デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.575-583(DK060157k) ページ画像

明治38年2月21日(1905年)

政府ハ第四回国庫債券ノ発行ノ議ヲ決シ、是日曾禰大蔵大臣ハ全国ノ銀行家ヲ官邸ニ招キテ諮ルトコロアリ。栄一銀行側ヲ代表シテ一場ノ挨拶ヲナス。

尋イデ翌二十二日銀行家一同ハ三井集会所ニ集合シテ発行額二億円ヲ一億円ニ止メ、応募ニ尽力スベキ議ヲ決シ、栄一各銀行ノ総代トシテ大蔵大臣ニ答申スルコトニ決ス。即チ政府ハコノ説ヲ採納シテ国庫債券一億円ヲ発行スルコトトシ、大蔵省令ヲ公布セリ。


■資料

渋沢栄一 日記 明治三八年(DK060157k-0001)
第6巻 p.576 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三八年
二月四日 晴 寒シ
午飧後再ヒ日本銀行ニ抵リ、松尾氏ニ面会シテ公債募集ニ関スル方法ヲ談話シ
二月十日 晴 風ナシ
午後一時井上伯来訪セラル、第四回国庫債券募集ノ手続ヲ協議ス、且戦時財政ニ関シ重要ノ談話アリ午後四時ニ至リテ去ル
二月十一日 快晴 軽暖
佐々木勇之助氏来話ス、国庫債券ノコト及韓国ニ関スル銀行事務ヲ協議ス
二月十四日 曇 風ナシ
十一時半銀行集会所ニ抵リ安田・相馬・豊川・園田・早川・添田・池田・馬越ノ諸氏ト国庫債券募集ニ関スル割合方法等ヲ内議ス、午後三時ニ至リテ概略決定セシニヨリ直ニ井上伯ヲ麻布邸ニ訪フテ其協議ノ次第ヲ報告シ、相共ニ三井集会所ニ抵リ、更ニ桂総理・曾根大蔵《(曾禰大蔵)》・松方・井上両伯・松尾総裁ト共ニ協議シテ来ル廿日ヲ以テ京坂其他ノ各地銀行者会同ノコトト定ム
二月十九日 曇 風ナシ
四時過有楽町三井集会所ニ抵リ京坂同業者ノ会同ニ出席シ、国庫債券第四回募集ノ方法ヲ協議ス、種々ノ討議アリテ夜十一時王子別荘ニ帰宿ス
二月二十日 晴 風ナシ
午前十一時日本銀行ニ抵リ、松尾氏ニ面会シテ昨日各銀行会同ノ景況ヲ話シ、且覚書及附言等ヲ一覧ニ供ス、且明日以後ノ手筈ヲ打合ハセ井上伯ヘ通信ノコト、大蔵大臣・松方伯等ヘ実況陳告ノコト等ヲ談話ス、○中略午飧後事務所ニ於テ書状ヲ作リ、井上伯ニ覚書其他ヲ封入送致ス
二月二十一日 晴 風ナシ
午後五時大蔵大臣官邸ニ抵ル、国庫債券発行方法諮問会ニ出席ス、一場ノ演説ヲ為ス、畢テ夜飧ヲ饗セラル、桂総理大臣モ出席ス、夜十一時王子ニ帰宿ス
二月二十二日 曇 風寒シ
二時三井集会所ニ抵リ国庫債券募集方法協議会ニ列ス、東京・大坂・西京・横浜・名古屋等ノ各銀行者二十二名来会ス
井上伯、松尾総裁共ニ参加セラレ種々討議ノ末条件ヲ一定シ、明日余ハ各銀行ノ総代トシテ大蔵大臣ヘ答申スルコトト定ム
二月二十三日 晴 風ナシ
食後昨夜各銀行間ニ評決セシ国庫債券発行方法ヲ清書シ、之ヲ携ヒテ十一時貴族院ニ抵リ、総理大臣大蔵大臣ニ面会シテ昨夜ノ会議摸様ヲモ陳述シテ書面ヲ呈ス、両大臣モ満足ノ旨申聞ラル、松尾総裁モ来会シ阪谷次官モ参列ス
二月二十八日 曇 風寒シ
午後四時坂本町銀行集会所ニ抵リ、第四国庫債券応募ノコトヲ協議ス

 - 第6巻 p.577 -ページ画像 

銀行通信録 第三九巻第二三三号・第三四〇―三四四頁〔明治三八年三月一五日〕 第四回国庫債券発行(DK060157k-0002)
第6巻 p.577-581 ページ画像

銀行通信録 第三九巻第二三三号・第三四〇―三四四頁〔明治三八年三月一五日〕
    ○第四回国庫債券発行
政府が本年度に於て公債の募集、国庫債券の発行又は一時借入金に依るべき金額は、昨年十一月中倫敦に於て募集済となりし六分利付英貨公債一億二千万円を差引き総計四億五千百万円なりとす、而して一方戦局の進行に伴ひ軍費の必要愈々多きを加へ、特に第二回国庫債券の払込は近く本月を以て、又第三回国庫債券の払込は来六月を以て終結せんとするが故に、政府は一面高橋日本銀行総裁《(副)》を倫敦に派して外債募集を計画せしむると同時に、此際第四回国庫債券発行の議を決するに至れり
然れども其発行条件に至りては金融社会の事情固より前回の例に依るべからざるものあるを以て、政府は二月上旬以来松尾日本銀行総裁の手を経て東京、横浜、大阪、京都、名古屋等の銀行家に対し其意見を徴しつゝありしが、其後民間銀行家の意向も略々判明したるより、曾禰大蔵大臣は例に依り二月二十一日午後五時より此等銀行家を其官邸に招きて晩餐会を開きたり、当日列席の銀行家左の如し
     東京
    松尾臣善   渋沢栄一   園田孝吉
    相馬永胤   早川千吉郎  添田寿一
    安田善次郎  三崎亀之助  高橋新吉
    豊川良平   池田謙三   馬越恭平
     大阪
    志立鉄次郎  小山健三   島村久
    町田忠治   岩下清周   野元驍
     名古屋
    神野金之助  滝兵右衛門  伊藤治郎左衛門
    伊藤由太郎
     横浜
    左右田金作  大谷嘉兵衛  原富太郎
     京都
    田中源太郎
    (備考)当日は前記諸氏の外志村源太郎、佐々木勇之助(東京)外山修造(大阪)関戸守彦、岡谷惣助(名古屋)の諸氏も招待を受けたれども病気又は事故の為め欠席せり
当日は曾禰大蔵大臣の外桂総理大臣、阪谷大蔵次官、水町理財局長、荒井主計局長、若槻主税局長等も出席し、先づ曾禰大蔵大臣より、従来三回の国庫債券募集は諸君の尽力に依り毎回好結果を収めたるが、第四回国庫債券募集に付ても前回に劣らざる応募額を得たく、就ては諸君に於ても最も適当なる条件を提出して、充分尽力あらんことを希望する旨陳述し、次で桂総理大臣は戦局の成行より説き起して、第四回国庫債券募集に就ても充分の好成績を挙げ、外国に向て独り軍事のみならず経済力に於ても亦鞏固なるものあることを示したき旨陳述し之に対して渋沢男爵は銀行家を代表して、戦局の進行今日の如く我に
 - 第6巻 p.578 -ページ画像 
利なるは主として陛下の御稜威と海陸軍人諸氏の功労に依ること勿論なりと雖も、間接には我経済社会が軍資調達の為めに致したる努力の効も尠からざることゝ信ずるが故に、第四回国庫債券募集に就ては出来得る限り民間の希望を容れて充分の好成績を挙げられんことを希望する旨挨拶し、夫より主客晩餐を共にして午後九時頃散会したり
之に先ち東京及大阪の銀行家は二月二十日三井集会所に会合し、募債条件に付意見を交換する所あり、越えて二十二日は前日大蔵大臣の招待を受けたる銀行家一同午後二時より更に同所に会合し、井上伯にも臨席の上種々協議を尽したる処、結局利子年六分、償還期限七箇年、発行価格九十円説(年八分二厘五毛相当)と、利子年五分、償還期限三箇年、発行価格九十円説(年九朱二厘五毛相当)の二種に分れたるより、右両説の内何れにても政府の採択に一任することゝし、尚ほ発行額は二億円とする政府の意向なりしも、一時の便宜を謀らんよりは応募の好成績を期するに如かずとて一億円に止め、一同奮て募集に尽力することに決し、夫より同所に於て松尾日本銀行総裁の催に係る晩餐会を開き、席上松尾総裁の挨拶、井上伯、渋沢男及豊川良平、小山健三両氏の演説あり、午後十時過散会せり
銀行家との協議は右にて結了せしが、政府は二月二十四日各地方長官を招集して国庫債券発行に関し夫々訓示する所あり、又翌二十五日は銀行家以外の実業家を大蔵大臣官邸に招きて晩餐会を開き、同じく国庫債券募集に関し種々懇談する所ありたり
斯くて政府は銀行家より提出したる第一説、即ち利子年六分、償還期限七箇年、価格九十円説を採納して国庫債券一億円を発行することゝし、二月二十七日大蔵省令第八号を以て、左の如く第四回国庫債券発行規程を公布せり
 大蔵省令第八号
 第四回国庫債券発行規程左の通之を定む
  明治三十八年二月二十七日 大蔵大臣 男爵 曾禰荒助
    第四回国庫債券発行規程
 第一条 政府は明治三十八年法律第十二号に依り国庫債券一億円を発行す
 第二条 国庫債券利子の割合は一箇年百分の六とす
 第三条 国庫債券は無記名利札付とし其種類は二十五円、五十円、百円、五百円、千円、五千円及一万円の七種とす、但し応募者又は所有者の望に由り記名と為すことを得
 第四条 国庫債券の元金は明治三十八年九月より満七箇年以内に償還するものとす
 第五条 国庫債券の利子は毎年六月及十二月に於て仕払ふものとす
 第六条 国庫債券の発行価格は額面百円に付其最低を九十円とす
 第七条 応募申込期間は明治三十八年三月二十五日より同月三十一日までとす、但し取扱銀行は応募者の便宜に依り三月二十五日前と雖も其申込を受くることを得
 第八条 応募の申込人は応募高応募価格及住所氏名を詳記したる申込者に申込高百円に付金四円の保証金を添へ日本銀行本支店其他
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日本銀行の定むる申込所に申込むべし但し保証金には利子を附せず前項の応募価格には十銭位に満たざる端数を附することを得ず
 第九条 国庫債券応募高、需要額に超過するときは其の価格の高きものより順次之を採り需要額に満つるに至て止む、其価格同じきものは申込の高に割合ひ減少するものとす
 第十条 申込は明治三十八年四月十日までに確定するものとす、確定の上は其旨を申込人に通知すべし
 第十一条 前条の通知を受けたるものは左の区別に依り払込を為すべし、但し第一期払込は保証金を以て之れに充つ
   第一期 明治三十八年四月十日 金四円(額面百円に付)
   第二期 同年四月二十四日より同月二十九日まで 金十六円(同上)
   第三期 同年五月十六日より同月二十五日まで  金二十円(同上)
   第四期 同年六月十六日より同月二十六日まで  金二十円(同上)
   第五期 同年七月十七日より同月二十六日まで  金二十円(同上)
   第六期 同年八月十六日より同月二十五日まで  金十円(同上)
  発行価格以上の申込を為したるものは第二期払込と共に其差額を払込むべし
 第十二条 応募者の都合に依り後の一期若くは数期分を前期に繰上げ払込を為すことを得
 第十三条 明治三十八年十二月渡以前の利子は第二条の利率に拘らず左の区別に依り仕払ふものとす
  一、第三期以前に於て全部の払込を完了したるものには明治三十八年六月に於て額面百円に付金六十五銭、同年十二月に於て額面百円に付金三円二十五銭の割合を以て利子を仕払ふ
  二、第四期以後に於て全部の払込を完了したるものには明治三十八年十二月に於て額面百円に付金三円一銭の割合を以て利子を仕払ふ
 第十四条 国庫債券の払込を延滞したるものあるときは、払込期限の翌日より現払込の日まで、金百円に付日歩四銭の割合を以て利子を徴収すべし
  払込期日後三箇月を過ぎ尚ほ払込を為さゞるときは、応募の申込を無効とし、既に払込みたる金額は之を没収す
 第十五条 国庫債券の応募者第二期の払込を了したるときは記名の仮債券を交附し全額払込の上は之れと引換に本債券を交付すべし
 第十六条 前条の仮債券は売買譲与し及び質と為すことを得
  前項の取扱に関しては明治二十七年大蔵省令第十七号を準用す、但し応募者が払込を為すに当り供託又は質入等の事故に因り仮債券を呈示すること能はざる場合に於て其旨を証明するときは、同令第三条に依り其払込を仮債券に記入する代りに、之に対して仮に領収証書を交付することを得
 第十七条 第十四条第二項の場合に於て無効と為りたる仮債券を所持するものは速に之を日本銀行本支店又は代理店に返還すべし
 第十八条 仮債券を紛失し又は滅失したる者は、二名以上の保証人を立て、其事実を日本銀行本支店又は代理店に証明し、代仮債券
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を請求することを得
  前項の請求ありたる後原仮債券を発見したる者は速に其旨を日本銀行本支店又は代理店に届出づべし、此場合に於て既に代仮債券の交付を了りたるときは原仮債券を返還せしむ、其交付手続中に係るものも時宜に由り返還せしむることあるべし
 第十九条 国庫債券の紛失又は滅失に因り代債券の交付ありたる後原債券を発見したる者は速に之を日本銀行本支店又は代理店に返還すべし、国庫債券の利札に付ても之に準す
 第二十条 国庫債券に関する取扱順序は本令に規定したるものゝ外明治十九年大蔵省令第三十号整理公債取扱順序に準拠す
即ち今回の募集条件は利子及発行価格を除くの外略々前回と同様なれども、唯だ前回は償還期限を明治三十八年より七箇年とし其計算を一般の通則に任じて即ち本年十二月より起算することとしたるを、今回は明治三十八年九月より満七箇年とし即ち本年九月より起算することとし、又前回は申込証拠金を二円としたるを今回は四円とし、尚前回は払込回数を八期に分ち八箇月間に払込ましめたるを今回は六期に分ち五箇月間に払込ましむることゝせり
又国庫債券取扱銀行に交付する取扱手数料は、前回募集の際は月割払込に対し千分の十を交付することゝしたるが、其結果取扱銀行中には往々之を申込人に割戻すものありしを以て、今回は之を半減して千分の五を交付することゝせり
以上の外前回以後法律規則改正の結果国庫債券応募の利便となりたるもの少からず、其大要左の如し
第一 軍備補充の為め及び臨時事件費支弁の為め発行したる国債証券は本年二月十五日法律第十九号を以て其利子所得税を免除せられ、同日法律第二十号を以て之が価格を計算するに当りては其最低発行価格を以てすることを得せしめ、又本年一月二十一日勅令第二十号を以て政府に納むべき保証金其他の担保に充てんとするときは其最低発行価格に依り保証価格を算定することゝなれり(前々号六七頁及前号二二五頁参照)
第二 元金仕払期の開始せる無記名国債証券及利子仕払期の開始せる無記名国債証券利札は、本年二月十六日勅令第三十四号及同月十八日大蔵省令第七号を以て、租税其他の歳入金の代用として収納せらるゝことゝなりれり(別項参照)
第三 郵便局国庫債券取扱規則に依る一口の取扱金額は従来百円を超過することを得ざりしが、本年三月三日逓信省令第八号を以て右の制限を一口五百円まで増加することゝなれり(内国経済時事欄参照)
第四回国庫債券応募に関する利便大凡此の如し、而して東京銀行集会所組合銀行は規程公布の翌日即ち二月二十八日午後二時より集会して応募上の協議を遂け夫々申込を為すことゝなり、又大阪銀行銀行集会所組合銀行も本月二、三両日集会の上応募上に関し種々協議する所あり、本稿締切迄の応募確定額左の如し
      東京銀行集会所組合銀行

図表を画像で表示東京銀行集会所組合銀行

                 円      円 十五銀行    一〇、〇〇〇、〇〇〇   東京銀行    三〇〇、〇〇〇 三菱会社     五、〇〇〇、〇〇〇   二十銀行    三〇〇、〇〇〇  以下p.581 ページ画像  三井銀行     五、〇〇〇、〇〇〇   左右田銀行   三〇〇、〇〇〇 横浜正金銀行   五、〇〇〇、〇〇〇   肥後銀行    二五〇、〇〇〇 第一銀行     三、〇〇〇、〇〇〇   八十四銀行   二〇〇、〇〇〇 第三銀行     二、〇〇〇、〇〇〇   丁酉銀行    二〇〇、〇〇〇 安田銀行     二、〇〇〇、〇〇〇   森村銀行    二〇〇、〇〇〇 第百銀行     一、〇〇〇、〇〇〇   神木銀行    一五〇、〇〇〇 帝国商業銀行   一、〇〇〇、〇〇〇   田中銀行    一〇〇、〇〇〇 村井銀行     一、〇〇〇、〇〇〇   京橋銀行    一〇〇、〇〇〇 第二銀行       七五〇、〇〇〇   武総銀行    一〇〇、〇〇〇 横浜七十四銀行    七五〇、〇〇〇   今村銀行    一〇〇、〇〇〇 横浜銀行       五〇〇、〇〇〇   麹町銀行    一〇〇、〇〇〇 川崎銀行       三五〇、〇〇〇   浅草銀行    一〇〇、〇〇〇 二十七銀行      三〇〇、〇〇〇   万世銀行     七〇、〇〇〇 明治商業銀行     三〇〇、〇〇〇   日本通商銀行   七〇、〇〇〇 東海銀行       三〇〇、〇〇〇   三十銀行     五〇、〇〇〇 中井銀行       三〇〇、〇〇〇   商栄銀行     五〇、〇〇〇 



    合計四千百二十九万円

      大阪銀行集会所組合銀行

図表を画像で表示大阪銀行集会所組合銀行

                 円                 円 住友銀行    四、〇〇〇、〇〇〇   藤本銀行    五〇〇、〇〇〇 鴻池銀行    二、〇〇〇、〇〇〇   加島銀行    三五〇、〇〇〇 浪速銀行    一、二〇〇、〇〇〇   楊井銀行    三〇〇、〇〇〇 三十四銀行   一、二〇〇、〇〇〇   近江銀行    三〇〇、〇〇〇 山口銀行    一、二〇〇、〇〇〇   積善同盟銀行   五〇、〇〇〇 北浜銀行    一、二〇〇、〇〇〇   尾州銀行     二〇、〇〇〇 大阪貯蓄銀行  一、二〇〇、〇〇〇   成友銀行     一〇、〇〇〇 百三十銀行   一、二〇〇、〇〇〇 



    合計千四百六十三万円
   総計五千五百九十二万円
此他帝室に於かせられても前回と同じく二千万円を御申込あるべく、日本銀行も同じく二千万円、日本興業銀行三百万円、日本郵船会社百万円、明治生命保険会社二百万円、帝国生命保険会社二百万円、明治火災保険会社百万円等は既に確定したれば此等の応額のみにても既に一億円を超過したれば、締切迄には前数回と同じく募集額の数倍に達すべき景況なり
終りに臨み国庫債券発行の為め今後市場より引上げらるべき金額を見るに左の如し

図表を画像で表示--

      第三回国庫債券払込高   第四回国庫債券払込高      合計           累計               円            円             円             円 三月  二七、〇〇〇、〇〇〇            ―    二七、〇〇〇、〇〇〇    二七、〇〇〇、〇〇〇 四月  一六、〇〇〇、〇〇〇   二〇、〇〇〇、〇〇〇    三六、〇〇〇、〇〇〇    六三、〇〇〇、〇〇〇 五月  一六、〇〇〇、〇〇〇   二〇、〇〇〇、〇〇〇    三六、〇〇〇、〇〇〇    九九、〇〇〇、〇〇〇 六月   八、〇〇〇、〇〇〇   二〇、〇〇〇、〇〇〇    二八、〇〇〇、〇〇〇   一二七、〇〇〇、〇〇〇 七月           ―   二〇、〇〇〇、〇〇〇    二〇、〇〇〇、〇〇〇   一四七、〇〇〇、〇〇〇 八月           ―   一〇、〇〇〇、〇〇〇    一〇、〇〇〇、〇〇〇   一五七、〇〇〇、〇〇〇     六七、〇〇〇、〇〇〇   九〇、〇〇〇、〇〇〇   一五七、〇〇〇、〇〇〇 



    (備考)三月分第三回国庫債券払込額中には第二回国庫債券払込残額千五百万円を包含せり

此の如く毎月多きは三千六百万円、少きも一千万円を引上げらるゝが故に、金融市場に影響を及ぼすこと勿論なるべきも、我経済社会は頗る鞏固なるものあるを以て格別の変動なかるべし

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銀行通信録 第三九巻第二三三号・第三八六頁〔明治三八年三月一五日〕 東京銀行集会所組合銀行協議会(DK060157k-0003)
第6巻 p.582 ページ画像

銀行通信録 第三九巻第二三三号・第三八六頁〔明治三八年三月一五日〕
    ○東京銀行集会所組合銀行協議会
東京銀行集会所組合銀行にては二月二十八日午後二時四十五分より、第四回国庫債券応募の件に付協議会を開きしが、当日出席者は本店銀行代表者二十二名、支店銀行代表者四名にして、会長男爵渋沢栄一君遅参に付副会長豊川良平君議長席に着き、先つ過日来第四回国庫債券発行の儀に付当局者と会談の顛末を報告し、次て一同協議中渋沢会長も出席せられ、各自応募額を協定し、尚当日未定の分は至急応募申出を謂ふことゝし、午後四時三十分閉会せり、組合銀行中応募申出の金額左の如し
    株式会社十五銀行       一〇、〇〇〇、〇〇〇円
    三菱合資会社          五、〇〇〇、〇〇〇
    合名会社三井銀行        五、〇〇〇、〇〇〇
    横浜正金銀行          五、〇〇〇、〇〇〇
    株式会社第一銀行        三、〇〇〇、〇〇〇
    同 第三銀行          二、〇〇〇、〇〇〇
    合名会社安田銀行        二、〇〇〇、〇〇〇
    株式会社第百銀行        一、〇〇〇、〇〇〇
    同 帝国商業銀行        一、〇〇〇、〇〇〇
    合名会社村井銀行        一、〇〇〇、〇〇〇
    株式会社第二銀行          七五〇、〇〇〇
    同 横浜七十四銀行         七五〇、〇〇〇
    同 横浜銀行            五〇〇、〇〇〇
    合資会社川崎銀行          三五〇、〇〇〇
    株式会社二十七銀行         三〇〇、〇〇〇
    同 明治商業銀行          三〇〇、〇〇〇
    同 東海銀行            三〇〇、〇〇〇
    合名会社中井銀行          三〇〇、〇〇〇
    株式会社東京銀行          三〇〇、〇〇〇
    同 二十銀行            三〇〇、〇〇〇
    合資会社左右田銀行         三〇〇、〇〇〇
    株式会社肥後銀行          二五〇、〇〇〇
    同 八十四銀行           二〇〇、〇〇〇
    同 丁酉銀行            二〇〇、〇〇〇
    合名会社森村銀行          二〇〇、〇〇〇
    同 神木銀行            一五〇、〇〇〇
    合資会社田中銀行          一〇〇、〇〇〇
    株式会社京橋銀行          一〇〇、〇〇〇
    同 武総銀行            一〇〇、〇〇〇
    合名会社今村銀行          一〇〇、〇〇〇
    株式会社麹町銀行          一〇〇、〇〇〇
    同 浅草銀行            一〇〇、〇〇〇
    同 万世銀行             七〇、〇〇〇
    同 日本通商銀行           七〇、〇〇〇
    同 三十銀行             五〇、〇〇〇
    同 商栄銀行             五〇、〇〇〇
     計             四一、二九〇、〇〇〇
又合資会社岡本銀行(組合外)よりも五万円応募の旨当所へ申出ありたり


中外商業新報 第六九四五号〔明治三八年二月二二日〕 蔵相銀行家招待(DK060157k-0004)
第6巻 p.582-583 ページ画像

中外商業新報 第六九四五号〔明治三八年二月二二日〕
    蔵相銀行家招待
曾禰大蔵大臣は昨二十一日午後五時より永田町の官邸に於て第四回国庫債券募集に関し東京、大阪、京都、名古屋、横浜の各地銀行家を招待し協議する所ありしが、列席の銀行家諸氏は
      東京
 - 第6巻 p.583 -ページ画像 
    松尾臣善          渋沢栄一   園田孝吉
    相馬永胤          早川千吉郎  添田寿一
    安田善二郎《(安田善次郎)》 三崎亀之助  高橋新吉
    豊川良平          池田謙三   馬越恭平
      大阪
    志立鉄次郎         小山健三   島村久
    町田忠治          岩下清周   野元驍
      名古屋
    神野金之助         滝兵右衛門  伊藤治郎左衛門
    伊藤由太郎
      京都
    田中源太郎
にして主人側には曾禰蔵相の外に桂首相及阪谷次官、荒井、若槻、水町の各局長臨席し、一同晩餐の後曾禰蔵相桂首相より交々起つて戦局の発展に伴ひ軍資の調達上第四回国庫債券の募集を必要とする所以を陳弁し、之に対し銀行家諸氏の前回に譲らざる発奮を希ひ、十分なる好結果を挙ぐることに尽力せられたき旨を懇々陳述し、之に対し渋沢男爵は起つて来賓を代表し一場の挨拶を述べ、国家のため銀行家も尽瘁すべき旨を語り、夫より種々財政経済上の雑談に時を移し午後九時頃散会したるが、当夜は別に詳細に渉る談話も出ですして何れ本日の松尾総裁招待会に於て更に細談を為すべきを約して退散したりと云ふ(尚当日は右銀行家の外志村源太郎、佐々木勇之助、外山脩造、関戸守彦、岡谷惣助の諸氏も招待を受けたれど病気又は事故に依り欠席したりと云ふ)