デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.670-672(DK060172k) ページ画像

明治39年9月28日(1906年)

銀行倶楽部第五十三回晩餐会開カル。栄一出席シ一場ノ挨拶ヲ述ブ。


■資料

銀行通信録 第四二巻第二五二号・第四九五頁 〔明治三九年一〇月一五日〕 銀行倶楽部第五十三回晩餐会(DK060172k-0001)
第6巻 p.670 ページ画像

銀行通信録 第四二巻第二五二号・第四九五頁 〔明治三九年一〇月一五日〕
    ○銀行倶楽部第五十三回晩餐会
銀行倶楽部にては九月二十八日午後六時より墨西其哥駐在帝国公使杉村虎一、紐育駐在帝国総領事内田定槌、横浜正金銀行取締役山川勇木三井物産会社理事岩原謙三四氏を招待して第五十三回会員晩餐会を開き、会食後渋沢男爵の挨拶に引続き前記四氏の演説あり、次で外債募集に関する豊川良平氏の質問之に対する山川勇木氏の答弁あり、夫より別室に於て款談の上午後十時散会せり

 - 第6巻 p.671 -ページ画像 

竜門雑誌 第二二一号・第五六頁〔明治三九年一〇月二五日〕 ○銀行倶楽部晩餐会(DK060172k-0002)
第6巻 p.671 ページ画像

竜門雑誌 第二二一号・第五六頁〔明治三九年一〇月二五日〕
○銀行倶楽部晩餐会 同倶楽部に於ては十月二十八日午後六時《(九)》より晩餐会を開きたり、当日の来賓は杉村墨国公使、内田紐育総領事、山川正金銀行取締役、岩原三井物産会社理事の四氏何れも列席し、尚ほ委員長青淵先生、園田孝吉、豊川良平、佃一予、木村清四郎、山口宗義、首藤諒、波多野承五郎、三村君平、小田切万寿之助諸氏等会員の出席多く総員八十余名に達し一同晩餐を了はるや、青淵先生起つて来賓に対し一場の挨拶を為し、次で我経済界の前途は徒らに悲観するを容さず又猥りに楽観する能はず要は唯だ不消化物を喰ふて食傷せざるやう注意せざる可らずと述べらる、次で杉村墨国公使の墨国見聞談、内田総領事の紐育金融談、山川氏の倫敦金融及外債募集談、岩原氏の日米貿易談等あり、終りて豊川氏の満洲鉄道株式募集に関する談話あり、山川氏の倫敦募債の談話ありて歓談快話の上午後十時散会せり


時事新報 第八二四六号〔明治三九年九月三〇日〕 銀行倶楽部晩餐会(DK060172k-0003)
第6巻 p.671-672 ページ画像

時事新報 第八二四六号〔明治三九年九月三〇日〕
    銀行倶楽部晩餐会
予報の如く銀行倶楽部にては二十八日午後六時より墨国駐在帝国公使杉村虎一、紐育駐在帝国領事内田定槌、横浜正金銀行取締役山川勇木三井物産会社紐育支店長岩原謙三の四氏を招待して晩餐会を開きたり、出席者は渋沢男爵、豊川良平、園田孝吉、波多野承五郎、佐々木勇之助、山口宗義、首藤諒、木村清四郎、佃一予、小田切万寿之助諸氏にして宴酣なる頃渋沢男爵起ちて一場の挨拶を述べ、次で杉村公使は墨国の歴史より説き起して同国の土地広くして人口多く帰化の手続き極めて簡易にして外人を優待するが故に自から外資の流入も夥しく国運益々隆昌なるが故に、我移民は前途甚だ有望なりと説き、次に内田領事は紐育の金融に付き述て曰く
 紐育の銀行は法律上預金に対して四分の一の準備を置くの規定あり又地方の銀行は同じく一割五分の準備を置くの規定なれども、此れは必ずしも現金を以てするを要せず、紐育銀行への預金を以て之に充つることを許せり、故に紐育の銀行は平時に在りては百万円の準備を以て能く四百万円の貸附を為すことを得れども、一朝地方に資金の需要起り紐育の預金を引出すときは其引出したる預金は左まで大ならざるも紐育銀行は其額の四倍丈貸出を縮めざるべからず、是れ紐育金融の繁閑常に劇甚なる所以にして、其中、九、十、十一月の三ケ月は農産物の出廻時季に際し地方より預金の取付あるが故に毎年昨今の金融は常に必迫を呈するを常とせり、去れば我国の公債募集の如きも此期間に到底有利なる交渉を為すに由なく従つて昨今の外債募集談も明年一月迄は成立の見込なかるべし、と断じ
次に山川正金銀行取締役は倫敦の金融に付て述べて曰く
 倫敦の金利が近来高位を維持する所以のものは今春露国が八億円の公債を巴里に募集せること、今夏桑港震災の為め欧洲の保険会社が所有株券を売放ちて保険金の支払に充てたること、並に昨今露国の騒擾等重なる原因なるべしと雖も是には抑々遠因あり、其遠因とは取りも直さず数年前の南阿戦争にして当時英国政府は倫敦市場に於
 - 第6巻 p.672 -ページ画像 
て廿億の公債を募りしが、其応募者は世人の想像するが如く英国人のみにはあらずして仏独両国人多数に之を引受け特に仏国人の応募高は中々の多額に上りたり、去れば倫敦市場に於ても爾来仏国経済界の状況は常に其注目を脱することなく有力なる銀行者の如きは終始之を念頭に置くの状況なるに、昨今露国の騒擾より仏国経済界の状況如何に変ずべきや不明なるより扨こそ倫敦市場の金利も常に高位に維持しつゝあるなり、此の如く世界金融の中心と云はるゝ倫敦に於てすら裏面には種々の危険を感じつゝある位なれば我国の如きも徒に外資輸入を云々して其結果如何を慮らざるは軽忽の至りなりと述べ、次に岩原三井物産会社支店長は日米の貿易は最初輸出超過の状況なりしに、二十七八年戦争の頃より一変して輸入超過となりし事を述べ、日米貿易の現在及将来を詳説して演説を了り一同別室に移り款談余念なく軈て十時頃散会したりと