりし千種万別の月割利札は僅に三種の利札となりたる訳にて、手続上大なる進歩と云べし
 次に払込延滞利子を増率せり、是れ畢竟月割利札の制度を廃し、前述の如く利子金額を二種に区別し、此以外には払込の遅速に依りて利子金額に変動を来たさゞることゝ定めたるの結果、延滞者は未払込金に対する利子をも受くる勘定となるを以て之を高め、尚計算上の便利を慮り、年利を日歩に改めたるものなりと云ふ
 其他応募価格の端数を十銭以上に制限し、募集取扱上の煩累を避け無効となりたる債券返還のことをも明に規定し、此等債券が詐欺其他奸策の用に供せられ、信用取引を沮害する等のことを予防せり、此等は何れも公債法規上の進歩と云ふべし
 - 第6巻 p.573 -ページ画像 
斯の如く規程既に公布せられて十月三十一日より申込開始のことに定まりしが、之に先ちて同月七日正午渋沢栄一、豊川良平、園田孝吉、早川千吉郎、馬越恭平、菊池長四郎、池田謙三、佐々木勇之助、安田善三郎の諸氏は銀行倶楽部に会合し、翌八日午前右等諸氏は日本銀行に松尾総裁を訪問して会談する所あり、越て十日前記の内渋沢、豊川、園田、早川、池田五氏及松尾臣善、相馬永胤、添田寿一、志村源太郎、安田善次郎五氏並に大阪の藤田伝三郎、野元驍、志立鉄次郎三氏は、午前九時より総理大臣官舎に会して桂総理大臣、曾禰大蔵大臣及松方井上両伯等と協議し、翌十一日午後四時三十分より豊川、園田、早川、藤田、志立及島村(久)諸氏は井上伯の邸に会して更に協議を重ぬる所ありたり
以上数回の会合に於ける協議の詳細は素より之を知るべからざるも、其応募上に関する協議なりしことは勿論なるが、右に関し同月十二日の東京朝日新聞は左の如く報道せり
 (前略)元来此会談は京阪銀行家の要望に出でたるものゝ由にて、要は先づ銀行家より(一)来年度の予算に計上せらるべき公債募集高を質し、(二)来年度に於ては大蔵省証券の発行限度を本年度より一層多額に上せられたきことを望み、(三)成るべく短期公債の発行を避け長期を取る事、(四)銀行決算に当り、公債時価算出を改正せられたき事、(五)今後国債発行の時は予め銀行家の意見を徴せられたき事等をも希望したるなり、之に対し政府当局者は予算の内容を陳ぶる事を辞し、其他の件も努めて答弁の余地を後日に保留したり、但松方、井上両伯は銀行家と政府の間に立ちて今後成るべく丈意思の疏通を図る可きことを約し、散会したるなり、尚東京二三の銀行より国債募集に関する取扱手数料に関し要談する処ありしも、是亦何等決する処あらざりき
右の結果政府に於ても大に民間の意向を択取する所あるものゝ如し、即ち第一大蔵省証券は其年度の歳入を以て支払を為すの規定を改正して、必ずしも其年度の歳入に限らざることゝ為し、且つ其発行額を増加する為め、第二十一議会に於て法律改正其他の手続を為すこと、第二公債利子は之を免除することゝし、所得税法の改正案を提出すること、第三公債利札の紛失したる場合に、利子支払を見合はすことを廃して公債利札を納税、送金其他に代用し得るの道を開くことゝし、法律案を提出することに決せる由なり○中略
却説当集会所組合銀行は規程公布後二日、即ち十月十四日午後二時より集会して応募上の協議を遂げ、京浜の本店銀行は同日以後其申込高を確定して本月一日申込を為したり

銀行通信録 ○第三八巻第二二九号・第六五七―六五八頁〔明治三七年一一月一五日〕 東京銀行集会所組合銀行協議会(DK060156k-0003)
第6巻 p.573-575 ページ画像

 ○第三八巻第二二九号・第六五七―六五八頁〔明治三七年一一月一五日〕
    ○東京銀行集会所組合銀行協議会
明治三十七年十月十四日、午後三時十五分より第三回国庫債券応募の件に付組合銀行協議会を開く、当日出席者は本店銀行代表者十九名支店銀行代表者六名にして、会長男爵渋沢栄一君会長席に着き先づ会長より昨年以来病気引籠中の処、今回漸く全快して再び諸君と相見るに至りたるは大に喜悦する所なる旨挨拶あり、次に豊川副会長より過日
 - 第6巻 p.574 -ページ画像 
来第三回国庫債券応募の件に付政府と交渉の顛末を報告し、渋沢会長よりも前回通り成るべく歩調を揃へて応募することゝし度旨陳述あり夫より各自応募額を協定し、尚当日未定の分は来十九日迄に申出を請ふことに決し、終て中沢彦吉君より出席者一同に代り渋沢会長の病気全快を祝する旨挨拶し、右にて議事を了り、午後四時十分閉会せり、組合銀行中応募申出の金額左の如し
                             円
    株式会社十五銀行        一〇、〇〇〇、〇〇〇
    三菱合資会社           五、〇〇〇、〇〇〇
    横浜正金銀行           五、〇〇〇、〇〇〇
    合名会社三井銀行         五、〇〇〇、〇〇〇
    株式会社第一銀行         三、〇〇〇、〇〇〇
    同 第三銀行           一、〇〇〇、〇〇〇
    同 第百銀行           一、〇〇〇、〇〇〇
    合名会社安田銀行         一、〇〇〇、〇〇〇
    株式会社帝国商業銀行       一、〇〇〇、〇〇〇
    同 第二銀行             七五〇、〇〇〇
    同 横浜七十四銀行          七五〇、〇〇〇
    同 横浜銀行             五〇〇、〇〇〇
    合資会社川崎銀行           三四〇、〇〇〇
    株式会社二十七銀行          三〇〇、〇〇〇
    同 東海銀行             三〇〇、〇〇〇
    合名会社中井銀行           三〇〇、〇〇〇
    合資会社左右田銀行          三〇〇、〇〇〇
    株式会社二十銀行           二〇二、〇〇〇
    同 八十四銀行            二〇〇、〇〇〇
    同 東京銀行             二〇〇、〇〇〇
    同 丁酉銀行             二〇〇、〇〇〇
    同 明治商業銀行           一五〇、〇〇〇
    合資会社田中銀行           一〇〇、〇〇〇
    株式会社肥後銀行           一〇〇、〇〇〇
    同 京橋銀行             一〇〇、〇〇〇
    合名会社森村銀行           一〇〇、〇〇〇
    株式会社武総銀行           一〇〇、〇〇〇
    合名会社今村銀行            七〇、〇〇〇
    同 神木銀行              六〇、〇〇〇
    株式会社三十銀行            五〇、〇〇〇
    同 麹町銀行              五〇、〇〇〇
    同 万世銀行              五〇、〇〇〇
    同 浅草銀行              五〇、〇〇〇
    同 扶桑銀行              五〇、〇〇〇
    同 日本通商銀行            四七、〇〇〇
    同 商栄銀行              三〇、〇〇〇
      計             三七、四四九、〇〇〇
又右の応募額は締切期日に先ち、十月一日を以て一斉に日本銀行へ応
 - 第6巻 p.575 -ページ画像 
募を申込むことゝなりたり
   ○国庫債券ハ第二十議会及ビ第二十一議会ノ議決ニヨリ軍費支出ノタメ五回ニ亘リ発行セルモノニシテ、第一回ハ明治三十七年二月、第二回ハ同年五月各壱億円ヲ発行セリ。
   ○栄一、明治三十六年末ヨリ病臥久シキニワタリ、三十七年六月ニハ宮中ヨリ御菓子一折ノ下賜ヲ給フ。即チ第一回第二回ノ国庫債券募集会議ニハ参与シ得ザリシナリ。
   ○明治三十八年二月及ビ同年四月ノ条ヲ参照スベシ。


日本銀行沿革史 第九巻・第九二二頁(DK060156k-0004)
第6巻 p.575 ページ画像

日本銀行沿革史 第九巻・第九二二頁
明治三十七八年ニ跨リタル日露ノ戦役ハ前古未曾有ノ大事件ニシテ、随テ其軍費ノ如キ実ニ非常ノ巨額ヲ要シタルヲ以テ、政府ハ軍備補充費支弁並ニ軍事費支弁ノ為メ内国及外国ニ於テ数次ニ国債ヲ募集シタリ、而シテ其内国ニ於ケル国債ハ前後五回ニ亘リテ短期ノ公債即国庫債券ヲ募集セリ、時恰モ国民敵愾心ノ勃興セシ折抦競テ応募ノ挙ニ出テタレハ毎回募集高ヲ超過スルノ好成績ヲ得タリ、斯クテ発行セル国庫債券ノ券面総額ハ四億七千三百六万千六百七十五円ノ巨額ニ達シタリ、此債券ハ各其基ク所ノ法律勅令及発行手続ヲ異ニシタリト雖、第二回以後発行セルモノハ特ニ規定セルモノヲ除キテハ大要前回ノ例ニ準拠シタルヲ以テ、是等全体ニ亘レル通則ハ渾テ第一回国庫債券ノ部ニ収ムルコトヽセリ、偖日露ノ風雲急ヲ告クルヤ政府ハ明治三十六年十二月二十八日勅令第二百九十一号ヲ発布シ、其第一条ニ於テ軍備補充ニ要スル経費支弁ノ為メ一時借入金ヲ為シ、又特別会計ニ属スル資金ヲ繰替使用シ、及国庫債券ヲ発行スルコト、第二条・第三条ニ於テ京釜鉄道株式会社債券元利仕払ノ保証及同会社ヘノ補助金ニ関スル事項、第四条ニ於テハ前条一時借入金又ハ国庫債券ニ附スヘキ利子ハ一箇年六分以下トシ、而シテ一時借入金ハ二箇年以内、国庫債券ハ五箇年以内ニ償還スヘク又此債券ニ関シテハ前項ニ規定スルモノヽ外ハ整理公債条例ヲ適用スル旨ヲ規定セラレタリ
斯クテ翌明治三十七年二月十三日大蔵省令第四号ヲ以テ国庫債券発行規程ヲ公布セラルヽコト左ノ如シ
   ○国庫債券発行規程略ス。