デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.641-643(DK060168k) ページ画像

明治39年3月26日(1906年)

貴衆両院議員中ノ銀行家及東京銀行集会所組合銀行中ノ有志者発起人トナリ、東京銀行集会所ニ於テ連合懇親会ヲ開催ス。栄一一場ノ挨拶ヲナス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治三九年(DK060168k-0001)
第6巻 p.641 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三九年
三月二十六日
午後六時銀行倶楽部ニ於テ同業者懇親会ヲ開ク、貴衆両院ニ出席スル同業者会スル者七八十名、食卓上一場ノ演説ヲ為シ、食後活動写真ノ余興アリ、夜十一時散会帰宿ス


銀行通信録 第四一巻第二四六号・第六一四―六一五頁〔明治三九年四月一五日〕 銀行家連合懇親会(DK060168k-0002)
第6巻 p.641-642 ページ画像

銀行通信録 第四一巻第二四六号・第六一四―六一五頁〔明治三九年四月一五日〕
    ○銀行家連合懇親会
 - 第6巻 p.642 -ページ画像 
貴衆両院議員中の銀行家及東京銀行集会所組合銀行中の有志者は、三月二十六日午後六時より東京銀行集会所に於て連合懇親会を開きたり当日出席者氏名左の如し
    貴族院
 伊藤長次郎(兵庫)   子爵本荘寿巨(東京)   道源権治(山口)
 千阪高雅(東京)    若尾幾造(神奈川)    神野金之肋(愛知)
 鎌田勝太郎(香川)   吉野周太郎(福島)    村井弥兵衛(岩手)
 児島惟謙(東京)    阿由葉吟次郎(群馬)   佐々木嘉太郎(青森)
 沢原俊雄(広島)    菊地長四郎(東京)    下野伝平(滋賀)
 下村辰右衛門(佐賀)  室田義文(東京)
    衆議院
 伊藤伝右衛門(福岡)  岩元伝兵衛(鹿児島)   長谷川豊吉(神奈川)
 服部小十郎(愛知)   星野仙蔵(埼玉)     景山甚右衛門(香川)
 粕谷義三(埼玉)    米田武八郎(鹿島)    米沢紋三郎(富山)
 滝口吉良(山口)    高橋金治(岩手)     中沢楠弥太(高知)
 永見寛二(長崎)    海野謙次郎(三重)    植木元太郎(長崎)
 柳田藤吉(根室)    山口達太郎(新潟)    山田平太郎(新潟)
 小林仲次(愛知)    安念次左衛門(富山)   芹田鹿之助(京都)
 佐藤伊助(新潟)    佐竹作太郎(山梨)    湯山寿介(静岡)
 三輪猶作(三重)    森茂生(三重)      鈴置倉次郎(愛知)
 鈴木惣兵衛(愛知)   菅沢重雄(千葉)
    東京銀行集会所組合銀行
 池田謙三(第百)    池田成彬(三井)     稲延利兵衛(日本通商)
 今清水乾三(両羽支店) 早川千吉郎(三井)    波多野承五郎(三井)
 豊川良平(三菱)    田中武兵衛(麹町)    谷野作治(十二支店)
 竜井頼三(信濃支店)  園田孝吉(十五)     成瀬成忝(十五)
 中溝秀周(三十)    中沢彦吉(八十四)    内藤尚(十九支店)
 串田万蔵(三菱)    山口荘吉(二十)     山田荘左衛門(信濃支店)
 山中隣之助(浪花支店) 松方巌(十五)      松尾謹次(七十八支店)
 草刈隆一(東京)    小林栄之助(三十六支店) 安藤浩(川崎)
 秋田宗四郎(信濃支店) 佐々木勇之助(第一)   迫田七郎(六十三支店)
 三村君平(三菱)    男爵渋沢栄一(第一)
斯くて一同会食後渋沢男爵発起人を代表して開会の趣旨を演説し、夫より中沢楠弥太氏来会者に代りて挨拶を述べ、次で豊川良平氏より一場の演説あり終て別席に移り余興の活動写真を観、各自歓談の上午後十時散会せり


竜門雑誌 第二一五号第三四―三六頁〔明治三九年四月二五日〕 ○銀行家懇親会(DK060168k-0003)
第6巻 p.642-643 ページ画像

竜門雑誌 第二一五号第三四―三六頁〔明治三九年四月二五日〕
○銀行家懇親会 貴衆両院議員中の銀行家及東京銀行集会所組合銀行中の有志者発起人となり三月二十六日東京銀行集会所に於て懇親会を開きたり、出席者は青淵先生、高橋是清、園田孝吉、池田謙三、早川千吉郎、豊川良平、佐々木勇之助、伊藤長次郎、鎌田勝太郎、児島惟謙、菊池長四郎、岩元信兵衛、千阪高雅、神野金之助、中沢楠弥太、植木元太郎、鈴木摠兵衛等の諸氏八十余名にして一同食堂に入りて晩
 - 第6巻 p.643 -ページ画像 
餐を了へたる後ち、青淵先生は発起人を代表して開会の趣旨を陳べられたり、其概要左の如し
  来会者諸君、本日は同業者が東京に集合せるを好機とし、当地の同業者は諸君と共に一堂に会せむことを謀り、諸君の賛同を得て此所に本日の会合を見るに至りし次第なるが、偶然の同業者懇親会の事なれば何れを主とし何れを客とすることなく、全く主客の差別なければ望らくは互に意見の在る所を述べむことを望む、玆に発起人を代表して簡単に開会の辞を陳ぶる所以也
  意見を陳べむよりは之を聞くが趣旨なれば、余の演説は単に呼び出し演説なり、顧みれは全国同業者の会合は余り今日迄其例少なし、尤も国立銀行時代には之が継続に就て会合したる事あるも、今日は右等の時代とは最早大に変遷したり、即ち曩には日清戦争あり、今や又日露戦争も平和克復となり、所謂戦後経営の時機に当れり、此時に際し全国の同業者相会す、余は必ずや名論卓説あらむことを期待す
  我々の銀行業が世運の進歩に助成せられたるの事実あると同時に又銀行業が世運の開発に資する所尠なからざりしを信ず、されば今後に於ても亦慎重に国運の為め資する所なかる可からず
  余は本夕諸君と相会して我々同業者に斯くの如く多数の政治家ありやを知れり、議会は曩に当期議会の二大法案と称せられたる非常特別税継続案及減債基金法案を通過せるが、人間は兎に角胃を強健に保たざる可らず、右二大法案は国家に取りては霊薬なりしが薬が効き過ぎて遂に鉄道国有問題出でたり、而して諸君の力に依りて日本経済界の胃は頗る強健となりたるやに覚ゆ、果して克く消化し得るや否やを知らずと雖も兎に角相当に消化せむことを希望す、尚ほ諸君の名論を聴かむことを望む、特に檜舞台を踏みし諸君の卓説を聴かむことを希望す云々
夫より中沢楠弥太氏は来会者に代りて挨拶を述べ、尚ほ政治界と経済界との益々接近せる事情を説きて本会を永続せしめむ事を望む旨を陳べ、次で豊川良平氏は国債募集其他に関する一場の演説を試み、夫より席を別室に移し、余興として諸種の活動写真を観、快談歓語何れも打解けて見へたるが、午後十時頃漸く散会を告げたり、因に衆議に依り本会は毎年議会の劈頭に於て開催する事に協定したりといふ